ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

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お久しぶりです。

活動報告で書いたアンケートで、この作品の更新希望が多かったので更新しました。

久々に書いたので、皆さんが期待した内容であるかは分かりませんが、どうぞ!!


第四十六話

 オーフィスの奴、本当にヴァーリに話してたのかよ! 不味い! ヴァーリの発言でイッセーやアザゼルたち全員が俺を注視してるし!

 

 俺にとって途轍もなく不味い状況に陥ってる中、ヴァーリは気にせずに話を続けようとしてる。

 

「最初は何の冗談かと思ったが、あなたとラディガンの戦闘を見て認識を改めたよ。まさか本当に、俺が倒したかった聖書の神がこうして目の前にいたとはな。これほど嬉しい日はないぞ」

 

「……何かの聞き間違いじゃないのか? 俺はオーフィスと会っては――」

 

「オーフィスが先日、あなたに会って食事を教えられたと聞いている」

 

 おいオーフィス! 何喋っちゃってくれてんの!? まぁ確かに誰にも言うなって言わなかった俺も悪いけど、お前がそんな簡単にポロッと喋るような奴じゃないって信じてたのに!

 

 ………あ、でもよく考えてみれば――

 

 

『オーフィス、今まで何処へ行っていた?』

 

『……我、聖書の神に会いに行ってた。そして食事を覚えた』

 

『……………は?』

 

 

 ――ってな感じでヴァーリに教えたんじゃないかと思う! アイツは純粋だから、誰かに質問されたら素直に答える事をすっかり忘れてたよ!

 

 やばい! これはマジでやばい! 聖書の神(わたし)の正体が知られたら確実に面倒な事になる! 特にミカエルが!

 

 …………とは言え、この状況で上手く誤魔化しきった所で、この騒動が終わった後に俺は必ず尋問される事になる。そうなったら今度はイッセーや父さん母さん、更に俺と関わった関係者全員が要らぬ疑いを掛けられてしまう。

 

 俺だけに被害が被るならまだしも、何も知らないイッセー達にそんな事は絶対させたくない。もしそうなったら、聖書の神(わたし)は自分自身を許せなくなる……!

 

「おい兄貴、どう言う事だ!? ヴァーリの言ってる事は本当なのか!?」

 

「っ……」

 

 詰め寄ってくるイッセーに俺はすぐに答えることが出来ずに目を逸らしてしまう。家族とは言え、ずっと隠していた秘密を暴露される事になるからな。いくら聖書の神(わたし)でも後ろめたくなる。

 

「答えろ兄貴!!」

 

「………イッセー、これだけは言わせてくれ。俺は――」

 

 

 ドクンッ! ドクンッ! ドクンッ!

 

 

「ぐぅっ!」

 

 正体を教える前に大事な事を言おうとする俺だったが、突然俺の心臓が強く脈打つように激しく鼓動した。俺はすぐに片手で左胸を抑えようとする。

 

 何だこれは? 抑えてた聖書の神(わたし)の力が急に暴走して……ま、まさかこれは!

 

「あっ、ぐっ……!」

 

「お、おい、いきなりどうしたんだよ兄貴!?」

 

 俺が片手で胸を抑えながら苦しい表情をしてる事に、イッセーはさっきまで問い詰めようとしてた様子から一変して心配そうな顔をする。

 

 けれど俺は気にせず力を抑えようとするが、鼓動してる心臓は全然収まろうとしない。 

 

 どう言う事だ? 先日にオーフィスから神の力を与えられて、聖書の神(わたし)の力はもう完全に制御出来る筈なのに……それが何故!? だ、ダメだ。もうこれ以上……力を抑えきれない!!

 

「い、イッセー……今すぐ俺から……離れるんだ……!」

 

「何言ってんだよ! そんな苦しそうな兄貴を放ってなんかおけねぇだろうが!」

 

「た、頼む! でないと――」

 

 何とかイッセーから引き離そうとするが、当の本人は俺の身を案じるように離れようとしなかった。

 

 その結果――

 

「ぐ、ぐぐ……がああぁぁぁあああああ~~~~~~!!」

 

「おわぁっ!」

 

 

 パァァァァァアアアアアアアアアアアアッッッッッッ!!!!

 

 

 抑えていた聖書の神(わたし)の力である光が解き放たれたかのように、俺の身体から周囲を埋め尽くすような眩い光を発した。

 

 

 

 

 

 

 兄貴の身体から周囲を覆いつくすような大量の光を発したのを見た俺――兵藤一誠は両目を瞑りながら咄嗟に腕を盾代わりにした。

 

「~~~っ……。おい兄貴! 何いきなり力を暴走さ、せてん……だよ……」

 

 光が無くなったのを確認した俺は、すぐに片腕を下ろして目を開けながら文句を言うも途中で言葉を失う。

 

 さっきまで目の前にいた筈の兄貴がいなく、代わりに見知らぬ男がいた。白いローブを身に纏い、頭には王冠を被った金髪のイケメンが。何だかミカエルさんと似たような感じがする。

 

 だが俺にとって顔なんか如何でもよく、問題は目の前にいる男のオーラと圧倒的な存在感だ。性質は兄貴と似ているが、その量は全く桁違いだった。俺の闘気(オーラ)なんかと比べたら天地の差があり過ぎる。

 

「全く、まさかこんな結果になるとは……!」

 

 男が歯軋りするように言うと、俺は何故か萎縮してしまった。男から発した苛立ちのオーラを感じた事によって。

 

 ………何だよこの馬鹿げたオーラを持った存在は。目の前にいるコイツは一体何なんだよ……!?

 

「ハハハハハ! 何て凄まじいオーラだ! それがあなたの本当の姿か、聖書の神よ!?」

 

 ヴァーリの野郎が歓喜するように叫んでいる。

 

 ってかコイツが聖書の神って……マジかよ!?

 

「おいおい、マジでアイツが聖書の神だったのかよ……コレは完全に予想外だぞ」

 

 近くに飛んでいたアザゼルが信じられないように男――聖書の神を見ていた。さっきまでずっと余裕タップリな笑みを浮かべていたが、今は完全に困惑顔だ。

 

 更に――

 

「あ、ああ……! あのお姿は間違いなく、神……聖書の神(ちちうえ)……!」

 

「落ち着くんだ、ミカエル殿!」

 

 ミカエルさんが聖書の神を見た途端、涙を流していた。近くにいるサーゼクスさま達が落ち着かせようとするも、ミカエルさんは人目も憚らず泣き続けている。

 

 まだ会って間もないけど、天界トップのミカエルさんまでもああなるって事は目の前にいる男はマジで聖書の神……なんだろうな。

 

 部長達も余りのぶっ飛び展開になってる所為で、もう言葉すら出ない状態で放心している。その中でゼノヴィアだけは全く別で、何を考えてるかは知らんが顔が真っ青になっていたが。

 

「……はぁっ。この姿になったらもう誤魔化しが一切出来ない、な。こうなったら腹を括るか」

 

「っ!」

 

 聖書の神は諦めたように言った後、突然俺の方へと視線を向けてくる。

 

「言いたい事は色々あると思うが一先ずは……何だ、その顔は?」

 

「あ、あ……」

 

 聖書の神は何か言いながら近づいてくるが、俺は言葉を出す事が出来なかった。頭の中がゴチャゴチャで、もう何をどう言えばいいのか分からない。

 

 ずっと家族と思っていた兄貴――兵藤隆誠が人間に転生していた聖書の神だったんだ。弟だったとは言え緊張する。

 

「あ、アンタ、本当に………死んだと言われてた聖書の神、だったんだな?」

 

「ああ、そうだ」

 

 やっとの思いで何とか質問した俺に聖書の神は答えた。

 

「……じゃあ、アンタは俺の知ってる兄貴じゃなくて、兵藤隆誠はもう――」

 

 聖書の神が元の姿に戻ったから、人間だった兵藤隆誠の存在はもう無くなって――

 

「戯け。んな訳あるか」

 

 

 バチンッ!

 

 

「いっでぇぇぇぇぇええええええ!!!!!」

 

 突如、俺の額に強烈な痛みが走った! これは兄貴が時々、俺に罰を与える為にやってるデコピンじゃねぇか!

 

 俺の叫びを聞いた一同は目が点になってるが、聖書の神は全く気にしてない様子だ。

 

「~~~~! い、いきなり何しやがるバカ兄貴!?」

 

「お前が他人行儀な話し方をするだけじゃなく、勝手に兵藤隆誠(おれ)を殺そうとしたんだ。正当な体罰だ」

 

「だからってデコピンすんじゃねぇよ!! メチャクチャ痛かったぞ!!」

 

「体罰なんだから痛いのは当然だろうが」

 

 サラッと答える聖書の神――じゃなくてバカ兄貴は正論染みた事をいいやがる。

 

「ってかバカ兄貴! さっきまでシリアスだった俺の心を返しやがれ!」

 

「そんなもん知るか。お前が勝手にそうなっただけだろうが」

 

「んだとゴラァ!」

 

 どうやら姿が変わったところで兄貴――兵藤隆誠である事に変わりなかった。このシレッとした顔で言ってくるのは、やっぱり俺の知ってる兄貴その者だ。

 

 ったく。真剣に考えてた自分が思いっきしバカみてぇじゃねぇかよ、クソッタレが!

 

「取り敢えず元のお前に戻ってくれて良かったよ。弟のお前に他人行儀な話し方をされると俺も調子が狂う」

 

 俺が元の態度に戻ったのを見た兄貴は、調子を取り戻したかのような笑みを浮かべていた。

 

「俺も俺でアンタが兵藤隆誠(あにき)だって事がよっっく分かったよ。だから教えてもらうぞ。訊きたい事が山ほどあるんだからな」

 

「確かにソレは弟であるお前にとって当然の権利だな。けどその前に、あそこにいる白龍皇をどうにかしないといけない」

 

「………そういやそうだった」

 

 兄貴が聖書の神である事が一番のビッグイベントだったから、白龍皇(ヴァーリ)の事をすっかり忘れてた。

 

 一先ず兄貴の事は後回しにしようと、すぐにヴァーリの方へと視線を向ける事にする。こっちの様子を見ていたヴァーリも、さっきまで放心していた様子から一変して完全に警戒していた。

 

「どうする? ここは手っ取り早く俺と一緒に奴と戦うか? そうすればすぐに決着(ケリ)がつくぞ」

 

「……ク、クククク。聖書の神と赤龍帝が同時に相手か。それはそれで実に面白い……!」

 

 状況からしてヴァーリが圧倒的に不利の筈だが、当の本人は負けると分かっていながらも戦う気満々だった。

 

 けど俺は――

 

「いや、兄貴は手を出さないでくれ。白龍皇(アイツ)は俺一人でやる」

 

 兄貴の提案を断って一人で戦う事にした。

 

「何故だ? ここは普通に俺も一緒に戦った方が良いと思うが?」

 

「それじゃ俺が厳しい修行をした意味がねぇじゃねぇか。いくら兄貴が聖書の神でも、こればっかりは譲れねぇよ」

 

「………成程、確かにそうだ。いかに聖書の神(わたし)と言えど、赤龍帝と白龍皇の戦いに口を出すわけにはいかないな」

 

「だろう?」

 

「分かった。ここはイッセーに任せよう。だが手助けを拒んだ以上、俺はお前が死ぬような状況になっても一切手は出さないからな。自分から言い出した以上、キッチリ責任は取ってもらうぞ」

 

「おう! あんがとな兄貴!」

 

 俺の我侭を聞いて了承した兄貴はそのままゆっくりと地上へ降下して着地しようとする。すると、兄貴が降下したのを見たアザゼルも倣うように降りようとしていた。

 

 今この場で浮遊している赤龍帝(おれ)白龍皇(ヴァーリ)のみだ。俺はすぐに構えるが、ヴァーリはそれすらせず少し呆れた様子を見せている。

 

「良いのか、兵藤一誠? あのまま聖書の神と共闘すれば俺に勝てていただろうに。それを自ら不意にするとは自殺行為にも等しいぞ。未だ禁手(バランス・ブレイカー)に至ってない今のキミでは、俺に勝つのは不可能だ」

 

「確かにそうだろうな。じゃあ逆に訊くけどよヴァーリ、お前が俺の立場だったら兄貴の提案を受け入れるのか?」

 

「………前言撤回だ。さっきの台詞は聞かなかった事にしてくれ」

 

 アイツがああ言うって事は、俺と同じく共闘を断っていたんだろうな。

 

「まぁコカビエル如きとは言え、奴を圧倒した今のキミと戦うのも悪くない」

 

 あの野郎、完全に上から目線だな。舐めやがって。

 

 確かに奴の実力は俺より上だから、正直言って勝率はゼロに近い。

 

 けどだからって絶対に勝てない訳じゃねぇ!

 

「はぁぁあああああ~~~!!!!!」

 

 

 ドンッ!!!

 

 

「凄いな。コカビエルと戦った時より、また一段とオーラが上がっているとは……これは少し楽しめそうだな!」

 

 赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を使いながら、全ての闘気(オーラ)を解放した俺を見たヴァーリは嬉しそうに歓喜の声をあげる。

 

「いくぜヴァーリ! 赤龍帝(おれ)を舐めたら火傷どころじゃすまねぇぞ!」

 

「さて、それはどうかな?」

 

 俺が猛スピードで突進するも、ヴァーリは未だに余裕そうに待ち構えていた。




 色々な神バレ内容を考えた結果、一先ず大事な家族であるイッセーといつも通りの仲の良い(?)兄弟関係に戻す事を優先させました。

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