ラブライブ 未来へ受け継ぐ奇跡の物語   作:杉並3世

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本当に遅れて申し訳ございませんでした 




21自由

ことりを捕まえた希から指定された場所に向かうと、その店はいわゆるメイド喫茶だ。

メイドの格好時点で察していたけど、何でバイト始めたのか皆目検討がつかない。

 

 

取り合えずあれこれ考えていても埒があかないので意を決して店の中に入った。

これがいやらし系統の店なら直ぐに東條副長官に連絡して公安を使って店長以下関係者を地獄の底に叩き込んでやると思っていたが店内は少しメニューの名前があれなだけで以外にもクラシカル風をイメージした内装だ。

メイド服もロングスカート風で至って普通の店っぽいで客層も以外にも女性客が多いのが驚いた。

 

さて本題に入ろっか。

 

店長のご厚意でスタッフルームの一室をお借りしてことりから事情を聞いていた。

 

「えぇ~!!ことり先輩が伝説のメイドミナリンスキーさんだったのですか!?」

「なあ・・・にこ、そんなに有名なのか?」

もう一人アイドルに精通しているにこにも聞いてみた。

「そうね。もうこの業界で知らない人はいないんじゃないかな?」

「そこまでかよ」

確かに前回リーダー決めるときのビラ配りもことりが一番速く終わっていた。

 

「酷いよことりちゃん!何で言ってくれなかったの?」

「うっ~」

幼なじみである穂乃果にも黙っていたんだやはり思うところもあるんじゃろう

「言ってくれたら遊びに行ったのに」

「そこかよ!!」

 

そうだった。

こいつはそんな小さな事にはこだわらない奴だった。

 

 

「それじゃこの写真は?」

「前に店のイベントで歌ったのだけど隠し撮りされていたみたいで」

「なるほど」

確かに店の注意書には勝手な撮影はご遠慮くださいと書かれていたし、恐らく隠し撮りした写真が何らかの形で運営会社に送信されて本人が知らない間にブロマイドが販売していたわけか。

 

「一応サイトの運営会社に問合せて外すように頼んでみる」

「ありがとう悠にい」

問合せるといったけど時間が掛かりそうなら副長官に頼んでウラで掛け合って貰おう。

「それで・・・どうしてこのバイトを始めたのかしら?」

 

「自分を変えたいと思って」

「自分を?」

 

「私・・・・・いつも悠にいや穂乃果ちゃん、海未ちゃんの後ろをついていっているだけで何にもないから」

「何にもない?」

 

「穂乃果ちゃん見たいにみんなを引っ張っていけれないし、海未ちゃん見たいにしっかりもできない。悠にい見たいに影に徹する覚悟もない」

 

 

「そんなことないぞ!歌も躍りも上手だよ」

「衣装だってつくれるし」

「少なくとも2年生の中では一番まともね」

穂乃果は言わずとも三バカの筆頭で、海未はトレーニングジャンキーだし。

 

その点真姫の言うとおり一番マトモなのはことりだけだ。

 

 

「みんなありがとう」

みんなにお礼の言葉を言ったがまだ表情は暗いままだ。

時計を見ると結構時間が立っていて、これ以上長居する訳にはいかないから一度解散する事になった。

 

「後この事はお母さんに・・・」

「分かっちょる。内緒にしておくから心配するな。な、皆」

みんなは力強く頷いた。

「悠にい・・・みんなありがとう」

この時今日初めて明るさを含んだ笑顔を見た気がする。

 

店でバラバラになってそれぞれの家に帰った。

俺と絵里と穂乃果、海未は途中まで一緒だ。

 

「以外とみんなも抱えているかもしれないよ」

「え?」

「自分が優れていると思っている人なんて一握りしかいないよ」

「絵里の言う通りだ」

 

 

「確かにその通りかもしれません」

 

「それじゃ私たちはここで」

 

「ああ、また明日な」

穂乃果と海未とも分かれて絵里と二人っきりになった。

 

「ねえ、悠斗今なに考えているのか当ててみようか?」

「言わんでもいい。多分正解だ」

最近絵里に何でも見透かされているような気がするよ。

 

「それじゃこの間の話は」

「ああ、受ける様に説得する」

恐らくμ`sにもことりにとってもいい機会になるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

「ライブですか!?」

「しかも横須賀で!?」

翌日、この間の父さんの話を早速みんなにした。

「理由はさっき話したとおり。本来参加予定の1組が体調不良で辞退、そして再考の時間もないと言うことでμ`sにオファーが掛かった」

「でもそれっていいのですかね」

「その辺も父さんが各方面に根回ししているから問題ない」

以外にも様々な省庁にも顔が効いていて、外部からなに言われようがごり押ししてでも通すみたいなことは言っていたからな。

 

「まあスクールアイドルメインのイベントではないが毎年多くのお客さんが入ってきていることもあってラブライブに向けて大きな一歩につながると思うのだ・・・」

 

 

「やろうよ!!」

俺が言い切る前に穂乃果の声で遮られた。

 

頼むから最後まで言わせてくれ。

 

「だって面白そうじゃない!」

こういう時の穂乃果の決断は助かる。だってみんなの目がやる気スイッチに入れた。

「決まりだな」

 

 

「それで人数はどのくらい来るの?」

「去年のデータだけど訳2万人の来場者が来た」

「2万人!?」

 

「す、すごい人ですね」

「海未よ・・・人が来なかったら広報の意味はないぞ」

「わ、わかっていますが」

 

相変わらず海未は人前に立つことにまだ慣れないな

 

「ただ一つ問題があって」

「問題?」

「これも再考が間に合わない理由になるのだけど参加団体には海か夏と空をイメージした曲を必ず披露するのが前提条件」

「ちょっとそれはきつくない!?」

作曲担当の真姫が難儀を示した。

「実は夏と空に関しては心当たりの曲がある」

「ホント!?」

「この間父さんから渡された母さん遺品に2曲の楽譜が残されていた」

鞄の中から夏色えがおで1,2,Jump!と書かれた楽譜と歌詞にWonderful Rushの楽譜を見せた

「晩年母さんが書いた楽譜に間違いない」

 

「おばさんが!?」

「でもよろしいのですかこれを使っても?」

昔から母さんを知っている海未

本当に使っていいものかと思っていると思うのだが

 

 

「問題ない。むしろ使ってほしいのが俺や父さんの思いだ」

このまま誰も目に当てず眠るよりかは誰かの手によって世の中に出してほしいと楽譜と一緒にあったメモにそう記載されていた。

 

「編曲や歌詞に関しても俺は真姫と海未に全権を委ねる」

「分かったわ」

「分かりました。必ずやいい作品に仕上げます」

 

「これで後は空の歌詞ですね」

「ああ」

「それなんだけど悠にい・・・私が作ってもいいかな」

突然のことりからの志願。

 

話し合いが終わってのその帰り道・・・・・

「ねえ、悠斗本当によかったの?」

「妹に甘いかもしれないけどいい機会だと思ったよ。絵里は反対か?」

「ううん。賛成よ」

 

ことりの悩みを聞いたときこの構想は頭に過った。

 

 

穂乃果や海未から逐一報告が上がっているけどあまり芳しくないみたいだ。

夏色は元々が出来上がっていたので編曲と微調整で完了したけど、Wonderful Rushだけはまだ未完成で歌詞すら出来上がっていないようだ。俺もちょくちょく様子を見に行ってみると完全に迷走状態だった

 

 

「ねえどうする?」

「そうだな」

 

これ以上の遅延ははっきり言って不味い。既にメロディーは完成してダンスの練習に入っているが肝心の歌詞が出来上がらないことにはどうにもならない。

 

どうしようか手をあぐねていたとき電話が掛かってきた。

『ヤッホー悠君!今度の休み空いている?』

「いきなりどうした?」

相変わらずのハイテンショで突然電話がかかってきたと思いきや行き成りの用件。

 

『一応本番前に確認に来て欲しいのだけど大丈夫かな?』

「確認?」

『そ!他の参加メンバーには既に伝えているけど、急遽決まったμ’sだけ細かい説明していなくて』

「それって全員参加した方がいい?」

『いや、2、3人でいいよ。流石にあの狭い艦内じゃ』

「分かった。決まったすぐに連絡する」

 

『お願いね』

 

「おじさんから?」

「ああ、一度打ち合わせに来てくれって」

 

メンバーねえ・・・・・

 

俺は絶対だし、残りはどうし・・・・・・そうだ!これを利用したらいいんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・と言うわけで打ち合わせの為に横須賀鎮守府に行く事になったの」

「行きたい!」

「ずるいにゃ」

部室に戻ると早速打ち合わせの件を伝えると今度は誰が行くかで揉め始めた。

 

頼むから最後まで人の話を聞いてくれ!

 

 

「お前ら落ち着けって・・・そんなことだろうと思ってくじを作った」

 

「くじですか?」

「艦内はみんなが思っている以上に狭くて大人数の移動が困難だ。だからくじ引きで俺を除く3人まで絞り混む」

そして用意された9本のくじをそれぞれ引いた結果、行くメンバーは絵里、ことり、希に俺と決まった。

「うぅぅ、悔しいにゃ」

「凛ちゃんドンマイ」

「何か作為的な組合せなのだが」

「失敬な。ちゃんと公平公正で決めたものだぞ」

流石勘が鋭いこと。

実はことりが行き詰まったので気分転換で見てみるのも悪くないやろと思ってちょっと工作しちゃった。

「それじゃ土曜の朝8時に秋葉原駅に集合」

 

 

土曜日になり俺たちは秋葉原駅に集まって環状線で一度品川で横須賀駅行きの電車に乗り換えた。

 

「それで悠斗、この組み合わせて何か作為的なものをかんじるんやが?」

「流石希!完全にばれていたか」

 

「・・・まあ今回の組み合わせにはことりの息抜きと俺のサポートに絵里」

「私は?」

「実はこれに関しては俺の個人的な」

「個人的?」

 

「あくまでも噂レベルなのだが・・・っと漸く着いたか」

 

「凄い!大きなフネがいっぱい!!」

「ここにくるもの随分久しぶりだな」

「うん。この海の香りも全然変わっていないね」

横須賀鎮守府

 

横須賀市内複数の地点にある港湾施設、陸上施設群と横須賀海軍施設の総称。

皇都に近いこともあって連合艦隊司令部、護衛艦隊司令部、潜水艦隊司令部、機動艦隊司令部等海軍中枢的な基地。そのよう事もあり停留する艦艇も多く、その時代の最新艦が配備されている。

自前の整備用大型艦用が2つ、中小型が4つのドックが用意してある。各艦艇のミサイル弾薬類の備蓄もここに厳重に保管管理をしている。一部海軍の試作兵器もここに保管・管理・運営を行っている。

 

「あれ?ことりもきたことがあるの?」

「うん。子供のころ悠にいとおじさん、穂乃果ちゃん、海未ちゃんで来たことがあるの」

 

子供のころ護衛艦の船務長だった父さんと一緒に艦艇見学に連れて行ってもらったことがある。

それから10年経っているけど雰囲気は昔のままだ。

 

「悠く~ん!ことりちゃ~ん!絵里ちゃ~ん!希ちゃ~ん!!」

基地内で大きな声でこの間着ていた海軍第三種夏服ではなく、参謀飾諸を付けた第一種夏服で父さんが迎えにきた。

衛兵が呆然としているからもうちょっと自分の立場を理解して自重しろよ!

 

 

「本当に参謀になっていたのだな」

「今の今まで我がままを押し通して貰ってからな」

 

 

「こんにちはおじさん」

「おひさしぶりです」

「こちらこそこちらの依頼に応じてありがとう」

 

父さんに案内されて久しぶりに横須賀鎮守府の中に入っていった。

今日は休養日ということも合って人が全然いなかった。

 

 

「ここが君たちのメイン会場となる空母蒼龍だ」

「・・・・・凄い!!」

「こんなに大きいんだ」

 

蒼龍型航空母艦一番艦『蒼龍』

全長320m、飛行甲板74m、排水量10万トンを越す日本最大の大型艦だ。

 

ラッタルを渡り舷門(艦艇の一般受付窓口兼警衛場所の総称)で手続きを済まして艦内に入った。

舷門に立っている隊員も不動の姿勢を維持している

 

「思っていた以上に狭いのだね」

「そうやね。それに段差も結構あるやね」

 

「まあ軍艦だからね狭い艦内を効率よく活用するためや被害を最小限に抑えるため一定間隔に非常扉を設置したりとかしているからな」

 

艦内に入って02甲板にある士官室に入っていった。

「失礼します」

「音ノ木坂学園スクールアイドルμ`sのマネージャーをやっている3年生の朝霧悠斗と申します」

「音ノ木坂学園スクールアイドルμ`s3年生の絢瀬絵里と申します」

「同じく東條希です」

「2年生の南ことりです」

「初めまして。艦長の若林です。さあ、席にお座りください」

お互いの挨拶も終わり本題に入った

 

「この度は私たちの申し出に応じていただきありがとうございます」

「いえいえ私たちも」

 

艦長の立ち会いの元、当日の日程や準備期間の説明を受けた。

 

 

「いや~無事終わってよかった」

「まったくだ」

 

会議が終わった後、下層にある科員食堂の自販機で一息ついていた。

少しドタバタする日程ではあるが滞りなく終わった。

「それで悠斗・・・・ひとつ気になったのやが」

「どうした?」

「上手く言えないけど何か・・・気配を感じるんやが」

「やっぱり感じ取ったのか」

「やっぱりって確信していたの?」

「半信半疑だったけど」

 

一息ついて・・・・・・・・・

 

「艦魂って知っているか?」

みんなは一斉に首を降り始めた。

「いいえ。知らないわ」

「これは昔から船乗り達から受け継がれている、所謂フネの妖精とも言うべきものかな」

 

「フネの妖精?」

「解釈は多種多様で一概には言えないけど、一言で言ったらフネの化身若しくは分身と言うべきかな」

「希は霊感とか強いと思って試しに連れてみたけど、まさか本当にいたとは・・・・」

流石日本と言うべきかな。

 

「ちょっとそれって体のいい実験やない!?」

「そうとも言う」

「それしか言わない」

こいつには俺の好奇心が勝ってしまった。

希には申し訳ないことをしたが、いつもやられていることだし。

 

 

 

「それじゃ、会場となる飛行甲板見に行こっか」

軽く抗議をかわした後に父さんの提案で飛行甲板見に行くことになった。

「凄く広い!」

 

展示用の航空機数機を除いて後は格納庫や航空基地に入れていた。

「けどこうして蒼龍の飛行甲板に踏み入れるなんて思ってもいなかった」

「全くだ」

 

しばらく飛行甲板をウロウロしていたら不意にことりが真ん中に足を運び、そのまま立ち止まった。

 

「どうしたことり?」

 

「おじさん逹はいつもここで訓練をしているの?」

「ああ」

昔から空母の訓練は類を見ないほど厳しいと言われている。軍艦の花形であるイージス艦で厳しい訓練を受けている隊員ですら空母の訓練をキチ○×と言わしめるほどトチ狂ってるらしい。

 

 

「僕はこう見えても艦載機のパイロット経験者でね」

父さんは潜水艦乗りだけでなく戦闘機も取り扱え、特殊部隊顔負けの戦闘センスも持っている。

「乗り始めた頃は二刀流・・・艦艇操艦とパイロットの二つを目指して意気込んでいたけどやっぱり上手く行かなくてね20年前のスクランブル発進を最後にライセンスを返納した訳さ」

初めて聞く父さんの経歴にみんなは耳を傾けた。

「どんな感じだったの」

「こういっちゃ何なんだけど・・・・・・・・ある意味自由だったよ」

 

「ある意味?」

「軍人である以上指揮官の命令は絶対だけど飛んでいるときは自由だった」

父さん曰く、冷戦終結とソ連崩壊のどさくさ紛れにユニオンが東シナ海の制空権を巡って小競り合いが起こった

その時にスクランブル発進して一度空に上がればそこには上司も部下も、上座も下座もなかった。お互いの技量を持って制空権を争っていた。皮肉にもあの時が一番自由であったらしい。

 

「全部が全部難しく考える必要もないのさ。時には自分が思うがままに・・・自由にやって見るものだよ!そうしたらまた違った見え方する」

 

「・・・・・自由に」

 

 

 

父さんの一言で吹っ切れたのか制作は順調に進み、そしてサマーフェスタ当日、天気は快晴で多くの人で賑わった。

開会式、音楽隊による演奏も終わり、次に俺たちの番だ。

 

「ふぇえ~いろんなグループが来ているね」

「今話題のスクールアイドルだけでなくバンド、ダンサーありとあらゆるアーティストを選択したからな」

俺たちは今艦首側の格納庫に設置された控え室にいた。

今回の広報で控え室用と広報用に格納庫の艦首側と艦尾側をシャッターで締め切った構造になっている。

「ことり大丈夫か?」

「うん!大丈夫だよ」

白を基調としたボックススカートのアイドルらしい衣装。

衣装に関しては特に制限とか設けておらず中にはかっこよさ重視も見受けられた。

 

 

「ありがとう悠にい」

「俺は何にもしていないさ」

本当今回は何にも手助けはしていないさ。自分で気がついて自分で進んだ結果さ。

「それでもありがとう」

 

μ`sの番になりエレベーターで飛行甲板に上がっていった。

俺は控え室に設置されているモニターで会場の様子を見た。

 

 

「それでは聞いてくださいWonderful Rush」




長らくお待たせして申し訳ございませんでした 


今回は少しエス○ンと艦×れ要素を含んで見ました。


今後は仕事の関係で完全に不定期なってします。
大変申し訳ございません。

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