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「…つまり、私から言わせて戴くと、今の本校舎の…特に3年生諸君からは、危機感や緊張感が、全く窺えない。」
『『『『『『『『………………………………………………………。』』』』』』』』
球技大会明けの12月初日。
月初め恒例の全校集会で、理事長・浅野學峯が壇上でスピーチ。
その内容は要約するならば、
お前等 何?
エリートじゃあないの?
ENDのE組に負けてばっかじゃん?
そんなのが この椚ヶ丘で、赦されると思っている訳?
2年生の終わりの時にE組逝き免れたからって、それで安心して弛んでんじゃね?
…である。
無論、生徒達には、責任有る立場な者らしい、厳格な口調で語っているが。
「「「「「「「………。」」」」」」」
この言に、『負けて当然』と言われたE組の面々も、複雑な表情を浮かべている。
「だからこそ、皆さんには少し、私から発破を掛けさせて戴きます。」
『『『『『『『『!!?』』』』』』』』
そして理事長は、爆弾を落とした。
「2学期の期末試験。
本校舎の3年生で、E組クラス内で成績最下位だった生徒より下位だった生徒は、高等部へのエスカレーター進学の権利を取り消します。」
『『『『『『『『な…?』』』』』』』』
ざわざわざわざわざわざわざわざわ…!!
この言葉に、ざわめき起つ3年生達。
それも当然な事。
この事を2学期の中間試験に置き換えてみれば、E組内の順位最下位は寺坂。
しかし、その寺坂も、学年全体で見れば半分より上位。
つまり、3年の半数以上が、エスカレーター…即ち、内部進学の権利を失う事となるのだ。
「…静かに!君達は何を、そんなに慌てているのですか?
相手はE組ですよ?
極端な話…E組の生徒、誰か1人よりも成績上位になれば、それで済む話です。
至極、簡単な話です。
尤も、これがハードルが低過ぎると言うのならば、例えば…E組生徒の誰か1人にでも、順位で劣っていたら、内部進学の権利剥奪とかでも構いませんが?」
『『『『『『『『…!?』』』』』』』』
この言に、一気に静まり返る体育館。
それも当然な事。
先程同様に2学期の中間試験に置き換えて例を挙げるなら、その成績トップは響。
つまり、本校舎勢全員が、内部進学の権利を失う事となるのだ。
また、逆の面から例えるならば、本校舎生徒達全員がエスカレーターの権利を死守したいなら、E組の生徒全員…つまり、2学期中間試験、学年トップの響や、同3位のカルマを含む、総勢30名をワースト30に追いやらないと いけないと云う事になる。
「いや、本当に宣言しちゃうとはね…」
「吉良っち?」
尚、これは2学期中間試験時の署名騒ぎの際、響が理事長に『勝利者賞』として(本校舎勢への嫌がらせ目的で)提案していた案件、その儘でもあった。
…が、既に それとは関係無く、A組を筆頭とした本校舎3年の本年度、あらゆる面でのE組に対する不甲斐無さ故の、理事長・浅野學峯自身の考えによる本校舎勢の学力向上、延いてはE組を底辺へ堕とす為の改革案の1つとして、実行される事となった。
「ま…まさか…」
「本当に、言ってしまうとは…」
そして生徒達だけでなく、A組担任の大野を基とした3年担当教諭陣も、この発言には戸惑い、昨日の会議を思い出す。
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「理事長、本気なのですか?」
「はい、勿論。
これは、決定事項です。
これくらいは やらないと、今の本校舎生徒達は、やる気を出さないでしょうから。
成績向上の為に手段を選ばない…と云うのは、こういう事を言うのです。」
「しかし それでは、逆に、自棄になってしまう生徒も…」
「この程度で、己を見失う弱者は、それこそ椚ヶ丘には必要有りません。」
「それに、高等部の生徒数も…」
「外部受験の定員枠を広げたら、それで解決する問題です。
それに私は、今回、資格を失うであろう彼等に、その外部受験の資格すら認めないとは、一言も言っていませんよ?
それから…今回の件、本校舎生徒の成績を高見に導けなかった先生方にも、責任の一端が有る事を忘れずに。」
「「「「「…………。」」」」」
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「ヌルフフフフフ…
理事長先生の お話は、先生、体育館天井の鉄骨の陰に隠れて聞いていましたが…」
集会が終わった後の、E組ホームルーム。
烏間の注意をガン無視して山を降り、人影忍びつつも集会に参加していた殺せんせーが、自分の教え子に問う。
「どうすます?
彼等に遠慮して…或いは憐れんで、期末試験は まったりと往きますか?」
「「「「「「「…………。」」」」」」」
しかしながら当然、その応えは『否』。
極々数名、僅かな罪悪感を抱く者も居るのは居るが、それは其れ、これは此である。
何よりもE組には、全員が試験で学年ランキング・ベスト50入りすると云う、担任のタコ暗殺と並べて1学期から掲げている目標がある。
今更、本校舎(アチラ)の事情で、取り止めにする選択肢は無かった。
例え その結果、本校舎(ムコウ)の殆どの者が、内部進学の資格を喪う事となっても。
寧ろ、此迄の本校舎生徒達の自分達への対応から、更なるモチベーションアップの起爆剤とする者の方が多かったのは、説明不要?
皮肉なのか それとも当人からすれば これも想定内なのか…理事長が放った発破は、E組の生徒にも降り掛かっていた。
「…宜しい。ならば、勉強です。」
自分の投げ掛けた質問に、ある者は思い詰めた様な表情を浮かべ、また ある者は不敵に微笑みながら、それでも揃って、無言で首を横に振る生徒達。
そんな教え子達の『答え』に応えるかの様に、殺せんせーは試験前恒例の、
ヴォンヴォンヴォンヴォンヴォン…
『『『『『『『『『『『『『さあ、始めましょうか。』』』』』』』』』』』』』
多重分身を繰り出した。
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「…つまり、この場合はですね…」
「ふみゃ~~~~~~~~~…」
マンツーマン、或いは1on3の分身個別指導を受ける生徒達。
今迄なら、これに乗じて隙有らば、響、カルマ、寺坂、イトナ、中村辺りがナイフを突き突けて分身を乱したりするのも恒例だったが、今回は それを行う者も居らず。
目の前の暗殺対象(ターゲット)に、暗殺以外の第2の刃を身に着けた事を、証明、報告する為に。
「あ~、違う違う。
それじゃ、前後の文章と繋がらないよ。
自分でも それ、『何か変?』て感じてるっしょ?」
「うっうぅ~~~~~~~~~~~!!」
そして今、岡野に英語…和訳と文法を教えているのは中村。
中村、響、磯貝、奥田、カルマ…
殺せんせー指示の下、各教科のスペシャリストがクラスメートに、その得意科目を教えていた。
ヌルフフフフフ…
他人に教える事で、それと同時に教える側も改めて、より深く理解出来る物なのですよ?
そして それに伴い、チームワークもより強化されます。
特に…
「ほらほら~♪
この場合、コッチを先に代入していくんだよ~?」
「くっ…な、何か…」
「ムカつく…!!」
特にカルマ君には、効果覿面。
1学期期末の時の慢心を反省した点も加わり、より隙が無くなり、より完璧に仕上がっています。
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…その頃の、A組教室。
「皆、解るね?
とりあえずは僕達がトップ層を独占、それにB~D組が続く。
そして その一番下に、奴等が這い蹲る。
それが この学園の、本来の姿なんだ。
その為にも…」
同じくB組。
「…死ヌ気デェ!殺ス気デ脳味噌ニ詰メ込メェ!
奴等ニ負ケタクナケレバナァ!!」
そしてC組。
「…良イノカィ?
彼等ニ勝チタクナイノカイ?
ソンナ事ジャ君、学校ニ居ラレナクナッチャウヨ?」
更にはD組。
「…サァ、共ニ…アイツ等ヲ、蹴落トソウ、ソノ為ニモ…」
生徒が生徒を教えると云う手法を執っていたのは、E組だけでは なかった。
A組では浅野学秀…そして彼の"仕込み"を一足先に受けた、小山、荒木、榊原が、B~D組を強化すべく、放課後、各教室にて特別"狂"化講習を取り仕切っていた。
…E組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺すE組殺す…
≫≫≫≫ 次回予告(予定)!! ≪≪≪≪
次回:暗殺聖闘士
『期末の時間~2学期~(仮)』
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