暗殺聖闘士   作:挫梛道

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因みに…
野球部の新藤は、最初から棒倒しには、参加要請を断り、不参加。
バスケ部の安堂は参加不参加は不明。
まぁ、今頃はE組側の棒の下敷きにでも、なってんじゃないですかね?(笑)
 



続・危険人物の時間

パチパチパチパチパチパチ…

「ブラヴォー!」

「はらしょ~!!」

スタンディングオベレーションで、イタリア語とロシア語でE組の勝利を称える英語圏の2人。

 

パチパチパチパチパチパチパチパチ…

この2人だけではない。

「凄ぇー!」「マジに勝ったし!!」

人数的にも、そして大型外人の助っ人2人導入(当初は4人の予定だった)と云う、圧倒的戦力差にも拘わらず、その大方の結末予想をひっくり返したE組に、3年生は兎も角、1年生2年生が、感嘆の拍手と歓声を、E組に向けて惜しみ無く送っていた。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「うがーーーーーーーーーーーっ!!」

バサァッ!!

「「「ぬわーーーっ!?」」」

「「「「うわあぁっ?!」」」」

その時、E組陣地にて、棒の下敷きになっていたザンジウが、雄叫びと共に、その棒を撥ね除け立ち上がり、一緒に棒に押さえられていた4人の味方の生徒諸共、寺坂、竹林、響を撥ね飛ばす。

 

「ざ、ザンジウ?」

「いきなり、何を…?」

余りに不意な出来事に、驚き戸惑う本校舎勢だが、

「あ…悪ぃ…」

「おぅ、勝負着いてたのに、何時迄も押さえ付けてて、悪かったな。」

「全くですね。すいませんでした。」

響、寺坂、竹林は即座に状況分析、その怒りを察して謝罪。

 

「うががががー!」

ぶぅん…

「へ?俺?待てよ?!

メインで棒を押し付けてたの、俺でなく、寺坂だぜ?」

「おいっ!!?」

しかし怒り治まらぬか、響に対して、攻撃の手を止めないザンジウ。

 

「うっわ!? 日本語通じてねーし!

竹林、韓国語で『ごめんなさい』って、言ってくれ!」

「無理です。あいきゃんと、すぴーくこりあん.」

「まじっすかー!?

m(_ _)m ごめん!俺が悪かったから!

"準"チートとか言って、悪かったから!!

訂正する!キミ、立派にチートだから!!」

「吉良ぁ…キレてるの、多分、そこじゃねーと思うぞ…」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

ザンジウの暴走に、

「な、何やってんだよ、アイツ…?」

客席の瀬尾が、

「あ…あんなに明ら様に…」

破壊された放送席で荒木が、

「あくまでも事故に見せかけろって、あれ程言っておいたじゃないか!??」

そして倒された棒の すぐ傍で、小山が呟いた。

 

「何っ!? 今、何て言った?

どういう意味だ?小山!!?」

「あっ、浅n…いや、これは…その…」

くぃ…

「答えろ!また僕に黙って、勝手な真似をしてたな!??」

その呟きを聞き逃さなかった浅野が、怒りの感情を顔に露わにして、ジャージの胸元を掴み上げ、小山を問い詰める。

 

「じ、実は…」

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「な…何やっちゃってんの?アイツ!?」

「とりあえず、何かキレてるな…」

「あ~!何でLeachinは冷静なの?

アイツ、あの儘じゃ、あの おデブに殺られちゃうよ?!」

「仕方無いな…助けに入るか…」

「もぅ~! はりーあっぷ!!」

このザンジウの暴走を見た、リーヴとティッキーが、それを止めんと動き出す。

 

「お前等は…何処迄、勝手に…!!」

「ぃや…すまなぃ…」

そして小山から、全てを…荒木、瀬尾の3人で共謀して、ザンジウに金を渡し、響のヒットの依頼をしていた事を聞き出した浅野も、

「くっ…仕方無い…

皆でザンジウを止めるぞ!

レアオ、キミも手伝ってくれ!!」

「「「「「あ…あぁ…」」」」」

「…ヤレヤレだな。」

「小山、お前も来るんだ!」

「ゎわっ!?」

内心は不本意ながら、ザンジウをストップさせる為に、周りの生徒達と共に、その番外乱闘の場に走り出した。

 

「「「「「吉良ぁ!」」」」」

「「「「「「吉良君?」」」」」」

「「「吉良っち!?」」」

「…女子は、席に戻って!皆、行くぞ!!」

「「「「「お…応…!!」」」」」

そして当然、磯貝達も、響の救援へと走り出す。

 

「磯貝~、吉良っちならさぁ、何だか助けに行かなくても、勝つんじゃね?

寧ろ俺達って、駆け付けた処で、ぶっちゃけ邪魔じゃね?」

「な…幾ら吉良でも、あの体格差で、勝つのは難しいだろ!?」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「うががが!」

「何なんだよ?一体!?」

響に対し、執拗に攻撃してくるザンジウ。

その身長差故に、打ち下ろし式となる張り手を悉く躱していく響だが、この男が、何時迄も大人しく防戦一方で済ませる様な性格な訳も無く、

「この…いー加減にしやがれ!

このデヴ!! …うるぁ!」

バシィッ!

恐らくは張り手一撃喰らわせた後に捕まえ、体格差を活かした圧殺を狙っていたのであろうザンジウの攻撃を横移動で躱した響が、下段蹴りでの反撃。

鋭い蹴りが、脛にヒット。 

 

「既に充分、正当防衛だよな?」

 

カクン…

「……!?」

その一撃だけでバランスを崩し、片膝を地に着けてしまうザンジウ。

 

 

「「Stop!Zanjiu!!」」

「止めるんだ、ザンジウ!」

「吉良!」

このタイミングで、リーヴとティッキー、浅野達、そしてE組の面々の それぞれが駆け付けるが、

「うがぁ!」

「…!!」

立ち上がっても、浅野やリーヴ達の静止の声に聞く耳持たず、尚も攻撃を続けるザンジウ。

 

「寺坂!竹林!お前等も何故、止めようとしないんだよ?!」

「あの間に割って入れるか??!」

「普通に死ねますよ?」

「うぅ…」

この時 千葉が、すぐ傍で この巨漢の暴挙を止めようとせず、傍観していただけの寺坂と竹林人を問い質すが、これに対し、真っ当な正論?で切り返す2人。

 

「仕方無い!実力行使だね!!」

「Hey!Youも手伝ってくれ!!」

「…(コクン)」

そしてリーヴとティッキー、更には言葉は通じないも、その場の雰囲気で、何を言われたのか理解したレアオが、乱闘を続ける2人の間に割って入れろうとした時、

「うが…!?」

どん!

振り下ろされた張り手を、頭上のクロスガードで受け止めた響は、直後に両手で手首を掴むと腕を極め、その儘ザンジウの背後に回り込み、背中合わせの状態から、

「でぇえいぃやぁああっ!!!!」

ズッシィーン!!

「………!!?」

変則の…従来、『一本』を取る為の、背中から地に着けるのではなく、体の前面、顔面に胸、腹部を地面に強打させる、変則の背負い投げを、決めて魅せたのだった。                   

「「Wow!Japanese Judoh!!」」

「…?!!」

その技の冴えに、感嘆の声をあげ、又は驚愕して言葉を詰まらせる留学生の3人。

 

「馬鹿な…」「あの巨体を…」

「あの、ザンジウを…」

「投げ飛ばした…だと?」

予想の遥か外の展開に、動揺する浅野達。

 

「まぢに勝ってるし…」

「あー、やっぱりオマエ、チートでなくて、もぅ人外で良ーだろ?」

「ね?言った通りっしょ?

吉良っちなら、心配無用だって♪」

「ぁ…う…ん…」

「あははは…」

そして、実は そんなに心配していなかった、E組の面々。

 

因みにザンジウは、響の投げ技で、身体前面全身を痛打、特に両膝、更には右の肩と肘を痛め、動くのも儘ならぬ状態となり、この乱闘騒ぎは終了した。

そして自力で歩けないザンジウは、一般の生徒や教諭の手では、担架等で運ぶのは難しく、

「う~、重いし~ぃ…!」

「Shit!少しはダイエットしやがれ!」

結局は留学生達の肩を借りる事で、医務室迄退場となった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「「「せ、先輩っ!」」」

「ん?」

一連の騒ぎも一段落し、体育祭も閉会、山の上の旧校舎に戻る途中、磯貝が1年の女

子生徒に声を声を掛けられる。

 

「あ、あの…」

「凄く、」

「カッコ良かったです!」

「ああ、ありがとうね。」

「「「~~~~~~~!!」」」

磯貝が その呼び掛けに笑顔で応えると、無言で感無量な顔になる女生徒達。

 

「ちっ、これだからイケメンわ…!

俺なんか今回のアレで、更に危険人物認定だぜ…って、片岡さ~ん? 目から光が消えてるy(ガン!!)たわばっ!?」

「「「き、吉良ーーーーーーっ!!?」」」

                  

しかし、そんな響にも、

「吉良先輩!」

「カッケーかったっす!」

「ぱネェっす!!」

「お…応…アレ、危ないから、間違っても真似するなよ…」

一部、1年2年の男子生徒からは、カリスマな目で見られたりするが、

「いや…磯貝のと、何か違うし…」

少しだけ、納得が往かない様だった。

                  

「「「「「「いや、オマエ、彼女居るし、別に良いだろーが!!(血涙)」」」」」」                   

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「凄かったよな、E組…!」

「あぁ、あのキマリになったスーパージャンプ、滅っ茶やべーし。」

「何と言っても、最後の投げだろ?」

「「「ん、んんん!」」」

グランドから本校舎の教室に戻る途中、最後の棒倒しに、E組について話している数人の1年生男子生徒。

                  

「へぇ…?ねぇ君達、その話、私にも詳しく、教えてくれないかな?」

そんな彼等の背後に、いきなり声を掛けてきた男。

 

「「「「「「り、り、り、り…理事長先生いぃ? (」゚O゚L) 」」」」」」

それは浅野(父)。

椚ヶ丘学園理事長・浅野浅學峯は まるで、暗殺者とでも遭遇した様な、そんな恐怖に慄く青い顔をした生徒達から、事の一部始終を聞き出すのだった。                          

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「まぁ、災難だったね。(笑)」

「…お咎めは、無しですか?」

「ん~、聴いた話では、君は今回、100㌫正当防衛みたいな物だからね。」

「「「「…………………。」」」」

その日の放課後、当然と言えば当然か、あの乱闘騒ぎの当事者として、理事長から呼び出しを受けた響。

 

「まぁ、一応は本人からも、話を聴いておく必要が有ったからね。

ん。吉良君は、もう戻っても良いよ。

御苦労様だったね。」

「…では、失礼します。」

あの後、棒倒しの話をしていた複数の1年2年の生徒とOHANASHIする事で、事態の概ねを把握していた浅野理事長。

響に対しては、最後に本人の口から、確認を取るだけで、特に注意する事も無く、退室させる。

 

「さ・て…」

「「「「…………!!」」」」

そして同室しており、未だ残っている4人に目を向ける浅野理事長。

浅野(息子)、荒木、小山、瀬尾の4人の顔に、緊張が走る。

 

「先ずは、キム・ザンジウ君だが、病院での検査の結果、彼の右腕は、もう一生、肩の高さから上には上がらないそうだ。」

「「「「なっ…!?」」」」

「まぁ、これは仕方無い事だよ。

自業自得なんだからね。

あれは あの場で、『何故だか知らないが』、いきなり暴れ出した、彼が悪い。

他に大した怪我人が居なかったのが、不幸中の…ってヤツだよ。」

「「「「……………」」」」

含みの有る言い方に、黙り込む4人。

 

「当然、彼からも事情は聴いたけどね?

瀬尾君?小山君?荒木君?」

「「「う…」」」

 

結論からすれば、ザンジウは、あの何時でも撥ね返そうと思えば返せた押さえ込みに、何時迄も耐えていなければならない状況に、普通にキレていて、尚且つ、この儘 響を無傷で終わらせたなら、受け取った金を荒木達に返さなければならないと思っての暴走だったとか。

因みに…

「彼は『呉々も事故に見せかけて』と云うのは、聞いてないと言っていたが?

恐らくは、君達の韓国語が、上手く伝わらなかったのじゃないかな?」

「な…!?」

どうやら、一番大切な部分が伝わっていなかった様だった。

 

「まぁ、それは、大した問題じゃない。」

「「「「えぇっ!?」」」」

 

『大した問題じゃないのかよ…!?』…という顔を4人が浮かべる中、

「問題なのは…解るだろ?

浅野…"君"?」

「……………………………。」

 

理事長曰わく、問題なのは、今回の棒倒しに於ける、浅野(息子)の"裏"の目的…即ち、E組男子を物理的に潰す事が、バレバレだった事。

それに気付かず、それを逆手に取った戦略を用いられ、結果、無惨に敗北した事。

それに伴い、本校舎生徒…特に、1年生2年生の、ENDの象徴である筈のE組に対する評価が変わってきている事。

 

「…その事が、私の…椚ヶ丘の教育方針に背いているのは、理解出来てるよね?」

「………………。」

「1学期、期末試験の結果が出た早々に、理事長の私に彼達…海外留学生招聘を呼び掛け…いや、泣きついてきて、その結果が これかい?」

「…………っ!!」

この理事長の『泣きつく』…の言葉に、過剰に反応して、顔を歪ませる浅野学秀。                   

「…確かに、リーヴ君とティッキー君のドタキャンは計算外だったかも知れないが、それでも人数的にも火力的にも、圧倒的に有利だったんだ。

もしも それを十全に活かしていたら、それこそ1分も掛けずに、勝てていたんじゃないのかい?

その選択、発想が無かった時点で、君達の敗北は決まっていたのかも知れないね。」

「「「「…………。」」」」

「それから…君達がザンジウ君に依頼していた、吉良君暗殺の件だが、一応は彼にも知らせて於くべきかな?

彼も何故、自分だけが執拗に襲われていたのか、不思議に思っていたし?」

「「「「……………!!!!」」」」

「…冗談だよ。

これ以上、学校としても、必要以上の暴力沙汰は避けたいしね。

そうだろ?荒木君?」

「な…ななな…!?」

不意打ちに、動揺する荒木。

 

「いや、先日、高等部の方で、2人の生徒が殴り合いの大喧嘩をして、その両者が重傷を負ったと報告を受けてね。

…で、その内の1人が、学年成績トップの生徒と云うから、何が有ったのかと、本人直接にOHANASHIしてみたら…」

「いや…それは…その…」

「学力でも暴力でも劣る…

どちらがE組なのか、判らないね。

しかも今回の件、浅野"君"は兎も角、そちらの3人に関しては、E組逝きの理由にするには充分過ぎるが…」

「「「………!!?」」」

「す、すいません、それだけは…!

当人も反省していますし、今回だけは!」

思わず言葉を失う3人に、透かさず学秀がフォローに入る。

 

「まあ、今回の件は、中間テストを見越して故の事だろう?

それに関してもね、多少の小細工は結構だが、私としては最終的には学力だけで、E組を抑えて欲しいと云うのが、本音だが?

もう吉良君には、純粋な学力では、勝てないと認めてるのかい?」

「…!!」

「君達…いや、君達に限らず、最近の本校舎の生徒は、緊張感や危機感が、不足し過ぎては、いないかい?」

「「「「…………!!」」」」

 

…この後も、穏やかな口調ながら、厳しく冷たくな理事長の話は、数10分に渡り、続いたと云う。

 

 

 

「それじゃあ浅野"君"、中間テスト、期待してるよ…」

 

 




 
※今回、響が放った投げ技ですが、作者の知る限りでは、柔道技として存在していません。
また、プロレス等の格闘技でも、誰かが類似な技を使ったとか云う話は知りません。
 
※毎回の事だが、理事長のOHANASHIを書くと、永くなるな…(笑)
 
≫≫≫≫≫≫次回予告!!≪≪≪≪≪≪
 
次回:暗殺聖闘士『署名の時間(仮)』
乞う御期待!!
 

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