暗殺聖闘士   作:挫梛道

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命令の時間

死亡フラグ…

 

一般的には小説やコミック、アニメや映画等で、近い未来に登場キャラクターの死亡を予感させる伏線の事を指す。

王道パターンとして、戦争物で出撃前に、「俺、この戦いが終わったら、故郷に帰ったて、恋人と結婚するんだ」等とリア充自慢したり、推理物で、蝶ネクタイをしたメガネのチビと知り合ったり、やはり推理物で、主役より先に、「分かった!犯人はアイツだ!」…と、その人物が背後に居るのに気付かず、口走る(しかも、具体的に名前は言わない)とか、急に優しくなるヤ〇ザとか、北斗七星の脇に光る、小さな星が見えたりするとか…等がある。

 

超々・危険人物が背後から登場したにも拘わらず、その存在に気づく事なく、その人物の友人達に対して調子に乗り、大柄な態度を取るという行動は、正しく其れと云っても間違い無いだろう。

 

「おらっ!!」

ドゴッ

「ぎゃン!?」

拳骨では終わらず、続けて小山の鳩尾に響の鋭い前蹴りが突き刺さる。

「「「「きゃあああああああっ!?」」」」

超々危険人物登場早々、更なるヴァイオレンスな展開に、騒然となる図書館。

 

「う…が…」

響は そんな状況に御構い無く、腹を押さえて蹲っている小山の頭を鷲掴みして無理矢理に引き起こし、顔の眼鏡を外すと、

「おい、そこの刈り上げ、持ってろ。」

「うわっ!?」

榊原に投げ渡す。

 

「な?女の子に暴力は無いよ・な!!」

ボギィッ!

「ほげぇっ?!」

そう言いうと今度は、顔面の真ん中に、思い切り正拳を撃ち込む響。更に次なる一撃を放とうとした瞬間、

「や、止めろ、やり過ぎだろ!?」

見かねた荒木が止めに入るが、

「あ゙!?」

チーン…

「♂⇔♀☆§¢仝∽∬≒‰Ψ(∵)々~!?」

その荒木の股間に、響が勢い良く蹴り上げた拗ねが まともに入り、声にならない悲鳴を上げてしまう。

 

「思い出した。お前、野球ん時、凄く面白い事、言ってたよな?」

「ひえぇえっ?!」

その顔は、主にカルマと一緒に、何か愉(わる)い事を思い浮かべた時の、所謂デビル・スマイル等ではなく、正に憤怒な鬼の形相と呼ぶに相応しい物。

 

(((あれ、まだ根に持ってたんだ!?)))

球技大会時の響の打席、あわや顔面直撃のビーンボールの際の、荒木がアナウンスした「惜しい」発言、あの時に立った荒木の死亡フラグは、未だに折れても消えても いない様だった。

「っと!?」

そして小山の時と同様、榊原に顔の眼鏡を投げつけると、股間を押さえ、うずくまっている荒木の頭を鷲掴みにして無理矢理に立たせると、効果音を、そして断末魔を表現するのも惨い位の拳の弾幕が、顔面と云わず、体中に浴びせられた。

 

「ううぅ…」

「文句は無いよな?

この成績至上主義の この学校じゃ、暫定的に この俺が、一番の正義だぜ?

外じゃ兎も角、敷地内じゃ、俺は成績下位者には何でもアリだよな?

カルマの停学ん時の背景が、見事な迄に前例を作ってるから、今更 誤魔化しは利かないぞ?」

 

カルマの停学理由…

前年度の3月、当時の成績トップだった3年生徒を中心とした数人の生徒が、E組生徒を集団リンチしていた所を、カルマが割って入った件。

 

「え?イジメを止めて、何が悪いの?」

 

その声は認められず、結果から見れば、発端となった集団リンチについては触れる事は無く、成績優秀な生徒に怪我を負わせたというカルマだけが、停学処分という形になったのだった。

 

「あの実例があるからな、俺は お咎め無しだ、心配するな。ところで、瀬尾?」

「な、何だよ?」

「お前、何で こんな所に居る?

お前、一応はA組在籍だが、待遇はE組同等な筈だぜ?

勝手に図書室、入ってんなよ・な!!」

バキイッ

「うげっ!?」

そう言うと、今度は瀬尾の顔に喧嘩キックを炸裂させると、

「勘違いして、偉そーにしてんなよ?

失せろ、この雑魚が。」

冷たく言い放った。

 

「待て、瀬尾は、僕達が誘ったんだ!」

「知るかよ…『俺はE組と同等な待遇だから…』の一言で、断ってれば済む話だ。

それをせず、誘われたからって、ノコノコやってきたコイツが悪い。…だろ?」

バキイッ!!

「かっ!?」

榊原の擁護も一蹴、更に瀬尾の腹に蹴りを入れる響。

「オラ!さっさと出ていけや、固羅?!」

まるで『物』を見るかの様な、冷たい視線を向けて響は言葉を続ける。

 

「クッソが…!!」

そんな響に瀬尾は、積年の怨みを持つ敵を見るかの様に睨みつけると、

「オラ、どけっ!!」

周りの生徒に八つ当たりするかの様に、図書室を後にした。

 

「「あでお~す♪」」

そんな瀬尾を、ハンカチを振りながら見送ったのは、響と中村莉桜である。

 

そして、

「き、吉良、お前、さっきの言葉、忘れるなよ!?」

「あ?さっきの言葉?」

全身が襤褸々々になった、荒木が響に問い詰める。

「勝負、受けるって話だよ!」

それに榊原が追随する。

「ああ、あれね、別に良いけど…

…てか、良い…だろ?…よね?」

そう言うと、響は「もしかして俺、やっちゃった?」…みたいな罰の悪い表情を浮かべ、磯貝達の様子を伺うが、

「はぁ…もう良いよ…」

やれやれな呆れ顔で溜め息を吐いた磯貝も、勝負を了承する意志を見せる。

「どーせ あたし等、そんな賭けとか関係無く、完勝する気だったしね♪」

そんな磯貝とは対照的に、ノリノリな姿勢を見せているのは中村。

 

「あはは…仕方無いよね…」

残る渚達も、引き攣った顔で、乾いた笑い声を飛ばす。

 

「…てゆーか、お前等、あんな賭け持ち出すなんて、俺やカルマの存在、忘れてね?

どーせ最初、俺がいないからって調子に乗ってたんだろ?」

「くっ…」

正しく その通り、完全に図星を射抜かれ、何も言葉を返せない荒木。

更には

ヒュン…

「ひぅぇっ?!」

小山の眼前に、いきなり響の拳が現れる。

「特に、命賭けるなんて、軽はずみに言うもんじゃないな…」

 

 

(俺達、暗殺教室の生徒にはな…)

 

 

先程とは違いって寸止め狙い故に、勢い余って本当に顔面を殴るという展開を避ける為、敢えて小宇宙を燃焼させる事で集中力を高め、正確にナノ単位で拳を止めた響が言う。

 

 

「英語数学が出来ても、そっち方面で頭良くないと、お受験はクリア出来ても社会じゃ役立たずだぜ?

そんな事も解らないの?バカなの?

死ぬの?てゆーか、死ぬ?」

「「「なっ…!?」」」

余りの挑発に、顔を真っ赤にする小山達。

「じょ…上等だよ、受けるんだな、この勝負!!」

「死ぬよりキッつい命令してやるぅ!!」

「こ…後悔するなよ!」

捨て台詞を吐いて、図書室から去って行く荒木達。

 

「「「ばいび~♪」」」

そんな3人を、響、中村、茅野がハンカチを振りながら、見送るのだった。

 

ざわざわざわざわざわざわざわざわ…

5英傑(浅野除く)が去った後も、未だに騒動が収まらない図書館。

そんな ざわつく生徒達に、響が目を向けると、

「「「「「「ひっ?!」」」」」」

その場所本来の姿である様に、瞬時に静まり返る図書館。

その直後、響は皆に顔を向け、背筋を真っ直ぐ伸ばして直立すると、

「お騒がせしました。」

上半身をきっちり45゚に傾け、謝罪した後に着席。

「さて、勉強勉強♪」

その後は何事も無かったかの様に、参考書を開き、試験に備えるのだった。

 

「「「「「「「…………」」」」」」」

当然、そんな響達に物申せる勇者は既に図書室には居らず、更には利用予約時間が過ぎても退席しないのを戒める事が出来る猛者は図書委員を含めて居る筈もなく、結局E組の7人は、閉館時間まで有意義な時間を過ごしたのであった。

念の為…響と中村の2人以外は、かなり遠慮がち&恐縮しまくりだった事を、付け加えておく。

 

そして、この図書館の騒動は、その場にいた生徒達により拡散し、たちまち全校生徒の知る所となった。

 

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ゴンッ!!

「痛ひ…(泣)」

「気持ちは分かるが、やり過ぎだ!!」

翌日、騒ぎを聞いた烏間から、普通に説教され、まるでギャグマンガみたいな大きなタンコブを、頭にリアルに作った響の姿があったという。

 

「久しぶりに見ました…」

「烏間さんの、殺人拳骨…」

その様子を見て、鶴田、鵜飼、園川の3人が我が身を抱くように震え、戦慄したのは、また別の話である。

 

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「瀬尾…君達がE組と賭けをしたって噂、完全に校内に広まってるよ。

5教科トップを より多く取れたら勝ち…

負けたクラスに どんな事でも命令出来るってね?」

「わ、悪い、浅野…下らん賭けとは思ったけどよ…Ε組(やつら)が つっかかって来るから、つい…」

最初に磯貝達に ちょっかいを出したのは、当然だが瀬尾達。

それを誤魔化す様に、自分達の頭である、浅野に必死な言い訳。

しかし、浅野は そんな事は見抜いているのだが、

「…ま、別に良いよ、そっちのが、A組(ぼくたち)にも緊張感が出る。」

ほっ…

その言葉に、自分達の嘘がバレてるのも気付かず、安心の表情を浮かべる瀬尾達。

 

「ただし、ルールは明確にした方が良いだろうね。

勝った後でゴネられるのも面倒だし。

…そうだ、こうしよう。

勝った方が下せる命令は『1つ』だけ。

その命令は、テスト後に発表する。

E組に伝えておいてくれ。」

「1つだけ?ちと物足りなくないか?

負けたリスクを考えたのか、浅野?」

「ふっ…」

瀬尾の言葉に、浅野はノートパソコンを開くと、高速ブラインドタッチで何やら打ち込み始め、

「僕達の命令は、『この協定書に同意する。』…この『1つ』だけさ。」

パソコン画面にて作成された、協定書を見せるのだった。

 

「「「「「「「はぁ!?」」」」」」」

瀬尾達だけでなく、周りにて、さり気に会話に聞き耳を立てていた生徒達も、それを見て目を丸くする。

その協定書には、約50項目以上に渡る、E組がA組に対する従属を強要する内容だった。

 

「ぎししし!こりゃ傑作だ!

奴隷じゃないか!」

「これ全部、今の一瞬で閃いたのか?

恐ろしいな…」

「ははは…自分も自分が怖いよ。」

 

そう言うと浅野は席から立つと、教室内の皆に呼び掛ける。

「皆、僕が、これを通して言いたいのは、やるからには真剣勝負だって事だ。

どんな相手にも、本気を出して向き合う!

それが、このA組に席を置いた、僕達の義務なんだ!」

「「「「「「「「おう!!」」」」」」」」

浅野の言葉に、A組の生徒達が呼応する。

 

A組の生徒達は、皆 理解している。

彼が並べる言葉は全て奇麗事だ。

爽やかな顔と奇麗事の裏に、腹黒い戦略と支配欲がある。

それは、十分に解っている。

…だが、実力とカリスマがある奴は、その奇麗事を正義に出来る。

浅野を信じ、付いていけば、必ず勝てる!!

それは正に理事会の息子であり、3年のA(エース)が集まったA組の、その中の絶対的エース!!

コイツより強い生徒なんて、椚ヶ丘(ここ)に居る訳がない!…と。

 

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「ふあぁ…」

「こらカルマ君!真面目に勉強しなさい!

君なら充分、総合トップが狙えるでしょうに!!」

どこか集中力が抜けているカルマを注意する殺せんせーだが、

「大丈夫だよ、誰かさんの教え方が優秀だからね。

今の俺なら、浅野君にも吉良っちにも勝てるよ。」

余裕の態度を見せるカルマ。

 

「けどさあ誰かさん?

あんた最近、「トップ取れ」とか「良い点取れ」とか…何だかフツーな先生みたいな安くて つまんない事しか言ってないよね?」

「にゅ…………………………………。」

殺せんせーは そんなカルマに、顔には出さないが、僅かな不安を感じるのだった。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「…で、どーすんの?例の命令ってヤツ。

あのA組が出した条件…何か裏で企んだる様な気がしてならないんだけど?」

「考え過ぎだぜカルマ、このE組が これ以上失うモンなんてあるか?」

「勝ったら何でも1つかぁ♪

学食の使用権とか欲しいな~♪」

そんな岡島と倉橋の発言に対し、

「エロ大王も倉橋ちゃんも甘いよ。」

響がダメ出しする。

 

「きーちゃん?」

「だ、誰がエロ大王だ!?」

「…逆に考えるんだ、もし俺達がA組だったら、E組に何を命令するかを…」

「きーちゃん…」

「スルー?」

「「「吉良…」」」「「「吉良君…」」」

響の発言に、少し前までは、勝利景品について軽く考え、ワイワイ話していた皆が、一気に黙り込む。

 

「皆、基本的に良いヤツばかりだからね、奴等の発想は出来ないさ。

多分、アイツ等は…」

「アイツ等は…?」

「…おっと、今は言わないでおくよ。」

がたっ…

勿体ぶった発言に、思わずコケてしまうE組の面々。

 

「磯貝…と片岡さん?」

「な、何だい…吉良?」「吉良君?」

「悪いけど2人が一応、皆の要望を考えて纏めておいてくれるかい?」

「ああ、分かったけど…」

「吉良君は どうすんの?」

「俺は俺で…クックックック…」

「「「「「「笑い方が黒い!!」」」」」」

皆から総突っ込みされる響。

 

「カ~ルマに中村ちゃ~ん?

2人なら、もう俺の考え、察してるだろ?

俺にアイデアの協力、頼むよ。」

「はいよ♪」「了~解♪」

響から指名された2人は、響同様な黒い笑みを顔に浮かべ、響に付いて教室を出ていった。

(((((E組・悪の3巨頭だ!!)))))

残された生徒達は、某コミックに登場する、漆黒の甲冑を着込んだ悪役の姿を3人に重ねた。

さしずめ、飛竜の響、迦楼羅のカルマ、鷲獅獸の莉桜と云った所か。

…響は蟹座の黄金聖闘士である。

 

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

期末試験前日の放課後。

 

響と浅野学秀は理事長室に居た。

勝負の噂を聞いた理事長が、前の日に、メールによる呼び出しをしていたのだ。

 

「やあ、よく来たね、2人とも。」

「どうも、コレが例のブツですよ。」

理事長の歓迎の言葉に対し、響は封筒を差し出した。

「……………………。」

浅野学秀も、響に続き、封筒を前に出す。

 

この封筒の中身…それはA組とE組、この2組の勝負が付いた時に施行される罰ゲーム…

すなわち、互いが勝者が敗者に与える『命令』が記された書面だった。

 

趣味なのか暇なのか、それとも これも業務の1つと判断したのか、いつの間にか当事者達も知らぬ儘、理事長が両者の間に入り、審判を行う運びになっていた。

 

「…では、試験の結果が出た後、また この部屋で逢いましょう。」

にこやかに話す理事長。

「…では、失礼します。」

「…待てよ。」

3人が2つの封筒に、封印を意味するサインを書き込んだ後、もう用は無いとばかりに退室しようとした浅野学秀を、響が呼び止める。

 

「…何だ、吉良?」

「試験が始まる前に、言っとかなきゃいけないと思ってな…」

「何がだ?」

「お前等が出す命令とやら、それが中間の時、瀬尾から失われた権利の復活とかなら無効だぜ?」

「何だと!?」

「あれは あくまでも、俺と奴個人の問題だ、クラス間の争い事で、どーこーする問題じゃない。

その封筒の中身が其れなら、今直ぐに書き直せ。」

「くっ…分かった。

瀬尾の事は、外しておく。」

その台詞を聞いた響の目が、鋭く光った。

 

「成る程ね、『複数の案件、全てを承諾しろ』…それがお前等が出す、『1つ』の命令って訳か。」

「なっ…!!?」

「お前、実はチョロいだろ?」

一瞬、動揺の顔を浮かべた浅野に響は悪魔の様な嗤い顔を見せた後、

「理事長先生、書面書き直しの必要は無いですね。

浅野本人が瀬尾の件は無効と認めましたし、万が一、俺達が負けた時も、瀬尾の件は消せば良いだけですから。

…では、俺は失礼します。」

浅野理事長にも念押しした後、響は浅野より先に退室した。

 

「…君は帰らないのかい、浅野゙君゙?」

 

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そして試験当日。

本校舎に宛てがわれた、試験用の教室に向かうE組の面々。

 

「どう、渚?ちゃ~んと仕上がってる?」

「ん…まあ、ヤマが当たれば…」

バヂィン!

「痛っ?!」

「男ならシャンとしなさい!

英語なら あんたも上、狙えんだから!」

少し自信無さ気な渚に、中村が発破を掛ける。

「うぅ…痛いよ、中村さん…」

たまらず お尻を押さえる渚。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「楽しみだなぁ~♪」

「A組と無謀な賭け、したんだって~?」

それは、D組の横を通り抜けようとした時の事。

渚に、D組の雀斑と眼鏡の2人組が渚に ちょっかいを掛けるが、

「お前等、負けたら一体、どんな命令されるんだr(ゴン!!)ほげえわーっ!!」

その隣を歩いていた中村から、鼻を潰さんとばかりな強烈な裏拳を貰ってしまう。

しかし、それで終わりではなかった。

 

「期待を裏切る様で悪いが、俺達は負けるつもりは無いんだけどな?」

「ひぇっ!?きっきっきっき…」

中村達の少し後ろを歩いていた、本校舎最要注意指定である、超々・危険人物に逆に声を掛けられてしまうのだった。

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「さて…あたし等のテスト部屋、この教室だよね?」

「…って、誰かいるね?」

拳をハンカチで拭きながら、E組の先頭を歩いていた中村が最初にテスト会場を覗くと、既に1人、教室の席に着いていた。

「「「「「「「誰あれ!?」」」」」」」

そこには、髪型以外は、見慣れない少女が座っており、中村達に気づくと、にっこりと微笑みかけてきた。

 

「彼女は『律』役だ。」

「烏間先生?」

そう、彼女は律の代役。

律と同じ髪型をした彼女は、女子にしては長身な方で、垂れ目の下に泣き黒子がある、紛れもなく美少女と言っても問題無い人物だった。

烏間曰わく、普段なら兎も角、勝負が賭けられた今回の試験には、人工知能の参加は流石に理事長から認められず、ネット授業で律が教えた替え玉を使う事になったとの事。

「理事長との話し合いの時、『コイツも大変だな(笑)』…と云う、哀れみの目を向けられた俺の気持ち、君達に分かるかな?」

((((((((((すいません、マジ、すいません!!))))))))))

ヒクヒクと顔を引き攣らせながら話す烏間に対し、生徒達は上半身を斜め45゚に傾け 、ひたすら心の中で謝罪するのだった。

 

「え~と…」

「ふふ…今は自律(おのずりつ)よ。

普段の彼女みたいに、『律』で良いわ。」

「お、応…よろしくな、律。」

 

 

そんな『偽』律を見て、数人の男子がヒソヒソ話し合う。

「いや、烏間先生、ぐっじょぶだよ!」

「超美少女!!」

「しかも本物に負けず劣らず、パねぇ!!」

「いや、アレって、既にビッチ先生を超えてないか?」

…何の話をしているかは、敢えて察して下さい…としか、言わないでおこう。

 

「隣の席、誰よ?」

「菅谷。」

「「「よし、菅谷は後で〆よう。」」」

「何でだよ!?」

 

この会話に参加していた男子が、後で女子達に〆られるのだが、それは別の話。

 

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

キーンコーンカーンコーン…

チャイムが鳴り、そして期末テストが始まった。

 

その時、教室は闘技場(コロシアム)に、筆記具は槍と太刀に、そして答案用紙は異形の【問スター】へと、その姿を変えた…。

 

 




キャラのビジュアルは

自律(『偽』律)……姫島朱乃
         (ハイスクールDxD)

…を、髪型は律その儘で、松井先生風にアレンジした画をイメージしてください。

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
『偽』律の見た目は、大幅に変更させて貰いました。
学秀君は、原作より かなりチョロい仕様になっています(笑)。


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