暗殺聖闘士   作:挫梛道

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今回の すぺさん:0・The Fool氏
 



演劇の時間

「さて…改めて皆さんに問いますが…」

 

期末試験結果発表からの理事長来訪、そして その理事長の口からでた敗北宣言…

朝からイベント盛り沢山だった、この日の放課後の教室、生徒一同と烏間、そしイリーナが、殺せんせー注目していた。

 

「朝の理事長先生の呼び掛けにも、"否"で応えていた訳ですが、皆さん本当に、この山を降りると言う人は居ないのですね?」

この質問に対し、生徒一同は不敵な笑みを浮かべ、

「今更っしょ?」

「第2の刃の証明、したばっかだし?」

「…後は、殺るだけ。」

「こっからでしょ?この教室。」

シャキ…

ナイフに拳銃にライフルにグローブ…

それぞれが それぞれの得意な得物を構えての、改めての暗殺宣言。

 

「「……………。」」

この返事に、烏間とイリーナも、無言で満足気な顔を浮かべている。

 

「ヌルフフフフ…宜しい!

良い答え、良い覚悟です!!

それでは今回の褒美に、先生の最大の弱点を教えてあげましょう!」

「「「「「弱点??」」」」」

「…!」「!!?」

オレンジの顔に、大きな〇(まる)を浮かべ微笑む殺せんせー。

"弱点"と云う言葉。

この言葉に、生徒だけでなく、烏間とイリーナも、眼の色を変えて、殺せんせーに注目する。

 

「きょぬーに弱いか? ん。知ってるし。」

「…乗り物に弱い。」

「水。」

「あと、怖い話に弱いよね。」

「基本、チキンだよな。」

「存在を公に出来ない国家機密の分際で、世間体を気にするし。」

「器が小さい。」

「知恵の輪でテンパr

「にゅやーーーーーーーっ!?

そ、そうでなくって!!」

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「「「「「「パワー?」」」」」」

「はい。実は先生、意外とパワーが無いんです。」

「いや、結構な破壊力、今迄も見せてきたじゃん?」

「それ等は全て、スピード特化だからこその芸当なんですよ。」

パワー不足。

殺せんせーの口から出た弱点に、意外な顔を見せる生徒達。

今迄それを感じさせなかったのは、全てマッハの衝撃から成せた、パフォーマンスで誤魔化していたから…純粋な腕力は、かなり弱い…本人曰わく、静止状態なら触手1本、人間1人で押さえられる。

座った人間に対し、指先1つ、額を抑えれば立ち上がれない、アレと同じだと云う。

 

「ある意味、凄い演技力だぜ…。」

 

 

 

殺せんせーの弱点

全員で押さえられれば、捕まえられる!

 

 

「成る程!」

「だったら皆で こっそり近寄って…」

「全員で触手を全部押さえたら、動きを止められる!」

「成る程!」「成る程!」「成る程!」

「…って、」

「「「「「「それが出来てりゃ、最初(ハナ)から苦労、してねーんだよ!

このタコ!!」」」」」」

「「「「「「不可能なの解ってて、教えたでしょ!?」」」」」」

「ふーむ…駄目ですか?」

期末試験を経て、E組と本校舎の抗争?は理事長(ラスボス)の白旗宣言で、一応の決着が着いた。

しかし、E組と殺せんせー…暗殺の決着は、まだまだ先な話の様だ。

                  

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

一方、その頃の、本校舎・理事長室では…

「…失態だね、浅野"君"。」

「…………!!」

「荒木君達と連携で、3年生全員にテコ入れしようとしたのだけは、誉めても良いけどね…

その方向が間違っていた。

結果論だが、他者…E組を潰す事は忘れ、自分自身を高める様に、洗脳(ちょうきょう)すべきだったね?

そうすれば、もう少し違う結果に なっていたかも知れない。」

理事長・浅野學峯と生徒会長・浅野学秀とのOHANASHIが行われていた。

 

「殺意によるドーピング?

まぁ、それ其の物は、間違ってはいない。

…でもね、それをするなら一夜漬けでなく もっと早くから…そう、それこそ4月から執り行うべきだった。」

 

 

…そう、彼達の様に…ね。

 

 

「君は兎も角、荒木君や榊原君達の順位の大幅ダウン…

それ自体が、君の執った方法が間違っている証明だよ。」

「……………!!」

これは進藤や掛布等、今回の浅野の呼び掛けを拒否して、講習に参加しなかった者が上位に立っている結果が、それを裏付けている。

進藤に至っては、五英傑より上位だ。

そしてE組最下位の寺坂が46位という成績を収め、単純に3年生180人中、134人が、内部進学の権利を失った事実。

荒木達に施した浅野の洗脳(しこみ)。

そして荒木達を通じて、間接的に本校舎3年に施した浅野の洗脳(しこみ)其の物が、失敗だったのは明らかだった。

しかも、寺坂より上位だった本校舎生徒の内の約半数が、部活(スポーツ)関連等の理由で、他校受験する考えを既に、各人が進路相談の席で示している。

結果、今期の3年生で内部進学する者は、10名にも満たなくなった。

 

「既に、ホームページで外部受験の定員大幅拡大は、報せている。

来年の入試、都内は基より、他県からの志望者も、普段以上に沢山集まるだろうからね。

尚更、倍率も高くなるだろう。

ウチの3年生も一緒に受験するとして、果たして何人、合格出来るかな?」

「……………………っ!!?」

それは、現状で浅野の"手駒"となる人材が、かなり減ってしまうという事。

進学後、直ぐに生徒会選挙に立候補して、高等部掌握を計画していた浅野にとっては、大きな打撃となる。

普通に考えれば、エスカレーター進学の同級生の票、実質的に全体の約1/3は確保、それだけで当選は ほぼ確実だったであろう。

しかし、それが無くなった今、外からの同級生を選挙迄に懐柔出来るかとなると、流石に疑問符が付くし、2年3年生は尚の事、如何に理事長の身内だからとて、簡単に入学したての1年生に票を投じるのは、想像に難しい。

浅野の高校支配構想は、入学前…中学卒業前から頓挫してしまっていた。

                  

「まぁ、良いよ。

君には もう、何も期待しない。

下がって宜しい。」

「…お咎めは、無いのですか?」

「生徒(こども)の失敗は、教師(おとな)に責任が有るんだよ。

大丈夫。君は、何も しなくても良い。

後は この責任者(わたし)に、全て任せていたまえ。」

「…くっ…!!!!」

                  

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「演劇発表会かぁ~…」

「期末試験終わった早々に、コレかい?

マジにイベント盛り沢山だな!?

この学コ!!」

「吉良っち、落ち着け!」

翌週の月曜日の朝の教室。

ホームルームが始まる前で話題となっていたのは、先週末の委員長会議で日程が決まった、全校参加の演劇発表会。

 

「よりによって、2学期末の この時期かよ…」

「冬休みの暗殺の準備、したいのにね。」

「差別待遇は無くなったから、予算の方は まぁ良いとしてだな…」

「セットや小道具なんか、山(ここ)から運ばないと駄目なんだろ?」

「しかも…」

「俺達が演るの、昼メシ時って…」

「肴かよっ!?」

「これって、差別じゃないの?」

「ぃゃ…それは、その…」

あらゆる方面に、不満たらったらなE組の皆さん。

特に、演じる時間帯について文句が続出した時、それを遮ざしたのは、会議に出席したクラス委員長の磯貝。

 

「はぁあ? くじ引きぃ?!」

「肝心な時に、ボンビースキル、発動させてんな!」

「いや、悪かった…って、ぼ、ボンビースキルって何だよ!?」

どうやら磯貝の"持ってなさ"が、原因だった様だ。

 

「まぁ、くじ引きなら仕方無いじゃん。」

「それよりか、何を演るか、皆で話し合おうよ?」

「カルマ…渚…」

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

「ふっふっふ…

メシ時にE組(オレラ)に当てたの、後悔させてやろうぜ…

なぁ、狭間さん?」

「クククク…任せときな、吉良。

食欲喪せる程な、スプラッターな脚本(はなし)、書いてやるよ…」

「「「「「お前等は お前等で、結構"混ぜると危険"だな!?

いいぞ、もっと殺れ!」」」」」

この新たに発掘された、凶コンビの意見に皆が賛同する中、一部からは反対意見も ちらほら。

 

「いや、そーゆー嫌がらせみないのは、折角1年2年中心に上がってきた好感度、下げたりするから止めたのが良いかも?」

「そそそ、そうですよ、皆さん!

早まっちゃ駄目です!!

もっと中学生らしく、健全にですね…」

それは沖縄での肝試しの時、初めて自身がホラー・オカルト系が苦手なのを自覚した中村と、何時の間にか話し合いに参加していた、やっぱしホラー系が苦手な担任のヘタレタコ。

そして、

「こここ、怖いのダメ!絶対!!」

まるで原発反対デモや、某県の軍事基地への、新鋭機体導入反対のデモな皆さんの如く、大型ディスプレーの画面内で、ホラー系反対を謳った襷にプラカード、横断幕を掲げている少女である。

しかし その必死な嘆願も結局は、民主主義的な数の横暴で蹂躙され…

 

 

監督:三村航輝

脚本:狭間綺羅々

メイク:菅谷創介

殺陣指導:吉良響

 

出演:片岡メグ(主役)

   櫻瀬園美(ナレーション)

   他

 

…以上のキャストで、かなり……な、ストーリーが仕上がるのだった。

 

                  

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

そして発表会当日の昼食時、E組発表の演劇の幕が上がった。

                  

                  

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

     【DullahaN】

 

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

 

カタカタカタカタカタカタ…

「はぁ~…」

『…時刻はPM11:00。

この、狭いオフィスにて1人、溜め息を零しながらパソコンをカタカタ言わせている彼女、名を由良克己(ゆらかつみ)。

にじゅう(ピー!)才。独身。

最近の悩みは、後輩の女性社員から…後輩の"女っ性"社員から告白され、その現場をタイミング良く、以前から想いを馳せていた同僚(オトコ)に目撃されて、愉快な勘違ぃ

「こ、こらーーーーーーーーーーーっ!!?

あ、アンタ何、台本に書いてない事、いきなり言ってるのよ?」

『…アドリブに一々、突っ込んだりしないで下さーい。』

「突っ込むわよ!」

『…ワガママですね~。

でわ改めて…彼女の名は由良克己。

とあるゲームソフト会社の、プログラム担当の1人である。

現在、社内の壁…はい此処で、セットの右上に、注目!

…社内の壁に大きく、【目指せ!今度こそ、ク〇ゲー オブ ザ イヤー大賞受賞回避!】と書かれた貼り紙を正面にして、彼女が中心となって制作した、新作のホラー系アクションRPGのバグ消去…デバッグ作業、そして違法コピー対応プログラム導入の、真っ最中なのであったー!』

♪てててて!てててて!てーてー!!♪

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

カタカタカタカタカタカタ…

「はぁ~…」

何か、どっと疲れた様な顔で、パソコン操作している片ぉ…もとい、克己。

先程のナレーションの、実際、リアルで起きた出来事をアレンジして語られたアドリブに、かなりダメージを受けている様だ。

 

「……………………。」

「ん?」

デバッグ作業中、彼女は画面に、不意に人影が写るのを見た。

しかし彼女は、それを気にする事無く、作業を続ける。

夜遅くだが、ゲームソフト会社なら、この時間帯に事務所に戻る者が居ても不思議は無く、誰か同僚が、外から戻ってきて、それが写ったのだろう、その程度の認識でしかなかった。

 

 

実際に その場には、何処から途もなく現れた、おおよそ現代の日本人とは思えない、時代離れした黒装束を纏った銀髪の男が、無言で彼女の背後に立っていたのだが。

しかし克己は、その存在に気付いてなく。 

「ふぅ~バグ消去、終わり!

次は、違法コピー対策ね。」

カタカタカタカタカタカタ…

そして続けて、次の作業へ移行。

 

「……………………………………。」

そして銀髪の男は、更に足音立てず彼女に近付き、画面を覗き込む。

必然的に、はっきりと男の顔は、画面に写ってしまい…

 

「…!?」

初めて、男の存在に気付いた克己。

不法侵入者な見知らぬ男。

驚きの余りに…余りも驚き過ぎたからこそ、逆に悲鳴も出せず、固まってしまう。

 

「………………。」

「あ、アナタ、誰…なの?」

それでも声を振り絞り、無言で目の前に立つ、正体不明の男に、克己は尋ねると、

「分からないかいぃ…ほらぁ、俺だよぉ…

アンタが散々、バグだって言ってぇ…

何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も削除(デリート)したぁ…」

「え!? その格好…

まさかアナタ、AKIЯ…

「そぅさぁ!俺だよおお!

A・KI・RA…だ、よぉおおっ!!」

バサァッ…

AKIRAと名乗った男は その証明な心算なのか、黒装束の上着を肌けると、鍛え絞らた筋肉の鎧の様な…全身、大きく深い傷だらけの、血塗れの上半身を、克己の前で晒した。

 

「ひぃいいいっ!!?」

血塗れ傷らけの身体に戦慄したのか、見慣れぬ筋肉(おとこのはだか)に どん引いたのか、上擦った声を、克己は上げる。

 

「あああ…う嘘、嘘よ!

AKIRAって あくまでもゲームキャラなのよ!

リアルに居る訳、無いじゃないのよっ!?」椅子から滑り落ちるが、腰を抜かしたのか立ち上がる事無く、尻餅を搗いた儘で後退りする克己に、自称AKIRAは ゆっくりと歩を進め、距離を詰める。

 

「さあ?それは俺にも分からない。

ただ、分かっているのは、俺はアンタによって、消された存在だと云う事だけ。

…だ・か・ら・この場へ…

この場へと やって来たんだよぉおっ!!」

「き…きゃあああああああああぁっ!!?」

 

 

ここで舞台は、暗闇に包まれ、少しの間が置かれて、アナウンスが流れる。

 

 

 

『翌朝、このオフィスで、彼女は首を喪った姿で発見された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…だが、彼女は決して、死んだと云う訳では無かった。』

 

♪でろでろでろでろでろでろでろでろでーでん♪

 

 

≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫

パッ…

再び舞台の向かって右半分に照明が点くと、机にテレビ、ベッドに本棚…それは一般的な学生の間取りな部屋に。

 

 

 

『あれから少しの時が、流れました。

件のゲームソフトは、その後 社内で色々と有りましたが、無事に発売されました。

出処は不明ですが、世間では"彼女"の噂に脚が付き色が憑き、このソフト会社は、元から ある方面からすれば、ユーザーの間で かなり有名だったのですが、今回は尚の事 話題作となり、発売前から予約殺到、爆発的な売り上げを叩いたとか。』

 

カチャ…

『あ、この部屋の主である、少年が帰ってきた様ですね。

早速テレビを点け、ゲームをプレイするみたいです。』

 

パッ…

このタイミングで、舞台左半分にも照明が点いた。

古城の内部の様なセット、野獣の呻き声の様なBGMの中、対峙しているのは両の手にナイフを逆手で持った、忍者(くノ一)っぽい服装の髪の短い少女と、大剣を両手持ちで構える、銀髪黒装束の男。

 

♪・♪・♪・♪♪♪・♪♪・♪♪♪♪♪~♪

急遽、BGMがサーカス等で お馴染みな"剣の舞"にチェンジすると同時に、黒装束が少女に向けて突進、一刀両断するが如くな大剣の振り降ろし。

それを少女は、バク転しながら後方へと躱すと、今度は身体を流れる様に回転させての、連続の斬り込みを繰り出すが、黒装束はコレを、大剣で巧みに捌く。

そして次は、黒装束のターン。

足元を狙った、床スレスレの水平な斬撃を、少女はジャンプで避けると、その儘 空中での二段蹴りに移行。

 

パシッ…

その二段目の蹴りが、黒装束の大剣を弾き落とすが直後、この銀髪男は意に介さぬ様に、大振りな右の裏拳を繰り出した。

これを少女は着地と同時、再度のバク転で後方へ回避。

この後も、両者は互いの攻撃を捌き躱すの攻防を繰り広げ、

バスィッ!

少女の突き上げる様なハイキックと、黒装束の身を旋回させての手刀が ぶつかり合い、直後に両者はバックステップで距離を空ける。

 

「「……………………………………。」」

 

そして互いが間合いの外、睨み合い牽制し合うかの様に、戦闘体勢を取り直した。

 

 

「「……………………………………。」」

 

 

その儘 両者は、まるで凍りついた様に、動かなくなった。

 

「あら?またフリーズしやがったか?

マジにバグの多い会社だな!」

カチカチカチカチ…

動かなくなったゲーム画面を見ながら、コントローラーのボタンを無差別に推し、少年は呟く。

 

パチ…

ここで舞台全体の証明が落ち、ゲーム少年1人に、スポットライトが当てられる。

その少年の背後、

「そういう仕様よ…」

「!????」

びっくぅう…!

不意に耳元で囁く女の声。

驚きの余り、少年は思いっきり、肩を跳ね上げてしまう。

 

「"そういうソフト"で、ある程度ゲームを進めていくと、トラップが作動する様にプログラミングされてるの。」

「…??」

恐る恐る…アニメ等で よく表現される、"ギギギ…"と云う効果音が よく似合う、ぎこちないスローな動作で、声が聞こえる後方に首を向けてみると、

「違法コピーしたりしちゃ、駄目じゃない?」

「……!??」

そこに、少年の目線の高さ位置に、髪の長い女…克己が首"だけ"の姿で現れ、にこやかに微笑みかけた。

 

「キミ、ウチの会社のゲーム、違法コピーしちゃ駄目じゃない?

私と少しだけ、O・HA・NA・SHI…

…しようか?」

「う…ぅわああああああああぁっ?!!」

♪でけでけでけでけでけでけでけでけでんでん!!♪

 

スゥ…

舞台は再び、真っ暗闇と静寂に包まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パッ…

暫くの間の後、舞台中央に、少年の首"だけ"が浮かび上がり、

「………………………(ニタァ)♪」

客席に向かい、静かに微笑んだ。

目元は長く垂れた前髪で隠され、口元が緩むだけなのが、却って不気味だ。

そして数秒後、その少年の首が音も無く暗闇に溶ける様に消え、入れ替わる様に、首だけの克己が姿を見せ、客席に微笑みかけ話し掛ける。

                  

「ゲームソフト等の違法コピー、絶対に駄目。

彼みたいに なりたくないなら…ね?

追伸。

今夜、アナタの下へ、伺います、まる」

 

♪来~るぅ…きっと来るぅ…きっと来る♪

 

 

 

 

 

そしてライトが消え、幕は降りた。

                  

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「「「「「「「…………。」」」」」」」しーん…

静寂に包まれた観客席。

元来、この時間帯は食事時間。

箸を持った手もフリーズしており、

 

「こ…」「こ…」「こ…」

「「「「「「「怖いわっ!!」」」」」」」

「メシ時の出しもんじゃねー!!」

「食欲、無くなったじゃないのよ!!」

「…でも、戦闘のアクションは、凄く良かったぞ!」

ぶーぶーぶーぶーぶーぶーぶー…!!

当然ながら、館内はブーイングの嵐に包まれた。

 

「「いっぇ~ぃ!♪」」

パチィン…!

「「「「「……………。」」」」」

そんな舞台裏でハイタッチをするのは、この脚本を書いた狭間と、銀髪のカツラを被った響の"混ぜるな危険コンビ・ver.2"。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「うっ…アイツ等、何処迄!!」

食べかけの弁当を膝に置き、忌々し気な表情で、拳を握り締める浅野。

尚、メインとなる3-Aの演目、アクション主体な演劇だったのだが、先に演じたE組の、ゲームをイメージした、響&岡野の戦闘アクションが超絶過ぎて、それと比べると余りにも お粗末過ぎて、全く湧かなかったとか。

 

 

「くっ…アイツ等、本当に何処迄ぇ…!!」

 

 




※※※※※※※ キャスト ※※※※※※※
 
由良克己…片岡メグ
AKIRA…吉良響
NINJA少女…岡野ひなた
ゲーム少年…千葉龍之介
ナレーション…櫻瀬園美
 
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
①知ってる?
実は あのリ〇グの結構有名ソングな、『来ぅる~♪』って部分、実はアレ、空耳なんだぜ!
だから、今回は普通にセーフ(笑)。
 
②劇中の千葉の「ニタァ…」は、〇輝に殺られた時の、那〇のイメージで。
 
③最初のナレーションは、櫻瀬さんのマジなアドリブ。
片岡さん、大テンパリ。
 
④吉良君が脱いだのも、実はアドリブ。
 
⑤しかし、事前に吉良君は皆には、『やるからね』って報せていた。
 
⑥片岡さん以外に。
 
⑦つまり、あの時の彼女の「ひぃいい!!」の台詞は、演技でなくて『素』。
(台本の通りではある)
 
⑧館内は「きゃーー( ゚Д゚;)ーーっ!?」と「きゃーー(//∀//)ーーっ!!♪」に包まれ、この日一番の大うけだった。
 
⑨吉良君は後で、片岡さんにOHANASHIされました。
 
 
≫≫≫≫ 次回予告(予定)!! ≪≪≪≪
 
次回:暗殺聖闘士『※※の時間(仮)』
乞う御期待!! コメントよろしくです。
 
 
2019.3.19
放置してる訳じゃないよ!
 

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