本当は もっと、ネタに走りたかった…
「待ちやがれ!このタコ!!」
「にゅやーーーーーーー!!?」
金曜日の放課後。
旧校舎の在る裏山にて、特殊素材のナイフやグローブを装備して、黄色いタコを追い掛けている響達。
「待てタコ!その手帳、渡しやがれ!!
そうしたら、今なら、楽に殺ってやる!」
「そ、そーは行きませーん!
これは生徒(キミ)達が健全な男女交際をするに当たっての、大事な記録(レポート)なのですからぁ!!」
「…むっ殺す!!」
…今回の本命の狙いは、殺せんせー暗殺でなく、このタコが持っているメモ帳強奪。
少し前迄 彼等は、先週末に開かれた学園祭について改めて、教室に残っていた皆で話していた。
やがて話題は その場に訪ねてきた、響の彼女…晴華達の事に。
「そう言えば殺せんせー、吉良っちと彼女サンのバカップル振り、隠れて観察してメモってたね~♪」
その際の、カルマの口から出た一言…でなく1つの単語に、
ぷち…
「……………………ほほぅ?」
「き、吉良君?」
一際喰い付く様な反応を見せた響。
「メモ…ねぇ?」
『バカップル』でなく…『メモ』に、である。
…結果、
「「「「「「「悪い出歯亀タコは、居゙ねーがー!!?」」」」」」」
「にゅやーーーーーっ??!
な、何なのですか?いきなり!?」
そして教員室にて、グラビア雑誌鑑賞に夢中になっていた殺せんせーを強襲する、超体育着を着込んだ集団。
響だけでなく、その手帳とやらに、色々と自分達の事を書き込まれている気がしてきた男女数名と、面白がって同行した数名による、タコ狩りが解禁、冒頭の流れに至るのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「そっち、行ったよ!」
「「応!!」」
そして そのタコ狩りは律を介し、先に裏山で遊んでいたり、或いは訓練していた生徒達も参加する事に。
標的(ターゲット)自体、まだまた余裕を見せての舐めプではあるが、徒手やナイフ、そして銃器使用の連携プレーを駆使して、
「にゅや?」
プールへと誘導していった。
「人のプライバシー、覗き込みやがって!
逝けや、このタコがああっ!!」
「う~む、女が絡むと主人公がチン○ラになるのは、この作者からすれば、最早 様式美と化してるわね。」
「不破さん?」
…多少、メタな発言も有る中、水(プール)際に追い詰めた殺せんせーに手刀を向け、特攻を仕掛ける響。
「「吉良!」」
それをサポートする様に、後からナイフを持った、岡島と木村が続く。
パパパパパパ…!!
「にゅ…」
更に その後ろには、空中への退路をを塞ぐかの様に、千葉と速水が中心となり、数名の生徒が殺せんせーの頭上に弾幕を張る。
「穫ったぁ!!」
最初に仕掛けたのは木村。
E組一の俊足が、響より一歩先に前に出で、手に持ったナイフで正面から突きを放ち、それより一瞬遅れて響が右側面から手刀を、更に時間差で、左側面からは岡島がナイフで切りつけに掛かる。
「ヌルフフフフ…
見事なコンビネーション…と、言いたいですが、甘い!」
スカッ…
「「「な…?!」」」
しかし その攻撃に対し、緑と黄の縞々模様のタコは、上空…ではなく、後方のプール側にジャンプし、顔を響達に向けた儘 飛び、その攻撃を簡単に回避、その儘 水上で浮遊状態。
そして、
「うわっ!?」
「ば…っ、岡島…?!!」
「ぅゎったったったっ!?」
ざっぱーーーーーーーーん!!
「「「ギャーーーーーーーーッス!!」」」
「木村ぁ?」「「吉良っちぃ!?」」
攻撃を仕掛けた3人は勢い余り、プールに まっしぐらとなったのであった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「ぶぇえっーーーーーーーっくしょん!」
翌日の土曜日の午前、派手な嚔(クシャミ)をしながら、外を歩いてるのは響。
昨日の暗殺失敗の際の、プール落下。
師走が目の前の この時期、やはりプールに飛び込んだりするのは、流石に少しだけ、無理が有った様だった。
「ちっくそ!あの体育着(ふく)、完全防水仕様じゃなかったのかよ?
…まあ、確かに下着なんかは濡れてなかったけど…」
何やら ぶつくさ言いながら、病院に足を進める響。
「へ?」「あ…」「よっ♪」
そして その診療所の待合室に居たのは、昨日、響とプールに仲良くダイブした岡島と木村の2人だった。
「お前達もかよ?(笑)」
「応よ。くしゃみは止まらんし鼻水は止まらんし、地味に熱出てるし…」
「ぁぁ…………………。」
響の問い掛けに、岡島はヤン〇ャンの水着アイドルのグラビアページを、にやけた顔で凝視しながら応え、木村は緊張した面持ちでロビーチェアに身を縮こまらせて座り、小声で言葉少ない受け答え。
「俺も さっき来たばっかだけど、木村は もう診察終わって、会計待ちなんだよな?」
「…うん。」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「……………………♪」
「…………………………。」
「………?」
待合室のロビーチェアに座る、3人の中学生男子。
1人は喰い入る様にグラビア雑誌を熱読、1人は何やら落ち着きが無く、そわそわと体を震わせている。
そして最後の1人は、その挙動を少し不審に思いながらも、スマホにヘッドホンを当て、音楽を聞いていた。
因みに今 流れている曲の歌い手は…先日 学園祭にやってきた、『彼女』だ。
…そんな中、受付カウンターから呼び出しが。
「木村さーん、木村m…じゃ…すてぃすサァ~ン…」
「!!!」
「……??!」
受付ナースの やや引き気味の呼び出しに僅かに どよめく待合室の中、瞬時に顔を真っ赤にする木村。
慌てて隣に座っているクラスメート達に顔を向けると、
「………………♪」
「…………♪」
1人は水着アイドルのグラビアページに熱中、もう1人はスマホから流れる音楽に興じており、如何にも『何も聞こえていない』様なリアクションを取っていた。
「………………………。」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「悪ぃ、あーゆー時、どんなリアクションを取れば良いか、分からなかったんだ。」
「笑えば良いと思うよ。」
「ん。不破ちゃん、 少し黙ろうか。」
「いや、本当に笑えば良かったんだよ~!
…ってか、いっその事、マジに一思いに笑ってくれ!」
「木村、落っ着け!www」
月曜日の朝。
教室にて、あの病院での一連の流れを改めて話している響達。
「いや、悪いが そっち系のニュースのネタとして話すなら兎も角、流石に当人の前じゃ、笑えねぇ。」
「あの病院、フルネームで呼び出しするからなぁ…
俺は前から知ってたが、吉良は知らなかったん?」
「応。今迄、普通に"マサヨシ"か"セイギ"だとばかり思ってたぜ。」
「あの時の お前達の『何も聞こえていなかったとばかりの気付いてないフリ』、マジに友情を感じたぜ…(T_T)」
「あの時の木村のキョドりまくりな落ち着きの無さ、その理由も納得だぜ。」
「それは言わないでくれよ~…」
木村
警察官である両親が、初めての子供に対し、その持ち前の正義感から、舞い上がって付けた名前らしい。
「この名前の件に関してだけは、本校舎の連中でさえ、武士の情けなのか触れずにいてくれるからなぁ…
はぁ~~~~~~~~~~~~~~…」
「い、いや、『正義』と書いて『Justice』なら、まだマシだぜ?
前にニュースで見たが、"火星(Venus)"ちゃん…いや"金星(Mars)"君だったかな?
それに比べたら…」
「そ、それは酷いな…」
「親が二重(ダブル)、いや三重(トリプル)の意味でバカだぜ…」
「絶対に それ、あのアニメが元ネタだよね…」
「役所も突っ込めよな…
英訳、間違ってるってさ…」
「そっち?!」
「…親戚に、小学校の先生が居てさ、何年も前の話だけど、『今年はピカ〇ュウ3匹ゲットだぜ!!』って言ってた…」
「「「「「「「「ぶふぅーーーーーっ?!
上手い!でも、笑えん!!」」」」」」」」
「てゆーか、ピ〇チュウなら、B組に居るぞ。」
「マジ?」
改めて凹む木村に対し、フォローに努めるE組の面々。
次第に話す話題はDQN…所謂、"個性的(バ〇)過ぎるネーミング"な話となり、
「え~?俺? 俺は、自分の名前、気に入ってるよ~♪」
とか、
「そー言えばウチ、親戚に"ケンシロウ"(健四郎)さん(51)が居るぜ。
四男だけど。」
「へ~? 因みに その長男の名前は?」
「淳壱郎さん(62)。」
「おぃ、そこはラ〇ウだろ?」
「何処の世紀末兄弟だ!?」
とか、
「よーし、狭間ちゃん?
アンタ、吉良っちと結婚なさい!!」
「「「奇〇組かよ?!」」」
…な会話が交わされていった。
「ヌルフフフフフ…私も名前については、気に入らない点が有ります。」
そんな会話に参加する人物が1人。
「え?殺せんせーって茅野ちゃんが付けた その名前、気に入ってるんじゃなかったっけ?」
殺せんせーである。
「はい。気に入ってるからこそ…」
響の問い掛けに、殺せんせーは
「それなのに、未だに その名前で読んでくれない人が、約2名!!」
ビシィ!
「ぅ!?」「ぬ…」
そう言って、教室の前側で話していた、烏間とイリーナを やや怒りな表情で触手(ゆび)差した。
その指摘に、気拙い顔をする2人。
「イリーナ先生は"タコ"ですし…
烏間先生に至っては、"おい"とか"お前"ですよ!
何処の倦怠期の夫婦なんですか!?」
「いや、それはだな…」
「だ…だって…この年齢(トシ)で"殺せんせー"なんて、キツいし…」
「イリーナ先生は一番最初は、笑顔を振り撒きながら、「殺せんせ~(はぁと)♪」って言ってくれてたじゃないですか?」
「それは暗殺で、油断させる為よ!
『素』で言う訳、無いじゃないの!!」
「理事長先生は嫌な顔をせず、普通に この名前で呼んでくれてますよ?
ロヴロさんだって!」
「「うぅ…!!」」
兎に角 呼んで欲しい殺せんせーと、絶対に呼びたくない顔を見せる2人。
「よし、こうしましょう!
コードネームです!!」
「「「「「「コードネーム?」」」」」」
殺せんせーの"コードネーム"発言に鸚鵡返しする生徒達。
「はい。皆さんの名前をもう1つ、新しく作るのです。」
「レッドアイさんや、沖縄で会った、殺し屋達みたいに?」
「その通りです、磯貝君。
レッドアイさん、そしてスモッグさんグリップさんガストロさん…彼等は互いに、本名を隠して異名(コードネーム)で呼び合っていましたよね?」
「確かに、如何にも"THE・殺し屋"!…みたいな感じだったよな~。」
…そんな訳で、
「皆さん各自、クラス全員分のコードネーム候補を書いて貰い、先生が その中から1枚、無作為に引いた物が、皆さんの今日のコードネームです。
これは皆さんが将来、父親母親になった時の、ネーミングセンスを鍛える意味合いも有ります。
そして何よりも!
あの頭の固い2人も、渾名呼びに慣れるべきという意味合いが有りますから、皆さん真剣に考えて下さい。」
「「うぅっ!!?」」
クラス全員に、烏間とイリーナを含む、クラス人数分の札が配られ、
(いや、面白いけど、全員分考えるって…)
(思い付きでテキトーに書いちまうべ)
(ビッチ先生…【ぼっち先生】…っと。)
この日は互いをコードネームで呼び合う事となり、本名で呼ぶのは禁止となった。
「因みに先生のコードネームは、既に決まっておりまして…」
「「「「「???」」」」」
カキカキカキカキ…
「今日は これで呼んで下さい。」
そう言って、ドヤ顔と共に黒板に書かれたのは、
【悠久(とわ)なる疾風(かぜ)の運命(さだめ)の皇子(プリンス)】
ピキィィッ!
それを見た生徒達の顔が、一瞬にして殺意と共に硬直。
「巫っ山戯るな!このタコ!!」
「何スカしてんだ、テメーーーっ!!?」
ブーブーブーブー!!!!
「にゅや?ちょ…」
非難囂々な怒声と共に、この黄色いタコに向けて、消しゴムや教科書に紙屑、特殊素材の弾丸やナイフが乱舞する。
「「「「「「テメーは今日1日、【エロなるバカのヘタレのタコ】だ!!」」」」」」
「にゅやーーーーーーーーーーー!!
ドイヒーーーーーーーーーーーーっ!!?」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「【メガネ(爆)】、【メガネ(爆)】、聞こえるか?
此方、【編集マッシュルーム】。
標的(ターゲット)に動きは見えるか?」
「いえ。以前、標的(ターゲット)【堅物】は、一本松の近くに潜んでいる模様。
【イケメン貧乏】のチームが背後から沢に追い込み、そこを【ツンデレスナイパー】が仕留める手筈になっています。」
この日の1時限目は、体育の授業。
裏山にて、胸元と背中に標的(ターゲット)マークを貼った体育教師【堅物】を、攻略する内容だったが…
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「2人共 甘い!」
「「なぁっ!?」」
【堅物】は、後方の茂みから、銃を持って迫る2人の間を潜り抜ける。
「特に【女っ垂らし糞チャラ男】!!
銃は常に、撃てる高さに構えておけ!」
「ぅぐが…!?」
ダメ出ししながら、そして無自覚に精神的ダメージを与えながら、その場を走り去る【堅物】。
「はぃ~、通行止めで~す!」
「この先は、進ませないよ~?♪」
その【堅物】の前に、次に立ちはだかったのは、【変態坊主パパラッチ】と【紅髪の厨弐悪魔】。
パァン!
「?!」
その存在力行動力故に、E組のエースの1人と言って良い、【紅髪の厨弐悪魔】に気を捕られた瞬間、【堅物】の背中のターゲットマークにペイント弾が炸裂した。
「よっしゃあっ!!」
本来ならば"エース(きりふだ)"を"囮((みせふだ)"として前に出して地上に注意を引き付け、其処を木の上で隠れスタンバっていた【ジャイアントブタゴリラ】の一撃だ。
「続くわよ!
【お母さん】と【男の娘】!」
「えぇ!」「りょ…了解…ぃ」
更には【"凛!!"として OHANASHI】の指揮の下に、命中(ヒット)目的でなく、進行進路を狭めるのを目的とした弾幕狙撃が【堅物】を襲う。
「誘導されているな…」
それを解っていながら、敢えて弾幕の中、唯一開かれた退路を進む【堅物】。
其処に待っていたのは…
パァァン!!
そのポイントをスコープでマーク、待機していた、【恋愛SLGの主役】の遠距離狙撃(ロングスナイプ)。
「【恋愛SLGの主役】!! 君の狙撃は、常に警戒されていると思え! 」
しかし その一撃は読まれており、その場に落ちていた木片を拾われ、それで盾の如く受け止められた。
「解ってますよ…
だから締めは、俺でなくて…」
バサァ!!
【堅物】の このダメ出しに、【恋愛SLGの主役】が不敵に笑いながら呟いた瞬間、茂みから飛び出し、【堅物】の死角に回り込みながら、ナイフの如く手刀を突き突ける1つの影。
「君もだ、【露出リア充】!
遠距離狙撃と近接格闘の両エースの連携、今回の授業(ミッション)で俺が想定してないとでも思っていたか?!」
ガシィッ
そう言いながら【堅物】は、【露出リア充】の放った手刀…その腕をがっちりとキャッチ。
「そっりゃあ勿論…」
その言葉に苦笑する【露出リア充】。
「だ・か・ら・締めは、俺達でなく…」
バサァ!!
「!!?」
【堅物】の背後、【露出リア充】が潜んでいた茂みから、もう1つの影が飛び出した。
「殺っちまえ!【Justice】!!」
「……………。」
「な…んだと…!?」
パパパパパァン…
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「「「「「「…………………」」」」」」
ぐっでーーーーーーーーーーーーん…
1時限目が終了。
精神的にキツかったのか、E組の面々は机の上に顔を置くが如く、項垂れていた。
「何なのよ…【衝撃の"E"】って…?」
…恐らくは、バストサイズからであろう。
「何んなのよーーー!? 誰が考えたのよ!?
この【AAA(トリプル・エー)】って?!」
…恐らくは、バストs(以下同文)。
「いや、それは【AAA(トリプレ・ア)】と読むんd
「お前かぁーーーーーーーーーあっ!!」
バキィッ!
「ぐはぁっ??!」
「「「「ろ、【露出リア充】ぅう!?」」」」
「い、言っとくけど、私のサイズはBだからねっ!!?」
怒りから溢れる氣(オーラ)が"AA(ダブル・エー)"の文字を形成する、【AAA(トリプレ・ア)】の、モデルMSZ-006によるフルスイングの一撃が、【露出リア充】に炸裂した。
「【下ネタボケナース】って何よ…?
私、別にナースなキャラじゃないし、下ネタでボケたりしないもん…」
「それは多分、アンタのモデルとなったキャラが由来だと思うな…」
「ちょ…【このマンガが凄い!】…
メタは止めて…」
「【この猿 半端無いって!】…って連呼された…」
「うぅ…【天然腹黒きょぬー箱入りコスプレ娘】って…設定盛り過ぎですぅ…」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「…で、皆さん どうでしたか?
1時限目をコードネームで過ごしてみた感想は?」
「「「「「「「何か…どっと傷ついた…。」」」」」」」
【エロなるバカのヘタレのタコ】の問い掛けに、ぐったりした儘 答える、E組の皆さん。
尤も それは そのコードネームの殆どが、何かしら毒やら棘、悪意の有るネーミングだったから致し方無し。
「…で、【エロなるタコ】せんせー?」
「にゅや? ついに略したーー?!」
自分達で名付けておきながら、流石に余りにも長すぎたのか、略したコードネームで【Justice】が尋ねる。
「どうせなら、"エロ"の部分を真っ先に端折って欲しかったのですが…」
「いや、そんな事より、今回のコードネーム、何で俺だけ、"正義(ジャスティス)"って本名その儘だったんだよ?」
【Justice】…木村の この問い掛けに【エロなるタコ】…殺せんせーは、
「今日の体育の内容は知っていましたから、君なら その持ち前の脚を活かして活躍すると思ったからです。
事実、最後にカッコ良く決めた時、【Justice】のネーミングが しっくりきていたでしょ?」
「ぅ~む、確かに…」
無数のペイント痕が付着した標的(ターゲット)を見せ、そう答えた。
「それから木村君…」
更に殺せんせーは話を続ける。
「安心の為に言っておくと、君の名前は比較的簡単に改名手続きが出来る筈です。」
「え?そうなの?」
「はい。極めて読み辛い…親御さんには失礼ですが、常識から逸脱された名前であり、しかも君は既に"まさよし"と、普段から普通に読み易い名前で通しています。
改名の条件は満たしています。」
「…そ、そうなんだ…!」
その言葉に、安堵の笑みを浮かべる木村。
「でもね…仮に君が先生を殺す事が出来たなら、世界は きっと、君の名前をこう解釈するでしょう。
『正しく正義(ジャスティス)だ!』『世界を救った英雄の名に相応しい!!』…と。」
「……………………………………。」
更に更に続く、殺せんせーの言葉。
これを聞いた木村は、『His name is Justice!!』の見出しで、自身がドヤ顔でサムズアップする写真が、大きく一面に載せられた英字新聞を脳内でイメージ。
ぶるんぶるん…!
一瞬、「この名前、実は良んじゃね?」と自分の名前に対する考えを揺るがせるが、「いやいや、やっぱり無い!」…とばかり否定する様に、首を横に大きく振る。
「まあ結局の処、親御さんが付けてくれた名前には、多少の願いは有っても、大した"意味"は無いのです。
"意味"が在るのは、その名の人が、その人生の中で、何をやってきたのか…。」
「「「「「「……………。」」」」」」
「名前は人を造りはしない。
人の歩み…その足跡の中に、そっと その人の名前が刻まれるだけなのです。」
気付けば続く台詞は木村だけでなく、教室の生徒全員が、聴き入っていた。
「…だから木村君…
もう暫く正義(ジャスティス)という その名前…
大事に持っていては、どうですか?
少なくとも この教室内での暗殺に決着が着く時迄は…ね?」
「……………。」
そう言って、殺せんせーは笑顔で締めた。
「仕っ方無ぇなぁ…
まぁ、そーゆー事に しといてやるか…」
その言葉に、僅かながら自分の名前の考え方について、軟化したかの様な表情を見せる木村。
今後、早くて彼が約1年後…或いは成人後に、改名手続きを取るか否かは、彼次第であり、それは別の話である。
※※※※※今回のコードネーム※※※※※
・編集マッシュルーム…三村
・イケメン貧乏…磯貝
・女っ垂らし糞チャラ男…前原
・変態坊主パパラッチ…岡島
・紅髪の厨弐悪魔…カルマ
・ジャイアントブタゴリラ…寺坂
・お母さん…原
・男の娘…渚
・"凛!!"としてOHANASHI…片岡
・恋愛SLGの主役…千葉
・露出リア充…響
・衝撃の"E"…矢田
・AAA(トリプレ・ア)…茅野
・下ネタボケナース…櫻瀬(※)
・この猿 半端無いって!…岡野
・天然腹黒きょぬー箱入りコスプレ娘…律
・イリーナ…ぼっち先生
※小説オリキャラ。
容姿は『心療内科』の あすな。
上記に紹介されてない人、その他、コードネームが出なかった人は、原作その儘と思って下さい。
≫≫≫≫ 次回予告(予定)!! ≪≪≪≪
「逝くぜ!ドライヴゥ~…シューッ!!」
次回:暗殺聖闘士『サッカーの時間(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。