本文中の決闘については、1話・聖闘士の時間を参照。
「あっ、吉良君、おっはよ~!今日は早いんだね~?(笑)」
「流石に2日連続はないわね…」
「うっせよ!(笑)」
朝、響が旧校舎を目指して山道を登ってると、後ろからクラスメートの倉橋陽菜乃と速水凛花に声を掛けられた。
昨日、大遅刻をやらかしてしまったから、今日は普通に登校するだけで、皆に弄られるとは思っていたらしいが、早速な様だ。
昨日の深夜に担任のタコ…改め、殺せんせーに果たし合いを挑んだが、結果は敗北。
敗れた暗殺者への手入れと称されて出された課題(問題集)を片づけ、眠りについたのが、AM4:00頃。
その後、AM6:30頃に一度 目を覚まし、もう少しだけ眠るつもりだったのが、昼過ぎまで爆睡、慌てて小宇宙全開の光速移動で登校したのだった。
「…その事、殺せんせー言ってたんだよ。
多分、吉良君は それが原因で寝過ごしているんだろうって。」
「それで今後は深夜の決闘、暗殺は遅刻の元だからって、禁止になった。
てゆうか、そもそも 決闘は法律違反とか言ってたわ。」
「ほほう…じゃ、あの時の拍手喝采も、あのタコの指示?」
「あはは…拍手ってゆーか、教室に入ってきたら、温かく迎えてあげなさいって言われたんだけどね…」
「まさか、いくらなんでも、昼過ぎに やってくるとは殺せんせーも想定外だったんだと思う。」
「いやいや、あの(課題の)量は遅刻想定して欲しいぜ?」
≫≫≫
「おっ、吉良!
今日は随分と、早いじゃないk
「エクスカリバー!」
「ぉわぁっと?!」
教室に入った瞬間、響の手刀が岡島の脳天を襲った。
勿論、響も
「おま、ジョーク通じろよ!」
岡島の訴えに
「岡島ぁ~、仏の顔も三度って諺、知ってるか?(笑)」
「は?」
?…となってる岡島に対し、一緒に教室に入ってきた、倉橋と速水を指差し、
「1、2…」
そして
「3…」
やはり つい先程、廊下で響に件のネタを話し掛け、一緒に教室に顔を出した木村正義を指差し、最後に
「…4!」
岡島を指差した。
「運が悪かったな?
お前が4人目なんだよ。(笑)」
「カウント累積型かよ?」
≫≫≫
「起立!」
ガタガタガタ!
「気をつけ!」
ジャキッ!カチャ…
「礼!」
ドパパパパパパパパパパパパパパパパ…
日直の号令と共に、クラス全員がエアガンを構え、
「磯貝君…」
「はいっ!」
出席を取り始める。
そして、クラス全員が出席しているのを確認すると、
「素晴らしい!
今日は吉良君もキチンと、朝から来てくれていまs(シュタタタタタタ!)にゅやっ!?」
教室後方から、6本の対せんせーナイフが光速で飛んできた。
ナイフは全て殺せんせーの顔の横ギリギリを通過し、黒板に当たった後、そのまま床に落ちる。
「ちっ、ゴムみたいなナイフじゃ黒板には刺さらないか…
これじゃ絵にならねー。
烏間さんに頼んで、先端部だけでも鉄かステンかのナイフを貰えないかな?」
凄く残念そうに響が呟く。
「何を言っているんですか吉良君!
黒板を穴だらけにする気ですか?」
ナイフを投げられた事には別に怒らず、黒板に傷を付けようとする考えに注意する殺せんせー。
響は席から立ち上がり、
「ごめんごめん、殺せんせー。
そのナイフ取りに行くからさ、落ちてるの拾ってよ?」
…と、笑いながらナイフを受け取りに教室の前側に歩いていく。
「全く…仕方ありませんね~…」
やれやれな表情で、ナイフを拾おうとする殺せんせーだが、
「…って、吉良君!
先生がナイフを触ったら、ダメージ受けるじゃないですか!」
「「「「「ちぃっ!」」」」」
殺せんせーの必死な突っ込みに、響と、響の目論見に気付いていた数人の生徒が盛大な舌打ち。
その後、クラス全員が箒を手に、BB弾を回収し始めた。
「吉良君、惜しかったね、さっきのナイフ、早過ぎて全然見えなかったよ。」
「まあ…ね…」
隣の席の櫻瀬園美に先程のナイフの話を振られ、軽く頷く響。
まあ、今回はワザと外したんだけどね…次に下手な事を言ったら…知らないよ?殺せんせー?
▼▼▼
数日後。
「おいおい、このタコ、世界レベルの機密事項な存在が、こんなに派手にやって良いのかよ?」
響が夜、自宅リビングで父親が買って帰った東ス〇を広げてみると、その一面には、ニューヨークで日本人のプロ野球メジャー選手が試合中に謎の触手に責められるとい記事が載っていた。
これが、クラスメートの元野球部員、杉野友人の野球アドバイスに繋がっていると知るのは、少し後の話だった。
▼▼▼
「ヌルフフフフフフ…
どーしました?こんな状態でも殺せませんか~?」
ある日の放課後、ロープで縛って木に吊した殺せんせーを、竹竿の先に対せんせーナイフを紐で括り付けた、対せんせー槍…とでも言うのか?それと銃撃との連携で殺ろうと必死になっている生徒達がいた。
そして、それを器用にヌルヌル躱しているタコがいた。
「ほら、お詫びのサービスですよ?
こんな身動き出来ない先生、そう滅多にいませんよぉ?」
「この、クソタコがぁ!」
因みにお詫びとは、今日の昼休みに、クラスの花壇を荒らした件の事だ。
「クッソ!ちっとも当たらねー!」
「ムカつく~!」
苛つく生徒達を尻目に、顔を黄と緑の縞模様にして、余裕綽々で槍とBB弾を避ける殺せんせー。
「ちぃ、弾切れだ、茅野ちゃん、次っ!」
「は、はい!」
茅野カエデは今回はサポート役の様だ。
弾切れの自動小銃型のエアガンを茅野に渡すと同時に、ライフル型のエアガンを受け取り、再びトリガーを引く響。
そんな響と目が合った殺せんせーは、悪い笑みを浮かべて
「ヌルフフフフフフ…
なかなか当たりませんね~?
皆さん、少しは頭を使いませんか?
例えば、先生を吊しているロープを切るとか枝を折るとかしたら、かなり有利になるんじゃないですか~?
そう…例えば蟹の鋏でチョッキーン!…と切るとか?
そうすれば先生、『あじゃぱー!』って落ちちゃいますよ?(笑)」
…ぷち
「こ・の・タ・コ…」
響に更なる殺意が目覚めた。
そうですか、殺せんせー…。
ならば望み通り、蟹の鋏、蟹座の爪をお見舞いしてあげましょう…!
響はライフルを右手の片手撃ちに構え直し、銃を乱射しながら、左手に小宇宙を僅かに集中させる。
そして、左手を所謂ジャンケンのチョキ、但し、人差し指と中指は揃える形にして、
「(アクベンス・シュナイダーっ!)」
指先から放たれた、一筋の小宇宙の刃が、
すぱ…
殺せんせーを枝に吊っているロープを鋭く斬り裂いた。
ぼとっ…
せれにより、万有引力に従い、地に堕ちた殺せんせー。
急な想定外な出来事に、タコも生徒達も、時が止まったかの様に その場で固まってしまう。
「今だ、殺れーっ!!」
そして数秒後、時は再び動き出す。
「にゅやーっ、しっ、しまった!!」
殺気倍増した生徒達の猛追を、テンパりながらも躱す殺せんせー。
「あっ」
「ちっくしょ、抜けやがった!!」
辛くもロープから抜け出し、校舎の屋根の上に回避したタコは、
「流石に此処までは来れないでしょう?
基本性能が違うんですよ、バーカバーカ!」
「あっの、クッソタコがぁ!」
響が この場では己が
「ハァ~、ハァ~…」
そして、大きく呼吸して息を整え、
ふー…と溜め息1つ吐いた後に、
「明日出す宿題を3倍にします!」
「「「「「「「小せぇ!!」」」」」」」
その器の大きさを露呈したのだった。
次はカルマ回の予定。