ラブライブ 未来へ受け継ぐ奇跡の物語   作:杉並3世

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14雨上がり

相変わらず雨が続いてうっとしい日々が続いていた。

 

HRが始まるまで絵里と他愛のない話をしていた。

といっても話題は基本μ`s関係だけど

「最近はどんな感じ?」

「いい感じだよ一年生3人も入てくれてパフォーマンスの幅も広がって」

「3人・・・・ということは」

俺と絵里の会話を聞いていた希が間に入ってきた。

「俺含めて7人そろったから部活申請を申請するよ」

「でも、7人になったのは3週間前よね?どうして申請しなかったの?」

「・・・・・・・・忘れていたらしい」

ズコッ

「あはははっ・・・・ハ、ハラショー」

我が従妹ならいったい誰に似たのやら

 

「だけどごめんなさい申請できない理由があるの」

 

「なんで!?」

「実はこの学校に既にアイドル研究部が存在するの」

「アイドル研究部が」

「まあ~今現在の部員は一人だけど、生徒が限られている中で悪戯に部を増やすなとこの間釘を刺されて」

絵里は誰とは言わなかったが、おおよその検討は付く。

「だったらこの話を終わらせないためにきちんとアイドル研究部と話をつけに行ってくる」

「部室は一階にあるから」

「ところで絵里・・・どうしてアイドル研究部の話を始めにしなかった?」

この2人には言葉で言い表せないほど世話になっている

だけどこの件に関して意図的に隠している部分がある。

 

「ごめん・・・これは私からいう訳にはいかなくて」

 

 

「・・・ま、理由があるなら仕方がない。忘れてくれ」

 

 

俺はこの案件を直ぐに昼休みにアイドル研究部に行こうと内容でメールを送った。

 

そして昼休みになって全員集まったところで一階のアイドル研究部に向かった。

 

「あ~!?」

「げ!!」

 

まさかここでばったり会うとは思っていなかった襲撃者(仮)

同じ学校の生徒というのはわかっていたけどリボンの色から3年生でまさか同級生とは思わなかった。

しかもアイドル研究部に向かう姿から関係者というのも想定外だ。

「うにゃぁぁぁ!!」

警戒した猫のように唸り、腕をぶんぶん振り回して、怯んだすきに部室に入って鍵を閉めた。

 

「部長さん開けてください!!」

「おい!誰かヘアピンか何か持っていないか!?」

 

「わ、私持っていますが・・・いったいどうするのですか?」

「見とれ」

花陽から借りた2本のヘアピンを伸ばし、それを鍵穴に突っ込んだ。

所謂ピッキングってやつだ。

以前講習の一環でアナログからデジタル式のカギまで開けされたことがあった。

まさかこんなところで役に立つとは思いもしなかった。

 

「よし!開いた!!」

俺がドアを開けたころには既に窓から逃げた後で部室の中は人っ子一人もいなかった。

「みんなはここに残ってくれ。凛!行くぞ!!」

「了解にゃ!」

μ`sの中で最速ツートップの俺たちから逃げられるなんて思うなよ。

 

研修の一環である警察教官が言っていた言葉がある

『地球は・・・丸いのだ』

つまりどれだけ逃げようが死ぬ気になって地の果てまで追ってでも捕まえて来いという意味だ。

そんな教官から訓練受けたのだ!地獄の底まで追っかけてやる!!

 

 

 

 

 

~数分後~

 

「凄いA-RISEのポスターだ」

「こっちには京都のスクールアイドルのポスターがあるよ」

あの後アルパカ小屋で気絶していたアイドル研究部部長さんを確保し、改めて部室に入って明かりをつけると目に入ったのは部屋中に並べられていたアイドルグッズの数々だ。

ここまでいろんなものがそろっていると壮観だな。

 

 

「勝手に見ないでくれる?」

不貞腐れた顔で言っているけどどことなく顔が赤い。

 

 

 

「こ、これは!!で、伝説のアイドル伝説DVD全巻ボックス!持っている人初めて見ました」

「そ、そう」

花陽は今まで見たことのないほど目を輝かせていた。

 

・・・・・何だろうこのパターンってやな予感しかしないのは

「これってそんなに凄いの?」

「伝説のアイドル伝説とは各プロダクションや事務所、学校などが限定生産を条件に歩み寄り、古今東西の素晴らしいと思われるアイドルを集めたDVDボックスで・・・・・以下略・・・・・・・」

いつもの気弱なで引っ込み思案な花陽ちゃんが一転して凄いマシンガントークて行っているが正直ついてこられない。

 

やっぱり嫌な予感は当たった。

 

周りにいる人らも花陽ちゃんのテンションに唖然としていた。

 

何!?この子もアイドルになるとスイッチ入る系!?

「通販、店頭ともに瞬殺だったけど2セットも持っているなんて」

「家にもう一セットあるけど」

「本当ですか!!」

部長の一言に更にヒートアップした花陽ちゃん

おい!誰か止めてくれ!!

あんなに気弱だけど天使だった花陽ちゃんはどこに行った!!

 

「じゃあみんなで見ましょう!!」

「ダメよそれは保存用」

「きゃぴ――――!!」

部長の止めの一言に撃沈し、ようやく落ち着いた。

この子・・・・・アイドルの事になる時のテンションの落差が激しすぎる。

取りあえず花陽ちゃんの慰めは凛ちゃんたちに任せるとして・・・

「改めましてアイドル研究部さん!」

 

「にこよ、矢澤にこ」

「初めまして矢澤さん。私はスクールアイドルµ`sのマネージャーの朝霧悠斗です」

「知っている。テスト生でよく話題になっているわ。大体は希からある程度話は聞いている」

既に希から話は言っているみたいだけど、それじゃ生徒会室を出たあの顔の理由が分からない。

 

「でしたら」

「お断りよ」

やっぱりね。

この間の言動からそうじゃないかと予想していたけ

 

 

 

「そもそもあんた達・・・・・ちゃんとキャラ作りしている?」

「キャラ作り?」

「そうよ!お客さんがアイドルに求めているのは楽しい夢の時間でしょ!!だったらそれにふさわしいキャラってものがあるのよ」

 

確かに矢澤さんの言う事に一理ある。

アイドルはいついかなる時にも最高のパフォーマンスをしなければならない。

キャラ作りというか・・・スイッチの切り替えというべきかな。

 

「・・・ったくしょうがないわね。私が一例を見せるわ」

あの~矢澤さん俺たち何も言っていないのですが。

 

 

こいつも嫌な予感しかししない!

 

 

 

「にっこにっこにー!あなたのハートににこにこにー!笑顔届ける矢澤にこにこー!にこにーって呼んでラブにこ!!」

 

 

 

 

これはどういうリアクション起こせばいいのだ?

 

確実に大気にヒビが入って梅雨でじめじめしていた部室が一気に氷点下まで下がった。

 

矢澤さんの言うキャラ作りには理解できる。

実際、さっきまで貶していてズキズキした空気が変わったのが分かる。

 

理解で来るけど・・・・・

 

「どう思う?」

もはや俺の理解の範疇を超えたため同性である穂乃果たちに意見を請うてみたが・・・・みんな俺と同じ顔をしていたので期待は出来なさそう

「これはキャラというより・・・・・」

「私は無理」

戸惑うことり、完全に呆れる真姫。

「フムフム」

「ちょっと寒くないかにゃ~?」

真剣にメモを取る花陽と矢澤さんにプラスチック爆弾発言した凛。

 

って!!凛今の発言は不味いだろう!!

 

「ちょっとそこのあんた!!今寒いと言った!?」

ほら~完全に爆発したじゃないか!

 

「とにかく話はもう終わりよ!出て行って!!」

有無を言わさず全員まとめて部室の外に締め出された。

 

 

「やっぱり追い出されたみたいやね」

「希・・・・」

「やっぱりってどういう事ですか?」

希はここでは言いにくそうだな。

「ちょっと河岸を変えよう」

「ええで」

「みんなは先に帰っといて」

「分かりました」

この話ちょっと長丁場になりそうなさかい。

 

「失礼します」

「希!どこに行って・・・悠斗!?どうしたの」

「・・・・・・・2人に質問したいのだけど矢澤さんに一体何かあった?」

「実はにこっち・・・・一年生の時にスクールアイドルを結成していたんや」

「矢澤さんが!?」

「今はもうやっていないけど」

 

確かにあの部室には俺たちを覗いて矢澤さんしかいない。

「一体何があった」

「1年生の頃、同じ思いでスクールアイドルを結成したのに、アイドルとしても目標が高すぎて一人止めていき・・・・そして一人もやめて・・・・・気が付いたら自分一人になっても諦め・・・・」

 

「ふざけるな!!」

希が言い切る前にブチ切れた。

「そいつらどこのクラスだ!!俺が社会の辛さを教えに行ってくるさかい!!」

目標が高かったからついてこれなかった!?

 

「落ち着いて悠斗!!」

「これが落ち着いていられるか!!」

どんだけの甘ちゃんなんだそいつら!!

本当の理不尽という名の地獄を教え込んでやる!!

 

「落ち着いて!!」

絵里に思いっきり肩を掴まれる形でようやく頭が冷えた。

「・・・・・・済まなかった」

「ええよ」

「そのこともあって悠斗には言えなかったの」

 

確かにこれはおいそれと言えるモノじゃない。

 

あまりにも彼女の心の傷が深い。

 

「だから、あの子たちが羨ましかったのとちゃうんかな?」

歌やダンスにケチをつけるのは興味がある裏返しだ。

 

「なかなか難しいね」

あの子の希望が高すぎるがゆえに孤立してしまった

「昔、にこっちから聞いたことがあるのやけど」

 

「アイドルは笑顔を見せるのが仕事じゃない!お客さんを笑顔にさせるたって言ってね」

「・・・・・負けたな」

そこまでの理論まで思いつかなかった。

「一年の頃からずっと見ていたからね」

 

絵里たちに迷惑かけた詫びとして自販機で飲み物を奢った後急いで店に向かった。

 

また外には大ぶりの雨が降っていてそれが心に沁みてくる。

 

「みんなお待たせ」

「悠にいどうでしたか?」

 

 

「うん・・・ああ」

「あまりハッキリしないのね」

「・・・・・分かったありのまま話す」

 

希から聞いた話を何にも骨張することなく話した。

 

 

「・・・・そんなことがあったのですか」

「ああ。俺も聞いて言葉を失ったよ」

ここまで精神的にキタのは久しぶりだな。

 

「なかなか難しそうですねにこ先輩」

「そうだな。あいつ自身の理想が高くて、今の俺たちでは到底納得できるレベルではない」

 

「そうかな?にこ先輩はアイドル好きなんでしょう!それでアイドルにあこがれて私たちにも興味をもっているよね?」

「まあ・・・いちゃもんをつけているという事は興味あるの裏返しだからな」

「それって、ほんのちょっと何かあれば上手くいきそうな予感がするんだけど」

 

「でも声をかけたら逃げそうですし」

 

「お!?」

「何か思いついたの!?」

「逃げるのならその状況を作らないようにすればいいんだよ!」

海未の一言で妙案が浮かんだ。

 

「でも具体的には?」

 

「それは」

 

 

「強行だ!!」

 

急いで頭に浮かんだ作戦をまとめそれぞれにメールで送った。

 

 

 

翌日昨日と同じピッキングでアイドル研究部の中に入って準備を始めていた。

もう俺のピッキングについて誰も突っ込まなくなってしまった。

 

・・・・・・色々と不味いな!

 

「よし!後は昨日メールで知らせた通りの手はずで頼む」

「「「「「はい!」」」」」

「何だかウキウキしているのは気のせいかしら?」

俺も気のせいと思いたいのだが真姫から冷たい目線で見ているのを。

「冷たいこと言うなよ真姫!こういう作戦ていうのは漢のロマンなんだよ!」

「イミワカンナイ」

 

意味分からないとか言うなよ!!

 

っと無駄口たたいている間に廊下から一人でこっちに歩いてくる人の気配がする。

 

もうそろそろだな!

 

「「「「「「「お疲れ様でーす!」」」」」」」

 

「な!?」

何でいるのよ!?みたいな顔をしているな!

良し!第一段階成功

 

「お茶です、部長」

「部長!?」

驚いている顔を無視して次々に案件を持ってこさせた。

 

「部長、下半期の予算表になります!」

「ところで部長、次の曲の相談したいのですが・・・」

「やはり次は正統派アイドルを意識した方がいいのかなと思います」

 

 

「こんなので押し切れると思っているの?」

 

「何を勘違いしているか分からないが私たちはただ単に相談しているだけです。音ノ木坂アイドル研究部所属のμ`sの7人が歌う次の曲を」

 

 

「7人・・・・・」

「にこ先輩!」

 

「・・・・・・・厳しいわよ」

「分かっています」

 

「分かっていない!!あんたたちは甘々なの!そこのあんたもマネージャーならもっと勉強しなさい!!全然なっていないわ!!」

 

俺を含めて全員を辛口評価で指をさした。

 

「いい?アイドルっていうのは笑顔を見せる仕事じゃない!笑顔にさせる仕事なの!それをよ―――――く自覚しなさい!」

 

 

「お!?みんな!雨がやんでいるぞ!!」

外を見ると土砂降りだった雨がいつの間にか止んでいた

「それじゃ屋上で練習よ!アイドルの何とやらを叩き込んであげるわ」

「「「「「「はい!」」」」」」

6人は屋上に向かったがにこが棚を探って机の上に大量のテキストを置かれた

「それとあんたには私たちが練習している間にコレを読んでおくこと。いいね!!」

 

にこが部室を出るときに止まった。

「そ、それと・・・・こ、この間は悪かったね」

「うん?ナンノコト?」

思いっきりとぼけた様に行ってみた。

正直あの時の出来事はもうなかったことにした。結果的に危害が受けたのは俺だけだし・・・今後の事を考えるともはや些細な事だ。

「え?」

「別にあの時何にもけがを受けてないし皆もけがを負っていなかった・・・違った?」

「あ、ありがとう///」

 

別に礼を言われる筋合いがないのだが。

 

 

この資料は本当によくできているな!

 

矢澤・・・にこの独自のアイドル理論からアイドルの歴史・・・そしてそれぞれのライブの所感。今の俺に必要な情報が全部入っていた。

 

 

部室におっても屋上で彼女たちの練習声がよく聞こえる。

窓を覗くとまるで俺たちを祝福してくれるように雲の隙間から太陽が照らされてきた。




いかがでしたか?

既にストックはありますので暫くはこのペースで投稿出来ます。

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