本文の琉球語に対する指摘突っ込みは、堪忍してください。
少し、加筆、訂正しました。
突如 海岸に現れ、海水浴に来た者達に襲い掛かってきた謎の集団。
「「はごー!!」」
白いラインが入った黒覆面に黒い全身タイツの様なコスチュームが2人。
「きゃはははは!」
獣を模した様な仮面を被った女が1人。
更には額部に『毒』の文字が刻まれた、フルフェイスのヘルメットに黒と紫の軽装鎧を着込んだ男が1人。
4人共に、「それ、何処の団体の ちゃんぴよんベルトですか?」…と、聞きたくなる様な共通デザイン、大きく派手な造型なバックルのベルトを腰に巻いている。
「おらおらー!」
そして そのフルフェイス?は、台詞に合わせ、口の造り部分が違和感無く、本当に喋っているかの様に動いていた。
「まさか、あれ素顔?
…って、まさかのガチ魔物(モンスター)?」
「まっさかー?
殺せんせーじゃあないし、そんなリアルなモンスターみたいなの、そんな簡単に あちこちに居る訳無いじゃん?」
「「「「「んんんん。」」」」」
担任のタコの影響か、良くも悪くも、人外慣れしている響達。
海水浴客が逃げ惑う中、少し離れた場所から その異形の無法ぶりを眺め、様子を窺っていた。
「あ゙ーっ!兄々(にぃにぃ)も姉々(ねぇねぇ)も、何、ぼーっと してるさー?!
さっさと逃げるさー!」
そんな響達に対して、早く逃げる様に促す現地人。
「ね~ぇ、おじさ~ん、あれって一体何なの~?」
「はぁ~…コレだから、内地の若い者は…
見ての通り、魔物(マジムン)さー!」
「「「「「「まじむん?」」」」」」
「そう、マジムンさー…って、コッチに来たさー!? ひょえ~~~っ!!」
ダダッ…
倉橋の質問に、呆れる様に説明した現地人は、そのマジムンとやらの1体が、此方に向かって来るのを見ると、響達そっちのけで、一目散に逃げ出すのだった。
「はごーっ!」
「!!?」
そして黒覆面の1人が、響達に飛び掛かってきた。
「ひええぇっ!?」
ガシッ!
「吉良君?」「きーちゃん?」
その立ち位置的に、狙われた櫻瀬の前に響が立ち、そのダイブを受け止める。
…が、
くっ…巫山戯た見た目以上に…
コイツ、鷹岡より強い!…ってか、これは まさか、小宇宙(コスモ)?
いや違う、コレは、【魔氣】!
ちぃっ!コイツ等、マジに【人に非らざる者】かよ!?
バキィ!
「はごっ!?」
「不味い!皆、退がってろ!!」
その受けた一撃の、内なる人外の力を感じた響は、小宇宙(コスモ)を込めた蹴りを黒覆面の腹に浴びせて吹っ飛ばした後、一緒に居合わせていた岡野、前原達をはじめ、その場に居る者達に逃げる様に告げるが、
「「「お~い、吉良~?」」」
「「「「「大丈夫か~?」」」」」
「吉良っち~?」
「「「「「「吉良君~?」」」」」」
「吉良っちさ~ん!」
一般人が全て逃げ出した後、同行していた者達を含め、やはり海に遊びに来ていたE組クラスメートは全員、全く動ず事無く逃げる事無く、この響と謎の黒覆面との対峙を、片手にジュースやアイスクリームを持っての見学をしていた。
「お前等なぁ!平和ボケ…もとい、ヴァイオレンスな状況に慣れ過ぎだ!!」
…心の底から叫んだ響は、決して悪くないと思う。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「其処迄だ!ハブクラーゲン!!」
「「「「「!!?」」」」」
その時、海岸に響き渡る男の声。
響を基とする、E組の面々や異形者達が、その声がした先を見ると、其処には2人の人物が。
「「「「はああ??」」」」
「何…あれ?」
「またコスプレ?」
「また現れたさ!?マブヤー!」
「はごー!」
「マブヤー様~!♪」
その容姿を見て、『???』となるE組一同と、どうやら この者達を知っている口振りな異形者達。
1人は白基調のワンピースのミニスカート(スパッツ着用)を着用、背には6連の雷太鼓を背負い、茶色い髪をツインテールに結った頭には、ヘッドホン式のイヤーギアにサングラスという出で立ちの女。
そして もう1人は一言で言うなれば、正しく悪の軍団その儘な格好の異形の者と対を成す、所謂特撮ヒーロー…。
黒のアンダースーツにメタルグリーンの胸当てに籠手、脛当て、そして頭部も やはり、パイザーは青の、メタルグリーンのフルフェイスのマスクという格好の男。
雷神ミカヅチと琉神マブヤー…
ミカヅチは総務省広域魔物対策課所属より、沖縄に派遣された東京出身の、そしてマブヤーは元より沖縄在中の…御当地ヒーローと呼ばれる者達だった。
「ハブクラーゲン!
楽しく海水浴を満喫していた人達の平和を脅かすとは、絶対に許さん!!」
「さあ、此処に直りなさい!」
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「あれ?麻奈さん?
…って事は、そっちは もーしさん?」
「へ?」「な…?!」
そんな目の前に駆け付けてきた2人の御当地ヒーローに、声を掛けたのは響。
全身コスチュームのマブヤーは兎も角、サングラスをしているだけのミカヅチの その顔は、少し前に このビーチで知り合った、我那覇麻奈にしか見えなかった。
「ななな…何の事かしら?
わ、私、吉良君とは、初対面だし?」
「…いや、初対面で何故に俺の名前、知っているし?」
「はぁ~…
ミカヅチー、もうバレてるさー。」
「あぁ~、もう!」
そう言いながら、サングラスを外した素顔は、やはり麻奈。
「さあ、そこの学生さん達も、早く逃げるさー。此処は危険さー!」
「「「「「「………………。」」」」」」
そしてマブヤーが、この場に残っているE組生徒達に此の場を去る様に呼び掛けるが、当の生徒達は、未だ目の前の光景がガチな其れでなく、アトラクションか何かと信じて疑ってないのか誰1人、その場を動こうとしない。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「帰れ…な…?」
「「「「「「…………!!?」」」」」」
其の場を去る気皆無な中学生達に対し、訴える様に、殺気…否、怒気を発散させるマブヤー。
その内側から滲み溢れ出る怒気は、平和ボケなのかヴァイオレンス慣れなのか、兎に角 現状分析が出来ていないとは云え、仮にも暗殺教室に席を置く生徒達からすれば、十全に感じ取れる物。
実は更には この時、響も自分の其れとは悟られない様に、マブヤーの怒気に自ずの本気の殺気を混ぜ合わせていた。
昨日も『モノホン』の『殺し』を生業としている者達の それを肌で感じ、それを知っている生徒達。
その時以上の、尋常でない其れを体感した直後、E組の面々は あのカルマ、寺坂、イトナでさえも、一斉に無言・無表情で回れ右をしたかと思えば、ダッシュで此の場を去って行くのだった。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「吉良君、君も早く逃げるさー。」
マブヤーが残った響にも、此の場から去る様に言うが、
「マブヤー…いや、もーしさん、俺は大丈夫、十分、戦えるよ。」
「吉良君!あなたねぇ!
分かってるの?コレは、特撮の撮影なんかじゃないのよ!!」
それに対し、響は大丈夫発言。
そして それに対し、ミカヅチ…麻奈がコレは遊びじゃないと、叱りつける。
「分かってるよ…アレがガチ琉球のガチ魔物ってのは、魔氣も感じてるし。」
「え゙?魔氣を感じたって、あなた…???」
「…俺は椚ヶ丘中学、3年E組の生徒だ…って言ったら、話は通じるかな?
ついでに言えば、それとは別に、俺も結構、常人成らざるな能力(チカラ)、持ってると言えば、信じる?」
「… 暗殺教室の生徒!!」
しかし、この響の台詞を聞いて、
「本当に、戦力扱いして良いのかしら?
…中学生?」
「当然!」
態度を一変軟化、共闘の姿勢を見せる。
念の為…響が【魔氣】を感じる事が出来たのは、暗殺教室は関係無く、あくまでも響が聖闘士としてである。
「…あんさつきょーしつ?…って何さ?」
尚、マブヤー言、我那覇真牛は、何の事だか分からない模様。
「ま、どーでも良いさー。
それじゃあ、吉良君、よろしく頼む!」
「どうでも良いんだ…」
全ては理解出来てないが、とりあえずは自分達 御当地ヒーローと似た様な感じの物だと納得した真牛も、共闘の構え。
そんな てーげー(好い加減)ぶりに、思わずジト目になる麻奈。
「了解!ところで もーしさん、琉球語で「倒す」とか「〆る」とか「殺る」って…何て言うの?」
「あ~、それはぁねぇ…………
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
「お~い?もう、良いだろ~?
そろそろ、戦うさ~?」
「「「あ…」」」
一連の響と麻奈、真牛の 遣り取りを、律儀に ずっと静観していた、魔物(マジムン)の首領格である波布海月の化身、ハブクラーゲンが口を開いた。
一緒に「戦う」「戦わない」の話し合いをしていたにも拘わらず、その「戦う相手」の存在を、完全に忘れていたマブヤー達。
「きー!?何なのさ お前等!!
ボクちゃんの事、舐めてるでしょー?!」
3人揃っての「あ…」の一言で、それに気付いたハブクラーゲンが怒(おこ)になったとしても、それは悪くないだろう。
「だ、黙れハブクラーゲン!
そもそも貴様、戦う約束の時間に、3時間近くも遅れて来るとは何事だ!!」
「今更、何を言うかマブヤー!
少し遅れる位、うちなータイムだろうが!貴様、それでも【沖縄に生きる者(うちなーんちゅ)】か?」
「えぇっ?戦う時間や場所って、予め打ち合わせしてるの?
悪の軍団とヒーローが??!
…って、3時間遅れって、少し処じゃないと思うのですがっ?!?」
まるで聞いた事が無い、正義の味方と悪の幹部の会話に、驚きを隠せない&突っ込まずには居られない響。
「因みに私達も、実は1時間半程遅刻してるわ…」
「えー?沖縄ヒーロー、アバウト過ぎ!!」
そんな響に、麻奈が申し訳無さそうにカミングアウト。
「そー言えば、私が東京から沖縄(コッチ)に派遣された時も、約束の時間から1時間程、待ち惚けさせられたわよね~?」
「そ、そんな事も、あったさー?」
話の流れで、思い出したかの様に、ジト目で麻奈が真牛に目を向けながら、2人が初めて会った時の事を話すと、恐らくはマスクの下では顔を真っ赤にしているであろう真牛が、誤魔化す口振りで明後日の方向に顔を向ける。
「そ、そんな事は、どーでも良いさー!」
「「「???」」」
「へ?マングーチュ?」
ツカツカツカツカ…
何気に惚気になってしまった空気の中、マジムン側の、獣の仮面を被った女…マングーチュが麻奈に言い寄ってきた。
「な…何…なのよ?」
「アナタ!前にも言ったけど、マブヤー様に くっつき過ぎよ!離れなさい!!」
「はぁ!?何か勘違いしてない?
コッチも前も言ったでしょ!?
私は仕事してるのよ!お・シ・ゴ・ト!!」
…このマングーチュ、実はマブヤーにホの字なのだが、余りにも場違いな物言いに、麻奈は半ギレ顔になりつつ、正論で反論。
そして…
ガシッ
「大体 くっつき過ぎってのは、こういう状態の事を言うのよ!
それに、くっつき過ぎが何よ?
私達、つい この前、籍を入れたばかりなんですけどー!!♪ べーっだ!」
「はいぃぃいいぃえぇ!!???」
マブヤーの腕に、自分の胸を押し当てる様に がっしりと しがみつくと、今度は私論で追い打ち。
「新婚舐めないでよー?
私達、こんな事や そんな事や あんな事だって、毎晩ヤってんだからね!!」
「どどと、どんな事さーっ!!?」
「どんな事って、そりゃあアータ…
えへ…えへへへ~…♪」
「麻奈~?少し、恥ずかしいさー…」
「…な゙っ!?」
何を思い出したのか、顔を赤くして惚けている麻奈に、少しだけ照れている口調で注意するマブヤー。
その遣り取りで其れ等が全て事実と悟り、こんな事や そんな事や あんな事や どんな事だ?…な妄想に脳内を完全支配され、茹で蛸の如く、顔を真っ赤にしてしまうマングーチュ。
「………………(///)………………。」
…と、響。
「あ、中学生の前で言っちゃう台詞じゃなかった…かしら…?」
「ん~、少しばかり、刺激が強過ぎたみたいさー。」
この後マングーチュは
「破廉恥ー!不潔ー!馬鹿ー!阿呆ー!ウン〇タレー!粗〇ンー!包〇ー!早〇ー!Е〇ー!!」
大泣きしながら、マブヤーに対して散々と悪態を吐き、
「絶対に諦めないんだから~!
見てなさいよ、略奪してやる~!!」
割りかし とんでもない捨て台詞を残し、此の場から走り去って行った。
「…ん~、マブヤー…ウチのマングーチュが、何だかゴメンねー。」
「いや、こればかりは仕方無い事だし、こっちは気にしてないから…
それより後、彼女のケアを頼むさー。」
「う~ん…」
その余りの暴言に、如何に敵に対してとは云え、流石に これは無いと、敵味方関係無く、申し訳無さそうに頭を下げるハブクラーゲンと、それを気にする素振りを見せないマブヤー。
≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫「あの~、そろそろ、戦うなら戦いません?」
「「「…はっ!?」」」
緩くなっていた空気が、この響の一言で一転、我に帰った様に緊張感を持ち直すと、互いにバックステップで距離を置く両者。
「じゃ、じゃあマブヤーにミカヅチ!
それと…………知らない人!
けちょんけちょんに してやるさー!」
「「はごー!」」
ハブクラーゲンと、黒の覆面と全身スーツの戦闘員が それぞれ、独特なファイティングポーズを構える。
「それでは コッチも改めて行くぞ!
ハブクラーゲン!!」
ぶわぁっ…!!
マブヤーが身体中から闘気を開放し、琉球空手風の構えを取り、
「はあっ!」
カァッ!
麻奈…ミカヅチも身体から雷光を放ち、決めポーズ。
「覇あぁぁ…!!」
響も小宇宙(コスモ)を燃焼させながら、息吹と共に、空手とは違う、独特な構えを繰り出していく。
その両腕が織り成す軌跡は、自身の守護星、夜空に ひっそりと光る蟹座を形成する7つの星を象っていき、最後に左右の手は蟹座の右脚と左爪の星位置、右手は天に、左手は地に向けた構えとなる。
そして響とマブヤーは それぞれの構えの儘、声を揃えて叫ぶのだった。
「「たっぴらかす!!!!!」」
響の最後の構え、蟹座の星の配置を見たらピンとくるでしょうが、所謂、あの御方の あの構えの左右逆バージョンになります(笑)
≫≫≫≫≫≫次回予告!!≪≪≪≪≪≪
次回:暗殺聖闘士『琉神の時間②(仮)』
乞う御期待!!
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