暗殺聖闘士   作:挫梛道

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【琉神編】締めます。

加筆修正しました。




うちなーんちゅの時間

「ハブクラーゲンは俺が相手をする!

麻奈と吉良君は、残りの2人を頼む!!」

「「了解!」」

初めの一触即発な空気から、少しばかりの緩い擦った揉んだで話が脱線していた末に、漸く始まった琉球魔物(マジムン)vs御当地ヒーローズwith響の戦闘。

 

「行っけぇ!雷太鼓ファンネル!!」

ドシュウゥゥゥゥ…

生まれも育ちも浅草だと云う、雷神ミカヅチの背に有った6連の雷太鼓が、精神感応型遠隔操作機動砲台に変形し、縦横無尽に宙を駆け巡る。

「必ぃっ殺!

【雷門(サンダーゲートおぉ)】!!」

どおぉん!!

「はごおーっ!?」

この東京御当地ヒーローが操るファンネルから撃ち放たれた雷撃が、戦闘員型マジムン、グーパー1号に直撃。

 

「せぇいやぁあっ!!」

ドガッ

「はごっ!?」

続いて響が、同じく戦闘員型マジムンのグーパー2号に対し、胸元に小宇宙(コスモ)を込めた正拳突きで体勢を崩した後に捕縛。

体を上下逆さ向きにした形で、相手の頭を自分の肩の高さ迄持ち抱え上げると、

「犬神家ドライヴァーーーーーーーっ!!」

どどん!!

「はっごごおぉお~っ!!?」

この日の午前中に、響に喧嘩を吹っ掛けてきたナンパ男に放った技の、小宇宙(コスモ)込みの超・本気ver.が炸裂。

頭から垂直に地面に墜とすと云う危険極まりない荒技で、グーパー2号は上半身が完全に、砂の中に埋まってしまう。

 

  ※※※※※※※※※※※※※※※

  ※注意:ガチに危険ですので、 ※

  ※絶対に真似しないで下さい!!※

  ※※※※※※※※※※※※※※※

 

 

「「はごぉお~…」」

あっという間に倒されてしまう、グーパー1号2号。

 

「くゎーっ?!ミカヅチは兎も角、何なの?あの知らない人?!

滅っ茶苦茶、強いさー!!」

マブヤーとの戦闘中、視界に映った響の戦いぶりに、驚愕するハブクラーゲン。

 

「余所見とは随分と余裕だな、ハブクラーゲン!」

「あ…しまっ…」

そんなハブクラーゲンに、マブヤー渾身の

「スーパー拳骨(メーゴーサー)!!」

ドゴン!

「あぎゃじゃびよォォォ!!」

コークスクリューブローが、アッパー気味にヒット。

 

きらーん…

天空高く迄ぶっ飛ばされた人影は太陽と重なり、一瞬見えなくなったかと思えば、万有引力に従い落下。

ドシャァァ!!

派手に頭から浜辺に、錐揉み降下したハブクラーゲン。

先程のグーパー2号に次ぐ、す〇きよ2号の完成である。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「酷い…でーじ非道い…」

上体を砂から脱出させ、肩で息をしながら半泣きで呟くハブクラーゲン。

だが、この人外なる者に待っていたのは、

「これでトドメだ!

迸れ!俺の小宇宙(コスモ)!

逝ってこい黄泉比良坂!!」

「ひぇっ!?」

…そう、『悪』に対して慈悲の欠片も持ち合わせていない、この男の追撃であった。

 

「喰らえ!積尸k「あー、待つさー?」

ステーン…どん!

「ふべらっ?!」

今 正にトドメを刺さんとダッシュした響だが、海パンの縁をマブヤーが後ろから掴まれ、勢いが殺された響は うつぶせ状態で倒れ込み、砂浜に顔面を痛打。

                  

「痛て…な、何するんスか?」

「今日は もう、その辺にしとくさー。」

「はあぁ!?」

鼻を押さえながら問い質す響に対して、マブヤーは これ以上の攻撃は止めと言う。

 

「甘いすよ、もーしさん。

こんな輩、庇う必要性、あるんですか?」

基本的には『邪悪絶対殺すマン』な響からすれば、己の理解の外に在る申し出。

 

「そう言えば…今回のバトルも、事前に約束してたぽいし、あの先に去って行った女についても、『後でケア』が どーのこーの言ってたし…

…もしかして、いつも決着が着いた後は、こうやって逃がしているんですか?

沖縄の御当地ヒーローとやらは、本当に殺る気が有るんですか?」

「……………………………」

緩い…正義を名乗る者としては、余りにも緩(ぬる)くて緩(ゆる)過ぎるマブヤーに対し、問い詰める響。

 

「…ほら、アンタ達は、今の内に消えちゃいなさい?」

「ん~、ごめんね~…」

「「はごはご~…」」

「な…!??」

そう言っている最中に、ミカヅチがハブクラーゲン達を逃がしてしまう。

元々はマブヤーのアシストとして沖縄に派遣されたと言っていた、本来は東京の御当地ヒーローである雷神ミカヅチ。

まさか、そんな今迄は所謂 激戦区で活動していたであろう筈の彼女までもが、この様な甘い行動に出てしまうとは思わず、響は声を失い固まってしまう。

 

シュウゥゥゥ…

「…最初は私もね、キミと同じ行動に出たんだよ?

アイツ等にトドメ刺そうとした時、マブヤー…真牛君に止められたの。」

「…だったら!?」

そんな響に、変身を解いたミカヅチ…麻奈が懐かしそうに、笑顔で語り掛ける。

 

「東京でさ、アイツ等が この沖縄で何か悪さしたってニュース…そーゆーの、聞いた事ある?」

「………………。」

「無いよね?

それが、マブヤーの成果だよ?」

「しかし…!」

確かに、沖縄にてマジムンによる被害が出た等のニュースは、聞いた事がない…それでも納得の行かない響。

 

「…例え、今迄が大丈夫だったからって、それが逃がして良い理由には ならない!

身に降りかかる火の粉は、振り払った程度では、直ぐに舞い戻って来るんだ!

2度と舞わない様、完全滅却しないと、何時か大火傷するに決まっている!

解るでしょ!?その時になって後悔しても、何もかもが遅過ぎるんだ!!」

「…………………………………。」

響の言い分は完全に正しい。

正しいからこそ、麻奈は何も言わず、黙って聞き入っている。

 

「それでも…」

「もーしさん?」「真牛君…」

その時、何時の間にか、やはり琉神の変身を解除していたマブヤー…我那覇真牛が会話に加わってきた。

 

「それでも、マジムンも俺達と同じ、『沖縄に生きる者(うちなーんちゅ)』だから。

…だからよー。」

「うちなーんちゅ…?」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「まあ、沖縄の…『うちなーんちゅ』とやらには、その者達なりの考えや価値観が有るのは理解しましたが、それに納得したり、賛同した訳では無いですからね。」

「ん~、それで構わないさー。

ウチはウチ、余所は余所さー。」

 

あの後、真牛との僅かながらの話し合いの末、クラス副担任と比べて その1/1000程度な堅物思考を少しだけ和らげ、世の中には『うちなーんちゅ』の様な考え方も、確かに存在する…ただし、自分は絶対に認めない…そういう結論に至った響。

 

「それじゃあ吉良君も、東京でのヒーロー活動、頑張るさー。」

「俺は…俺達は別に、ヒーローってカッコ良いヤツじゃないんですけどね…

ま、頑張りは しますよ…頑張りは。」

自分達はヒーローでなく暗殺者。

それを茶を濁す様に、沖縄御当地ヒーローからの任務遂行へのエールだけは、照れながらも素直に受け取る響だが、

「へ?吉良君て、御当地ヒーローとかでないの?

じゃ、あの時の、俺の魂(マブイ)の力とも、マジムンの魔氣とも違っていた、あの【神氣】みたいな力って…

…キミって一体、何者さ?」

「えぇーっと、俺は…」

その名称は知る筈もないが、響の燃やした小宇宙(コスモ)の波動は きっちりと感じ取っており、その力から、てっきり自分達と同じ存在と思っていたが、それとは違うと言われた真牛は少しだけ驚愕。

その正体に興味を示す。

 

「も、真牛君?彼はね、私達とは別枠の…私達以上の、政府トップシークレット扱いな存在なの!

だ・か・ら!余計な詮索は無し!ね?」

「ふ~む。」

しかし透かさず其処で、事情を…政府から殺せんせーやE組…即ち暗殺教室の存在は報らされている麻奈がフォロー。

 

「…ん、分かったさー。」

「納得 早っ?!」

「とりあえず、何でも受け入れるのが、うちなー精神らしいわよ…」

 

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

ざわざわざわざわざわざわざわざわ…

マジムン撤退の後、再び海岸には徐々に観光客が戻って来ていた。

 

「「「「お~い、吉良~!」」」」

「「吉良っち~?生きてるか~?」」

「「「「「吉良君~!」」」」」

その中には当然、E組の生徒の姿も。

 

カルマや渚、そしてマジムンとの戦闘になるまで一緒に遊んでいた、倉橋や岡島達が、こっちに向かってきた。

 

「アイツ等…全員?戻ってきてるし…

すいません、俺、もう行かないと!」

「あ、ちょっと待って!

吉良君…3月迄にキミは、キミ達は、アイツを殺れそうなの?」

「…!!!」

その別れ際、事情を知っている政府の人間としての、凛とした厳しい表情の麻奈の質問には、

「殺ってみせますよ。卒業の前に、ね!

それじゃ!何時か また!!」

やはり、政府に依頼された暗殺者として、且つ中学生らしい明るい笑顔で答えると、響は真牛と麻奈の2人に背を向けて、

「へーぃ!!」

手を振って自分を呼んでいる、クラスメートの本に走って行くのだった。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ねぇ吉良っち~、あれから吉良っちって、どーしてたの~?」

「いや~、実は あの殺気?至近距離で浴びたからさ、その場で腰、抜かしてよ…

それで、見事に逃げ遅れたって訳。」

「きゃはは♪きーちゃん、カッコ悪~!」

「ぅるっせ!

お陰さんで、地元ヒーローの戦闘、特別アリーナで観戦出来たよ!」

 

 

 

 

「………………………………。」

そんなクラスメートと談笑する、響の後ろ姿を見て、麻奈は呟いた。

 

「雀先輩が話してた、生意気で元気者な有望選手って、あのコの事よね?

…頑張れ…暗殺中学生…!♪」

 

 

 




≫≫≫≫≫≫次回予告!!≪≪≪≪≪≪
 
 
次回:暗殺聖闘士『肝試しの時間(仮)』
乞う御期待!!
コメントよろしくです。
 

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