ラブライブ 未来へ受け継ぐ奇跡の物語   作:杉並3世

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おはようございます?

最近晩酌でビールではなくスコッチ・ウィスキーにハマっている杉並です。


まきりんぱな後半です。

ではどうぞ!!


12決意

西木野さんの家を出て俺たちは住宅街を歩いていた。

時間は19時を越えていて周りは薄暗くなって街灯がの明かりがついていた。

 

「みんな・・・・・色々あるのだなと思いまして」

 

しばらく歩いていたとき小泉さんが何気なく呟いた。

 

「誰も悩みのない人間なんていやしないのさ」

俺もずいぶん悩みながら歩いてきた。

 

 

「あ、あの・・・・朝霧さん」

「どうした?」

「少し相談事が」

「いいよ。ただ、立ち話もなんだし近くの喫茶店・・・そうだ!この近くに美味しい和菓子屋があるってそこでもいい?」

「和菓子屋ですか?」

「俺の実家でこの辺じゃあ有名でね」

「はい。ありがとうございます」

ついでに紀衣さんに母さんの遺品を見させないとな。

 

 

『穂むら』に着いた俺達は暖簾をくぐって店に入った。

いつもは裏の玄関から入っているからちょっと新鮮な気分だ。

店に入ると割烹着姿の穂乃果が店番していた。

 

「おっ!?珍しく穂乃果が店の手伝いか・・・・・明日は槍が降るかな?」

「ちょっと酷いよ~!!私だって店の手伝いを」

だってそんなこといたって小学生の頃あんな作文を書いたのだよ!

未だに信じられない気持ちなのだが。

 

「あ!花陽ちゃんもいらっしゃい!!」

「は、はい・・・・おじゃまします」

恥ずかしがって俺の後ろに隠れてしまった。

 

「それで今日はどうしたの?」

「この子がスクールアイドルについて相談事があってな。部屋借りてもいいか?」

「いいよ。私ももうすぐ店番が終わるから先に上がっといて」

俺達は裏口に向かった。

 

「なんだかずいぶん慣れていますよね」

「まあな。小学校卒業するまではここに住んでいたからな」

「そうなのですが!」

そりゃ驚くよな。

「俺の父さんが海軍士官でね。常に全国の基地や艦艇を転々していたからここに住んでいたのさ」

「と言うことは親子二代で?」

「俺のじいさんそのまたじいさんも海軍士官だったよ」

「軍人家系なのですね」

確かによくよく考えて見るとよく今日まで血統が残っていたよな

 

2階に上がって、穂乃果の部屋を開けると・・・・・

「みんな!ありがと~!!」

そこにはありとあらゆる束縛・しがらみから解放された最高の笑顔でポージングを決めていた海未がいた

 

その姿に俺は言葉では言い表せないような恐怖が全身を駆け巡った。

 

危険だ!

 

剣士である俺の五感がそう告げている。

 

 

おそらく小泉さんも同じモノを片鱗味わったはずだ

 

その証拠に隣を見ると小泉さんがガタガタと小動物のように震えている。

「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」

俺はそ~と扉を閉めて下に降りた。

「小泉さん」

「は、はい」

「俺たちは何にも見ていない・・・見なかった事にしょう」

「あれ2人ともどうしたの?」

店番を終えたのか割烹着を脱いで普段着になっていた。

「・・・・・・・別に何にもなかったな小泉さん」

「・・・・・・・はい」

そう

俺達は何も見ていなかった。

 

そう思った矢先。

 

階段を全力ダッシュで駆け下り、亡霊のような雰囲気を出している海未が降りてきた

「・・・・・・・・見ましたね」

怖ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえよ!!!

海未ちゃん怖いよ!!

「取りあえず落ち着こうよ海未。このまま行ったら誰も幸せにはならないぞ」

「・・・・・・・・何か言い残すことはありますか?」

 

だから怖いよ!!

髪で表情が見えていないが鬼神のオーラを纏っている上殺気が駄々漏れで小泉さんも怖がって震えを通り越して青ざめているぞ!

穂乃果も条件反射で俺の後ろで震えていた。

 

小泉さんを後ろの方に退避させた。

 

「ふう・・・・・海未よ」

「・・・・・・・・・何ですか?」

 

もうこの先の未来は既に視えていた。

 

だから俺は腹を括った。

 

「ラブアローシュートだっけ?今度のライブにそれを取り込んで・・・」

 

海未の何の迷いのない一撃が鳩尾ヒットし、意識がブラックアウトしてしまった。

 

こうなると想定して全神経を張り巡らせて警戒していたが予備動作が全くない一撃に撃沈した。

 

海未よ・・・・

 

どこでそんな技覚えたのだ。

 

穂乃果とは別の意味で海未の将来を案じながら沈んでいった俺である。

 

~5分後~

 

「まさか海未ちゃんがポージングの練習していたなんて」

「///////」

あの後、俺の首根っこをつかんで引きずりながら穂乃果の部屋に運んだあとぼろ雑巾のように放り投げようで身体全身に悲鳴が上がっていた。

 

そんでもって穂乃果はまるでなかったかのようにいたずらっ子よくするような笑みで顔を真っ赤にした海未を煽っていた。

 

ちょっとは俺を労わってくれよ。

 

唯一小泉さんだけだよ心配してくれたのは。

 

 

「お邪魔しま~す」

しばらくするうちにことりが部屋にやって来た。

「よ・・・・・う・・・・ことり」

「お、お邪魔しています」

「どうじたの悠にい?」

おおっ!!

こんなところにも天使がいたとは!

 

「いや、う・・・・「悠にい?」・・・・・いやなんでもない」

海未のドスの利いた声に敗北して俺自身、なかった事にした。

 

なんだか最近幼馴染に完全尻に引かれている気がする。

 

「く、苦労しているのですね」

おおっ、この子だけだよ今の癒しは。

そうだ!

 

ことりはとデュエットを組ませて見よう

 

ダメだな

 

ステージで披露した瞬間に俺を筆頭に大量の萌え死にする人が続出するし、そもそもまだ入ると決まったわけではないからしばらく封印だな

 

 

 

 

「ところで2人はどうして集まったの?」

まだ、体中にダメージは残っているが、そろそろ痛みに馴れて復活した。

 

・・・・・馴れた時点で色々失ってしまうがもう気にしないことにしよう。

 

「そうそう、帰りにちょっと気になったデータを見つけて急いで集まったの」

「帰りにって俺と別れた後で?」

「そうです。本当は悠にいにも相談したかったのですが用事があったという事で事後報告だったのですがちょうどよかったです」

 

パソコンの電源を立ち上げある動画サイトを開いてある1つの投稿動画を再生した

「これって!?」

そう、投稿されていたのは先日行ったμ`sファーストライブ映像が流れていた。

「いったい誰が?」

 

そう・・・

 

俺達ライブ関係者が撮った動画ではない。

 

本当は絵里が撮る予定だったのだけど、あの事件ですっかり頭から抜け落ちていて、気が付いたのは随分後の事になった。

「それにしても凄い再生回数ですね」

動画の再生カウント数には初投稿の割には結構な数字を刻んでいた。

 

「あぁ!!ここ上手くいったのね♪」

「でも、この辺のリズムがずれています」

「あう~やっぱり振り付け間違っていた」

 

こうして見ると色々不出来な部分が見られたけど、一生懸命な姿が映し出されていた

実際にコメント欄にも応援のメッセージが書き並べていた

 

もちろんこれで慢心してはいけないけど、むしろ自分たちの結果が現れていることから更にモチベーションが上がる。

 

画面に夢中で気付くのが遅れたけど小泉さんも真剣な表情で画面を見ていた。

 

「小泉さん!」

「は、はい!?」

「スクールアイドル、本気でやってみない?」

昼間勧誘した時とは違い、真剣な眼差しで小泉さんに問うてみた。

 

「え?・・・・・・・・・でも私・・・向いていないですから」

小泉さんはやんわりと断わりを入れるけど本心じゃないって直ぐに分かる。

 

目だ!

 

小泉さんの目にはやりたいって訴えている

 

だけど気弱なその性格が災いしてなかなか自分のやりたいことに一歩踏み出せれていない。

 

「私だって未だに人前に出るのは苦手です」

ポージングの練習していたのに?

 

「悠にい・・・・・何か不埒な考えしませんでした」

「気のせいだよ」

 

「ことりも歌詞忘れちゃうところもあるし、運動も苦手だし」

「私もすごくおっちょこちょいだよ」

こういう風に聞くとみんな必ず何かの欠点を抱えている

 

「プロのアイドルならきっと失格の烙印を押されるだろうが俺たちはスクールアイドルだ!やりたい気持ち!自分たちの目標をもってやってみることはできる」

周りがどう思うと輝いているのはキミたちだ!

キミ等が物語を作っていく。

 

そう・・・・

 

μ’sという名の物語を!

 

「最も練習は厳しいですが」

「さすが鬼軍曹殿・・・言うことは違いますね」

「あら?悠にい・・・もうひと眠りしますか?」

「はははっ・・・・・・・謹んでご遠慮します」

アルテールスにいたときは制裁キャラで名が通ていたのにこいつらといると被害キャラに成り下がった。

 

「ゆっくりでいいから答え聞かせて」

「はい」

穂乃果の言葉に頷いて、改めて時計を見ると20時に指しかかろうとしていた。

「おや、もうこんな時間ですか?」

「それじゃそろそろお暇するよ」

荷物をまとめ始めた。

「近くまで送るよ」

「そ、そんな・・・ご迷惑では」

「君にもしもの事があったら申し訳がないし・・・・それに最近は物騒だし、君みたいなかわいい子を一人で帰らすのは主義ではないのでね」

 

俺の余計な一言で場の空気が変わった。

 

「悠にい?」

「ゆうにい?ことりのおやつにしちゃいますよ?」

「悠にい?少し話がありますが・・・・」

 

前に一回だけ小泉さん達としゃべっている所を偶然見つかって

 

幼馴染の3人の目のハイライトが消えて、さっきの海未と同じ・・・・いや、それ以上の3人分のプレッシャーが襲い掛かった。

 

 

ここで選択肢を間違えると恐らく明日の日を拝めることはないだろう。

 

これは予感ではなく確信だ。

 

 

 

俺のとった行動は・・・・・

 

 

 

 

 

「それじゃ、去らばだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

小泉さんの手をとってこの場からの戦略的撤退。

 

そう、今の俺にできるのはそれしか出来ない。

 

決して逃げたわけではない!

 

もし・・・あのまま残っていたらって考えるだけでもおぞましい!

 

 

 

 

「・・・・よしここまで来たら大丈夫だろう」

ひたすら全力ダッシュで走り秋葉原の近くまで来ていた。

 

しかし、久々に危機を感じたな。

 

特にことり、君のが一番怖い!

 

 

何!?ことりのおやつって!?

 

その一言で撤退を決意するほどのおぞましさを感じ取ったぞ

 

「あ・・・あの///お、降ろしていただけないでしょうか?」

「・・・・・あ」

つい、小泉さんを所謂お姫様抱っこで出て行った。

 

まだ人が少ない夜だったのが不幸中の幸い、これがまた希の耳に入ったら当分おもちゃにされているだろう。

 

「朝霧さんはどうして先輩たちの協力をしているのですか?」

「そうだな・・・・・・」

 

「簡単に言うと、あいつらの行き着く先見てみたい・・・からかな」

「行き着く・・・先ですか」

「俺の父さんや爺さんの口癖でね。分野は一切問わず将来日本を背負っていく若者たちが道を歩み、どこへ向かっていくのかを楽しんでいる」

幕末の動乱から始まった戦闘一族朝霧

 

常に時代の片隅に生き、きれいごとではない戦場を駆け巡った。

 

例え罵られようとも血道を歩もうと子供や孫達が平和で自分の夢を歩める時代を築き上げるために、数多の戦場を駆け巡った。俺のご先祖様が常に思っていたのは次の世代の事だった。

 

 

善し悪しは兎も角、今も様々な出来事を歩み続けた結果、スクールアイドルが生まれた。

 

 

「それより小泉さんはスクールアイドルに興味あるの?」

玲次さんの話によるとアイドルに並々ならぬ情熱を持つと聞く

「正直言って怖いです」

「怖い?」

「私、才能何て有りませんから。もし失敗したらと思うとどうしても・・・」

「ま、俺もそういう時もあったよ」

「朝霧さんもですか?」

「俺も昔・・・自分の才能の無さに嘆いて色々無理や無茶もやった」

才能は有限分しかない。

 

だから勝つために色々無茶やったり命を軽んじたりしていた。

 

「でもな小泉さん・・・・・・自分の事才能ないなんて言うんじゃない。そんな人は全世界探してもほんの一握りしかいない!そうやって自分を蔑むのを止めてくれ」

「・・・・ごめんなさい」

 

 

「でもね・・・完璧じゃなくてもいいんだよ」

「え?」

突然の回答に小泉さんは目を丸くした。

 

「あいつらも見ただろう?全員何らかの欠点を抱えている。別に才能なくてもいいんだよ。自分のやりたいようにやる。そして足りない所はお互いにカバーしあう。それでいいんだよ」

「ありがとうございます」

小泉さんの顔を見るとそこには希望に満ち溢れた顔で自然と笑っていた。

 

もちろん不安もあるかもしれないけど俺が出来るのはここまでだ。

 

後は自分で考えて決断するんだ。

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後・・・食堂で練習用のスポーツドリンクを作って屋上に戻ると、そこには小泉さんと西木野さんが小泉さんの両腕をしっかり掴んで確保されていた。

さっきスポーツドリンクを作っていた時に「誰かタスケテ~」って悲鳴が聞こえていたけどあれは小泉さんか正体だったのか。

 

「・・・・・・何があった」

 

素朴な疑問をぶつけてみると要約するとメンバーになりたいという事だけど、そこに至るまでの経緯が少し気になった

「はい!かよちんはずっとずっと・・・アイドルになりたいって思っていたんです!」

「そんなことはどうでも良くて!この子、結構歌唱力あるんです!」

「どうでもいいってどういう意味よ!」

「言葉通りの意味よ!」

おいおい喧嘩しちゃだめだろう!

 

小泉さんはまだ迷っていたけど二人の後押しもあって自分の気持ちを言葉に表した。

 

「私!一年生の小泉花陽と言います!背も小さくて、声も小さくて、人見知りで、得意なものもなにもないです。でも!アイドルへの気持ちは誰にも負けないつもりです!だから・・・だから・・・・µ`sのメンバーにしてください!!」

 

「こちらこそよろしくね!」

穂乃果は小泉さんに手を刺し伸ばせ、それを小泉さんがしっかり握った。

そしてその光景に涙流していた星空さんと西木野さん

 

 

「それでお二方はどうする?」

「「え?」」

「まだまたメンバーを募集中ですよ」

海未とことりは2人に手を差し伸べた。

 

お互いの顔を見てどうするという表情だ。

 

「小泉さんには前に言ったけどスクールアイドルは自分がやりたい気持ちがあれば出来るんだよ!!」

「そうだよ!凛ちゃん、西木野さん一緒にやろう!!」

2人は無言ながらも小泉さんの差し伸べた手を掴んだ。

 

そして再び時間が過ぎ翌朝。

 

ジャージに着替えて神田明神に行く途中で星空さんと西木野さんに会った。

「おはよう2人共」

「せんぱ~い・・・朝練ってこんなに早いの?」

「・・・・すまん練習取り仕切っているのが海未なのもで」

俺もメニューを考えているけど、あの子本当に練習に対してストイックで手を一切抜かない。

 

階段を上ると既に準備運動を始めていた小泉さんを見つけた。

「かよち~ん」

 

「おはよう」

「あれ?小泉さん眼鏡は?」

「コンタクトにしてみたの・・・・どうかな?」

 

「すっごく可愛いよ!かよちん!!」

「へえ~いいんじゃない」

 

「ねえ・・・その・・・私の事も名前で呼んでよ。私もあなたたちの事名前で呼ぶから・・・凛、花陽」

 

嘘!?

あの西木野さんがデレだ!!

「う――真姫ちゃん!!真姫ちゃん、真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃん!真姫ちゃ~ん!」

「う、うるさい///」

「あ、照れてる照れてる~」

凛は嬉しさのあまり真姫の周りをピョンピョンと飛び跳ねる

「そんじゃ俺も名前で呼んでくれ!真姫!凛!花陽!」

 

「今日からよろしくお願いします。悠先輩」

「お願いしますにゃ~悠センパイ」

「よ、よろしくお願いします。」

 

これでμ`sは6人(+1人)体制になった。

大空を見上げながらどんどんにぎやかになっていくμ`sに心を躍らせた。

 




という訳でまきりんぱな編は終了です。




ではまた次回を!

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