暗殺聖闘士   作:挫梛道

49 / 105
※※※※※※※※注意!!※※※※※※※※
この小説の原作は『暗殺教室』です。
 
少し加筆と誤字修正しました。




期末の時間 ~1学期~②

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

2日目

1時限目:音楽

 

名高い作曲家を描いた肖像画の群れ…

問1~5が、高速で飛び交いながら、茅野カエデの周りを囲む。

肖像画の目が左右に不気味に動き、茅野をロックオンすると、次は口が開き、甲高い歌声を響かせる。

その質量を持った音の弾丸を茅野は素早く避け、手に持っていた黒い表紙のノートを開くと、肖像画の群れを刮目し…

 

 

Ludwig van ※eethoven

 

Piotr Ilyich ※chaikovsky

 

Franz Peter ※chubert

 

Johann Sebastian ※ach

 

Franz Joseph ※aydn

 

 

描かれている作曲家達の名前を書き込んでいった。

…すると、今迄 縦横無尽に飛んでいた肖像画の群れの動きがピタリと止み、地に落ちると その儘 消滅してく。

「密かに得意分野なんだよね~♪」

     

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「げっ!今度は音符と記号の大群かよ!?」

 

肖像画の攻勢を切り抜けた三村航輝の前に、後続とばかりに♯(シャープ)に♭(フラット)、二分音符から三十二分音符、果てにはト音記号を象った、無数の金属質な飛行体が攻撃を仕掛けてきた。

先程の肖像画と同じく、質量のある音の弾丸を放つ音符達。

 

「それなら こっちも!」

ノリノリで、まるでギターを弾く様かのな仕草を見せる三村。

すると次第に、その動かしている手の中で、本当にエレキギターが具現化。

そのギターから奏で出る旋律で、敵の音を相殺すると、すかさず高速フィンガーアクションから生み出す音の弾丸で、音符を次々と撃ち落とす。

 

そしてラスト1問、巨大なト音記号を残すのみとなった時、それまで上空から様子を窺っていた記号は地に降り立ち、その姿を

「へ?べ、ベ〇ツですか!?」

ドイツの有名高級車に変えて、突撃を仕掛けてきた。

「うわっとぉ?!」

まるで轢き殺すが如くの猛スピードで迫ってきたベン〇を辛うじて躱した三村は、その背面に回り込むと、

「物理っ!!」

ガッシャーン!!

そのリアガラスに思い切り、ギタークラッシュを浴びせた。

    

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ふぅ…」

スクラップと化した、〇ンツの横で、大きく息を吐き、腕で額の汗を拭く三村。

 

「三村君、やったね~♪」

「倉橋…」

そんな三村に、フルートを持った倉橋陽菜乃が話し掛けてきた。

 

(え?まさか、フルート(それ)でベ〇ツ、破壊したの?)

 

一瞬、そう思ったが、考えたら負けと思い、頭を切り替える三村。

 

「毎晩、校舎でエアギター、練習した甲斐があったね~?♪」

「はあ!?な、何で知ってるんだよ??!」

顔を赤くし、思いっ切り焦る三村に倉橋は

「え~、クラスの皆、知ってるよ?

一番最初の情報源は殺せんせー。」

…と、あっけらかんと答える。

ガクッ…

両手両膝を着き、頭垂れる三村。

 

そして、

「…んでぇ、皆に広めたのは、きーちゃんだよ。」

「き、き、き…吉良ぁーっ!!」

更なる情報に、三村の叫びが場内に木霊したのだった。               

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

2時限目:美術

 

「あー、もう!本来なら得意分野なんですけどっ?!」

 

古代ギリシャの彫刻を連想させる、動く彫像を前に、菅谷創介は予想外の苦戦をしていた。

今迄のテストも そうだが、些か集中力が欠けている菅谷。

 

その理由と云うのが…

「雷よぉ!!」

バチィッ…ごごーん!!

何時の間にか桃色のカツラを取り捨て、ポニーテールに結った、長い黒髪を露わにして、敵に雷撃を放ち、次々と撃破(ティク)している偽律であった。

 

「あらあらあら?もう、お終いですの?

もう少しだけ、頑張って頂きたい物ですわぁ♪」

「…………………………。」

初日の1時限目、国語の時から、自身の直ぐ隣で、凄く嬉しそうでいて物足りなさを思わせる、艶めかしい表情で、問題(てき)を片付けている替え玉律。

これが仮に喪女さんだったりしたら、別に其処まで気にもならなかっただろうが、大人な雰囲気も併せて持っている美少女さん(しかも きょぬー)が お色気全開の弩S全開で無双されているのだから、気になって気になって仕方がないと云った感じの菅谷。

『俺が集中出来ないのは どう考えても律(偽)が悪い』とでも思っているのか。

 

「えーい、集中しろ集中しろ集中しろ!

切り替えろ切り替えろ切り替えろ!!」

しかしながら、この儘で良い訳がないのは解りきってる菅谷は、邪念を棄て祓わんと、目を瞑り、頭を振り回す。

そして再び目を見開くと、何か覚悟を決めた様な面構えで、目の前の動く彫像を手に持った鎚で粉砕。

新手として現れた、無数の向日葵に向け、立ち向かっていくのだった。

 

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

4時限目:英語

 

「くっそー!何時にも増して、パねぇぞ、この英語!」

 

中高一貫の進学校では、中3から高校の範囲を教え習う事も、さほど珍しくはない。

特に椚ヶ丘で それが はっきりと出ているのが、英語・数学・理科である。

 

 

鋭い爪と牙、そして重い尻尾を素早く操り、更には口から炎と吹雪の息吹(ブレス)を吐き、背中には蝙蝠の様な羽根、頭部には無数の角を生やした、蜥蜴にも似た強力且つ巨大な魔物…竜(ドラゴン)。

今回の期末テストは、正しく それが、具体的な形となり、生徒達に猛威を振るっていた。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「どいつもこいつも、ラストの問題で殺られてるだろーな…

だが俺は、テメー等 雑魚とは違うぜ!」

瀬尾智也がロケットランチャーを構える。

 

「…確かに停学喰らって、他の教科のイマイチ感は否めないが、英語は別だ。

親の仕事で1年半、米国(アッチ)に居た。

その時に基本的な会話は充分に覚えた!

停学なんざ関係ねー!

この程度の問題文、単語や文法は全て その範囲内なんだよ!!」

bnmb!!

そう叫びながら放ったランチャーが、ドラゴンの頭部に命中した。

 

「見たか!今更、日本の中学レベルで躓くかよぉ!!」

しかし、自信満面で放った その攻撃は完全攻略には至らず、

ガシッ

「うがぁっ?!」

ドラゴンの反撃の爪を受けてしまう。

 

「…バカな?何故、倒れない?

満点解答の見本だぞ!?」

 

「単語ぉ直訳したの、並べ変えて文章作りゃ良ってモンじゃねーよ、ターコ!!」

「吉良ぁ?!」

BOMB!!

茫然としている瀬尾に悪態を吐きながら前に立ち、肩に担いだ6連ミサイル砲を一斉発射させる響。

 

ずしぃん…

「な…何だ…と…!?」

崩れ落ちるドラゴン。

その攻撃は結果、凶悪な竜を仕留めるのに充分な物だった。

 

ずどぉん… ばったーん… どさぁっ…

「はぁ!?」

更に、瀬尾の目の前で、中村莉桜、不破優月、そして渚が、各々の獲物(問題)を撃ち倒していく。

 

「満点解答!?E組如きが…だとォ?!」

「知ってる、優等生?

吉良っちも言ったけどね、こーゆー和訳はねぇ、只単に直訳すりゃ良いって訳じゃないのよ?」

「問題文、小説から引用されてるのに気が付かなかった?

原作に添った言い回しでないと、減点されるよ?」

中村と不破が、自分なりに感じた出題者の意図を説明する。

事実、今回の英語の試験は問題文が有名小説から引用されており、普段の生徒の読書量や、臨機応変さも採点基準に加えられていた。

 

「…てゆーか、瀬尾よぉ…」

更に響が言葉を続ける。

 

「お前、2年の時も、アメリカ帰り自慢してたけどよ、ぶっちゃけ発音、てんでダメダメだぜ?

バラエティーで〇〇地方の方言に訳されるアクセントだ。

あれじゃ多分、最初の発音問題も、撃沈してるだろな?」

「何ィ?」

「英語自慢したいなら、せめて中村ちゃんみたく、英国仕込みでないとな…(笑)」

「ふっ…止せよ、吉良っち…照れるぜ…」

「いや…照れるて人は、其処でドヤ顔なんてしないから…」

ドヤ顔の中村に、ジト目で突っ込んだのは渚である。

 

「くっ…俺に勝った位で、良い気になるなよ、吉良!

何故なら「次の お前の台詞は、『俺は5英傑の中では一番の雑魚!5英傑に入れたのが不思議な位のな!!』…と言う。」

「違ぇーよ!」

不破の横入りの台詞に、顔を真っ赤にして怒鳴る瀬尾だが、

「あ~、瀬尾、瀬尾?」

「あ゙ぁ!?」

更に響が割って入る。

「どーでも良いが、放っといて良ーのか?あれ?」

「へ?」

 

スオォォォォぉ…

響が親指を指し示す先には先程、瀬尾が倒し損ねた問題(ドラゴン)が、大きく息を吸い込んでいた。

 

「う…うわあぁぁぁぁぁぁぁあ~っ!?」

「「「南~無~…(チーン)」」」

ドラゴンの吐く、灼熱の炎の吐息(ブレス)が、瀬尾(のみ)を直撃した。

 

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

「へ~、歳は、本当に、同い年なんだ?」

「ええ。本当の学校の試験は、明日からなの。

父から詳しい事情は聞かされてないけど、結果的には今回の事は、私自身も成績アップに繋がってるから…」

「ところで…ねえ、律?ウチの男で、誰か気になったの、居る?」

「え?」

「あんた、男子の間じゃ、かーなーり、評判良いわよ?」

「え?そうですね~、私的には…」

 

                   

昼休み時間、律(偽)を中心に女子トークが盛ってる中、響達は5時限目の事を話していた。

                   「後は数学だけだね…」

「どーよ、カルマ?」

「ははは…吉良っちもだけどさ、皆、目の色変えて、力み過ぎじゃない?♪」

「おぅ、余裕だな?」

「まあね…『勝ち』って、そーゆうんじゃないと思うんだよね…。

通常運転でサラッと勝つからこそ、完全勝利なんだ。」

「カルマ?」

「見てなよ…。

正しい勝ち方…A組(やつら)を、浅野を生贄に、皆に教えてやるよ。」

「カルマ君…」

 

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

5時限目:数学

 

「シャババババ!!」

頭に2本の巨大な角を生やした、単眼の武神・問1が暴れまわる。

「最初っから こんな難問かよ!?」

「いきなり時間を削らせる気だな?

皆、コイツは後回しだ!

出来る問題から片付けよう!!」

磯貝が皆に指示を飛ばすが、それを無視するかの如く、寺坂龍馬が問1に立ち向かって行く。

 

「止せ寺坂!無理するな!!」

磯貝が制止を呼び掛けるが、

「大丈夫だ!コイツはなぁ…ヤマが大当たりなんだよ!!」

そう言うと寺坂は敵の首を自分の右肩に抱え上げてホールドし、更に両腿を両手で掴んで大きくジャンプ、

「う~りゃあっ!!」

そして自らも尻餅を搗く形で地面に勢い良く落ちる。

ドンッ!!

首折り、背骨折り、そして股裂きの3つの技が一度に決まり、問1は二度と立ちあがる事はなかった。

「…言ったろ?大当たりだってよ!!」

 

「…やるな、寺坂!!」

そんな寺坂に頼もしさを感じた響も、

「俺も、サクっといきますか!!」

目の前の問1を見据えるのだった。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「何?この、如何にもラスボスですって感じの風体は?」

 

響の前に、ラスト問題・問20が降臨した。

身に纏っていた真紅のマントを脱ぎ捨てると、胸に日輪をイメージしたかの様なマークが刻まれた、全身を白銀の鎧に身を包んだ闘神が、其処に居た。

3本角の仮面の下から見える眼が不気味に光ると同時に、響に攻撃を仕掛ける。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「でぇい!!」

数度の激しい攻防を経て、敵を宙に高く投げ飛ばす響。

直ぐに落下地点に位置を取ると、その場でブリッジ、

「やっ!」

落ちて来た敵を腹筋の力で、もう一度 天高く跳ね上げると、自らも問題(ターゲット)を追うように飛び上がり、

ガキィッ!!

相手の両腕を首の後ろでクロスさせて掴むと右脚を首に掛け、左脚は相手の左脚を極めるという、技の掛け手自身にも、かなりの柔軟性を求める関節技(サブミッション)を空中で完成させる。

しかし、この響の繰り出した技は それだけで終わらず、首をロックしていた右脚を外すと、今度はフリーになっていた相手の右脚をガッチリと固め、その儘 相手の身体を背中で包み込む様にブリッジする形で、

ガガァン!!

地面に激突させたのだった。

 

「あ~、しんどかった!」

途中、闘神からの攻撃により、ダメージを受けた首筋を押さえながらも、完全攻略の手応えを感じた響は、「もう、此処には用は無い」とばかりに、まだ戦っているクラスメートを気遣いながらも、解答(かくとう)途中、脱ぎ捨てたシャツを拾って袖を通し、闘技場を後にする。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

2日間に渡る攻防の末、全てのテスト(たたかい)が終了した。

 

暗殺、賭け…

全ての結果は、答案用紙に付けられた、赤い○(まる)の数で決まる。          

そして3日後…全教科の採点が終わった。 

 

 




≫≫≫≫≫≫≫ おまけ! ≪≪≪≪≪≪≪
≫≫ 期末テストのボツ&カットネタ ≪≪
 
社会…
磯貝と片岡の、石破〇〇〇〇天〇拳

保健体育…
岡島の『〇レス・ブレイク』発動後、
①磯貝が片岡、千葉が速水、渚が茅野に目隠しされる場面
②何故か その時に岡野に修正(物理)される前原
③岡島、その場で女子にフルボッコ

音楽…
〇ーツァルトも最初は茅野に名前を書かれる予定だった(ガチ本名が長すぎる上、そのスペルが全て確認出来なかった)

美術…
偽律と矢野による、Wポニテ&乳のコラボな絡み

家庭科…
原と、某えり〇っぽいキャラを、問題に見立てたキャラとの料理対決(岡島の保健体育とオチが被る理由でボツ)

数学…
〇ャスティスマンに有罪(ギルティ)されるカルマ
 

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。