ネフィアで見つけた赤い本   作:EX=ZERO

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*あなたを見つめるすし詰めのハウンド

*ちいさな悪魔

やあやあ、はじめましてだね

ボクは君の旅の手助けをするガイドのノルンだ、これからよろしくね

アイテムには重さがあるんだ、たくさん持ったら早く動けないよ

あ、でもあそこをみて?女の人がすごく重たいお墓を持っているよ

どうやら困ってるみたいだ、助けてあげるといいね

 

魔法書は安全な家の中で読むんだ

えっ?『騙したな』って?そんなひどいこと言わないでよ

何のためにあそこにハウスボードがあると思ってるのさ

 

ワールドマップは広いよねー

食料は保存の効く旅糧を持って安全な街道を歩くんだよ

え?それでも街に入る直前に盗賊団に襲われるって?

盗賊たちも頭を使ってるって事なのさ、さっさと降参しなよ

 

お腹が減ってきたかい?旅糧は取られちゃったもんね、しかたないね

果物が実っている樹に体当たりすれば果物が手に入るんだけど

ああ、よく見たら足元に既に2つ落ちてるね

誰かが残してくれたのかも、ありがたくいただかないとね

うわっ、汚いなぁ美味しくなかったからって吐かないでよ

 

掲示板には色々な依頼があるよ

護衛の依頼が稼ぎやすいとボクは思うんだ

あ、ねえ見てよ、あそこですごく美人な人が困ってるみたいだ

多分護衛の依頼かもね、綺麗な人を守れるなんて男冥利につきないかい?

 

ちょっとちょっと、そんなところで寝ちゃだめだって!

寝るならベッド、ベッドで寝なきゃ

宿屋さんにいこうよ、ちゃんとぐっすり寝ないとだめだよ

それにしてもあの王宮いっつも壁に穴が空いてるね

あぶなそうだから近づかないほうがよさそうだ

 

エーテルの風だ...3の倍数の月の上旬の風物詩みたいなものでね

この風は危険がいっぱいなんだ、すぐにどこかのシェルターに隠れないと

どこに行けばいいかって?宿屋の店主に話しかければいいんだ

 

うわっ、君の顔凄いことになってるよ?それがエーテル風の効果だよ

君の症状は無視しても構わない程度なんだけど……

とてもじゃないけどその顔は見られるものじゃあないかなぁ

ほら見てよ、君のその顔のせいで宿屋の店主が突然姿を消しちゃったじゃないか

わ、まってまって!そんな顔で怒らないでよ怖いから!

治すには薬がいるんだけどとても高いんだ、最初のうちは我慢するしかないよ

 

井戸の水を飲めば何かいいことがあるかもしれないよ?

わわっ大変だ!井戸の中からモンスターが出てきちゃったよ!

あ、ほら見て!あそこに強そうな剣を持った人がいるよ

なんか乞食みたいだけどすごく強そうだ、彼に倒してもらおうよ!

 

ひどい目にあったねー、あんな化物を早いうちから見ちゃうなんて

まあこれで君も立派な冒険者……あれ、どこ行くのさ?そっちにはなにも……

ああ、君もか、君もそうなのか、でも止めるつもりはないよ

いつかどこかでまた会えるといいね、短い付き合いだけど楽しかったよ

*あなたはゴミ箱を用意した

 

 

 

 

*引き金はクロスボウ

マニ様とルルウィ様の中が悪い理由?そうねぇ、原因は色々あるんだけど……

話は変わるけどクロスボウってあるでしょ?つまりそういう事よ

え?それだけじゃわからない?どちらの捧げものなのかで喧嘩してたの

ほら、クロスボウは弓でもあるし機械でもあるでしょ?

それでぶち切れたのがルルウィ様、私も一緒になってマニ様に弓を引いたわ

あ、今言ったことはルルウィ様には内緒にしてね、ミンチにされちゃうわよ?

……それといい加減私から降りてくれると助かるのだけど。

 

 

 

 

*薬漬け転生者

一本、二本、三本……はぁ、後何本飲めばいいんだろ

はぁ?後290本だって!?冗談じゃないよお腹が破裂しちゃうじゃないか!

この前だって腹からエイリアンが出て痛かったんだからさ

集めるのも大変なのに飲むのも大変だなんてやってられないよもう

なにがって?ゾンビだよゾンビ、なかなか出ないんだよねこれが

おかしいよね?ゾンビっていうならそこらじゅうに居るじゃないか

だってそこらへんの人間殺しても生き返るんだよ?あれじゃダメなの?

 

 

 

 

*機械の神の疑問

風の神であるルルウィとはなにかと対立する事が多いのだ

クロスボウは機械弓だから私の供物ではないのか?と聞けば矢を射られた

彼女の信徒は子猫ちゃんというよりかたつむりちゃんだなと言えば殴られた

服を着たほうがいいと言えば「お前に頭飾りをくれてやる」と矢を刺された

この流れ、アクリ・テオラの祭壇を乗っ取っている犯人はルルウィなのか?

 

待て、なぜ全員顔を逸らした。

 

 

 

 

*優しさの先にあるもの

病気でもう人と呼べるような姿ではない化物になってしまったけれど

希望はまだあると私に貴重な薬を渡してくれる冒険者がいるの

あの時殺してと行った時に無言で差し出された薬を見て思わず泣いたわ

娘を一人ぼっちにしてはいけないと、そう言われたような気がするの

最初はいかにも凶悪犯みたいな感じがして警戒していたのだけれど

こんな高い薬を善意で届けてくれるなんてきっといい人なんでしょうね

 

でも、薬を飲んでも飲んでも元の姿に戻る気配が見えない

それでも冒険者は何も言わずに薬を差し出してくれる、それが心苦しいの

なにか力になれる事はないのかしら?

 

 

 

 

*鑑定士の懐事情

新米冒険者はいい金づるだ

そのへんに落ちてるものを寄せ集めの金で鑑定依頼をするんだ

そのまま売ろうが鑑定しようが微々たるものでむしろ損するだけなのにな

んである程度金が貯まる駆け出し冒険者は持ち物を全部鑑定するんだ

モンスターの破片もまとめて依頼するもんだから儲かるんだなこれが

『鑑定しなくてもどのモンスターの物だって分かりきってる』のにな

 

しかしそれに冒険者が気づいてお役御免ってわけじゃあない

中堅冒険者になれば特別な鑑定の依頼がわんさかくるからな

それにベテランに至ってはなにかとめんどくさがりで

初心者・かけだしと同じくなんでもかんでもまとめて鑑定なんてザラだ

ほらな?いつだって鑑定士の仕事は困らない

 

ただアコギな同業者は簡単に鑑定できるものも調査が必要と嘘をつく

儲けは出るかもしれないがあれは正直やめたほうがいいな

バレたらキレた冒険者が街ごと爆破しそうだ

 

 

 

 

*神の愚痴

願いの女神よ、いい加減に我が名を覚えよ

思い出せないからと言ってあんなもので代用するな

そこへ行けば我が定命の信徒達、高らかに我が名を唱えて安息を……

待て、祭壇に祀られている果物はなんだ

よもや我の姿はアレと認識されているのか……!?

 

 

 

 

*信者の維持

意識が朦朧とする、目が霞む

しかし約束したのだ、だから死ぬわけにはいかないのだ

忌々しい糞エレアを粉砕し異教の神の言葉に耳を貸さず

神の高笑いすらも耐え忍ぶ、そこまでくればもう少し、もう少しだ

その先にはあるのだ、我々の信仰の果てに求めるものが

ああエヘカトル様!今一度私にあの素晴らしき抱擁を!

それさえあれば!それだけで私*本はここで途切れている

 

 

 

 

*牧場経営手引き

何を育てるのがいいかって?

初心者ならねずみやプチなんかがいいでおじゃるよ

ねずみは繁殖力が高いでおじゃる、とにかく肉が欲しいならこれでおじゃる

乳が欲しいなら羊、卵が欲しいなら鶏とこのあたりは普通でおじゃるな

育てた動物に音楽を聴かせるのもまた一興、練習にもなるでおじゃる

人にもよるでおじゃるが妖精やゾンビを育てている冒険者もいるでおじゃる

何が出るかは屠殺してからのオタノシミでおじゃるなあ

ん、麻呂でおじゃるか?麻呂は今黄金の騎士を育ててるでおじゃる

なかなか増えないけれど朝に飲む黄金の騎士の乳は格別でおじゃるよ

 

ああそれと、妹はおすすめできないでおじゃる

あんなもん牧場用意しなくても勝手に増えるでおじゃるよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ソウダヨネ?オニイチャン?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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