ハイスクールD×D ~復活のG~   作:さすらいの旅人

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第十四話

「まさかあなたがエリガンと何度も戦っていたなんて……。彼女はサキュバスの中でも魅了(チャーム)や戦闘能力に優れてるサキュバスなのに、よく今まで無事でいられたわね」

 

「……まぁ、色々と対策はしてたからな」

 

 翌日の放課後。

 

 オカ研の部室で俺はリアスと昨日の夜に説明したエリーの件について話していた。

 

 昨日、教会側のゼノヴィアとイリナと同行した理由を全て話した後、リアスとソーナには『エリガンは俺が対処するから、二人は一切手出ししないでくれ』と宣告しておいた。

 

 それを聞いた駒王町の主二人は予想通りと言うべきか、すぐさま顔を顰めたよ。まぁ自分達の実力じゃエリーに勝てない事は流石に分かっていたようで、すぐに引き下がったけど。

 

 話を終えた後、俺達は一旦家に帰宅し解散した。その途中、イッセーが『木場達を追わなくても良いのか?』と言ってきたが――

 

『勝手な行動をしてるアイツ等の事なんかもう知らん』

 

 ――と、俺はしかめっ面で答えた。

 

 これは思いもよらぬ返答だったのか、イッセーとリアスは驚いていた。

 

 だってさ。俺がアイツ等に警告したにも拘らず、勝手に突っ走っていったんだぞ。

 

 人の警告を無下にするような奴は、一度痛い目に遭った方が良い。まぁだからって、流石に死んで反省しろなんて事は言わないが。

 

 あの三人には俺がコッソリと『守りの加護』を施しておいた。以前、松田と元浜に使ったのとはちょっと違う。それは肉体的な死に瀕する時に加護が発動し、俺がいる所へ強制転送される仕組みだ。

 

 で、祐斗達がまだ俺の所へ強制転送されてないとなると、三人ともまだ生きている証拠だ。だからそこまで慌てる必要はない。尤も、祐斗達に施した『守りの加護』はあくまで死に瀕する時に強制転送される。

 

 分かりやすく言えば、祐斗が重傷になろうが、ゼノヴィアやイリナが奴等に暴行されようが、肉体的な死が訪れるような事にならなければ発動しないって訳だ。まぁそんな状態で転送されたら、俺が責任持って治療するけど。

 

 だったら初めからすぐに強制転送させれば良いと思われるだろうが、そんな都合の良いことはしない。聖書の神(わたし)……じゃなくて兵藤隆誠(おれ)の警告を無視して独断行動をする奴は、それ相応の覚悟を負ってもらう。尤も、アイツ等は死を覚悟で向かったんだろうが。

 

 それ故に俺は祐斗達を連れ戻すような事はしない。祐斗達がどんな目に遭おうが、それはアイツ等の自己責任だ。そこまでの面倒は見切れない。

 

 一応、イッセーやリアスには祐斗やゼノヴィア達にもしもの事があったら、強制転送される事だけは教えておいた。それを聞いたイッセーは納得し、リアスは未だ不安ながらも渋々納得してくれた。

 

 しかし、俺としてはそれよりも大事件的な事象が発生して、思わず三人の事を忘れてしまったよ。

 

 理由は家に着いた途端、アーシアが裸エプロンで出迎えたからだ。アーシアがとんでもない格好をした事に思わず目が点になってしまった。当然俺だけじゃなくイッセーやリアスも驚いて理由を尋ねると、『クラスメイトのお友達が、疲れた殿方を癒すには裸エプロンが良い』だと。

 

 それを聞いた瞬間、俺は怒りを抑えながらアーシアのお友達とマンツーマンのOHANASHIをしたくなった。「人の大事な妹分に何て卑猥な事を教えてんだ!?」って怒鳴りたいほどに。俺の怒気を感じたのかイッセーが即座に押さえ込もうとしてると、リアスがアーシアに対抗するように裸エプロン姿になろうとしていた。

 

 リアスの行動のお蔭と言うべきか、沸きだっていた俺の怒りが一気に消沈したよ。同時に呆れたけど。

 

 あと更に驚くべき事に、アーシアの裸エプロン姿に母さんは大賛成だった。ついでに母さんも若い頃に裸エプロンをやっていたんだと。

 

 普通は娘の卑猥な行動に母親が止めるべきだろと内心突っ込むも、同時に親のそう言う話は聞きたくなかったと複雑な気持ちになった。息子の俺やイッセーからしたら親の黒歴史だ。少しばかりだが、黒歴史を作った某堕天使総督の気持ちが分かった気がする。

 

 とまあ、ちょっとばかし長い説明だったが、昨日はそんな事があったって訳だ。

 

 そして今は部室でエリーについて話しながらも、リアスと朱乃と小猫は使い魔を放って祐斗達を捜索している。

 

「あの、リューセーさん。そろそろ木場さん達を捜した方が……」

 

 俺がリアスと話していると、アーシアが恐る恐ると言った感じで俺にそう訊いてくる。

 

 アーシアには昨日の事を教えたから、祐斗がこの場にいない事を知っていた。

 

「悪いけどアーシア、俺がアイツ等を捜すなんて事はしないよ」

 

「ですが……」

 

「少なくとも今は無事である事は確かだよ。現に俺が三人に施した術式が発動せず、未だに一人も俺の所へ転送されてないって事は、まだ死んではいない証拠だ」

 

 尤も、『守りの加護』は死に瀕する事にならなければ発動しないが。

 

「そうであっても、もしかしたら捕まって――」

 

「仮に捕まってたとしても、人の警告を無視したアイツ等を助けようだなんて事はしないし、俺はそこまでお人好しじゃない。いくらアーシアでも、そこは譲れないよ」

 

「…………………」

 

「おい兄貴、そんな言い方ないだろ!」

 

 俺が絶対拒否の姿勢をしてる事にアーシアは悲しい表情をしながら俯くと、イッセーが抗議してくる。

 

 そんな中、リアスの使い魔から紫藤イリナを発見したとの知らせが届いた。しかも傷だらけで倒れているらしい。

 

(これが警告を無視した結果か。…………馬鹿者が!)

 

 イリナの容態を聞いた聖書の神(わたし)は内心憤った。

 

 

 

 

 

 

 リアスからイリナが倒れている場所を聞いた俺は、人間のイッセーとアーシアを連れて転移した。

 

「イリナ!」

 

 着くと眼前には、人間の姿になってるリアスの使い魔が傷だらけのイリナを介抱していた。しかも服はボロボロで両方の乳房が露になってる。もうついでに『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』を持ってないところを見ると、コカビエル達に奪われたようだな。

 

 俺がそう推測してると、痛ましい姿をしてるイリナを見たイッセーが驚愕しながらも近づこうとする。

 

「全く。無様にやられたもんだな」

 

「んなこと言ってる場合じゃないだろ! アーシア!」

 

 俺の台詞にイッセーが言い返しながらアーシアを呼ぶ。

 

「誰がこんな……!」

 

 イッセーの呼びかけにアーシアはすぐに反応し、イリナに近づいた途端に聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)を展開して治療しようとする。

 

「うう……」

 

 アーシアに治療され始めた事で、気絶していたイリナが意識を取り戻した。

 

「おいイリナ、何があった!? 木場とゼノヴィアは!?」

 

「……ふ、二人は……逃げたわ…。私だけ、逃げ、遅れ、て……!」

 

 祐斗とゼノヴィアが逃げたと言う事は敗走したか。……ったく、どいつもこいつも……!

 

「喋ってはいけません!」

 

 アーシアが声を荒げるもイリナは言い続ける。

 

「リューセーくんの、言うとおり、だった……。あのエリーって女性(ひと)、半端じゃなかった……!」

 

 今更後悔したところで遅いよ。

 

 俺が内心呆れていると、イリナは俺を見て――

 

「ゴメン、なさい……リューセー、く、ん……」

 

「お、おい、イリナ!」

 

 ――すぐにまた気絶してしまった。

 

「……はぁっ、全く。今更謝っても遅い!」

 

 そう言って俺は開いた右手を――

 

 

 パァァァァッッ!!

 

 

「おわっ!」

 

「きゃあっ!」

 

 傷だらけのイリナに向けて光弾状の『治癒の光』を放った。それを受けたイリナの全身が光り輝くと、イッセーとアーシアが驚愕する。

 

 するとイリナの傷はどんどん無くなっていき、ボロボロになっていた服も再生されて元の状態へと戻って行く。さっきまで辛そうな表情をしていたイリナが、段々安らかに眠っているような表情になっていく。

 

「す、凄いです、リューセーさん。私の聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)でも簡単に治らない傷を一瞬で……」

 

「今のは尋常ではない治癒速度でしたわ……」

 

「リューセー、あなたは一体……」

 

 アーシアと朱乃とリアスが俺の治癒に驚いているが一先ず無視だ。

 

「あ、兄貴。あれってまさか前にアーシアに使ったやつじゃ」

 

「さあな」

 

 俺が言った途端、前方から魔法陣が浮かんで誰かが転移してきた。此処に来たのはソーナと椿姫と匙だ。

 

「ソーナ、来てくれたのね」

 

「連絡をもらって来ないわけにはいかないでしょう」

 

 リアスからイリナが負傷してる事を聞いたソーナは、すぐにイリナへ駆け寄る。が、容態が安定しているイリナを見て怪訝な表情を浮かべた。

 

「リアス。貴女の報告では負傷者がいるから来てほしいと言ってましたが、これはどういうことですか?」

 

「リューセーが治したのよ。しかも一瞬でね」

 

「リューセーくんが?」

 

 二言で答えたリアスに、ソーナが驚きながら俺を見てくる。

 

「そんな事はどうでも良いから、取り敢えずイリナをベッドに寝かせておいてくれ」

 

「……今はリューセーくんの言葉に従いましょう。何故か分かりませんが、今のあなたは機嫌が悪そうですし。椿姫、彼女を頼みます」

 

「はい」

 

 俺が不機嫌である事を察したのか、ソーナは自身の『女王(クイーン)』である森羅にイリナを連れて行くよう指示する。

 

 森羅がイリナを抱き上げて転移すると、人間の姿になってたリアスの使い魔は元のコウモリとなり、役目を終えたように消えていく。

 

「リューセー。イリナさんがああなった以上、祐斗とゼノヴィアを捜しに行くわよ」

 

「………今はそんな事をしてる場合じゃない」

 

「リューセー! あなた、この状況でまだそんな事を言うの!?」

 

 俺の台詞にリアスが憤慨する。

 

「違う。此処に敵が来てるから、捜してる暇なんか無いんだよ」

 

「え? 敵って……っ!?」

 

 悪魔のリアス達が突然悪寒が走ったように身震いしていたが、俺は気にせず後ろにある一つの木に向かって言おうとする。

 

「おい、隠れてないで出てきたらどうだ? フリード・セルゼン」

 

「やーやー。お久しぶりっすねぇ~、バケモノ兄さん」

 

『っ!』

 

 そこからいくつかの聖剣を持ったフリードの登場に、リアス達は即座に警戒し始める。

 

「エサに釣られて集まってきたようですねぇ~。ご機嫌麗しゅう、クソ人間とクソ悪魔ども」

 

 相手をバカにするような慇懃無礼な態度で、舌を出しながら見下す表情をするフリード。

 

 久しぶりに見たが、相変わらず不快な奴だ。見てるだけで苛々してくる。

 

「おんやぁ? そこにいるのは、悪魔側に寝返ったアーシアちゃんじゃありませんかぁ」

 

「っ!」

 

 フリードからの名指しと舐め回すような視線に、怯えた表情をするアーシア。

 

「未だに人間のようですけど、クソ悪魔ライフを楽しんでるようだねぇ~。そんな悪い子には俺がお仕置き――」

 

 

 パチンッ!

 

 

「消えろ」

 

 

 ドドドドドッ!!!

 

 

「どわぁっ!!」

 

 俺が指を鳴らして口にした瞬間、数本の光の槍が一斉にフリードに襲い掛かる。

 

 その直後にさっきまで余裕綽々な顔をしていたフリードが焦りながらも何とか躱した。

 

「ちっ。外したか。そういえばお前は『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』を持っていたんだったな」

 

「あ、あっぶねぇ~! 天閃の聖剣(これ)がなかったら串刺しになってやしたぜ……! おいバケモノ兄さん! いきなり何しやがんだゴラァ!」

 

「悪いな。貴様が俺の妹分のアーシアに対して不快な言動をしてたから、つい殺したくなった」

 

『…………』

 

 俺が殺気を出しながら睨んでる事に、本気でフリードを殺そうとしてたのを分かったリアス達は少々恐ろしげに見ている様子だ。

 

 因みにもし俺の行動が遅ければ、いつの間にか『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』を展開してるイッセーがドラゴン波を出してフリードを消滅させようとしてた。

 

「今度は外さんぞ」

 

「ちょ、ちょい待ちちょい待ち! 今はアンタじゃなくて、そこの赤毛のお嬢さんに話があるんだよ!」

 

「何?」

 

「私に話ですって?」

 

 必死に待ったをするフリードに俺だけじゃなく、名指しされたと思われるリアスが反応する。

 

 俺が動きを止めたのを確認したフリードは笑みを浮かべ――

 

「ああ。ウチのボスがさ!」

 

 上を見ながら言った途端、周囲が結界で覆われた。

 

 俺達もフリードに倣って上を見ると、そこには昨日に会った堕天使幹部――コカビエルがいた。

 

「今度はお前か、コカビエル」

 

「よぉ、兵藤隆誠。昨日はよくも下らん事をしてくれたな」

 

『っ!』

 

 俺とコカビエルの会話に、イッセーを除くリアス達が驚愕していた。

 

「りゅ、リューセー。あなた、コカビエルに会ってたの!?」

 

「ああ。会ったと言っても、すぐに撤退したけど」

 

 コカビエルとエリー二人同時に相手にしてられなかったから、太陽光を使って撤退したよ。

 

「お前にはすぐにでも昨日の礼をしてやりたいところだが、そうするとエリーが黙っちゃいないからな。今は手を出さないでおく」

 

「おいおい、お前ほどの奴がエリーを恐れてるのか?」

 

「まさか。奴と本格的な殺し合いをするのは戦争が始まってからだ」

 

 そう言えばコカビエルとエリーは戦争が始まるまではお互いに手を出さない条件とか言ってたな。謂わば一種の契約をしてるから、それを遵守してるってところか。

 

「ちょっとリューセー、どう言う事? コカビエルが言った“戦争”ってまさか……!」

 

「おっといかん、危うく忘れるところだった」

 

 リアスの発言に思い出したように、コカビエルは俺からリアスへと視線を移した。

 

「はじめましてかな、グレモリー家の娘。もう知ってるだろうが、我が名はコカビエル」

 

「……ごきげんよう、堕ちた天使の幹部さん。私はリアス・グレモリー。どうぞお見知りおきを」

 

 リアスは負けじと言わんばかりに冷淡な表情を浮かべている。

 

 ま、グレモリー家の次期当主であれば、これくらいのやり取りをするのは当然か。

 

「紅髪が麗しいものだな。紅髪の魔王サーゼクスにそっくりで、忌々しくて反吐が出そうだよ」

 

 だがコカビエルはリアスの発言を大して気にしてない様子で、サーゼクスを思い出しながら嫌悪してる。

 

「それで? リューセーだけじゃなく、私との接触は何が目的なのかしら? 幹部さんが直々にお目見えするなんて。それにさっき戦争とか言っていたけど、どう言うことかしら?」

 

「なに、おまえの根城である駒王学園を中心に、この町で暴れさせようと思ってな。そうすれば嫌でもサーゼクスが出てこざるを得ない、だろう?」

 

 やっぱりコカビエルはそう言う理由で駒王町にやってきたんだな。

 

 理由を聞いたリアスは漸く合点がいったように気付く。

 

「まさかあなた、堕天使と神、悪魔との戦争を再び勃発させる為に!?」

 

「察しが良いな。エクスカリバーでも盗めばミカエルが戦争をしかけてくれると思ったのだが……寄越したのが雑魚のエクソシストどもと聖剣使い二匹だ。つまらん。余りにもつまらん!」

 

「……成程。初めから戦争を起こす為に行動してたという訳か」

 

 全くアザゼルの奴め。コイツが戦争狂だと言うのを知ってたなら、いくら仲間とは言え放置すんなよ。

 

「そうだ、兵藤隆誠。俺は三つ巴の戦争が終わってから退屈で退屈で仕方なかった! アザゼルもシェムハザも次の戦争に消極的でな。それどころかアザゼルは、神器(セイクリッド・ギア)とか言う訳の分からんもの集めだして研究に没頭し始める始末だ」

 

 少なくともコカビエルがやる戦争なんて言う無意味な事より、アザゼルのやる研究の方がよっぽど有意義だと聖書の神(わたし)は思うよ。

 

「……まあ、そこの兵藤隆誠と顔立ちが似てるガキが持つ『赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)』なら武器にもなろうが、生憎俺には興味がない。だが、アザゼルなら欲しがるかもしれんな。あいつのコレクター趣味は異常だからな」

 

「冗談じゃねぇ! コレクションにされてたまっかよ!」

 

 同感だ。仮にそんな展開になったら、俺は容赦なくアザゼルの黒歴史をばら撒いてやるよ。

 

 イッセーの発言にコカビエルは大して気にせずに話を続けようとする。

 

「堕天使、神、悪魔はギリギリの均衡を保っているだけだ。ならば、この手で戦争を引き起こしてやればいい!」

 

「……完全な戦争狂ね」

 

 後先を全く考えてないコカビエルに、リアスは異常者を見るような目をしていた。うん、その反応は至極当然だ。

 

 聖書の神(わたし)バカ息子(コカビエル)がどうして、ここまで変貌したのかと気になってるし。

 

 天使だった頃は聖書の神(わたし)の側近になろうと努力していた真面目な息子だったと言うのに。聖書の神(おとうさん)は悲しいよ。

 

「だから、今度は貴様ら悪魔に仕掛けさせてもらう。ルシファーの妹――リアス・グレモリー。レヴィアタンの妹――ソーナ・シトリー。そして、その二人以上の実力を持つ人間――兵藤隆誠。それ等が通う学び舎なら、さぞや魔力の波動が立ちこめて、混沌が楽しめるだろう! 戦場としては申し分あるまい!」

 

 無茶苦茶な奴だ。呆れて物が言えんな。

 

「ひゃははは! ウチのボス、このイカレ具合が素敵で最高でしょう~!? 俺もついつい張り切っちゃうわけさ。こ~んなご褒美まで、頂いてくれちゃうしさぁ!」

 

 フリードが笑いながら上着の中を俺達に見せようとする。

 

 右手には『天閃の聖剣(エクスカリバー・ラピッドリィ)』、左腕の肘上に巻かれてる紐状の『擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)』、そして上着の中には『夢幻の聖剣(エクスカリバー・ナイトメア)』と『透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)』があった。

 

「お、おい兄貴! あいつが持ってるアレって全部……」

 

「ああ、全部エクスカリバーだ」

 

「マジかよ……」

 

 イッセーの問いに俺が答えると、匙が信じられないように呟く。

 

「無論勿論全部使えるハイパー状態なんざます! 俺って最強! あはははは! いくらバケモノ兄さんとクソ人間が強かろうが、この聖剣の前では無意味ざんすよ!」

 

「……やれやれ。俺達も随分と見縊られたもんだ」

 

「上等だ。んなもんあっても勝てねぇことを教えてやる」

 

 

 ドウンッ!

 

 

 俺が呆れてる中、イッセーは若干キレ気味になったのか、少し前に出て赤い闘気(オーラ)を放出する。

 

「うおっ! 何すかその尋常じゃねぇオーラは!?」

 

「ほう……」

 

 イッセーの闘気(オーラ)にフリードは驚愕するも、コカビエルは面白そうに見ていた。

 

「ハハハハハ! どうやら兵藤隆誠以外にも楽しめそうな人間がいるようだな。これは面白くなってきたぞ!」

 

 コカビエルは深い笑みを浮かべて、リアスに視線を移して宣戦布告をしようとする。

 

「さぁ、戦争をしようか、魔王サーゼクスの妹リアス・グレモリーよ!」

 

 そう言ってコカビエルはフリードを連れて転移していった。

 

 奴等がどこへ転移したかなんて調べなくても分かる。行き先は駒王学園だ!


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