ジャ「何だここは?」
ジャッカルの視力が戻った時には背景がガランと変わっていた。ジャッカル達の放ったオーラでヒビだらけの建物の内部から何処かの工場の様な背景になっていた。
【ようこそ、我々の隠れ家へ!】
すると、先程聴こえてきた謎の声が話しかけてきた。ご丁寧にスピーカーと監視カメラが合体した様な物を使って会話している。
ジャ「あんたか、ココは何処なんだ?」
【ココは我々がCGSに貸し出してる廃工場ですよ。あぁ、そう言えば名乗るのを忘れてましたね…私の名前はメタリカ、はるか昔に名を轟かせた組織『
ジャ「コマンド・メイツ?確か世界を敵にしてもなお破壊の限りを尽くした組織だって教科書に載ってたな。でも自然消滅したって聞いたぜ?」
メタリカ【いやね、別に世界はいつでも滅ぼせるのですが幹部しか居ないと言うのはとてもカッコ悪いので表舞台から身を隠して居たのですよ。そんな事よりもそちらの扉から此方に来て下さい、招待しましょう】
その言葉と同時にモニターが切れ、扉が自分から開かれた。まるでジャッカルが通れる様に自身から動いた様だ。
ジャ「どっちにしろ行かないとダメだよな…よっしゃ!気張って行くぞゴラァ!!」
そう言って扉の中に入って行った。
〜フィールド・スタジアム〜
ジャッカルが扉を通ると、そこには様々な競技に使われるジャンプ台や障害物があった。
ジャ「オイオイ、何で工場の中にスタジアムがあるんだよ…ん?何だこの看板」
【このエリアの敵を倒せ】
ジャ「倒せって…そんなザックリ…『フガフガー』ッ!?誰だ!!」
すると、ホッピングに乗っておしゃぶりを咥えたフランケンシュタインがピョンピョン跳ねながらやって来た。
「フンガー!!オデはポライケン、コマンド・メイツの強硬部隊の副団長だ!因みにフライケンシュタインは博士の名前で正式名称は『フライケンシュタインの怪物』だ!!」
ジャ「あ、そうなの…で?お前を倒せばイイのか?そこんとこどうなんだ?」
ポライケン「その通りだ!オデを倒せば新しい扉が出てきて先に進めるぞ!オデを倒せばの話だがな!!」
ジャ「ケッ!こちとら一応はS級ヒーローに勝てるぐらいの実力はあるのさ!!さぁ早速《チャリン!》って、お前は?」
謎のベル音に反応すると、其処には謎のマウンテンバイクが前輪を動かしながら何かを訴えて居た。
ジャ「…もしかして、お前も戦いたいのか?」
《チャリンチャリン!!》
ポライケン「フガガー!別に構わんぞ!むしろこのステージは軽車両が無いと不便だからな!!」
ジャ「ほう?ならば喜んで共闘させて貰うぜ!」
ジャッカルはマウンテンバイクに乗ると近くのジャンプ台を使ってポライケンに攻撃を仕掛けた。
***
〜監視室〜
メタリカ「まさか、本当に彼が復活したとはね。出来れば記憶も受け継いだ状態にしておきたかったが…何とかならないのかいレギュラス?」
【無理なものは無理さ、やはりあんな急拵えの薬品じゃ完璧な復活は夢のまた夢さ】
玉座の様な椅子に座っているメタリカは、テレビ電話でレギュラスと呼ばれる人物と会話をしていた。
レギュラス【と言うか、本当にあの
メタリカ「それはそうさ!いま、この時代の怪人達を動かしているのは世界を救うか支配するかではない。どう世界を壊すかだ…我々やジャッカルの
レギュラス【どうせ裏切るつもりだぞ、奴等にとって我等コマンド・メイツは目の上のたんこぶだからな】
メタリカ「裏切られたら潰せば良い、ただそれだけの事だろう?そんなに難しく考える必要はないさ。地道に行こう、地道に…おや?もう決着が付いたのかな?」
メタリカがモニターに目を向けると、ジャッカルがポライケンの顔面に一撃を加えているのが見えた。
レギュラス【おい、本当に案内する気か?】
メタリカ「まさか、彼も戻ってしまいましたしね…此処を抜けても意味が無い。まぁ見てなよ」
ジャッカルが次の扉に入るのを確認したメタリカは嬉しそうに目を光らせた。
***
〜どこかの街〜
新たな扉を通ったジャッカルの行き先は、街のど真ん中であった。ジャッカルの目の前には【残念、人質は渡せないよ?】と書かれた看板が立てられて居た。
ジャ「チッ、しゃあねぇな…獣六さんの所に戻るとするか…あのヒーローも心配だし「ちょっと待った!!」…とまあ簡単には行かないか、何者だ!」
そこには、先端がタケノコになっている槍を持ったヒーロースティンガー、赤いマフラーを巻いたヒーロー赤マフ、ギリシャ風の寡黙な雰囲気の大男の大哲人、侍の姿の引きこも侍、全身骨柄のタイツを着た骨、全身に爆弾を付けたダイナマイトマンが現れた。
スティンガー「お前が噂の怪人のジャッカル・デーモンだな!俺達がお前を倒してやるぜ!!」
骨「負けてないとはいえS級ヒーローを圧倒した程の実力者だ、放っておけば後々厄介な存在になる。ここで倒すぞ!」
ダイナマイト「何とか隙を作ってくれ!おれがトドメを刺す!」
引きこも侍「それが得策だろう」
ジャ「(うわぁ、大ピンチだ…どうすよう…〕」
あまりの出来事にジャッカルは混乱してしまった、これ程までに一難去ってまた一難なんて事がある奴居るだろうか。だが、それがこいつだ「ウルセェ!ほっとけや!!」ちょ、地の文に割り込まないで…
ジャ「(まてよ、相手は普段一人で戦ってる様な奴ばかり…一対一に持ち込めば何とかなるかもしれん…その為には)ねぇ、怪人が人に戻るって事例ある?俺元に戻りたいんだけど」
赤マフ「気を晒そうったってそうはいかんぞ!喰らえ必殺!『赤い流星k《ズガァン!!》」
赤マフが得意技の赤い流星キックを喰らわそうとするも、ジャッカルはそれを掴んで近くにあった車に叩きつけた。
ジャ「あの…流石に防げるよ?そんな安直なの」
大哲人「むううう…『3t哲学全書』!!!」
スティンガー「『ギガンティックドリルスティンガー』!!」
赤マフがやられた事を火蓋に大哲人とスティンガーが攻撃してくる、ジャッカルはその場で大きく飛んで攻撃を躱した。そう、文字通り飛んだのだ。背中から機械のような翼を生やして空に逃げると今度は両手に水色の液体の様な物を纏って地面にいる二人に向かって両手を振り下ろした。
ジャ「『気功弾』!!!」《ズドォォォン!!》
「「ゴファッ!?」」
その液体の様な物は拳を中心に円形に広がり、二人を地面に埋め込んだ。
ジャ「・・・・(このオーラみたいなの、体からドンドン出てくるな。それに周りが濡れている、俺は水を操る怪人なのか?あー、判らん、全く持って判らん……)」
ダイナマイト「おい!いきなり三人共やられちまったぞ!?」
骨「ココは俺に任せろ、俺は生まれつき骨が人より頑丈な特異体質でな。更に牛乳を飲むと一時的に骨の強度が増す…」
そう言って骨は何処からか調達した牛乳を沢山抱え、それをザトウクジラの様にゴクゴクと飲み始めた。
骨「これだけの量の牛乳を飲めば…その頑丈さは計り知れない!」《ゴクゴクゴクゴクゴク》
ダイナマイト「おぉ!凄い…凄いゾォォォ!?」
骨「少し脚が速い程度でいい気になってる怪人野郎の攻撃なんか…この超硬い骨で弾き返してやる!」
牛乳を全て飲み終えた骨は全身に力を込め、拳を打ち鳴らすとガキンッと言う金属音が辺りに響き渡る。
骨「骨密度、4倍だぁあああーーーーーーーーー!!!!!!!」
ジャ「『
骨「ベポッ」
骨、全身複雑骨折
ダイナマイト「な、そんな、ば「グポッ」え?」
ダイナマイトマンが謎の奇声に反応して、後ろを振り返ると引きこも侍が頭から思い切り地面に減り込まれていた。側ではフゥーーーと息を吐くとチラリとダイナマイトマンの方を見る、その5秒後には彼は逃走しようと駆け出し、それと同時にジャッカルがケケーーーッと何処かの仮面ライダーの様に飛び上がった。
***
「オイオイ、本当に瞬殺じゃねぇか…」
「ロクちゃんの言う通りじゃな…悪意は無さそうじゃが。とても強いのは変わらないの」
「どうします?今すぐ行きますか?」
「いや、他の
ダイナマイトマンを気絶させて、身体中に付いたダイナマイトを取り外してどう処理しようか困っているジャッカルを高いビルの上から見守っている者達……彼等との関係がどうなるか、それはまた次回。
はい!てな訳で次回はA級とS級の二連戦です!!
ではでは、お楽しみ!!!
※ポライケンとの戦いは別の機会に軽く説明します、あと、マウンテンバイクの活躍もそのうちでます。