暗殺聖闘士   作:挫梛道

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m(_ _)m
お久しぶりに御座います。
決して放棄していた訳では無いっす。
 



アジトの時間

「此処、か…」

死神に拉致されたイリーナを救出すべく、烏間の指導の下、律に送られたメールに記された場所に到着したE組一同の約半数。

本来ならば、殺せんせーも これに同行する予定だったのだが、

 

≫≫≫

 

「あ゙~?行くだけ無駄っしょ?

死神っちさんに勝てる訳ないし~?」

「いえ…彼は もう、倒されて捕まってますから…」

「きゃははは!このエロタコ、ギャグのセンスあるぅ!超~ウケるんですけどぉ?

ぷーくすくす!!」

「…………………………………………。」

メールを開いたと同時に、ウイルス感染、ハッキングされた律の設定修復(ちりょう)に勤しんでいた。

 

「しかし、このハックド律さんの設定…

まさか…いや、そんな筈は…」

本体画面の液晶モニターには、汚部屋の中で背中を向けて横になり、菓子をポリポリと食べながら、ピコピコと携帯ゲーム機をプレイしている少女の姿が。

誰の設定(しゅみ)なのか、イリーナを僅かに超えた胸元も、茅野以上に慎ましくなっており、自分と対極な その趣味に、既に存在しない筈の死神を名乗った人物に、1人心当たりを思い浮かべるが、直ぐに頭を横に振って それを現実逃避するかの様に否定していた。

 

「ちょ…何を勝手に、女子の内側を開いて覗いてんのよ?このセクハラタコ!

訴えるわよ!!?」

「………………………………………。」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

殺せんせー暗殺手段の為だけに、廃工場を改装(リフォーム)したかの様な、死神のアジト。

死神の仲間の様な人物の気配は無いが、例えば…RPGではラスボスの魔王が斃されただけで雑魚モンスターが消える様に、主が捕らわれただけで その機能が喪われる…筈も無く、E組の進む道には悉く、ドアに仕掛けられた爆薬や、鉄骨にボウガン、落とし穴に金盥、その他諸々…死神の仕込んでいた罠(トラップ)が待ち構えていた。

尤も その全てを、一同の先頭を歩いている烏間が事前に察し、難無くクリアしていたのだが…

 

『『『『『がるるるる…』』』』』

 

…E組の目の前に立ちはだかったのは、重火器を背負い、軍用訓練された、数匹のドーベルマン。

侵入者に向けて番犬の放つ、野生でなく訓練による凄まじい殺気。

 

「「「「「「う…うゎぁあ…」」」」」」

日頃からの訓練の賜物故に、それを敏感に感じた生徒達の殆どが、足を竦ませる。

 

「ふん…」

しかしながら、それに全く動じない男が1人、一歩前に踏み出した。

E組副担任、烏間惟臣。

 

 

…死神め、あのタコを殺す為に、生徒達を巻き込もうとしたばかりか、こんな動物迄暗殺用に仕込み、使おうとしていたのか?

許さん…ますます以て、赦さんぞ…

 

 

明らかに不機嫌な顔となり、

「何が赦さんってな…俺は、動物が…」

生徒達には聞こえない程の小声で、ぶつぶつと この暗殺仕様犬に近づく烏間。

 

「特に、犬(わんこ)が大好きなんだ…!!」

にっこり…

出来る事なら傷付けたくない…

その思いからの満面な笑みで、自分には戦闘意欲が無いのを示す烏間に対し、

 

びっくぅっ!!(」゙O゙L)

その顔(オーガ・スマイル)を見たドーベルマン達は恐怖に慄き、降参の意を示すかの様に、その場で伏せてしまう。

                  

「凄ぇぜ烏間先生!

睨んだだけで あの犬共、完全に黙らせやがった!」

「……………………。」

烏間の背中しか見てなかった生徒達は、まさか微笑んでの掌握とは気付かず やんやの歓声を送り、

「一応、この銃は外しておくか…

堀部君、手伝ってくれるか?」

…かと言って、微笑み掛けたら それだけでビビられてしまったとは言える筈も無く、内心かーなーり、凹みながらも この愛犬家は それを悟られぬ様、この軍用犬の武装解除に銃器の調整、整備を得意としているイトナにアシストを要請。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

『くぅ~ん、くん…』

「きゃははは♪くすぐったいよ~?♪」

「はいはいはい~。

良~し良し良し、良い子ですねぇ~?」

「……………………………orz」

「「「「「か、烏間先生!?」」」」」

その後、背中の大型機関銃を外された犬達は、何故か倉橋に対し、じゃれる様に抱き付いて顔を舐め回し、そして響には、服従の意を示すかの様に仰向けとなり、所謂『腹撫で』のアピール。

その自分とは 打って変わる、自分が望んでいたリアクションに、「何故、俺には…?」とばかりに跪き項垂れる烏間に、端から見れば、いきなり原因不明の凹みっ振りを見せる副担任に、生徒達が心配の声を掛けていた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「「「「「ビッチ先生!?」」」」」

そして進んで行った2階フロアの一室にて、天井から吊られたロープで手首を拘束されているイリーナを発見したE組一同。

 

「大丈夫…なのかよ?」

「ぅん…」

「ん!気を失ってるだけ…息はあるよ!」

そう言いながら、矢田がロープを切り、

「ょっと…ったく、世話の灼ける…」

寺坂が彼女を背負う。

  

「寺坂~?どさまぎで お尻とか、触ったりしちゃ駄目だよ~?♪」

「するかっ!!?」

カルマの冷やかす様な台詞に、必死に否定する寺坂。

 

「…成る程、『背中越しの胸の感触だけで充分です!!』…と。

寺坂ぁ、サぁイテぇ~www」

「それも違う!」

そして便乗する中村の言葉にも、更に真剣に否定。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ん~…んんっ?!」

「お?起きたか?」

「「「ビッチ先生!」」」

死神アジトの改装された廃工場内、来た道を戻り、外に出る少し手間で、イリーナが漸く目を覚ました。

 

「ちょ…何で私、寺坂に負ぶされてる訳?

どーゆー事なのよ!?

とりあえず、早く降ろしなさい!」

ゴン!

「あ痛てっ?!」

目を覚ました途端、平常運転となるイリーナ。

そして未だ今一、状況が理解出来ていないイリーナに、何が有ったのか、事情を説明する生徒達。

 

                  

「はあ!? あれから3日経ってるぅ?

…って、死神ぃい?!」

そして自分が最強暗殺者・死神に攫われた事に、驚きを隠せないイリーナ。

                  

「し、しかも、ヒビキが死神、倒したですってぇっ?!」

「吉良響は、死神殺しの魔王である!!」

「不破ちゃん~、人をカンピ〇ーネみたいに言うの、止めてくれる?」

響はカン〇オーネでなく、聖闘士である。                  

「それにしても、如何に相手が世界最強の殺し屋だからって、ビッチ先生が訳解らない儘に、捕まるなんて…」

「「「ん、確かに。」」」

「………………………………(¬з¬)」

茅野の何気無い疑問(つぶやき)、それに同意する一同から、イリーナは気不味そうに目を逸らす。

 

「どうせ、カルマの『ぼっち先生』発言で凹み&半ギレしてた時に、烏間先生に変装してた死神に優しく声を掛けられ誘われて、チョロくも ほいほい着いてって攫われた…って処でしょ? この ぼっち。」

「わ、悪かったわね!?

えー、そーよ!全く その通ーりよ!!

それから、ぼっちって言ーな!!」

グィ…

「うぅげ!? お、俺に当たるな!!」

この響の推論に、半泣きで顔を赤くして逆ギレ、八つ当たりなのか、負ぶさっている寺坂に背後からチョークスリーパーを極めながらも、それを認めるイリーナ。

 

 

「と、兎に角、起きたんなら自分で歩きやがれ!」

「ふん!言われる迄も無いわよ!ガキ!!」

そう言って、寺坂の背中から降りるイリーナ。

 

「あっ、痛ぅっ!!」

「「「「「び、ビッチ先生?!」」」」」

しかし その1秒後、一歩 歩いた直後にイリーナは、間抜け顔と共に足を押さえてしまう。

 

「ビッチ先生?」

「どうしたんだよ?」

「だ、大丈夫?」

それを見て、心配顔で駆け寄る生徒達。

 

「は…裸足で小石踏んだ…」

ガタガタガタガタっ!!

その台詞に、派手にコケる生徒達。

 

「ハァ…何なんだよ? このビッチわ…」

溜め息と同時に、やれやれ顔な寺坂が腰を降ろし、

「ほれよ。」

再び負ぶされとばかりに背中を向けるが

「チェンジ.」

「「「「「「はぁああ?!」」」」」」」

このBitchは寺坂の受け入れを拒否。

 

「何言ってんだ!このビッチ!!?」

「チェンジって何よ?!」

「仮にも教育者の台詞じゃないわよ!」

「…そんなだから ぼっちって言われる。」

「まあ、そりゃ寺坂嫌だって、その気持ちは解るけどさ~♪」

「んだとぉ?ゴラ゙ァ?!」

『チェンジ』…その意味、その元ネタを知っている故に(情報源:イリーナ)、その台詞に生徒達からは非難轟々。

 

「う…うっさいわね!

兎に角、チェンジよ、チェ・ン・ジ!!

私にだって、選ぶ権利は有るわよ!

あとリンカ!ぼっち言ーな!!」

それ等を突っ込み込みで、イリーナは逆ギレで返し、その場の とある人物に、俯き加減で視線を向ける。

 

「「「「「「「………!!」」」」」」」

その視線を、当人以外の全員が察知。

女子生徒が約1名、複雑な表情を浮かべる中、チームワーク抜群に悪(よ)い笑顔で頷き合うと、

「烏間先生~?」「御指名で~す♪」

「何?」

クラスを代表して、E組悪童コンビが烏間に話し掛けた。

                  

「何故、俺が…って、もう自分で歩かせたら良いだろ!?」

「「「「「「「はぁ~…」」」」」」」

しかし この烏間(どんかんおとこ)の、全く察せない、それを拒むかの発言に、生徒一同は『駄目だ、コイツ…真剣(マヂ)に何とかしないと…』と、ばかりな、溜め息の大合唱。

                  

「良ーから!今回の誘拐劇、烏間先生にも原因ってか責任が有るんだから!」

「「「「そーそー。」」」」

「そーだそーだ!全部、カラスマとカルマが悪い!だから、Harry up!」

「な…?何なのだ…一体…?」

この後 結局、生徒達…そしてイリーナからの責め立てに、訳の解らぬ儘に屈した烏間は、腰を屈め、先日21の誕生日を迎えた同僚に背中を向けるのだった。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

 

 

「~~~~~~~~~~~♪」

「………………………………………。」

 

帰り道、未だ今一理解納得出来ていない仏頂面の烏間に、背負われているイリーナ。

そして背後から その光景を見て、ニヤニヤしているのは、生徒達である

約3名の少年少女は、その様子をスマホで撮影。

彼等の頭や背中に、角や蝙蝠の様な羽が見えるのは、あくまでも幻覚(イメージ)である。

 

「うっぅう~~~~~~~~~~!!」

「「よしよし♪」」

そんな中に1名程、納得の往かない顔を浮かべている女生徒に、矢田と片岡が宥めあやす様に頭を撫でていた。

 

 

 

ふん…

カラスマ…まぁ、アンタからのプレゼント、今年はコレで、勘弁してあげるわ!

その代わり…来年は こんな程度じゃ、済まされないからね!!

 

 

 

…そう、心の中で呟く金髪美女は、満面の笑みを浮かべていたとか。

 

 




≫≫≫≫ 次回予告(予定)!! ≪≪≪≪
 
次回:暗殺聖闘士『文化祭の時間(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 

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