暗殺聖闘士   作:挫梛道

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メインヒロイン再登場。


金髪の時間②

連休2日目の日曜日。

椚ヶ丘駅。

 

「ひーびきーっ!」

「ぬわっ!?」

駅入口に立っていた響に、長いストレートのプラチナブロンドの髪の少女が駆け寄り、抱き付いてきた。

まだ陽が高い午前中で、更に連休中という事もあり、周囲は沢山の人集り。

響と白金髪の少女は、一気に注目を集めたのだった。

 

「は、晴華、おま…人前でなぁ…」

「あら?照れてる?

大丈夫よ、あたし、外見がコレだから、周りもある程度は納得するわよ♪」

確かに日本人通しなら、100パーバカップルとして見られるだろう。

しかし、響の彼女である、早乙女晴華はドイツ人とフランス人の血を1/4ずつ受け継いでる。

瞳も蒼く、肌も比較的白め。

見た目は100パー西欧人だ。

周囲の人間も、ある程度は、向こうの お国柄で納得すると言えば、するだろう。

しかし、彼女は1/2程は歴とした日本人。

∴(故に)100パーバカップル。

 

「よっ、吉良、おっ久♪」

「久しぶり~♪」

「よぉ…瑞樹に雲仙ちゃん…」

そこに響と同年代のカップルが声を掛けてきた。

白鳥瑞樹と雲仙星乃。

響の前中の同級生の友人だ。

 

「いや、俺も驚いたんだぜ?」

「んん。このコ、吉良君の姿確認すると同時にダッシュだもん。

止める暇なんかなかったよ。」

早乙女晴華の暴走(笑)を制止出来なかった事について、響が問い質すと、2人はそう答えた。

「「止める気も無かったけど(笑)」」

「コイツ等…」

 

「よっ、吉良、お待たせ。」

「こんにちは~。」

そしてタイミングを計ったかの様に、前原と岡野がやってきた。

 

「あー、この2人がメールで言ってた…」

「ああ、今のクラスメートの岡野さんと…チャラ男な。」

「をいっ?!」

「…で、こっち、前の学校の友達の白鳥、雲仙…と早乙女な。」

「えーと、岡野さんとチャラ男さん?」

「いや、違うから!」

「響の妻の…晴華です。よろしくね♪」

「をぉい!?」

「よろしくね、白鳥君と雲仙さんと…吉良さん?…で良いのかしら?」

意外と順応力がある岡野。

「いや、岡野さん、違うからね!」

そんな他愛のない会話をしながら、一同はバスで移動。

目的地の椚パークに向かうのだった。

 

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

椚パーク…決して全国的ではないが、県内では比較的中規模の、中学生が遊ぶには、内容的にも経済的にも、可もなく不可もなくな遊園地だ。

 

「晴華~、機嫌直してくれよ~?」

「ふん!浮気者!!」

「いや、あれは事故だし!

てか、俺も被害者だし!!」

バスでの移動中、前原がうっかり、先日の響とイリーナとのやり取りについて、口を滑らせてしまった為(当然、暗殺云々は語っていない)晴華が怒り出し、響が宥めるのに必死になっていた。

「前原あ~!」

「いや~、何と言うか…吉良、スマン!

…で、早乙女さん?キスされたの、吉良だけじゃないから!

あの先生さ、外国の人だから、別に他意はなくて、只の挨拶のつもりだったんだよ!

女子も1人、されてるし!なあ、岡野?」

「まあ…ね…」

「そうそう!お前と違って、あの先生、リアル外国人だから、あっちの感覚が日本人とは少しズレてるだけだよ!」

前原、岡野と一緒に、晴華に対して必死に言い訳をする響。

当然、舌を入れられた事(約20秒で80HIT)は黙っている。

 

「あたしでさえ、口は まだなのに…」

その言葉を聞いた前原は響の肩を叩き、

「良かったな吉良、お前が漢を見せたら、全て解決だ!」

「何故、そーなる?」

 

そのやり取りを見て、

「ん~♪」

目を閉じ、ワー〇ド〇リガーの登場人物の如く、口を『3』にして迫る晴華。

慣れた光景なのか、白鳥と雲仙は、ただニヤニヤと見ている。

前原は普通に、やや興味深く眺めている。

そして岡野は、赤くなった顔を両手で覆っているが、指の隙間は開いており、余り意味は無い。

 

「だー!人前で出来るか!?後だ、後!!」

「よし、言質は取った!絶対だからね!」

どうやら丸く収まった様だ。

 

その後は皆でパークで遊び回った。

 

絶叫マシーンで小宇宙全開する響。

曰わく、今更、音速にすら届かない乗り物に載っても怖くない。

逆に、小宇宙を集中して、落差高低差を超スローで感じる方が、怖くて楽しい…らしい。

 

ホラーハウスは、過去に冥闘士や神話級の魔獣等と闘ってきた黄金聖闘士が今更、創り物の幽霊や怪物を当てられても…だ、そうだ。

しかも、スタッフが怪物の着ぐるみや幽霊の衣装を着て潜んでる分にしては、『気配』で事前にダダ分かりだとか。

ただ、晴華がずっと腕にしがみついて、その胸の感触を堪能出来るから、決してホラーハウスは嫌いではないらしい。

響の弱点…おっぱい

 

尚、いきなり飛び出てきた脅かし役の着ぐるみスタッフを、驚いた岡野が思わず蹴り飛ばしてしまったのは、別の話。

 

 

途中で昼食を挟み、観覧車へ。

 

「え゙っ?2人ずつで乗るの?」

「「いや、当たり前だろ?」」

「うぅ…」

岡野の発言に、響と前原が突っ込む。

この観覧車のゴンドラは、最大4人乗り。

ならば、6人グループの場合は4-2より、2x3で別れるのが普通。

そもそも岡野以外の5人…特に晴華は、此処で それぞれが2人きりになる気満々だった。

それは岡野本人も、何となく感じていて、一応聞いてはみたが、返ってきたのは やはりな答えだった。

 

「前原…襲ったら、殺す!!」

「へいへい…」

 

 

観覧車から降りた6人…

其処には、何故だか少し機嫌が悪そうな岡野に、頬に真っ赤な紅葉を貼り付けた涙目な前原。

普通に仲の良さそうな白鳥と雲仙。

そして、超満足気な顔の晴華と、心なし、少し顔が窶れているっぽい響がいた。

 

 

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椚ヶ丘駅。

「じゃな。」

「今度は冬休みかなぁ?」

「ん~、その頃は、受験勉強も追い込み時期だから、どうだろうな?」

「…………………………………………」

黙り込むプラチナブロンドの少女。

 

 

「晴華…」

「…!!」

「「「「おおぉっ!!」」」」

 

 

 

晴華達が乗った電車を見送る響。

「「よっ!色男!」」       

それを弄る前原と岡野。

「うっせえよ!(笑)」

 

「しかし、まっさか、吉良君が、彼処でするとはね~?このこのぉ♪」

岡野が響の腕を肘で突つく。

「あのパツキン彼女も喜んでたし…

お前等、バカップルだったんだな…」

「うるせっ!!

ビッチ姉さんの お陰で度胸が付いたか?

あ、クラスの皆には内緒な?」

「仕方ないな…この場にカルマや中村が居なくて良かったな?」

「全くだ…って、そりゃ お前等もだろ?」

「確かに…な…」

 

 

 

しかし、3人は気づいていなかった。

朝方の駅から既に、そして今も、一日中、カメラを持った黄色いタコにロックオンされていた事を…

 

 




思ったより進まなかったってか、長く書いてしまった。
次回は連休明けの話。
次回こそはビッチ先生の話を締めます。

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