ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

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書いている内にまたダラダラ感が出てしまっています。

良くないのは分かってるんですが、どうも書いてしまうんですよね。


第二十一話

 おいおいマジかよ。あの戦争で魔王だけじゃなくて、神も死んでたって……おい兄貴! 俺はそんなの初めて聞いたぞ!

 

「う、嘘だ……!」

 

「神が、死んでいた……? バカなことを……! そんな話、聞いたこともないわ!?」

 

 神が死んだと言う発言にゼノヴィアが狼狽し、部長は俺と似たような反応で声を荒げながら怒鳴る。

 

「知らなくて当然だ。あの戦争で悪魔は魔王全員と上級悪魔の多くを失い、天使も堕天使も幹部以外の殆どを失った。もはや純粋な天使は増えることすら出来ず、悪魔とて純血種は希少な筈だ」

 

「そんな、そんなこと……!」

 

 コカビエルの話を聞いてるアーシアが見る見るうちに顔色が悪くなっていく。

 

「どの勢力も人間に頼らねば存続できないほどに落ちぶれた。天使も、堕天使も、悪魔も。三大勢力のトップどもは神を信じる人間を存続する為に――」

 

「それ以上喋るなコカビエルゥゥゥ!!!」

 

『っ!』

 

 

 ドドドドドドドドドドッ!!!!

 

 

 話を続けているコカビエルに突然、上空から兄貴の声が聞こえた。俺たち全員が上を向けると、兄貴以外に多くの光の剣と光の槍がコカビエル目掛けて狙っていた。

 

「げっ! マジかよ兄貴!?」

 

「ちっ!」

 

 流石のコカビエルも不味いと判断したのか、翼を使って防ごうとはせずに回避に専念した。その瞬間、光の剣と光の槍が地面に激突すると同時に爆発する。アイツから少し離れてる俺や部長達も少しばかり爆風を受けるも、大した被害は無かった。

 

 そんな中、地上へ接近してくる兄貴が部長たちの近くに着地して、回避してるコカビエルを睨んでいる。

 

「いきなり無粋な真似をするな、兵藤隆誠。真実を教えてる最中だというのに」

 

「喧しい! コカビエル! 貴様、よりにもよって三大勢力の禁忌(タブー)を!」

 

 普段見ることのない焦りと激昂を見せる兄貴に、部長達だけじゃなく弟の俺も驚いた。常に冷静沈着なあの兄貴が、あんなになるなんて初めてだ。

 

 兄貴の反応に顔を顰めていたコカビエルが急に笑みを浮かべていた。 

 

「ハハハハハッ! どうやらおまえも『神が死んでいた』ことを知っていたようだな、兵藤隆誠!」

 

「おい兄貴! コカビエルが言ってる事はマジなのか!?」

 

「っ……」

 

 俺の問いに兄貴は答え難いのか顔を顰めていた。兄貴があんな顔をするってことはやっぱり……。

 

「答えろ兄貴!」

 

「……………ああ、事実だ」

 

『っ!』

 

 兄貴は血が滲み出るほどに手を強く握り締め、歯を食い縛っていた数秒後には諦めたように答えた。その返答にコカビエルを除く俺達は更に驚愕する。

 

「……ウソだ。……ウソだ」

 

 兄貴の返答を聞いたゼノヴィアは力が抜けたようにデュランダルを手放し、そのまま項垂れる。今のアイツは見ていられないほどに狼狽していた。

 

 だがああなるのは無理もない。神に仕えることを使命としてる教会の信徒にとって、いきなり生き甲斐を失ったのも同然だ。

 

 そして――

 

「し、主が、主が……」

 

 元教会の信徒だったアーシアもゼノヴィアと同様に狼狽していた。

 

 すると、コカビエルの隣には兄貴が戦っていた傷だらけのエリーが降り立つ。

 

「どうした? 随分とボロボロじゃないか」

 

「ほっといてちょうだい。それよりもコカビエル、よくも余計な事を喋ってくれたわね。これじゃ私がバルパーを始末した意味が無いじゃない」

 

「悪いな、つい口が滑ってしまった。だが戦争を始めるというのに今更隠す必要などないだろう?」

 

「………まぁ、そう言われればそうね」

 

 あの口振りからして、エリーも兄貴と同様に神が死んでる事を知っていたようだ。

 

 となると、バルパーのジジイをエリーが殺したってことは……神が死んだのを言わせない為の口封じだったのかよ。

 

「私達は魔王と神の死で中断された戦争を再び起こすために組んだからね。そうすれば、あなたのところのアザゼルも動かざるを得ないんでしょう?」

 

 エリーの奴、そんな事のためにコカビエルと手を組んだのかよ! 本当に傍迷惑だな!

 

 …………だけど、エリーの発言に何か違和感があるんだよな。多分兄貴も気付いてる筈だ。

 

 違和感ありまくりな台詞を言ってるエリーに、コカビエルは何の疑問を持たずに答えようとしている。

 

「そうだ。俺達はその為に手を組んだ。争いの大元である神と魔王が死んだ以上、戦争継続は無意味だと判断した事に俺は納得いかなかった。アザゼルの野郎も戦争で部下を大半亡くしちまった所為で、『二度目の戦争はない』と宣言した! 耐え難い! 耐え難いんだよ! 一度振り上げた拳を収めるだと!? ふざけるな!」

 

 エリーに言ってるのか俺達に言ってるのか、コカビエルは思い出したように憤怒の形相となっていた。

 

 全てを聞いたアーシアは口元を手で押さえ、目を大きく見開き、全身を震わせていた。 

 

「……主はもういらっしゃらない? リューセーさん、私たちに与えられる主からの愛は……」

 

「それは……」

 

 アーシアの疑問に兄貴はすぐに答えれなかった。だけどコカビエルがおかしそうに答えようとする。

 

「ミカエルはよくやっているよ。神の代わりとして天使と人間をまとめているのだからな」

 

「大天使ミカエル様が神の代行を……? では、我らは……」

 

 ゼノヴィアが更なる衝撃の事実を知って何か言ってるが、コカビエルは気にせず続けようとする。

 

「『システム』さえ機能していれば、神への祈りも祝福も悪魔祓いもある程度動作はするだろうしな」

 

 神の愛が無いと分かったアーシアは途端にその場でくずおれた。

 

「すまない、アーシア……。あの事実を君に教えるわけにはいかなかった」

 

 兄貴がアーシアを大事そうに抱えながら、凄く申し訳無さそうに謝っていた。確かに言えねぇよ。アーシアの人生の大半が神に捧げてたなら尚更な。もし俺も知ってたら兄貴と同じく教える事なんて出来ねぇ。

 

「とは言え、神を信じる者は格段に減ったがな。聖と魔のバランスを司るものがいなくなったため、そこの聖魔剣の小僧が聖魔剣を創り出せた現象も起きる訳だ。本来、聖と魔が交じり合うなんてあり得ないからな。おまえたちの首を土産に、俺やエリガンだけでもあの時の続きをしてやる!」

 

「だからそのついでとして、この駒王町の崩壊を機に戦争を起こそうと考えたわけよ」

 

 …………コイツ等、そんな自分勝手な理由で……。

 

「ふざけんじゃねぇテメエ等!! そんな事の為に俺の町を、俺の仲間を、家族を、部長を、アーシアを消されてたまるかッッ! テメエ等なんか、俺がまとめてぶっとばしてやる!!」

 

 怒り全開になった俺は怒号を散らした。

 

「ほう? 随分と威勢がいいな。そうだ小僧、そして兵藤隆誠。良かったら俺たちの片腕にならないか? おまえらの強さはとても魅力的だ」

 

「そうねぇ。リアス・グレモリーのような弱者より、私たちと一緒に来たほうが有意義だと思うわよ? 特にイッセーくんは大の美女好きだから、私が行く先々で美女を見繕って好きなだけ抱かせてあげるわよ。勿論、ダーリンの相手は私だけど」

 

「ふざけんな! 誰がテメェ等の片腕なんかになるか!!」

 

「同感だ。お前等の片腕になるほど俺達は落ちぶれちゃ――」

 

 兄貴が何か言おうとしてたが――

 

「エリー! テメェが部長をどうこう言う資格なんかねぇ! 俺は強さなんか関係なく、部長のことが好きだから一緒にいるんだ!!」

 

「なっ!!」

 

 俺は気にせず怒鳴った。部長が何か急に顔を赤らめているが、今の俺は全く気にする余裕は無い。

 

 そしてすぐに半分破れている邪魔な上着を――

 

 

 バリィッ!

 

 

 破くように脱いで上半身を露にさせた。

 

「今更何のまねだ、小僧? おまえが何をしようが俺に勝てないことはもう分かっている筈だ」

 

 コカビエルが何か言ってるが俺は無視する。

 

 おいドライグ! 四倍で行くぞ!

 

『バカを言うな! 今の相棒ではまだそこまでのコントロールは出来ないぞ!』

 

 だったら使えるようにしろ!

 

『……いいのか? 今まで以上の力を使える方法は、相棒の身体の一部を対価にする事を知っている筈だ。兵藤隆誠の許可無しで――』

 

「うるせえ! それだけで俺の町や家族や仲間、大事な女を守れるくらいなら安いもんだ!」

 

『……いいだろう。だが後悔するなよ』

 

 ドライグが了承した途端、『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』を身に付けている俺の左腕が変化する。人間の腕から龍の腕に。

 

「っ! イッセー、ドライグに対価を要求したのか!? なに勝手な事をやってる!」

 

 俺の腕が変わった事に気付いた兄貴がそう言ってきた。だが無視だ。

 

 よし、これでいける!!

 

「俺の身体もってくれよ! 四倍龍帝拳だ!!」

 

 

 

 

 

 

 ~駒王学園前~

 

 

「お、俺、そろそろ限界……!」

 

「匙! 気を抜いてはなりません!」

 

「は、はい!」

 

 駒王学園全体に結界を張っているシトリー眷族の『兵士(ポーン)』――匙元士郎が弱音を吐いてると、同じ眷族の『女王(クイーン)』――真羅椿姫が叱咤する。

 

(私と椿姫はともかく、ほかの者たちの魔力が尽きかけている。このままでは……!)

 

 自身の眷族が結界を展開出来なくなってくる事に危惧するソーナ・シトリー。

 

 兵藤兄弟やリアスに早く決着をつけて欲しいと願うも、相手がコカビエルとエリガンだから無理なのは分かっていた。

 

 しかし、これ以上の結界維持も難しくなっているのも事実。ソーナは再度願っていると――

 

 

 バチバチッ!!!

 

 

「おわっ! な、何だ!?」

 

「結界が!」

 

 突如、結界の中から凄まじいオーラが発生した。それによって結界の周囲が電流が流れるような放電現象が起きている。

 

 

 

 

 

 

「あ、あの愚弟(バカ)! 対価したのはそう言う事か!」

 

 イッセーがドライグに対価した理由が分かった俺――兵藤隆誠は驚愕する。

 

 確かに今のイッセーが四倍の龍帝拳を使うには対価が必要だ。けれど、それはあくまで使えるようにするだけ。

 

 三倍だったらギリギリで扱えるかもしれないが、それ以上の力を引き出そうとするとイッセーの身体が崩壊してしまう。そのリスクも承知でイッセーは使っているようだが。

 

「はああああああ………!」

 

 

 シュウウウウウウウウウ!!!

 

 

 イッセーが力を溜めると、全身が赤く染まりながら蒸気のようなものが吹き出る。

 

「な、こ、これがイッセーのオーラなの……!?」

 

「今までとは桁違いですわ!」

 

「い、イッセーくんにこれほどまでの力が……!」

 

「……ですがあの力、なにか嫌な予感が……」

 

 リアス達は爆発的に急上昇してるイッセーの闘気(オーラ)に驚愕する一報だ。中でも小猫はイッセーが危険な事をしている事に感づく。

 

「ぐっ! あまりのオーラに吹っ飛ばされそうだ……!」

 

 イッセーの吹き荒れる蒸気とオーラに飛ばされないよう踏ん張っているゼノヴィア。

 

「りゅ、リューセーさん、イッセーさんが……!」

 

「今は俺から離れるな!」

 

 本当なら俺もイッセーに加勢したいところだが今は出来ない。あのバカが無理な力を使おうとして周囲に(特にアーシアが)被害を与えようとしてるから。

 

「な、何だと!? あの小僧が何故……!?」

 

「……どうやら私達は、イッセーくんを見縊り過ぎていたようね……」

 

 どうやらリアス達だけじゃなく敵側のコカビエルやエリーも驚愕していたようだ。

 

 だがイッセーはそれらの反応を全く気にせず、闘気(オーラ)を最大限までに上げようとしている。

 

「行っくぜぇぇ!! 四倍龍帝拳だぁぁぁ~~!!!」

 

 

 ドンッ!!

 

 

 イッセーがそう言った瞬間、凄まじいスピードでコカビエルに接近した。

 

 エリーはすぐに避難するも、コカビエルはイッセーの急激な闘気(オーラ)の上昇で驚いていた為、すぐに動く事が出来なかった。

 

「だりゃぁっ!!」

 

「ごっ!!」

 

 コカビエルに接近したイッセーは即座に奴の頬にパンチを食らわす。かなり重い一撃だったのか、コカビエルはそのまま吹っ飛んで行く。

 

 そしてイッセーが追撃をしようと、一瞬でコカビエルの背後に回りこみ、両足を使って背中を思いっきり蹴り上げる。

 

「す、すごい……! あんな攻撃、僕にはとても……」

 

 見事な二連撃を繰り出すイッセーを見て、祐斗は驚愕するばかりだ。

 

「ぐっ……くっ!」

 

 イッセーの蹴りによって上へ向かって行くコカビエルは、すぐに体勢を整えた。

 

 再び攻撃をしようとイッセーは空を飛んで凄まじいスピードで突進するも、迎撃しようとするコカビエルを見た途端に回り込んだ。

 

「調子に乗るなぁ!」

 

 だがコカビエルはすぐに捉え、既に用意した光の槍でイッセーに向かって投擲する。

 

 

 フッ!

 

 

「な、何ぃっ!」

 

 投擲した光の槍をイッセーが一瞬で躱された事にコカビエルが驚いてると――

 

 

 ドガッ!!

 

 

「ごあっ!」

 

 いつのまにか接近したイッセーが顔面目掛けて蹴りを食らわす。

 

 吹っ飛ばされたコカビエルは体勢を整える事が出来ないのか、地上にあるグラウンドの倉庫へ凄まじい音と共に激突する。

 

 コカビエルが激突するも――

 

「があああああ~~~~~~!!!!」

 

 すぐに自身のオーラで倉庫を消し飛ばした。

 

「おのれ小僧~~~!!!」

 

 イッセーに圧倒されたコカビエルは、さっきまでの余裕が無くなって憤怒の表情をしていた。

 

 更なる攻撃を仕掛けようとするイッセーの接近に、コカビエルはお返しと言わんばかりにパンチを繰り出そうとする。しかしイッセーはその攻撃を避けようとジャンプして回り込み、再びコカビエルの背中を狙おうと膝蹴りをかます。

 

「ぐっ! くそっ!」

 

 膝蹴りを受けたコカビエルはまた吹っ飛ばされるも、今度はジャンプして体勢を立て直しながらイッセーと向かい合う。

 

 そして猛スピードで接近して、オーラを纏ったパンチで食らわそうとする。だがイッセーは身体を横に逸らしただけで簡単に躱し――

 

 

 ドゴッ!!

 

 

 カウンターとしてコカビエルの腹部に強烈なパンチを食らわした。

 

「あっ、ぐっ……」

 

「ぐぎぎぎぎ……!」

 

 攻撃が相当効いたのか、コカビエルは両手で自身の腹部を押さえながらゆっくりと後退する。口元からは唾液が混じった血が出ていた。

 

 イッセーが四倍龍帝拳を発動させて、一分にも満たない戦いで立場が一気に逆転した。

 

『…………………』

 

 この光景にリアス達だけでなく、エリーも開いた口が塞がらないようだ。

 

「はあっ……はあっ……!」

 

「こ、小僧……!」

 

 ダメージを受けているのがコカビエルの筈なのに、イッセーはかなり息が上がっていた。そんな状態であるイッセーにコカビエルは気にせず、すぐに距離を取ろうと離れた。

 

「バカな、ありえん……! あの小僧が、この俺の力を一瞬で超えただと……!?」

 

 まるで悪夢を見てるように呟くコカビエル。さっきまでとはえらい違いだ。


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