ハイスクール・フリート ―霧の行く先― 作:銀河野郎のBOB
今回は本編から外れて番外編。
本日7月20日はミケちゃんこと岬明乃ちゃんのお誕生日!
というわけで、本編より未来のミケちゃん誕生日のお話です。
本当は20日0時ちょうどに上げたかったんですけど、19日に書くことを決めたもんだから、急いで書いたけどやっぱり間に合わなかった^^;
しかも普通に本編並みの文章量w
気持ちは2000字程度のつもりだったのが、プロット作るうちに膨れ上がっていって、結果5000文字弱になった。
急造ゆえ変なところも多いかもしれませんが、どうか楽しんでいただければと思います。
あ、一応ムサシとヤマトも出てきますが、ほんとちょっとですのでアルペジオ要素ほぼ0です。
それでは、どうぞ!
特別編① 誕生日でハッピー!
2016年7月19日午後11時55分
-明乃side.-
今日は7月19日、晴風メンバーの一人、野間マチコさんの誕生日!
私たち晴風クラスのメンバーは、学校の学生寮にある食堂で、野間さんの誕生日パーティを楽しんでいる。
野間さんって普段はあんまり表情を出さないクールな人だけど、みんなからお祝いされてちょっと照れた顔をして、すごく可愛かったなぁ。
そして今はもうパーティも終盤、みんな思い思いに過ごしている。
等松
「キャー!! マッチー! こっち向いて!!」
ミミちゃん、パーティ始まってからずっと野間さんの写真撮っている気がするなぁ。
他にも、モモちゃん、ヒメちゃん、ソラちゃんが野間さんを囲んで写真を撮っている。
野間さん、晴風クラス以外の女の子からも人気あるんだよね。
そんなことを考えていると、パーティの司会をしているレオちゃんが締めの挨拶に入った。
若松
「えー、みなさん、宴もたけなわですがそろそろ日付も変わりそうなので、この辺でマッチの誕生日パーティをお開きにしたいと思いまーす」
みんなから拍手がパチパチとあがる。
今日は本当に楽しかったな。
と、その時
納沙
「『ちょっと、待たんかぁい!!』」
いつもの芝居がかった声でココちゃんがひな壇に上がってきた。
納沙
「『まだじゃ! まだ宴は終わっておらんのじゃ!!』」
するとココちゃんはレオちゃんからマイクを受け取った。
なんだろう?
何か始まるのかな?
納沙
「えー、それではみなさん、ここからは晴風の書記である私、納沙幸子が進行役を務めさせていただきます! それではこれより、
我らが晴風艦長、岬明乃さんの誕生日パーティをはじめまーす!!」
「わー!!」
……え?
え、え??
私の、誕生日??
ふと、時計を見ると長針と短針が両方真上を向いて重なっていた。
すでに日付が変わっていたのだ。
つまり今は7月20日、そう、私の誕生日なのだ。
岬
「え? ええええええ!! わ、私、何も聞いてないよ!?」
すると、まるで狙っていたかのように、ココちゃんがニヤリと笑って私を見ていた。
納沙
「もちろん、艦長には内緒にして、みんなで準備させていただきました!」
なんと、私以外はみんなこのことを知っていたようだ。
突然の事で、私は混乱してしまっている。
すると、先ほどまでパーティの主役だった野間さんが私の前にきていた。
野間
「さ、ここからは主役のバトンタッチだよ、艦長?」
野間さんが私の手を引いて、ひな壇の方へ導いていく。
なんだかミミちゃんの視線がすごく怖いけど、気にしないでおこう。
そして私はひな壇の中心に立った。
納沙
「さぁ、主役の艦長がステージに上がったところで、さっそくはじめましょう!
まずは、ケーキ入場です!」
すると、ミカンちゃん、ほっちゃん、あっちゃんの三人がケーキを乗せたカート押してひな壇の上に上がってきた。
ケーキには火の点いたろうそくが立てられている。
伊良子
「みなさん! 野間さんに続いて、岬さんにバースデーソングを歌いたいと思います」
杵崎姉妹
「「みなさん、ご唱和ください!」」
ミカンちゃん達の音頭に合わせて、みんなからバースデーソングが私に贈られる。
みんなの歌を聴いていると、すごく嬉しい気持ちになった。
私のためにサプライズでパーティを用意してくれるなんて。
歌が終わると、ココちゃんが私をケーキの前へ導く。
納沙
「さぁ艦長、どうぞ、消してください」
私は、ふぅ、と息を吹きかけてろうそくの火を消した。
同時にみんなから拍手が送られる。
納沙
「さぁ、どんどんいっちゃいましょう! 次は各専攻科から艦長へのプレゼントです!」
すると、みんなどこからプレゼントを取り出している。
どうやら専攻科ごとにプレゼントを用意してくれたようだ。
まず、機関科からプレゼントされたのは、背に「晴風艦長」と刺繍された特製の法被だった。
なんでも、マロンちゃんが中心となって機関室メンバーみんなでデザインを考えて、それをモモちゃんの実家である服飾屋さんでヒメちゃんも手伝って作ったらしい。
こんないいものをもらっていいのか、モモちゃんに聞いてみたら、
青木
「岬さんには、艦長としてずっとみんなを引っ張ってもらっているっす。だからこれは、そのお礼っすよ」
と、言ってくれた。
私は早速、法被に袖を通す。
柳原
「おぅおぅ! 艦長すごく似合ってるじゃねぇか!」
そ、そうかなぁ///
でも、ありがとう!
続いて、航海科からは可愛い海の生き物をフレームにあしらった写真立てをプレゼントしてもらった。
これはカメラが趣味であるメグちゃんが主体になって選んでくれたものだ。
宇田
「この写真立てに、思い出の写真を飾ってね、艦長!」
勝田
「艦長に使ってもらえると、写真立てもきっと幸せぞな!」
ありがとう!
丁度、晴風に乗っていた時に撮っていたみんなの写真があるから、早速飾ってみようかな。
続くは砲雷科、プレゼントは魚雷の形をしたペンケースと砲弾の形をしたシャーペンだ。
いかにも砲雷科らしいプレゼントに私は思わず笑ってしまった。
小笠原
「ふふん! すごいでしょ、探すの大変だったんだよ」
姫路
「みんなで色んなお店回って見つけたんだよ~」
私のために、ほんとうにありがとうね。
大事にするよ!
主計科からは、とても綺麗な銀色のカレー皿がプレゼントされた。
主体になったのはもちろんミカンちゃん。
伊良子
「おうちでもこのお皿においしいカレーを作って食べてね!」
等松
「絶対、120%おいしいよ!」
うん! 明日から早速このお皿でカレー食べるよ。
そして、艦橋メンバーからは、イルカの装飾のついたネックレスをプレゼントしてもらった。
私がネックレスを首にかけると、みんなから拍手がわきあがる。
知床
「岬さん、すごく似合ってるよ」
西崎
「いや~、色々探し回った甲斐があったよ。ねぇ、タマ?」
立石
「うぃ! うぃ!」
こんなに素敵なプレゼント、本当にありがとうね。
そして、最後にヤマトさんとムサシちゃんからのプレゼントだそうだが、二人の手には何もなかった。
すると、二人が私に向けて手を前に出すと、周りに銀色の粒子が渦巻いた。
粒子は私の手の上で形を作っていき、完成したのは手のひらサイズの小さな晴風だった。
ムサシ
「誕生日って、私にはよくわからないけど、アケノに何かしてあげようって思って考えたの」
ヤマト
「明乃さん、喜んでもらえたかしら?」
二人とも、とっても嬉しいよ!
本当にありがとう!!
納沙
「さて、専攻科ごとのプレゼントが終わったところで、次は、晴風副長のシロちゃんから艦長の岬さんにプレゼントの授与です!」
ココちゃんの言葉で、シロちゃんがひな壇の上にあがってきた。
シロちゃんからのプレゼントかぁ、なんだろう?
宗谷
「み、岬さん、はい、どうぞ」
シロちゃんからのプレゼントは、真新しい艦長帽だった。
宗谷
「母さんと姉さんたちが、ネズミ騒動で頑張ってくれた岬さんにって」
すると、ココちゃんがシロちゃんをニヤニヤした顔で見ている。
納沙
「またまたぁ~。本当は、
『母さん、岬さんに艦長帽をプレゼントしてあげたいんだ!』
『仕方ないわね、いいわよ』
『ましろの大好きな岬さんだもんね』
『いいねぇ、シロ。彼女を大切にしてやれよ!』
って感じだったくせにぃ」
宗谷
「勝手に変な想像をするなー!」
みんなから笑いが沸き起こる。
でも、こんなにきれいな艦長帽、すごく嬉しいな。
岬
「シロちゃん、私にこの帽子をかぶせてくれる?」
宗谷
「え? うん、いいよ」
シロちゃんは私の頭にそっと帽子をかぶせてくれた。
あぁ、すごく嬉しいな。
みんなからのプレゼントも終わった。
そろそろ催しは終わりかな?
そう思った時、食堂の照明が落とされた。
納沙
「艦長、これで終わりじゃありませんよ! 続いて、サプライズ企画です! 正面にご注目!!」
すると、プロジェクターで映像が映し出された。
画面に映っているのは、ミーちゃんとアドミラル・シュペー艦長のテアさんだ。
ミーナ、テア
「「明乃、Alles Gute zum Geburtstag!! 誕生日おめでとう!」」
アドミラル・シュペーはあの騒動の後しばらく横須賀に停泊していたが、今は本国のドイツに戻っている。
まさか、ドイツにいるミーちゃんからも祝ってもらえるなんて、すごく嬉しいよ。
ミーナ
「本当は日本に行って祝ってやりたかったんじゃがな。シュペーはもうすぐ長距離航海演習に出るから、ビデオレターでお祝いさせてもらうぞ」
そっか、シュペーはまた長い航海に出るんだね。
ミーナ
「ワシらが今こうしてドイツに戻れたのは、明乃がいてくれたからだ。あの時、明乃がワシを助けにきてくれなかったら、シュペーはどうなっていたかわからなかった」
テア
「だから我らシュペー乗組員一同、岬艦長にはすごく感謝している。この恩はみんな絶対忘れない」
そんな、私はただ助けたくて飛び出していったのに。
でもこんなに感謝してもらえるなんて、嬉しいな。
ミーナ
「今度は晴風のみんなでドイツに来るといいぞ! 本場のドイツ料理、みんなに堪能してもらわんとな」
テア
「ドイツの色んな所へも案内してやろう。きっとみんな楽しんでもらえるよ」
ミーナ、テア
「「では明乃、Auf Wiedersehen! また、会おう!」」
映像が流れ終わると自然と拍手が沸き起こる。
ミーちゃんもテアさんもありがとう!
納沙
「さてさて、ミーちゃんからのメッセージも終わったところで、いよいよ最後の企画ですよ!」
ま、まだあったんだ。
なんかすごいなぁ。
最後はなんだろう?
納沙
「では、登場してもらいましょう。どうぞ!」
すると、食堂の入り口の扉が開いて誰かが入ってきた。
知名
「ミケちゃん、お誕生日おめでとう!」
岬
「もかちゃん!?」
入ってきたのは、大型直教艦武蔵の艦長で、私の大事な幼馴染のモカちゃんだった。
岬
「あれ!? もかちゃん、お誕生日会は夜にやるって」
知名
「実は、宗谷さんにこっそり誘われてね。ミケちゃんには内緒でサプライズ参加しちゃった」
もかちゃんってば、突然でびっくりしちゃったよ。
もかちゃんが拍手に迎えられてひな壇の上にあがってきた。
納沙
「では、武蔵艦長の知名さんより、晴風艦長の岬さんへプレゼントの授与です」
もかちゃんが私に渡してくれた箱の中には、赤いリボンとロケットペンダントが入っていた。
ロケットの中には、あの騒動から横須賀に戻ってきた時に二人で撮った写真が収められていた。
知名
「私ね、あの時ミケちゃんに助けてもらえてすごく嬉しかった。1か月も武蔵の艦橋に閉じこもらなきゃいけなくなって、ずっと怖かった。でもその間、ずっとミケちゃんのことが頭から離れなかった。ミケちゃんも武蔵みたいになっていないかって心配だった。でも、あの日ミケちゃんが晴風の命をかけて助けに来てくれた時、ミケちゃんが幼馴染で本当によかったって思ったの」
岬
「もかちゃん……」
知名
「ミケちゃん、これからもずっと、私の大事な幼馴染でいてね!」
岬
「うん!」
みんなの前で私ともかちゃんは抱き合った。
私も、ずっともかちゃんと一緒だよ。
納沙
「では、最後に、岬艦長から一言いただきましょう!」
ココちゃんが私にマイクを渡してくれた。
みんなが私に注目している。
岬
「みんな。今日は私のために、こんなに素敵な誕生日パーティを開いてくれてありがとう! 私、今とっても嬉しいよ。入学してすぐにあんなことがあって、私もみんなに無茶させちゃったよね。でも、みんな私についてきてくれて、力を合わせて乗り越えることができた。そして、モカちゃんも助けることができた。本当に、みんなありがとう」
みんなから大きな拍手が私に向けられる。
岬
「この学校に入学して、こんなにたくさんの仲間が、家族が私にはできた。とっても嬉しいよ! これからも、私は晴風の艦長として、みんなのお父さんになるから、みんなよろしくね!!」
その後、パーティは夜遅くまで続いた。
私、晴風のみんなと出会えてよかった。
これからも、艦長としてみんなと一緒に頑張らなきゃね!
それじゃあ、明日に向かって、よーそろー!!