ラブライブ 未来へ受け継ぐ奇跡の物語   作:杉並3世

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お久しぶりです。

今日がμ`sファイナルライブから1年が立ったのですね・・・・

早いものです。







27先の事

夏の合宿も終わり、ラブライブ出場を目指してトレーニングに励む日々を送っているμ`s。

 

だけど俺と絵里、希の生徒会役員はスクールアイドル付きっ切りという訳には行かない。

夏休みに行われる学園祭に向けて練習の合間をみて生徒会でこの夏休み中に仕込み出来る物は仕込んでおかないと間に合わなくなる。

 

 

今日はその作業日だ。

絵里達3年生にとっては最後の大仕事である同時に2年生たちに色々仕込む時期でもある。

 

 

いつも通り朝食を食べ終り、お茶を飲みながらテレビのニュースチャンネルに切り替えると堅苦しいキャスターの声が聞こえてきた。

『昨晩から未明に掛けてユニオン海軍艦が我が国に接続水域を航行しており。舞鶴所属艦艇が追跡を開始 ユニオン政府に対して外務省は・・・』

 

 

「うん?今回のはAGIも出てきているのか」

日本に戻ってきてから何回、何十回とも聞いているニュースだけど今回のは毛色が少し違った。

 

いつもならフリゲート艦2隻なのだが今回はAGI艦も加わっている。

 

 

AGI艦・・・一言で言うのならスパイ船であり、主に電子情報の集積といったシギント活動する船であり、現代の情報戦にはなくてはならない強力なルーツになる。

 

「あんまりいい感じしないな」

黒沢と遭遇してから数日が立ったが未だに何にも行動を起こしていないのが気になる。

面倒を起こされてもかなったものじゃないが、何にも行動を起こさないのも変に勘ぐってしまう。

 

「・・・っと、いかんいかん!」

 

今から出ると遅刻はしないが時間ギリギリになってしまう

俺は荷物を持って急いで家を出た。

 

 

 

 

 

「遅れてすまない」

 

「悠斗が遅刻だなんて珍しいね」

「何かあったん」

 

「夜遅くに父さんから電話が来て『もう陸上勤務イヤー!!艦艇勤務に戻りたい』云々の愚痴を聞いていた」

 

「それはご愁傷さまね」

「でもうち・・・不思議に思ったんやけど普通昇進って喜ぶものやない?」

「他はそうかもしれないが海軍は上の階級になればなるほど艦艇勤務から遠ざかるから嫌がる人は本当に嫌がるよ」

 

尉官や佐官でも艦艇勤務の船務長や砲雷長、副長艦長といったホストが多いがそれが将官になれば艦艇勤務は幕僚か司令ぐらいしかホストがなく窮屈な幕僚任務に嫌気がさしたらしい。

 

「悠斗も来たことだし、始めよっか」

絵里の一声で始まった生徒会業務。

 

俺は専ら会計と事務処理。

屋台の食べ物やとかは保健所の申請や、ステージ組み立て業者の打ち合わせなどやるべきことはいっぱいある。

 

それは机いっぱいに置かれた書類の束が物語ているが、こんなのもアルテールスに比べたら月とスッポン。

 

アルテールスにいた時は、仕事始めにまずリズがやらかした内容の書類を見て発狂。

 

 

 

次に来るのは終わることのない書類に、そして各方面の根回し、日に日にたまってくる請求の数々。

 

 

 

仕事が終われば街の酒場で飲み明かし・・・・・

 

 

翌日また書類を見て発狂。

 

 

その繰り返しを2年間やり続けた結果、もう平和過ぎて涙も出てくる。

 

「それじゃ少し休憩しよっか?」

「さんせー」

仕事は順調に進みいったん小休憩に移る。

 

 

 

「朝霧君、ちょっと予算会計が合わなくて」

「ちょっと見せて」

生徒会役員の子が持ってきた書類とパソコン内のデータを相互参照した

 

「ええと・・・ここがこうなって、ああなっているから」

 

 

 

 

 

「むう・・・」

「絢瀬会長どうかなされました?」

「・・・・いいえ、何でもないわ」

「何でもない・・・ねえ」

「・・・・・・何よ希」

後ろの方で希が薄笑いをしていたけど気にしないことにした。

 

「よし!これであっていると思うから」

「ありがとう」

 

書類を渡して背筋を伸ばした。

「さ~てコーヒーでも飲もう・・・・ってどうした絵里」

「・・・別に」

どっからどう見ても不機嫌な絵里。

 

あれ?

俺彼女に何か変なこと言ったかな?

 

心の中で今日の出来事を思い出していたら扉から元気いっぱいの女性がやってきた。

「やっほー!絵里、希!元気にしている?」

 

「水谷先輩!?」

「お久しぶりです先輩」

 

「この人は?」

「水谷彼方先輩絢瀬さんの2代前の生徒会長で今は防衛大学校の2年生」

「へえ。防大の生徒か」

所謂、士官育成するための学校で4年間横須賀のキャンパスで学んだ後候補生たる曹長に任命されそこからさらに陸海空の士官学校を経て現場に入る。

「そういえば2人の噂も来ているよ♪今やスクールアイドル会に現れた超新星µ`sの一員だって!」

 

「あはは///」

「まあいろいろありまして///」

絵里はともかく希が珍しく頬を赤く染まっている

 

「その色々って音ノ木坂が廃校になるって話か?」

「それなのですが最新情報で一先ず無期限の延期が決まりました」

「いやー!よかったよかった!!私の時から少し怪しいと思っていて心配していたのだよ」

 

 

 

「理事長の案で共学に向けてのテスト生を今年度から」

「3年生の朝霧悠斗です」

「防衛大学校2年生の水谷彼方です」

 

お互い握手してそれぞれ自己紹介した。

 

「2年生という事はもう進路の方は決まっているのですか?」

「おや?君は結構詳しい口かな?」

「はい。父が海軍所属で」

「そうかそう・・・・うん?海軍で・・・朝霧!?」

あ・・・・このリアクションでもう察しがついた

「ひょっとして朝霧悠介一佐の・・・」

「あ!やっぱり有名ですか親父殿は・・・」

 

「そ、そうね・・・・・皇国海軍一の秀才にして変人?親バカ?」

・・・・・やっぱりうちの親父は軍内部じゃ相当言われているな。

そして何一つ間違っていないので何も言い返せれない。

 

 

「それで今日はどのような件で?」

「そうそう!今年も大変だろうと思って・・・差し入れを」

「今年もありがとうございます」

両手の袋いっぱいの中身は飲料水やカロリーメイトやら非常食となるものが詰め込まれていた。

 

 

「なんか・・・すごい人だな」

「うん・・・確かに仕事はできるのやけど・・・その・・・・」

 

「あら?絵里・・・あなた成長したんじゃない?」

言葉を濁した理由は分かった。

 

 

この人・・・・男子がいる前で平気で希の胸を揉み始めた

 

「ブー!!」

「ち、ちょっと水谷先輩!!今男子もいるのですからいつものノリやめてください!!」

 

いつも!?

危うくコーヒーを落としそうになったけど、この人現役時代何していた!?

「え、どういういう事?」

「この人・・・仕事はできるのだけどその・・・親しい同性に対してはコミュニケーションとして・・・」

「ああ、分かった」

 

アルテールスにも同系統の人間がいるけど今ここで確信した。

 

間違いなく希のワシワシはこの人から受け継がれている。

 

 

 

見て見ぬ振りをしようとした時

 

「大変だよ、悠にい!!」

 

タイミング悪く幼馴染3人組が来た。

 

 

グッバイ・・・・・・俺の心の平穏。

 

「・・・・・・・悠にい、何見てるの?」

「・・・・・・言い残すことはありますか?」

「そんないけないゆうにいを・・・・・・・」

もう、幼馴染3人の目のハイライトが消えているツッコミは諦めた。

他の役員の子らも3人の異常な気配にビビッて、部屋の四隅に行った。

 

 

出入り口や窓には穂乃果とことりががっちり固めていた。

俺は腹をくくり、コーヒーカップを机の上に置いて・・・・

「ふう・・・・・さあ!思いっきr」

 

目にも映らない速さで海未の拳が鳩尾に入りそのまま回し蹴りを食らって外に放り出された。

 

 

流石海未・・・・・・一切容赦ない

 

 

 

30分後

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・・どうした穂乃果?」

 

復活して生徒会室に戻ると絵里が説明したお陰で穂乃果たちは平常運転に戻っていた。

 

 

スクールアイドル系の話みたいなので、他の生徒会役員は席を外してくれていた。

水谷先輩も帰りまた会いましょうと不気味な言葉を残していった。

 

 

 

 

 

できることなら関わりたくない。

 

 

 

「これ見て!!」

穂乃果が持っていたスマフォを俺の顔の近くまで見せ、画面にはスクールアイドルのランキングサイトが開いていた。

「そういえば今日が最終ランキング発表日だったな」

 

「にじゅ・・・い!?」

「20位!?」

俺だけでなく絵里や希が画面に釘付けにした内容だ

 

リストにもランキングリストにも20位にμ`sの名前が入っていた。

 

「よっしゃ!!」

 

「これって夢じゃないよね?」

余りにも出来事に珍しく希が素で言っていた。

 

特に東京は全国的に見ても激戦区でもありこの短期間で上位に上り詰めたのは奇跡に近い。

 

 

 

 

 

だけど・・・・・

 

「まだ浮かれるのは早いぞ」

「そうね。この結果は予選に参加可能であって本選に出れるわけではない」

これが終わりではなく始まりに過ぎない。

 

古人曰く、勝って兜の緒を締めよとある。

 

どうにかこうにか20位には入り込めたけど、ここから先は王者A-RISEを始め油断できない強豪が控えている。

 

「となったら楽曲だね」

日程の都合上、予選と本戦の間は1週間しかなくほぼ同時進行で練習に挑まないと

 

「あのね・・・この間のサマフェスに行った時、いろんな人がいたじゃない」

 

すると穂乃果がある提案を出した。

 

「あの時は丁度海外に行っていた艦艇が戻ってきたから交流がメインだったし」

 

 

「私たちっていろんな人たちに助けられて支えられて今があるよね。その時に家族や友達、μ`sのファンとか自分たちにかかわってくるあらゆる人たちに好きって伝えたい!!っていう曲を作りたいの」

 

穂乃果が自分で作曲をしたいと言ってきた。

 

実は穂乃果はµ`s結成以来、作詞作曲や振り付け衣装など楽曲に関する事に全くと言っていいほど関わっていない。

それでもリーダーとしていられるのは決して曲げない混じりっ気がない真っ直ぐで素直な気持ちを押しているからである。

 

 

「いいんじゃないか」

「そうね」

俺たちは穂乃果の案に賛成した。

だってこいつの純粋で真っ直ぐでキラキラな目を見ると期待しちゃったりするんだよな。

 

「ところで歌詞は出来上がっているの?」

「まだ未完成だけど、今なら完成させられると思う」

 

 

一旦穂乃果たちは帰り、俺たちの生徒会の仕事を終わらせてから帰宅した。

「すごいね穂乃果は」

「ああ」

 

「なんだかあの子を見ているとこの間までウジウジ悩んでいた私がバカみたい」

 

「俺だって悩み続けている」

寧ろ穂乃果が何にも悲観的な事は考えず、考えなしで突っ走っているだけかもしれない

「その時に立ち止まって自分の大切なものを考えるさ」

 

 

すると携帯の着信音が鳴り響いていた。誰かなと思い、着信画面を見ると東條副長官からだった。

「もしもし・・・・」

『済まないが急いで議員会館の私のオフィスに来てくれないか』

「何かありましたか?」

『電話ではちょっと・・・』

「分りました」

『ありがとう。君のマンションの近くに岡本秘書の車に乗ってください』

 

「ごめん!ちょっと用事が出来た」

「ううん。構わないわ。それじゃまた明日ね」

「ああ、また明日」

電話を切った後、絵里と道中別れた。

 

 

指定された場所に行くと岡本秘書官の車に乗り込み議員会館に訪れていた。

 

 

 

 

 

「すまない突然呼び出して」

「それは構わないけどセリシア大使だけでなく岸国家公安委員長まで出てくるあたりあまりいい話ではないことを察するよ」

執務室に入るとセリシア大使だけでなく岸国家公安委員長、杉並が座っていた。

 

「ああ、本当に洒落のならない話ですよ。今回の話は2つあります。悪い話と最悪な話・・・・どっちを先に聞きたいですか?」

杉並の一言で、もはやロクでもない話は確定した。

「最悪な話で・・・・」

 

「6月ぐらいにロシアマフィアの大物中の大物のヨランダが密入国した話は覚えている?」

 

「!?何か進展でも」

 

すると岸国家公安委員長の懐から一枚の写真を出した。

 

「此奴は!?」

「君も知っているようにこの間君たちμ`sに接触したあの平沢と食事をしているのを公安が撮影したものだ」

 

「・・・・・・・もう冗談が冗談ではないな」

 

まさしく最悪な話だ!

頭が痛くなるほど災悪の組み合わせに頭を押さえた。

 

「ところで黒沢はどうして起訴されなかったのだ?あの顧客名簿には名前が載っていたけど」

 

「あの資料もとに関係者の裏を取っていたのだけど黒沢だけ巧妙になっていて奴だけ起訴できなかった。」

「なるほどな・・・・確かによく考えればあの証拠だけでは起訴することはできないな」

「なので公安は今日まで監視対象を続けていました」

 

「それは向こうもわかっているはず・・・分かっていながら接触したということは」

「おそらく近日中に何等か行動を起こすだろう」

 

 

今朝から懸念事項だったけど・・・ラブライブが近づいている時にここで起こすか!?

「ところで平沢は何故西木野病院を辞めたんだ」

「公安で調べたところ辞めた理由までは分からなかったが当時の証言から相当院長を激怒させたらしい」

真姫の話から相当な人格者と伺えるけどそんな人を激怒させるなんていったい何やらかした。

「辞めた後は厚生労働省の技術系職員で入省。以後アノ事件が起こるまで民社党連立政権下で働いていた」

これ以上の事は当事者から聞かないと分からないな。

 

「悪い方の話なんだけど・・・日本海側でユニオン艦船とキチンレースしているのは知っている?」

「今朝から嫌というほど聞いているよ」

 

「実は今月に入って内容まで解らなかったが衛星を使ってユニオン大使館が本国を経由しない通信が一気に増えている。」

「本国を経由しない通信?」

 

「ああ、それが今日本海でキチンレースを広げているユニオンの軍艦とロシア内の政府施設以外のところにも通信した形跡がある」

 

「本国経由しないのが気になるな」

 

 

「それに合わせて前言っていた廃校派とユニオンとの間にも動きが見られた」

「なるほど」

これまた胡散臭い話だな。

 

 

「それと前に頼まれていた前政権と文科省官僚とのつながりなのですが、表立っていないのですがある局長が音ノ木坂学園を廃校に積極的に関与していました。後、財務省の官僚も一枚噛んでいたようだ」

「やっぱり財務省も絡んでいたか」

国立学校の跡地を利用するから絶対に財務省か国交省の官僚が関わっているとは踏んでいたが・・・・

 

「まだ、叩いたらほこりが出そうな身体なんだけど、下手に追及し過ぎると野党が追及始めるかもしれないし」

「確かにね」

 

前回の総選挙以降完全に野党勢力が崩壊し現在野党の支持率は二桁もいっていないというありさまだ。

唯一野党保守系第三勢力の日心党が9%台で比較的まともな政党だ。

残りは5パーセント台で民社党至っては事件の影響もあって2%しか支持者がいない。

あの手この手使って民社党や共産連合はやっているけど効果がないどころか自分の首を絞めている感じだ。

 

 

連中が復活することはないけど可能な限り政権のダメージになる出来事は控えてほしい。

 

 

 

 

「それとこの前頼まれた件だけど」

「何かわかった?」

政府側の話が終わり次は6月ごろセフィリア大使に頼んでいた絵里の身上調査の結果を聞いた。

日本政府に頼まなかったのは依頼した当時は日本政府とのパイプが無かったからだ。

 

「絢瀬絵里さんの父親は日本人の大学教授で母親はロシアハーフで神田出身その祖母も音ノ木坂学園に通っていた記録もあった」

一通り書類を見ていると一枚の写真に目をついた。

「この人は?」

「絢瀬絵里さんの母親の絢瀬タナーシャさんです」

「黒髪なんですね」

祖母は金髪だけどハーフである母親の髪の色は黒色だ。

「一般的に金髪碧眼はハーフでも遺伝が難しい劣性遺伝子ですからクォーターで遺伝しているのは珍しいケースですね」

 

 

この辺りも以前絵里から聞いた事と一致する。

 

「ただ・・・」

「ただ・・・どうした」

「総務省の記録上、祖母の出生地が稚内市になっています」

「稚内市!?ロシア出身じゃないのか?」

純血ロシア人が本国ではなくて日本最北の町が出生?

「ええ、それより前の記録がないのでそれ以上のことは」

祖母の年代は明治終盤から大正時代か・・・

 

そのころロシアと日本の出来事はたしか・・・・

 

 

日露戦争とロシア革命

 

「当時の亡命記録って残っていますか?」

「残ってはいるのですが、そのリストの中には該当者はいませんでした。また難民としての受け入れもありませんでした」

公式記録に一切残っていないか・・・・

 

 

「それより今後の動きだ。今日までおとなしくしていたけど今後ともそうとは限らない。今の所の日本政府としてはどうしますか?」

「・・・・・・しばらく泳がせようと思う。正直連中の目的も知りたい。万が一を想定して日本側は警視庁のSATや軍の特戦群をいつでも動かすことができる。いざという時は空挺部隊を投入する用意もある」

「分かりました」

 

この辺りは俺が口を言える立場ではないが、敵はロシアマフィアの中での一大勢力である「グラードファミリー」だ。我の全力を以ってこの危機に立ち向かうという意思を感じ取った。

 

「それで・・・悠斗はどうするの?」

 

「俺は今μ`sのマネージャじゃけんのう、そう勝手には動けんが邪魔するなら・・・全滅させるけんのう」

「そりゃ、頼もしい言葉だな」

 

「でもそうさせないために私たちがいます。もうこれ以上君には手を汚して惜しくない」

 

「お心遣い感謝いたしますが生憎、私の手は真っ黒に染まっています。ここで降りたら先に死んでいた者たちに顔を向けません」

「そうですか」

 

 

「心配せんでもμ`sの行き着く先を見届けるまでは簡単には死なんよ」

 

「本当に変わったね」

「何にも変わっていませんよ」

 

 

 

会談を終えてその場で解散することにした。

 

「・・・・なあ杉並、少し頼みごとを聞いてもらえないか」

「頼み事?」

「実は・・・・」

 

俺はある調査を依頼した。

 

「・・・・・室長に頼んでは見ますけどそれ本当なのですか?」

「ああ」

確証はないけど確信はある。

「それでしたら少し付き合ってください」

 

俺らは議員会館の屋上に足を運んだ。

まもなく日没という事まって西の空は茜色に染まっていた。

 

「主はあの子のことどう思っているのですか?」

「・・・・それはどういうことだ?」

 

「恍けないでください!主・・・あの子のことが好きなんでしょう!」

 

「っ!?」

 

さすが杉並・・・・わかっていたか。

 

 

 

でもな・・・・俺の手はすでに真っ黒に染まっている。そんな奴が付き合っても絶対に幸せにはなりはしないよ。

 

「俺が望むのはµ`sの行き着く先と血塗られた朝霧の歴史もここで幕引きだ」

「幕引きってまさか主・・・・・・・死ぬ気ですか?」

 

「まさか!俺は死なねえよ!この目でみんなの人生を見届けるまではな」

「でしたら・・・・」

 

「それでもよ。あいつの隣に居るのは俺じゃない。死なねえよと言いつつも正直言ってどうなるかわからない世界だ。ひょっとしたら道端でゴミ屑のように野たれ死んでいる可能性もある」

 

「・・・・・・」

杉並は何も言わなかった。

「だから、俺じゃないんだよ。絵里の隣に居るやつは」

 

朝霧である以上必ず戦争に駆り出される。

 

その運命から逃れる気はない

 

俺では絵里を幸せにすることができない。

 

「でしたら主の母親はどうなんですか?!」

 

「っ!?」

 

「主の母親もそれもすべて受け入れて主の親父さんと付き合って結婚したので・・・・すみません主。出すぎたことを言って」

「いや・・・・いい」

 

杉並はそれ以上何にも言わずに屋上から立ち去る。

 

これで正しいはずだ。

こんな男と付き合うよりは他の奴と付き合った方が絵里のためでもある

 

「・・・・あれ?何で涙が」

 

何故か涙が止まらない。

 

もう、自分自身で答えが出たはずなのに何で悲しむんだ!

 

この日は日が大分沈んだのを見計らって帰った。

 


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