やはり俺がSAOにいるのは間違っている    作:gakinaga

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誤字脱字あると思います。
見つけ次第訂正しようと思いますが、もし気づいたら、コメントお願いします!!



16話 彼ら彼女らは苦悩する。

立ち尽くしている中川を見た周囲の人間たちは、とりあえず茫然と見ていた。

そして、一部のプレーヤーは現実逃避しようとそのまま立ち去った。

一部のプレーヤーはいんちきだの不正しただのただ野次っていた。

葉山もキリトもそれに気づいて諫めようとしたものの・・。

しかし人間は一時のテンションに身を任せてはいけないとはよく言うものだ。

全く人の話を聞かず、むしろキリトは裏切り者扱いされる。

恐らく、第一層でβテスターの件であったせいだろう・・。

キリトはあの時から一部の人たちからだが『ビーター』と呼ばれている。

しかしそれとは対照的にさすが葉山のリア充スキルと言ったところだろうか?

何とか事態を沈静化し、後からやってきた雪ノ下の一言で中川を野次ってきた奴らを完全に離散した。

あの後はキリトに決闘申し込まれたり、アスナには何か色々キレられたり、由比ガ浜に大声で馬鹿呼ばわりされたり散々だった。

その夜、俺たちはすぐ帰宅しようと思ったのだが、気付けば、夜も遅く、俺達は疲れ切っていたので、サキサキカフェの二階に部屋が余っているらしいので泊めてもらう事になった。

俺は少し外の空気を吸うために、外に出ていた。外を出ると、近くの丘みたいな場所があり、そこにキリトは座っていた。

俺の顔を見ると、少し気まずそうな表情をしたものの

 

「ハチか?お前も寝られなかったのか?」

「まあな?お前もか?」

「ああ・・・。」

 

会話終了!!かんかんかん

さすが本当のボッチ同士だけあるな・・・。

上を見上げると無数の星が輝いていた。

その真ん中に月が堂々と俺を月光で照らしていた。

都会では、滅多に見れない光景ではあるが、ここに居る年月が多くなれば、当たり前になっていく。

今思い越せば、俺はこの世界に来る前はこのような世界に少し憧れたのかもしれない。

現実に失望し、非現実を求めていたのかもしれない。

人間とは複雑で且単純な生き物なのだろう。

だから、今は少し現実が恋しくなる俺がいるのかもしれない。

 

「なあハチ、ユキノさんって笑うんだな・・・?」

「はあ、何言ってんだお前?あとハチって何だよ・・。」

「ハチはハチだろ?」

 

何言ってんだこいつみたいな目線で首を少し傾げ俺を見てくるキリト。

辞めろよ、友達だと勘違いしちゃうだろ・・。」

キリトは今度はジト目で俺を見ながら、ため息を軽くついた。

 

「ハチって、面倒くさいな?」

「はあ、何をいまさら?そのくらい自分でも自覚してるわ・・。」

「まあそれがハチの面白いところでもあってマイナスな点なんだよな?」

 

何その飴と鞭の使い方ありなんですか・・。

 

「それにしてもユキノさんってあんな表情できるんだな?」

「はっ?何お前あいつの事好きなの?」

「違う違う!!そういう意味じゃなくてさあ、いつも厳しい表情してたからさ・・。」

 

なるほど、でも、あいつほおが緩む時って猫ぐらいしかないもんな・・。

後は俺と中川を罵倒する時とかいい笑顔しているよな?あいつ

キリト曰く、今まで攻略一筋でやってきたらしい。

むしろ休日も攻略に出ていたらしく、ほぼ休日はゼロ。

何それ、イケメン過ぎませんか?どこの副学級委員長だよ。

これからイケノンって呼んじゃうよ?嘘です・・。たぶん言った瞬間ポリゴンに返されそうだわ・・。

にしても由比ガ浜が止めないと攻略辞めないなんて、どんだけ攻略好きなんだよ・・。

呆れるを通り越して尊敬するぞ・・・。

 

「いや、よく考え見れば、いや考えなくてもあいついつも俺達に対して厳しくね?」

「そうか?何か嬉しそうだったぞ?」

「それはお前の目が節穴なだけだ。見てただろう?俺たちが罵倒されていたあの惨状を?」

 

あれはひどかった。

もうね、性格とか顔とか色々と気持ち悪い等言われまくった。

それも、否定できないからな・・・。余計たちが悪い。

何そんなに俺たちに死んでほしかったの?泣いちゃうよ?

でも、キリト曰くそんな事見た事がなかったらしい。

いつも無口で、暇があれば迷宮に一人でさまよって迷子になって倒れているらしい。

さすが方向音痴だな・・・・。

ただ、恐らくあいつは俺と少し似て一人でいることを好む。

だから、パーティとか組まないのだろう。

まあ。俺から言わせてみればいつも通りの雪ノ下雪乃だがな。

だが。キリトがそこまで変わって見えるのであれば、そうなのだろう。

俺はそのまま自分に戻り寝床に付こうとした時キリトが声をかけてきた。

 

「なあハチ、お前が今までどんな目に遭ってきたかは知らないし、お前が俺を友達と思っていないならそれでいい。」

「これだけ忘れないでほしい。それでも俺はお前を仲間だと友達だと思っているから・・。」

 

そんな言葉を俺は勝手にしろと言って振り返らずに部屋に戻って行った。

友達ね・・・。あの時奴もそんな事言ってたかね・・。

何故だか、ハチと呼ばれるとあいつを思い出してしまう。

もう終わった関係のはずなのに頭の中で出てきてしまう。

 

『ハチ、俺ァお前の事は信頼してる。だから今が無理ならそれでいい。いつかいいダチになれるといいな』

 

この世界にきてから俺は少し変わってしまったのだろうか。

現実では自分に言い聞かせてきたはずなのに、期待してしまったそれに俺がいた。

それがどんなに残酷なものであろうと、きっと俺はそれを求めてしまったのだろう。

ふと気が付けば、それは崩れ落ちていた。

だから再びあの日から俺は心に刻むのだ。そんな自分を戒めるために。

もう二度とあんな間違いをしないように。

それでもまたそんな事を期待してしまっている自分がまだ居た。

そしてそんな自分がそんな事をまた期待している自分が嫌いだ。

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作者side

 

屋根の上で寝転ぶシンジ、少し寂しそうに空を見ていたのは気のせいか・・。

サキサキカフェは屋根についている窓があり、そこから屋根の上に上がれるのであった。

寝込んでいる時、窓の方から音がした。そちらの方を向くと雪ノ下がいた。

 

「なんだ、お前かよ・・。夜更かしは美容の大敵だぞ?」

「あら、現実では私たちは寝ているも同然よ?」

「そう言えば、そうだったな・・。」

 

そう彼らはこの世界では、活動している。

確かに手足も動くし、口も動かすことができる。

でも、現実では恐らく病院でずっと寝ているのである。

 

「でも、キスして貰えれば、女は目を覚ますんじゃないのか?」

「もしもそうであるならすでに目覚めているわよ」

 

自信満々そうな笑みを浮かべている雪ノ下。

彼女は容姿端麗であり、プレーヤーから絶大な人気がある。

それはこの世界では女性プレーヤーが少ないのも一つの理由かもしれない。

しかし、現実でもそうであったと彼女が言っているならばそうなのだろう。

 

「貴方こそここで何しているのかしら?永眠はしっかりと取らないとだめよ?」

「勝手に人殺してんじゃねえよ・・・。」

「大丈夫よ。たとえ死んでも1秒ぐらいは忘れないから」

「うん、せめて葬式までは悲しんでてほしかったわ・・。月見てただけだ・・。」

「意外ね・・・。」

 

少し驚いた表情でシンジを見ていた雪ノ下。

 

「貴方、そういう情趣なんてあったのね?」

「うるせ・・。ほっとけ・・・。月見ていると心が浄化されるらしくてな?」

「確かにあなたの心にある頑固汚れも綺麗になるかもね・・。」

「お前に言われたくないわ・・。」

「・・・・・・・。」

「本当お前何しに来たんだよ・・。寝ているとき、幽霊と勘違いしそうなって切り倒しちまいそうなるから辞めろ」

「安心しなさい。返り討ちしてあげるから。」

「決闘に負けた奴がよく言うわ・・。」

 

ほんの数秒間だけだったがふたりの間に沈黙が流れる。

雪ノ下は俯きながら口を開いた。

 

「ねえ、何で貴方ってそんなに強い・・。いえ比企谷君も」

「偶然だ・・。比企谷も俺もお前が思う程強くないでえ・・。」

「嘘つき・・。自分で言うのもあれだけれど、この世界では強い方よ・・。」

「人の話を聞け・・。後さりげなくお前の自慢話ぶっこんで来るな・・。喧嘩売ってるのか・・。俺が言ってるのはレベルや武器、装備の事だ・・」

 

シンジは、一気に喋りすぎたのか一旦深呼吸をして再び話し出した。

 

「確かにお前らは強い。スキルの使いこなしとかはな・・。雪ノ下、お前人殺したことあるか・・・。」

 

口調が重々しくなりだした。

 

「あるわけないじゃない・・。」

「まあ、そういう事だよ。」

 

意味が分からない雪ノ下は少し首を傾げていた。

どういうことか説明を求めるも、シンジは自分で考えろと相手にせず横に寝転んだ。

 

「あと、俺も一つ聞いてええか?」

「何かしら?」

「お前何でわざわざギルド勧誘なんてらしくない事したんや?」

 

雪ノ下はしばらく黙り込んだ。

それに構う事なく中川は言葉をつづけた。

 

「お前は言ったよな・・。相手が助けを差し伸べたのであれば、手を差し伸べるって。」

「そうね、何ででしょうね?」

「あらら、ここに来て頭までやられちゃった負けの下さんや?」

「そうねあなたよりましよ、馬鹿川君・・。」

「でも本当にわからないのは事実よ・・・。私だってこんな事初めてだもの・・。」

「初めてね・・・?」

 

雪ノ下は空を再び見上げて呟いた。

 

「あの人を信じてみようかしら・・。」

 

雪ノ下の言うあの人とは誰かは分からなかった。

彼女の呼び方は誰々さんが多い。

例えば姉の陽乃には姉さんと呼んでいる。

全く見当がつかないシンジは頭に?を浮かべながら言った。

 

「あの人?誰や?」

「貴方は知らなくていいわよ・・・。」

 

雪ノ下side

 

昔私が幼ないころだったかしら?

私たちの家には護衛してくれる人たちが存在した。

姉さんと私は一括して一人の少年が護衛してくれていた。

年は聞いてないから、知らないのだけれど、そこそこ腕前らしい。

よく中川君と同じように屋根の上から月や星空を眺めていた。

 

「なあ、雪乃。お前友達いないのか?」

「要らない・・。あんな低能共と仲良くなるつもりはない」

「そうか・・・。でもな、もしもだ・・。もしも大切な人や仲間を見つけたら、大切にするんだぞ?」

「何でそれ私に言うの?」

「それはか・・・。そうだな・・・。それはまた今度教えてやるよ」

「それ言わないパターンね」

「いっ嫌、言うから俺は嘘はつかない・・。うんうん」

「説得力ゼロなんだけどね・・。」

「とっとりあえずだああ!!覚えておくことOK?」

 

そう言って職場に戻って行った。

その時はどういう事かは分からなかった。

でも多分今なら少し分かるのかもしれない・・。

だからあの時立ちはだかったのかもしれない。

多分彼らは無茶をするのではないか・・。

たとえ彼らは友達でなくても・・・。

やっぱり・・・。

 

 

私は知人が死ぬなんて耐えられないわ

 

 

作者side

 

あれから黙り込んでいた両者だった。

中川は読んでいた本を顔にかぶせながら寝転び話しかけた。

 

 

「なあ、雪ノ下?」

「ユキノ・・・。」

「はあ?」

「ここでは名前はタブーなのよ?常識を知りなさい」

「あんお前もな?自分も言われて嫌な事は言わないって教わらなかったのか?」

「そのセリフそのまま返してあげるわシンジ君」

「はいはい分かりました。ユキノさん」

「で、何かしら?」

「最近金ないんだよな?貸してくれへん?主にホテル代とか書道代とか」

「それ以上言うとここから消されるから辞めなさい・・。」

「落ちてこねえかな?赤い帽子被ったおっさんの世界みたいに」

「出てくるわけないでしょ、貴方なめているの?あかいおっさんだって自力飛んだりして手に入れているのよ」

「そう言われても飛べないし。後、家を探るシステム欲しいよな?」

「そんな無駄な事考えている暇あるなら、自分のお金ぐらい自分で稼いだらどうかしら」

「稼ぐね・・・。あっ、俺いい事思いついちゃったわ・・・?」

 

シンジがいい笑顔で言っているときはろくなことがない。

この時の彼はどSモードに入っている事が多い。

材木座の原稿を本人の無許可で2chにばらまいたり、川崎さんの恥ずかしい写真を見せて自分に物理的攻撃をさせないとか数えきれない程だった。

一番ひどいときは平塚先生の写真を加工及び合成して出会いサイトにさらした時はひどいものだった。

何せ、材木座でさえドン引きしたレベル。

それを知っている雪ノ下は若干引きながら言った。

 

「今度は何をやらかすつもりかしら?」

「いきなりドン引きすんなよ・・。それ以外と傷つくんやけど・・・。」

 

中川はいい笑顔で言った。

 

「店開くんや。奉仕屋 SAO支店をな?」




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