この小説の原作は『暗殺教室』です。
時軸は２話の直後の話になります。
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遥か昔のギリシャ、アテネ。
一般の者には、決して その存在を知られる事のない、聖域(ｻﾝｸﾁｭｱﾘ)と呼ばれる地。
戦の女神、アテナを長とする聖闘士と呼ばれる少年達が活動の拠点としている場所である。
その聖域の中にある、夜空に輝く黄道12星座を概念とした12宮と呼ばれる宮殿の内の１つ、獅子宮にて、黄金に輝く鎧を纏った青年と、空色の鎧を装着した少年…
この２人が、約20人程度の漆黒の鎧を身に着けた男達と対峙していた。
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黄金の鎧の青年が一歩踏み出し、漆黒の集団に声を投げる。
「冥闘士(ｽﾍﾟｸﾀｰ)共よ！
既に三巨頭は倒れ、決着は着いたも同じ！
命が惜しければ、早々に聖域を立ち去れ！
間違っても、この先の処女宮に向かうという考えは棄てるのだな…
てゆーか、マジ帰れ！
特に今、処女宮に出向いたら、間違い無く死ねるぞ!!」
(な…アルギエバ、何、ガクブルで言ってんだよ？)
僅かに膝が笑っている、獅子座の黄金聖闘士アルギエバに対し、空色の鎧の少年、天馬星座(ﾍﾟｶﾞｻｽ)の青銅聖闘士、飛矢(ﾋｭｰﾔ)が冥闘士に聞こえない様にヒソヒソ声で囁いた。
年上、そして格上と言うか、実質上司である黄金聖闘士に対して、青銅聖闘士が呼び捨てタメ口なのは問題ないのか？
…そう思わなくもないが、付き合いが長いのか、そーゆー奴と諦めているのか、或いは後で〆ると思っているのか、気にする素振りを見せないアルギエバは
(先程、巨蟹宮でアセルスの小宇宙が消えたのは分かっているな？)
(え？ああ…残念だけど、アセルスは…)
(それが問題なのだ！
この先に居る乙女座のスピカは所謂ショt…もとい、アセルスを実の弟みたいに可愛がっていてな…)
(あぁーっ、察し…)
(と、兎に角だ、今、あの女が戦闘しよう物なら、聖域が普通に壊滅しかねんぞ?!)
(そのレベルかよっ!?)
(うむ!!故に、退いてくれたらラッキー、それが駄目なら、何としてでも、この獅子宮で終わらせる必要があるのだ!!
解ったか？)
(ら、らじゃ…)
「お前達、先程から何を、ヒソヒソと喋っているのだ？」
ﾌﾟｼｬｱｯ!
「「！！」」
アルギエバ達の前に、冥闘士の１人が前に出ると同時に、その纏った冥衣から放たれた「糸」の様な物質が２人の聖闘士の身体に巻き付き、拘束する。
「私は地縛星アラクネのデルネ…」
「「げ…」」
染めた様な紅色の長い髪、目尻と唇には毒々しい紫、そして頬に薄い桃色の化粧を施した、筋骨隆々なﾞ男ﾞが名乗り出た。
余りにも…所謂ﾞアレﾞな容姿に、思わず どん引くアルギエバと飛矢。
その態度に、デルネと名乗った冥闘士は顳に血管を浮かべ、２人を睨みつける。
「何だ、貴様等！
その態度は？その顔は!?
何が言いたいのだ！」
それに対して
「そのケバい化粧にドン引きしてんだよ！
察しろ！このカマ野郎!!」
「はあﾞぁ!?」
このアルギエバの発言で、更に顔中に血管を浮き上がらせ、その身が写る鏡を割ってしまうほど、表情を歪ませるデルネ。
「バ、バカヤロー！
アルギエバ、何、地雷踏んでんだよ!?
この脳筋聖闘士!!」
今から間違い無く殺し合いをするであろう敵にとは云え、間違い無く攻撃力アップするであろう禁句を普通に言ってしまう脳筋(ｱﾙｷﾞｴﾊﾞ)に対し、蜘蛛糸で拘束された儘、突っ込む飛矢。
「んだと、ゴラﾞァ!?
テメー、青銅(ﾌﾞﾛﾝｽﾞ)の癖に、何だ、その口の聞き方は!?
あのカマの前に〆るぞ、あﾞぁ!?」
「るっせー、ハゲ!!」
「俺はハゲじゃねー!!
これは剃っているだけだ！」
「「「「「「………………。」」」」」」
飛矢の余りの言い様にカチンときたのか、そして、売り言葉に買い言葉、脳筋以上に『ハゲ』という単語が余程、琴線に触れたのか、目の前の多数の敵をガン無視して、口喧嘩を始める２人。
「ハゲ言う奴が、禿なんじゃー!!」
「俺、ふっさふさだもーん！
あ、脳味噌筋肉だから、分からない？」
ぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷちぷち!!
自らの『糸』に縛られた儘、自分を無視して、御子様レベルで言い争う２人に、顔中に浮かんだ血管がキレるデルネ。
「き、貴様等ー！私を無視するなー!!
喰らえ！BASTAR-de-ITTETSU!!」
「「うわわぁあーっ!!?」」
デルネがまるで、目の前に在る【何か】をひっくり返すが如く、両腕を大きく下から上に上げるアクションを取ると、その衝撃波でアルギエバと飛矢は上空高く、吹き飛ばされる。
グシャァ!!
そして、身体を糸で拘束されている２人は、受け身を取る事も儘ならず、頭から垂直に石畳の上に落下してしまった。
「う…」「痛つつ…」
「おい、この２匹は、私が片付ける。
お前達は先に進め。」
「う…うむ…」
別にデルネが今、攻め込んでいる冥闘士の上官という訳ではないのだが、
ﾍﾞﾛﾘ…
舌舐めずりしながら、血塗れで鬼気迫る、それでいて妖しく微笑む顔で凄まれ、思わず退け反り返事をしてしまった残りの冥闘士達は、倒れている若い２人の聖闘士に少しだけ憐れみの目を向け、次の宮、処女宮を目指して獅子宮を走り抜けて行った。
「やっばっ!!」
黄金の鎧を纏ったスキンヘッドの青年が焦り叫び、
「聖域終了のお知らせ…？」
空色の鎧を纏った少年が口を曳き吊らせながら、ボソッと呟く。
「おい飛矢、このカマは俺が倒す!!
お前は直ぐ、残りの奴等を追え！
何としても奴等をスピカと会わせる前に、事を済ませるぞ!!」
「お、応！」
そう言うと２人は
「「はあぁああぁぁぁぁぁあっ!!」」
ボゥッ!!
内なる小宇宙を燃やし、あっと言う間に自身を縛っていた『糸』を焼き尽くす。
「じゃ、この場は任せたぜ！」
飛矢は先に進んで行った冥闘士達を追い、獅子宮の奥へと駆け抜けて行った。
「ま、待て、小僧！」
デルネが止めようとするが、
「待つのは お前だぜ？
お前の相手は俺だ、このカマ野郎！」
「ちぃ…何故、貴様が此の場に残るのだ？
普通、此処は格下の青銅に此の場を任せ、貴様が多人数で向かって行った者共を追うべきではないのか？」
「んな、どーだって良ー部分に、やけに拘るな…？…!!
あ…まさか、さっきの舌舐めずりは、そーゆー意味だったのか…
カマの上にショタって最悪だな…」
ドン引き&呆れ顔なアルギエバ。
「え～い、黙れ！
私は断じて、カマでもなければ、ショタでも ぬゎぁ～い!!
もう一度喰らえ、そして死ね！
BASTAR-de-ITTETSU!!」
自覚していながら認めたくはないのか、そして禁忌の言葉だったのか、顔を紅潮させ、修羅の如き形相のデルネが再び、アルギエバの体を天高く吹き飛ばす。
ｸﾙﾘ…ｽﾀｯ
「な…何ぃ!?」
しかし、アルギエバは空中で回転しながら体勢を整え、難なく着地。
「ふっ…、あの『糸』とやらで体を封じられてないなら、この程度は訳はないさ。
そして何より、聖闘士に一度見せた技は通用しない！
更に言うならな…いや…何でもない…」
「？」
話している途中で、まるでイヤな事を思い出した様に、やや青ざめた顔を逸らすアルギエバ。
実はデルネが放った『BASTAR-de-ITTETSU』という技は、代々の教皇にのみ伝えられるという､『Brats-Don't-Get-Flurried』という技と、威力こそ格段に違えど、モーションを含め、殆ど同じ技であった。
因みに この技は「聖闘士に同じ技は～」が通用しない、見切り不可な技である。
そして今代の教皇は先代獅子座…つまりはアルギエバの師であり、彼は修行時代から数え、何かしらの理由…主に無茶ぶりな修行の文句に対する制裁で、何度となく喰らっていた。
故に、この系統の技には耐性が付いていたのだった。
「ち…嫌な事を思い出しちまったぜ…
まぁ良い！今度は俺の番(ﾀｰﾝ)だ！
轟け俺の小宇宙！唸れ雷光!!」
「な…この小宇宙は…!?」
ﾊﾞﾁﾊﾞﾁﾊﾞﾁ…
アルギエバの右拳が極大な雷光を帯びる。
「ひ、ひぇ…っ！」
その余りの強大な小宇宙に、生命の危険を感じた冥闘士は来た道を戻り、巨蟹宮の方向に逃げようとするが、
「逃がさん!!」
「ひっ!?」
黄金の獅子は文字通り光速で回り込み、咆哮を上げる。
「ライトニング･ボルト!!」
雷光を纏った右拳の一撃は、デルネの胸元に直撃。
「うぎゃああぁあ～っ!!」
冥衣の破片を撒き散らしながら吹き飛ばされたデルネは道沿いの石柱に激突、その儘、二度と起き上がる事はなかった。
「ふぅ…また一撃必殺(ﾜﾝﾊﾟﾝ)か…。」
デルネの死体を見ながら、少し物足りなさそうな顔で呟いたアルギエバは、
「よし、飛矢を追い掛けるか…
早く残りを片付けないとな…！」
そう言うと顔を引き締め、飛矢を…処女宮
に向かった残りの冥闘士達を追うべく、獅
子宮を後にするのだった。
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獅子宮から処女宮へと続く、石煉瓦が敷き詰められた道を走り進む冥闘士達。
そこに
「待て、貴様等！」
「！！」
この侵入者達を追ってきた飛矢が待ったを掛ける。
「ぬ？聖闘士の小僧？」
「おぉ！無事だったのか!?」
「良かった、良かった！」
「へ？」
冥闘士達は目の前の少年が、所謂ﾞアレﾞな同胞に、殺られて犯られたか、若しくは犯られて殺られたか…そう勝手に思い込み、敵とは言え不憫に思っていたのだが、少なくとも『あっち方面』の餌食には なっていない様子を見て、敵云々でなく あくまでも一介の男として、安堵の顔を見せる。
そして、その敵とは思えない、如何にも心配、危惧していた事が払拭されたかの様な、裏の無い優しい笑みに、思わず戸惑う飛矢。
「ふぅ…それじゃ、安心した処で、とりあえず死ね!!」
「「「「「ひゃっはー!!」」」」」
「な…何なんだよ？テメー等わ!?」
そして冥闘士達は男子として一安心した後は、それは其れ これは此れとばかり、改めて敵である飛矢に対し、数人が遅い掛かる｡
「ディープ･フレグランス！」
「デス･メッセンジャー！」
「ワームズ･バインド！」
「ビッグ･ナックル！」
「ローリング･ボンバー･ストーン！」
「スタンド･バイ･ミー！」
冥闘士が放つ数々の技を
「遅いんだよ！」
飛矢は悉く躱すと
「Shooting･Star-Pegasus!!」
「「「「「「ぐげゃーっ!!」」」」」」
自身の必殺技を放った。
光速に届きつつある、無数の拳の弾幕。
ある者は直接その拳を受け、そして ある者は その拳圧、衝撃波を浴び、襲ったきた者達と共に、その場の約半数の冥闘士が飛矢に纏めて倒された。
「どうだ！青銅と思って舐めるな!!」
何としてでも、この冥闘士達を処女宮に向かわせるのだけは、阻止したい飛矢。
今、この先に控えている乙女座のスピカが戦闘しよう物なら、自身が実の弟の様に可愛がっていた、蟹座のアセルスの敵と言わんばかりに、この聖域ごと、この侵入者を滅ぼしかねない。
彼女が所謂ショ〇コンである事は先程、アルギエバに教えられる前から、実は噂で聞いていた。
飛矢は それを、この先の処女宮から立ち込める、尋常ならぬ小宇宙で確信。
そして その小宇宙は、今 正に聖域終了の知らせを告げようと鳴り響かんとしている鐘でもあった。
「お前等も この小宇宙、気付いてるだろ？
さっさと聖域から立ち去れ!!
この儘では、お前等も只では済まんぞ!?」
飛矢の必死の訴えも、
「ふっ…聖域が滅びかねん程の小宇宙か…
願ったり叶ったりではないか、小僧！」
「な…!?」
我が身が滅んでも、聖域が共に滅ぶなら一向に構わぬと言い放つ冥闘士に、言葉を失う飛矢。
「心配せずともハーデス様が地上を手にした曉には、我等はハーデス様の御力によって復活する！
だから、ペガサス！
安心して冥界に堕ちるが良いわ！
この天撃星タロスのジャガーノートの拳によってな！」
ジャガーノートと名乗った冥闘士が両拳を振り上げる。
「ヒート･ハンマー！」
「ちっ！」
両拳から繰り出される衝撃波を辛うじて飛矢が後方へ跳んで躱した瞬間、
ボゥ!!
処女宮の方角から、巨大な鳥を象った炎が飛来して来た。
「「ぎゃあ!?」」
その火の鳥は、通りざまに２人の冥闘士を焼き払うと、飛矢の前に降り立つ。
直に その炎が消えていき、その中から
「よ、飛矢、生きてるか？」
「て、テヅガぁ!?」
灼銅色の鎧を纏った少年、鳳凰星座の…何故か顔面がフルボッコなテヅガが姿を現した。
飛矢は正直､「お前が生きてるか？」と言いたい気持ちを抑え、
「お前、どうして此処に？
処女宮に配置されてた筈じゃあ…」
飛矢は突然 現れたテヅガに問い質すも、
「はいはい、良ーから下がった下がった。
空(うえ)見てみ？この位置は危ねーぞ？」
「はぁ!?」
スルーされ、更には後退を強いられる。
そして言われた儘、ふと夜空を見上げると、日は既に沈んでいると云うのに、雲の切れ間から、金色の光が差し込み始めた。
「テヅガ、あれって、もしかして…？」
「そーゆー事った。下がれ、な？」
「お、おぅ…」
何が起きているか、何が起きるか理解した飛矢は、テヅガと共に後方に大きく跳び、冥闘士達と距離を置く。
「聖闘士共、逃げる気か!?」
ジャガーノートが叫んだ その直後、天から済んだソプラノの声が響き渡る。
『…アストレイア･ジャッジメント!!』
「「「「「「ぅぎゃぁあっ!!」」」」」」
その声と同時に、天空から幾千幾万の光の剣が雨の様に降り注ぎ、ジャガーノートを始めとした、その場に残っていた冥闘士達は一瞬で全滅した。
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「うっわぁ…」
「これは…」
「見事な迄に…」
「分断されてますね…」
「ふん…あの技は そもそも、広域殲滅を目的とした技だ。
それを この程度で済ませたのだから、兎や角謂われる筋合いはないぞ？」
「聖域ん中で放つなっつってんだよ!!」
聖域に攻めて来た冥闘士が全滅した跡を、アルギエバ、飛矢、テヅガ、そして巨蟹宮から駆け付けて来た柄杓星座(ﾃﾞｨﾊﾟｰ)のムソウが、やや引いた顔で見下ろす中、その技を放った本人は、まるで他人事の様に言う。
黄金の鎧を纏い、そして黄金の仮面を被った、白金色の長い髪を靡かせる少女…乙女座(ｳﾞｧﾙｺﾞ)のスピカ。
彼女が放った技により、巨蟹宮と獅子宮を繋ぐ道中の一部が完全に破壊され、深き谷の如く分断されていた。
「どうするんですかね、これ？」
「そりゃあオメー、民間の工事業者とか呼ぶ訳にゃ、いかねーだろ？」
修復作業が雑兵の皆さんの仕事になるのは明らかだった。
「そんな事より、そこの柄杓星座!!」
「は、はいぃっ!?」
スピカがムソウに やや威圧的に話し掛け、その余りの迫力に、ムソウは少しばかり脅えがちに返事をする。
「アセルスの亡骸は どうした？」
「はい？」
ｶﾞｼｯ!!
「あたたたたたた!?」
「あの子は どうしたと聞いている！」
即答しないムソウの頭を鷲掴みにし、その儘 握り潰さんと力を込めて追求するスピカ。
仮面で判らないが、かなり必死な顔をしているのだけは伺える。
「あ、あの時は まだ、緊急時だったので、とりあえず巨蟹宮の奥の間に、寝かせてありますぅ…！」
「そうか…分かった…」
そう言って、ムソウから手を離すと、スピカは獅子宮…いや、巨蟹宮へと歩を進め始める。
「おい、お前…って、あぁ、聞くまでもないわな…。」
「ふん…あの子は私が処女宮へ連れて帰り、この私が弔う。何か問題があるか？」
「いえ…行ってらっしゃい…」
その迫力に生命の危険を感じたアルギエバは弱冠たじろぎながら、特に止める理由も無い故に、その場を立ち去る少女を見送った。
「吃驚しました…。
この場で(アッチの意味で)穫って喰われるかと思いました…。」
「(ショタなのは)有名だからね～…」
「いや、あれで あの師匠(おんな)、一途な処もあるからな、そっちの心配は余り無いんだが…」
「あぁ…後家確定だな、こりゃ…。」
「いやいや、後家って…」
「そーいや少し前､「素顔見せて、一緒に お風呂も入ったりしたから、其れ即ち、既成事実成立も同然よ♪」とか、ドヤ顔っぽい口調で言ってたよな…
いや、素顔見た訳じゃないけどね…」
「あ、あの女(ひと)は９歳相手に、一体 何をやってるんですか!?」
このムソウの言葉に、
「「「ショタだから仕方ない。」」」
「成る程…」
この場に本人が居ないのを善い事に、当人の前では禁句であるワードを平気で口に出すアルギエバ達。
しかし、
ズガアッ!!
「「「「ひっ!?」」」」
そんな彼等の目の前の地面に、１本の光の剣が天から降り落ち、突き刺さる。
そして４人の脳内に直接、ドスの利いたソプラノが響き渡る。
『…お前等４人、後でOHANASHIだ。』
(｣ﾟOﾟL)(｣ﾟOﾟL)(｣ﾟOﾟL)(｣ﾟOﾟL)
「「「「ノォオオォオォォオォ!!」」」」
聖域に、絹を引き裂いた様な漢達の悲鳴が響き渡った。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓「……」
「……」
「………」
「…」
「おいおい、少し静か過ぎn(ｶﾞﾝ!)痛っ!!」
冥闘士の侵攻を退けてから数時間後、既に戦いにより命を落とした牡羊座、牡牛座、蟹座の３人、そして現在、聖域不在の双子座を除く、黄金聖闘士…８人が教皇の間に集結していた。
「皆、揃った様だな。」
金銀の装飾が施された法衣を纏い、竜の飾りが付いた兜を目深に被った男が部屋の奥から姿を見せた。
現在の聖域を女神(ｱﾃﾅ)の代行として統べる、教皇ログナーである。
「「教皇…」」
「師匠(ジジィ)…」
教皇を刮目する黄金聖闘士達。
「牡羊座(ｱﾘｴｽ)のシェラタン、牡牛座(ﾀｳﾗｽ)のフォーナ、そして蟹座(ｷｬﾝｻｰ)のアセルスは残念な事になった。
…が、アルギエバにスピカよ、結果、お前達の手により、処女宮の手前で敵を全て倒せたのは良い報せである。
御苦労だったな。」
教皇の労いの言葉に
「止せよ、師匠。
奴等を殺ったのは、殆どがアセルスや青銅(ﾌﾞﾛﾝｽﾞ)の小僧(ｶﾞｷﾝﾁｮ)共だぜ？
俺は殆ど何も してねーよ。
…あ、それから、何処かの誰かによる、聖域破壊活動の巻き添えになった冥闘士も、そこそこ居たよな？」
「…ふん！」
アルギエバは自分は微々たる足る程しか動いてながらと言いながら、ジト目で隣に立っている女聖闘士に毒を吐き、その女聖闘士は それを無視。
「ホーホッホッホ…
それにしてはアルギエバさん、随分と お顔が大変な事になっていますねぇ？」
蠍座の聖闘士が、顔面フルボッコになっているアルギエバを不気味に嗤いながら弄る。
そして、
「鍛練が足りぬ証拠だ。」
山羊座の聖闘士が呆れ顔で両断。
「るっせー!!
この傷は冥闘士にやられたんでなく、全部、其処のショタ女にやられt(ｶﾞﾝ!!)あじゃぱー！」
アルギエバの言い訳が終わる前に、スピカの一撃が またも顔面に炸裂し、その場に倒れる。
「ふんっ!!」
「あ～、続けて良いかの？」
教皇ログナーが話を続ける。
「先程、内偵を進めていた、双子座のタバサより念話(ﾃﾚﾊﾟｼｰ)で報告があり、ハーデスの地上での拠点が判明した。」
「「「「「「「「！！」」」」」」」」
８人全員が神妙な顔になり、無言で教皇を見る。
「マジかよ…」
「ついに…」
「決戦の時が…」
その重大な発表に、各々が胸の内を呟く。
そして その時、
「ふっ…そう言う事だ。」
「「「「「「「「！？」」」」」」」」
突然 何処からか女の声がしたかと思えば、いきなり目の前の空間に『穴』が開き、その中から黄金の鎧を身に包み、やはり黄金の仮面で顔を隠した人物と、その形状は全く同じだが、漆黒に煌めく…冥衣や暗黒聖衣とは また違う輝きを放つ鎧を着込んだ黒髪の少年が現れた。
２人は教皇の前で膝を付き、
「教皇、双子座(ｼﾞｪﾐﾆ)のタバサ、そして影陰双子座(ｼｬﾄﾞｰｼﾞｪﾐﾆ)のレックス、只今戻りました。」
「ふむ…御苦労だったな。
よし、では改めて話を続けるぞ。」
双子座の２人も、既に居合わせた黄金聖闘士の列に並び立ち、教皇の話に耳を傾ける。
「今代の冥王ハーデスの地上での拠点は、イラクはディカール！
今までは後手に甘んじていたが、それも終わり、これより先は、我等の方から討って出る！
聖域の防衛も考慮し、幾分かは この地に留まり、残りの者は敵陣に突撃を仕掛ける！」
「「「「「「「「おぉ!!」」」」」」」」
教皇の言葉に唸りを上げる黄金聖闘士達。
「ふっ…拠点さえ判れば こっちの物さ！」
「あぁ、既に冥界３巨頭も倒れている。
残りで厄介と思われているのは、冥王の側近と云われる双子の神位だよ!!」
天秤座と魚座の聖闘士が士気を高めんと吼える。
それに対し、タバサが
「双子神？あぁ、タナトスとヒュノプスとか云う神なら、私達姉弟が倒したぞ？」
「ついでにナントカという、やはり幹部みたいな女も、姉者が倒したぞ。」
そしてレックスが さらりと言ってのけた。
「「「「「な、何だってー!!」」」」」
その、余りに余り過ぎる仰天発言に、口を揃えて驚きを隠せない黄金聖闘士達。
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獅子宮。
「あ～ぁ、俺も行きたかったな～。」
「今の貴方は、ダメージを抜く事だけを考えていれば、それで良い。」
「いえね、マジに冥闘士に受けたダメージって、殆ど無いんですよ？
この怪我、全部 隣のショタおんn(ﾊﾞｷｯ!)のわっ!?」
見た目、14歳位の蒼のニット帽を被った銀髪の少女にアルギエバは必死に弁解する途中で、隣に立っていた白金色の髪の仮面を付けた少女に殴られる。
「まーまー、アンタは大人しく、聖域で留守番してろって事だろ！」
それを飛矢が笑いを堪えた顔で言う。
「アテナ…そろそろ参りましょう。」
「ふむ。アルギエバ、貴方は しっかりと療養していなさい。」
乙女座の聖闘士からアテナと呼ばれた少女は、教皇と数人の聖闘士と共に、双児宮に向かうべく、獅子宮を後にした。
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「アテナ、教皇、総攻撃に選ばれた聖闘士、全員、この双児宮に揃いました。」
打倒ハーデスの為に教皇ログナーが選抜した青銅(ﾌﾞﾛﾝｽﾞ)、白銀(ｼﾙﾊﾞｰ)、そして黄金(ｺﾞｰﾙﾄﾞ)…聖域を基として世界中に散らばっていた、約2/3の聖闘士が今、双児宮に集い、双子座のタバサが其れを報告する。
「うむ！其れでは聖域は、冥王との決着を付けるべく、今より此処に居る者達にて、貴奴の居城に総攻撃を仕掛ける!!」
『『『『『『うおおぉぉ～!!』』』』』』
教皇の言葉に呼応する聖闘士達。
「では、行くぞ、レックス！」
「うむ！」
タバサの呼び掛けで、彼女の双子の弟、レックスが小宇宙を発動、その差し出した掌の前の空間に、巨大な『穴』が開き、双子座の姉弟を筆頭に教皇、アテナ、そして其の場の聖闘士達が次々と『穴』に飛び込んで行く。
その行き先はハーデスの地上での居城。
この時の戦いで、聖域側…アテナと聖闘士達は その時代の冥王ハーデスを討ち、僅か数100年の間ではあるが封印に成功、地上に束の間の平和を勝ち取るのだった。
そして、その事を蟹座のアセルス…
吉良響が知るのは、彼の時間軸で、15歳の３月の話である。
キャラのビジュアルは
アルギエバ………サイタマ
(ワンパンマン)
飛矢………………草薙護堂
(カンピオーネ！)
テヅガ……………清田信長
(SLAM DUNK)
ムソウ……………碇シンジ
(エヴァ)
タバサ……………人造人間18号
(ドラゴンボール)
レックス…………人造人間17号
(ドラゴンボール)
ログナー…………小泉ジュンイチロー
(無駄ヅモ)
アテナ……………アテナ
(カンピオーネ！)
デルネ……………ユダ
(北斗の拳)
ジャガーノート…ジャック･ハンマー
(刃牙)
…を松井先生風にアレンジした画をイメージしてください。