「はぁ・・・・やっと出れた」
あの後取り調べ室につれていかれ調書を受けたがそれは一方的に俺が悪と決め付けて全然聞く耳持たなかった。
父さんに連絡を取ってすぐにアルテールス国大使館に連絡して、秋葉原警察署に苦情の連絡をしてくれた。案の定このこと知った署長の耳に入って俺をすぐに開放して謝罪してくれた。あまりにも腹の虫がおさまらなかったので帰り際にそのおっさんに1発殴ってから所轄署を出た。本来それで暴行罪および公務執行妨害で逮捕できたが、いざ逮捕して裁判になったらこの誤認逮捕が明るみでて警察の信用がガタ落ちになるどころか外交問題にもつながりかねない案件なので何もしなかった。
「・・・・・・とりあえず荷物置きにいこっか」
いつまでも愚痴言っても何も始まらないので予定よりずれたが、俺が今日(本来なら昨日の筈が)から住む予定のマンションは駅から10分圏にある。
父さんの友人が所有する部屋なのだが急遽海外に行かなくてはならず、それならぜひ息子に貸してくれっといったら快く引き入れてくれた。
「今日からこの部屋で新しい生活か」
事前に父さんの友人からから貰っていた部屋の鍵を開けるとアルテールスから送った荷物が来ている。
書類の手続きや荷物の搬入とかはその友人がやってくていた。
「さて!一著やるか!」
俺は段ボール箱に詰め込まれている荷物の整理を始めた。
・・・
・・・・・・
「・・・よし大体は終わったな」
何とか夜のうちに家具やベットを並べ終えることが出来た。
机とかは向こうで使っていたものを持ってきてテレビやパソコンとかの家電は流石に規格外だったのでここで買うことにした。掃除が終わって一旦シャワーを簡単に浴びた。
「久しぶりにあそこに行くか」
ジャケットを羽織ってある場所に出かけた。
ー千代田区神田町ー
「ここに来るもの久しぶりだな」
俺が今住んでいるマンションから徒歩20分ぐらいの所にある母さんの実家でもある神田町を訪れた。
元々俺は神田生まれの神田育ちで父さんが士官だったため単身赴任で全国の基地や艦艇を転々としていたので、アルテールスにわたる前は母さんの実家に住んでいた。
ここに来るもの実に6年ぶりになるけど、あまり街並みは変わっていないが・・・・いやところどころ道路の塗装とか新しくなっている。
こういうのを見ると年食ったなぁ・・・・・・と思う自分がおる。
甘味所『穂むら』
母親の実家であり幼馴染みの家でもある。名前のとおり和菓子屋で昭和初期から続く和菓子店で千代田区から歴史重要物件指定を受けている。
「いらっしゃ・・・!?お、お義兄さん!!」
「ご無沙汰しております。希衣さん。悠斗です」
「ゆ・・・うとくん!?」
「ええ悠介と麻衣の息子で穂乃果達の兄貴分の悠斗です」
母さんの妹であり、幼馴染の母や親でもある高坂希衣さん。
もう2人の娘を持っている筈なのに若々しい
「悠斗くん!久しぶりね!!」
「はい、昨日戻ってまいりました」
「お母さん―どうしたの?」
2階の方から階段を下りてきている音が聞こえ、奥の方から赤髪のかかった茶髪の女の子が出てきた。
「ほ・・・のかと思ったら雪穂か?ずいぶんかわいいくなったな」
「え!?」
「雪穂どうし・・・・・痛ったーい!!」
更にオレンジ色の髪をサイドテールで結んでいる女の子が出てきたが・・・
躓いて壁に激突。
・・・・・あれは痛そう
「お転婆なのは全然変わっていないな穂乃果!!」
「う・・・そ!?ゆうにい!!」
「そうだよ。みんなの兄貴分の悠斗だよ」
穂乃果は幼馴染の中でも行動的でみんな中心にいる明るく太陽な子・・・・・・なのだが時々突飛つな行動でみんなを振り回すことがあったが一度も悔いを味わったことがないのが不思議!
・・・・・・・・・・俺が尻拭いをしていたのは別だが・・・・・・
穂乃果の妹の雪穂。
破天荒な姉を見てきたのか小さい頃からしっかり者な性格・・・・・だけど変なところで姉に似ているところもあるんだよな。
「悠にい!いつ戻ってきたの!?」
「昨日だ。ちょっとトラブルがあって今日になった」
2人とも美少女といえるほど成長してお兄さんうれしい」
「「///////」」
「あら?大胆ね♪」
大胆?
「二人ともどうした?顔を真っ赤にして?」
「その・・・ゆ、悠にいの心の声がもれていたよ///」
・・・・・え!?
「わ、私や雪穂のことを・・・その・・・び、美少女って///」
し、しまった!!!!!
俺としたことは一緒の不覚
「ち、ちなみにおじさんはいらっしゃいますか?」
「あの人は今町内会の会合に出かけていて不在よ」
よかった!!
穂乃果達のお父さんである高坂大悟郎はこれまたうちの父さんと同じぐらいの親馬鹿で娘に不埒なまねをする人は一切容赦しない人だから。
俺も昔穂乃果と雪穂をつれて泥まみれになるまで遊んでいたら殴られたからな。
あれは俺も悪いけど。
更に困ったのがそのことで駆けつけた父さんと大喧嘩に発展して一時大修羅場になった。
最終的にはそれぞれの奥方様によって制裁されて沈静化した。
今でも思い出すと鳥肌モノのトラウマレベルだからな。
とりあえず俺は居間の方にお邪魔していた。
「う~ん!!この味久しぶり」
お団子とほうじ茶を頬張ってを希衣さんを待っていた。
「それにしてもびっくりしましたよ。この6年間一切連絡がないと思ったら突然帰ってきて」
「ごめんよ」
当時、携帯なんて持っていなかったし手紙を書こうと思ったけどいつの間にか愚痴になっていたから出さずにそのまま無かったものとした。
「それにしても悠にい昔より大人っぽくなっているね」
「そうですね。昔から年上として引っ張ってくれていましたが今はなんとなく」
「うんうん」
自分でも思わないのだが美少女に進化を遂げたいとこの猛攻から思わず顔をそらしてしまった。
「あ、悠にいが照れている♪」
「う、ウルセ///兄をからかうんじゃありません///」
今、俺の顔は絶対に真っ赤だ。
「でも・・・こうして話をしていると昔を思い出すな・・・・」
「そうだな・・・」
昔の記憶を頼りながら思い出していく。
穂乃果は元気な笑顔でみんなを引っ張っているが時々破天荒な行動でよく真面目な海未と言い争ってことりは温厚な性格なため、しょっちゅう喧嘩する2人の仲介役をして、俺はみんなの起こした(主に穂乃果)尻拭いをした。
「それで悠にいはこれからどうするの?」
「とりあえず父さんが用意したマンションに暮らして近くの高校に転入する予定」
「え!?どこどこ!!」
「はははっ、俺の知り合いが学生時代に通っていた高校で」
音ノ木坂のテスト生のことは黙っておこう
何故かって?
楽しいからだろう(カメラ目線)
「さて・・・・そろそろお暇するよ」
「え~もう少しゆっくりしていったら?」
うん、俺ももう少しゆっくりしていきたいのだが・・・
「この後横須賀に行って・・・・・母さん墓参りしようと思って」
「そうだよね・・・ごめんね悠にい」
いつも容赦なくズゲズゲと踏み込んできる穂乃果だけど触れちゃいけない領域には決して踏み込まない。
それも天然で・・・
「あ!!ちょっと待ってて!!」
何か思い出したかのように居間から出て行った。
そして直ぐに戻って来た。
「はい!」
「これは?」
「お供え物よ。おばさんによろしくお願いって言っといて」
そう言って穂乃果が差し出したのは6個入りの手のひらサイズのお饅頭、穂むらの人気商品の『穂むらまんじゅう』を渡してくれた
「ありがとう」
お礼言って出る準備をしていたときあることを思い出した。
「そういえば他の2人は元気にしている?」
「海未ちゃんとことりちゃん?うん!2人とも元気にしているよ!」
「そっか」
どうやら他の幼馴染たちも元気に過ごしているようで安心した。
「あいつらに近々会いに行くこと伝えてくれ」
「いえっさー!」
本当は明日にでも会えるけどいきなり驚かすのも悪くは無い!
少々ゲスな事を考えつつも穂乃果に見送られながら穂むらを後にし、近くの駅から電車に乗った。
電車で考えていたのはまだ会っていない2人の幼馴染の事だ。
「こんなに楽しみと思ったのはいつ以来だろう」
あの穂乃果ですら美少女に進化を遂げたのだ(・・・・・・性格は何も変わっていないが)
海未やことりはどんな風に成長しているか明日が待ち通しい。
1時間15分かけて横須賀駅に着いた。
そこからさらにバスに乗り継ぎ20分先のバス停に降りた。
この石段階段を登った先に見晴らしが良い高台がある。その高台ある墓地の一角にまだ真新しい墓石を前に俺は手を合わせて心の中でただいまと呟いた。墓石には朝霧家乃墓・・・・つまり俺の母親である「朝霧穂佳」が眠っている。
手入れは希衣さんが定期的にしてくれたおかげでそれほど荒れてなかった。
母さんは子供の頃に病気を患って、それを治してくれた医師に感化し皇都大学医学部に入学。後に主席で卒業した優秀な外科医だけど大学の醜い権力争いに愛想を付かして野にくだりフリーランスとして活動していた。
父さんと出会ったのは赤十字の医者として亡国で医療活動していた時、海軍陸戦隊を指揮していた父さんと出会って惚れて帰国後結婚した。
この時に後輩夫婦に誘われて地域医療に徹し、患者目線の二人三脚医療を目的とした病院を作り、そこの外科部長を務めたが、ここでかなり無茶した影響で昔煩った病気が再発してしまった。
そして治療の甲斐もなく11歳の時に俺と父さんに見守れながら亡くなった。
「・・・・さてそろそろ行くか」
再び、バスと電車に乗り継いで秋葉原に再び戻った。
マンションには一切の電化製品がおいていなかったのでここ秋葉原で買い物をした。
電気街のアキバとも言われることもあって見つかるわ見つかるわ。
テレビ、レコーダ、パソコン、タブレット・・・・日常生活に必要と思われるものをまとめて購入した。
お金の心配?
それは無問題!
なぜなら修行の一環であるアルテールス軍の一部隊に放り込まれたからそれなりの貯蓄はある。それにやばかったらバイトでもはじめたらいいし。
「さて、こんなものか」
手で持って帰れるパソコンとタブレット以外は全部輸送してもらった。
流石に一人じゃ持って帰れないし。
「何か前見たときよりアイドルショップが増えている気がする」
オタクの街だから何も不思議とは思っていなかったがよくよく見るとアイドル系ショップが乱立していた。
その内のひとつの店に入るとある一角にスクールアイドルコーナーが設けられていた。
「スクールアイドル?」
外国人観光客用に英文の説明書きが置かれていたので読んでみると・・・・
「なるほどね」
どうやら世間一般的にいわゆる普通の芸能プロダクション所属のアイドルとは違い、一般学生で構成されたアイドルの事。つまり芸能人ではなく、ご当地アイドルに近いものみたいだ。
数年前から細々と存在していたが2011年に民社党の連立政権が崩壊した余韻ともいえる政権内・マスコミと芸の事務所との間にあった枕営業事件で芸能界マスコミ界が崩壊してしまった。
その後にある女子高生グループが動画投稿サイトにパフォーマンス動画を公開。公開を機に徐々に人気が高まりほかの学生も乗り出して一気に全国にスクールアイドルが広まった。
「へえ・・・・こんなことになっていたのか」
とても興味深い。
現に店のモニターに流れているアイドルもスクールアイドルで、そのパフォーマンスのキレもかつての本職とも差異はないように思える。
今は前政権の所業で殆どの芸能事務所が廃業に追い込まれ現在活動中なのは当時フリーで活動していた人か地下アイドルぐらいしか残っていない。
そう言った時代背景があったのかスクールアイドルブームは爆発的に高まった。
しかしそれほど遠くは感じない
スクールアイドルとはいえ本職のアイドルとは違い早退や時間外で授業を受けるわけではなく、同じ学校に通い同じように授業を受けて、それが身近に感じるかもしれない。
「面白い世の中になったものだ」
試しにCDとライブBD、雑誌を買ってマンションに戻った。
さて出てきました穂乃果ちゃん!
他の方々のの作品には兄が多かったのですが私はいとこにしてみました。
穂乃果の両親の名前は完全オリジナルで少し悩みました。
ここで主人公のプロフィールを載せます。
朝霧悠斗
身長:176
血液型:A
幼い頃より幕末から続く朝霧流剣術を学んでいるので身体能力は高い。父親は海軍士官の朝霧悠介、母親は外科医の朝霧(旧姓高坂)穂佳(故人)。穂乃果達とは1歳違いの幼馴染で3人の兄貴分。強面で精悍な顔つきだが本質は優しく困っている人を放っておけない性格。剣士として更なる高波に近づくためアルテールスで父のいとこである御神咲夜の元で6年間修行してきた。