暗殺聖闘士   作:挫梛道

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本作では、なるべく、時軸通りに話を進める方針です。
なお、今回の「英語(笑)」の突っ込み&指摘は堪忍して下さい。

加筆修正しました。


旅行の時間②

京都に到着した椚ヶ丘中学校一同。

 

修学旅行、初日の日中は学校が指定したコースを巡り、その後は本校舎組とE組に別れ、それぞれの宿泊先に向かった。

その際、D組の男子生徒2人が響の手によって(以下略)。

 

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「死んだ~…先生、死にました~…」

旅館のロビーのソファーで、真っ青…本当にリアルブルーな顔で、完全にダウンしている殺せんせー。

 

「1日目で既に瀕死なんですけど…」

「まさか、新幹線とバスで酔ってグロッキーとは…」

「大丈夫?寝室で休んでいたら?」

心底 心配そうな表情をして気遣いながら、ナイフを振り回す片岡、中村、岡野。

「大丈夫です…心配ありません。」

完全グロッキーながら、それでもナイフを躱す殺せんせー。

 

 

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「JAMA,suruze~?Sokono Boys & Girls?

Mr.カラスマ,irukai?」

「「「???」」」

 

ロビーで数人の生徒が喋っていると、そこに明らかに外国人…朱いサングラスにニット帽、そしてストールを纏った若い男が、英語で話し掛けてきた。

「だ、誰?…てか、英語?」

「全部、聞き取れなかったけど、烏間先生に用があるみたい?」

 

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「彼は通称、レッドアイ。

今回の修学旅行の為に、国が依頼した狙撃手(スナイパー)だ。」

烏間は生徒達全員を広間に集め、レッドアイを紹介した。

 

「HAHー! Yoroshikuna!boys & Girls!」

「「「「「「………………。」」」」」」

「Nn…?Hey,Genki naina?

Meshi,kuttenainoka?HAHー!」

レッドアイと紹介された男は、やや早口な口調の英語で、あくまでもイメージ的な話だが、とてもプロの殺し屋とは思えぬ明るいノリで語り掛ける。

 

てっきり【無口無表情で濃い眉毛のオッサンな殺し屋】が来ると思ってばかりいた…と言うのは、ボブカットの少女の弁。

 

「今から各班の班長は、彼と明日以降の暗殺の打ち合わせをしてもらう。

それと吉良君…」

「はい?」

「君も、通訳として、このミーティングに立ち会って欲しい。

これは、あのタコの指名だ。」

「はぁ…分かりました。」

「Yoroshikuna,KIRA-boy?

Tokorode,殺せんせーtoyarawa,Dokodai?」

「AH,Ano TAKOnara,Makura wasuretatte,

Imawa TOKYOni modottemasuyo.」

「WHAT IS IT?(何だ そりゃ?)」

 

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「「「本当に中学生か、お前は?!」」」

「以前、言ったろ?鍛え方が違うと。」

旅館の浴室で響の鍛え絞られた身体を見た前原達が突っ込みを入れる。

「しかも何なんだよ!?その、超凶暴凶悪そうな龍(ドラゴン)は!?」

「ふっふっふっふっ…グレート〇ッド(真の赤〇神帝)?」

「畜生、あのパツキン彼女も、この龍の餌食になっt(ガン!)うわらば!?」

岡島の顔面に、洗面器が炸裂した。

「岡島ぁ!?まぁ、自業自得だけど…」

「まだ、其処まで行ってねーよ!!」

必死に否定する響。

そんな中、

「HAH!Shitsurei suruze~!」

「あ、レッドアイさん…って…」

「「「「な、何じゃあ そりゃ~?!」」」」

レッドアイの龍(ドラゴン)は、響の其れを遥かに凌駕していた。

「流石は外国人、凄ぇー!!」

「HAHー!Motto,NIKUwo kueyo?Boys?」

大浴場で、響の通訳を交えて裸で語り合う男…否、漢達。

 

「ん?渚?」

「や、やあ…」

其処に新たに、渚がタオルを巻いて中に入ったきた。

当然、腰だけなのだが…

「「「「なぁ~ぎさぁ~っ♪!!」」」」

それを見た男子達が詰め寄る。

「わ?!ちょっと、皆?」

「お前、何タオルなんか巻いてんだよ!」

「皆、そんなの してないだろ?

少しは空気読め、オメー!」

「うわ!前原君、止め…」

「やれ!前原!殺っちまえ!」

「HAHAHAHAHAHAHAHAHAHA!!」

 

 

 

 

 

 

 

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orz orz orz orz orz orz orz orz orz…

ロビーでorzる響達。

 

「「「誰だよ…?弩草食とか絶食とか言ってた奴は…」」」

「「どー見ても肉食じゃねーか…」」

「「「小動物の皮を被った野獣だ…」」」

「OH…JESUS…!!」

 

 

「あら?男子達、どうしたの?」

「レッドアイさんも?」

「…よく解らないけど、自尊心を粉々に打ち砕かれたとか、何とか…」

 

「何だ そりゃ?渚、何があったのよ?」

「…ノーコメント。」

目を明後日の方向に流し、顔を背ける渚。

「「「????」」」

 

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修学旅行2日目。

AM9:20

狙撃(スナイプ)を専門とする、プロの殺し屋レッドアイは嵯峨野トロッコ列車の名所の1つである、保津峡の鉄橋の下で待機していた。

昨夜、E組学級委員の磯貝が中心である1班との打ち合わせで、暗殺対象(ターゲット)の殺せんせーを暗殺(ヒット)するとした場所…

それは列車の客が、保津峡の絶景を堪能する為に一時的に停車する鉄橋の上だった。

タイミングは保津川下りの船が、橋の下を通る時。

 

「あっ、見て見て殺せんせー!

川下りしてる!!」

倉橋が殺せんせーに、川下りの船が来たと指差す。

「お?どれどれ?おお!!」

それを聞き、一目見ようと窓から身を乗り出した殺せんせー。

 

ドクンドクン…

自分達が計画した、暗殺の瞬間(とき)が やってきた…。

1班の生徒達の心臓の鼓動は最速に達し、顔も緊張で強張る。

そして その瞬間、レッドアイのライフルのスコープは確かに殺せんせーをロックオンして…

ドシュ…

その銃口からは、ライフル用に加工された対せんせー弾が放たれた。

 

 

過去に様々なハードな条件の下、確実に仕事をこなしてきたレッドアイにとって、今回の仕事は かなりイージーな心算だった。

あの特殊ライフル弾は、確実に あのタコの脳天に命中した筈…

確認の意味合いで、スコープ越に暗殺対象(ターゲット)を覗くレッドアイ。

しかし…

 

「Stopped by…YATSUHASHI!?(八つ橋で止めた…だと!?)」

殺せんせーは、自分目掛けて撃たれた、対せんせー弾を八つ橋2つで挟み込む様にキャッチしていた。

 

「おろ?八つ橋に小骨が?

危ない事もあるもんですねぇ?」

 

如何にも「残念でした」と言わんばかりのドヤ顔で、磯貝達1班のメンバーを見渡す殺せんせー。

1班メンバーは、我関せずと言いたげに、顔を逸らすしか出来なかった。

 

再び動き始めたトロッコ列車を、茫然とした顔で見送るレッドアイ。

(Shit!! カラスマサンから、常識外れの規格外とは聞いてはいたが、まさか、此れ程までだったとはな…!

成る程…月を破壊したという、100億YENの賞金首…

とんでもないMonsterを殺す依頼の様だ…。

…面白れぇ!

次こそは このレッドアイの名に賭け、確実に殺ってやるよ!

首を洗って待っていろ、タコ!!)

 

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AM11:20

千葉龍之介を班長とした2班は、(速水凛香リクエストの)東映太秦映画村に来ていた。

 

 

「そのまま 大人しく去るが良いで候。

拙者、無益な殺生は好まないで候。」

数人の浪人崩れに絡まれていた町娘を自身に抱き寄せると その儘、お姫様抱っこして お持ち帰りしようとする主役侍。

巫山戯るなとばかりに浪人の頭目らしき男の号令で、派手な太刀回りが始まった。

因みに菅谷創介アイデアの、役者に対せんせー刀を持たせて殺るという案は、目立ち過ぎるという理由でボツになっていた。

 

「間近だと、刀の速度、パねぇな!」

「より速く魅せる、完成された動きです。

先生、こういうの、大好きなんです。」

 

(成る程、次はサムライのチャンバラアクションショーか…)

撮影セットの火の見櫓の上で待機していたレッドアイは、先の汚名返上とばかりにスコープを覗く。

(事前に俳優達には派手な殺陣をする様に頼んである。

俺の腕なら、アクションに魅入って、殆ど動かない見物客(ターゲット)を仕留めるなんざ、イージーにも程があるぜ…)

レッドアイは そう思いながら、スコープ越に暗殺対象(ターゲット)を捜すが、

(ん?何処に行った?)

見物客の中に居る筈の、殺せんせーの姿を見失ってしまう。

 

だが、次の瞬間…

「助太刀いたす。

悪党共に咲く徒花は血桜のみぞ…!!」

何時の間にか衣装を着替え、役者に混じって派手な殺陣、決め台詞も完璧に演じてる殺せんせーを見つけるのだった。

 

「What are you doing?

(何してんだ、テメェ!?)」

思わず叫んでしまうレッドアイ。

E組のメンバーも、考えている事は同じなのか、目を点にして、唖然としている。

 

 

殆ど動かない見物客側なら兎も角、動きの速い役者側、それも傍に同等の動きをする共演者が居るとなると、正確に狙えない。

(ちっ…誤射覚悟で撃ってみるか?

いや、今回の仕事は、巻き添え等の それが絶対に許されないとされている…

それで信用信頼を失い、今後の仕事の依頼の影響を考えてみたら、それは悪手でしかないな…)

映画村での狙撃(スナイプ)は断念せざるを得なかった。

                  

                 

                 

そいつは兎に角 素速い…

常識外れの動きをするが、惑わされるな…

 

 

改めて烏間の言葉を思い出すレッドアイ。

「だ・か・らって、ありゃ、常識外れ過ぎるだろーが!カラスマサンよ?!」

 

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その頃、渚を班長とした4班は、嘗て坂本龍馬が暗殺されたという「近江屋」の跡地に来ていた。

 

「茅野ちゃんは龍馬の事、どのくらい知ってる?」

響の質問に茅野は答えた。

「ふっ…知らんぜよ!」

「あー、少ししか知らないってのは、よく分かったよ…」

 

渚が言うには、この近辺は あの織田信長を始め、大小を問わず様々な暗殺が完遂されたという。

「謂わば この街は、暗殺の聖地といっても過言ではないんだ。」

「「「へ~、そーなんだ~?」」」

余談だが この時、響、茅野、杉野の頭の中で、信長が爽やかな笑顔で氷の上を滑走しているイメージが浮かんだのは、物語本編には一切関係ない。 

 

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PM2:20

現在、竹林考太郎を班長とした3班は、清水寺にいた。

「にゅや、遅くなりました!」

そこに殺せんせーが合流。

 

「殺せんせー、遅ーい!」

「もう清水寺、回っちゃったよ?」

「いや、申し訳ない!」

原寿美礼と櫻瀬園美の文句に平謝りする殺せんせー。

 

「全く…今まで何やっていたんだか…?」

「いや、先生も色々と ありまして…」

狭間綺羅々の呟きにも お茶を濁す。

尤も あれから映画村で、自分の演技に酔った殺せんせーは、呆れて その場を去る生徒達にも気付かず、暫くの間、殺陣に没頭していた…とは、とても言えないだろう。

「それでは、二寧坂で お土産探しと洒落込みますか!!」

「どーせ、甘いモンしか興味ねーだろ!」

殺せんせーの言葉に寺坂がケチを付けながらも、一行は お土産屋を回って行った。

 

 

(よーし…此処なら じっくり狙えるぜ…

狙撃(ヒット)のタイミングは、三寧坂の出口…

買った土産を確認しようと生徒が気を引いた瞬間…!!)

清水寺と八坂神社の中間にある、法観寺…八坂の塔の最上階で待機しているレッドアイは、狙撃の機会を伺っていた。

 

「殺せんせー、今 買った、あぶらとり紙、使ってみなよ?」

原が土産袋から、あぶらとり紙を取り出した。

「うーむ…ベトベト穫れたら、先生、恥ずかしいですねぇ…」

「「いーから いーから♪」」

ぺたんぺたん…

遠慮がちな殺せんせーの顔中に遠慮なく、紙を貼っていく原と櫻瀬。

 

 

「今だ!」

その時、レッドアイは引き金を牽いた。

 

ドッ…

そしてレッドアイはスコープ越に、確かに それを見た。

「YES!確かに こめかみに命中したぞ!!」

 

…が、

「It is'nt paper for catch to bullet!!

(弾丸(タマ)捕る紙じゃねーよ!!)」

思わずレッドアイは突っ込みを入れる。

彼が見たのは、ライフルから飛び出た対せ

んせー弾が、顔に貼られ、粘液を吸収して

盛り上がった あぶらとり紙に、ガッチリと遮断されていた場面だった。                

「ほら、言わんこっちゃない!

こんなにも粘液が とれてしまった!!」

ねとぉ…

「弾丸も止める位!!」

照れながらも余裕綽々な表情を見せる殺せんせーに、寺坂達は、顔をしかめるしかなかった。

 

「…なんだ…なんなんだよ!あいつわ!?」

同じ日、同じ標的(ターゲット)を相手に3度も暗殺失敗…

レッドアイは、自身の暗殺人数(スコア)35人という実績を持つ、プロとしての自尊心が折れかけていた。

 

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「…何、お兄さん等?

観光が目的っぽくないんだけど?」

「男に用は無ぇーよ。

女 置いて、とっとと消えな?」

そんな三寧坂での暗殺が行われていた頃、祇園町の奥の路地で渚達は、見た目が如何にも…な、高校生達に絡まれていた。       

 


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