ハイスクール・フリート ―霧の行く先―   作:銀河野郎のBOB

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お待たせいたしました。
約1か月半ぶりの本編、第23話です。

相変わらず投稿が遅いですが、そろそろ誕生日記念もゴールが見えてきて少し余裕ができてきたらもう少しペースを上げられるよう頑張ってみます。

前回、クロちゃんたち機関科のみんなの力を借りて、なんとか作戦を立てることができたムサシ。
いよいよシュペーとの戦いに挑みます。

それでは、どうぞ!


第二十三話 予想外でピンチ!

 2016年4月27日午後12時30分

 

 -ヤマトside.-

 

 昨日のアドミラル・グラーフ・シュペー発見の一報を受けてから一夜が明けていた。私たち一行は最後にシュペーの目撃情報のあったアドミラリティ諸島海域に入っており、シュペー探索を開始していた。普段は少しうるさいくらい賑やかな艦橋内も今は緊張感に包まれている。

 そんな中、私はいつもなら隣にいる大事な妹のことを心配していた。

 

 ムサシは今、晴風にはいない。自分の艦である超戦艦ムサシに戻って、シュペー奪還作戦の準備をしている。

 昨夜、私はムサシに対してシュペー奪還作戦の立案を命令し、色々苦労しながらもムサシは機関科の皆さんの協力もあって作戦を立てることができた。私は事前にその作戦内容を確認したが、なかなか面白いものに仕上がっていた。

 今回ムサシに作戦立案を命令したのは、彼女が主体となって何かを成し遂げることを学んでほしかったからだ。かつては私に成り代わり霧の艦隊を支配していたムサシだが、この世界にやってきてからは良くも悪くも私や明乃さんたちに従って行動をすることが多くなっていた。しかし彼女は霧の超戦艦、私と並んで霧の艦の最高戦力の片割れである。そんな存在である以上、彼女が先頭に立って行動することが求められる時が必ずやってくるだろう。そんな時に備えて私は彼女に試練を課した。そして一先ず試練の一つを乗り越えてくれた。私にはそのことが自分のことのように、嬉しかった。

 

 そんな考え事をしていると、見張り台にいる野間さんから報告が入ってきた。

 

 野間

「報告! 前方に艦影あり。艦橋の形状から、シュペーであると思われます」

 

 艦橋内の緊張感がより一層増したように感じた。私は気を引き締め直し、概念伝達通信の回線を開いた。ムサシに報告するためだ。

 

 ヤマト

【ムサシ、報告よ。今こちらでシュペーと思われる艦を捕捉したわ】

 

 ムサシ

【こっちでも確認したわ。晴風の前方30マイル、エンジン推進音とハイパーセンサーでの探知の結果からシュペーに間違いないわね】

 

 ヤマト

【ありがとう。ところで例のモノの準備はどうなっているの? すぐに出せる?】

 

 ムサシ

【ごめんなさい、今最後の調整中よ。あと1時間あれば終わるわ。それまでは作戦第一プランの方を進めてもらえる?】

 

 ヤマト

【わかったわ。ただし40分で準備を終えなさい】

 

 ムサシ

【手厳しいわね。でも了解したわ。それじゃあ切るわね】

 

 ムサシとの通信を終えた私は、急いで明乃さんたちに報告をする。

 

 ヤマト

「明乃さん、今ムサシと通信をしました。マチコさんが捉えた艦影はシュペーで間違いないとのことです」

 

 岬

「そ、そうですか。ありがとうございます」

 

 ヤマト

「それと作戦の方ですが、ムサシの方はまだ準備が終わるまでもう少し掛かるみたいです。なのでこちらで第一プランを進めることにしましょう」

 

 岬

「わかりました」

 

 明乃さんがいつもよりも緊張した様子で返事をしたことに少し違和感を感じたが、私たちは急いで作戦開始の準備へ取り掛かり始めた。

 

 

 

 それから30分ほど経過し、晴風はシュペー艦橋の死角となる真後ろにピッタリと張り付いて期を伺っていた。

 

 岬

「めぐちゃん、シュペーの位置は?」

 

 宇田

「前方10マイルです」

 

 宗谷

「野間さん、シュペーの様子は?」

 

 野間

「砲の仰角はかかっていませんね」

 

 マチコさんからの報告通り、シュペーはまだ晴風の存在に気づいていないようで真っ直ぐ南の方角へ進んでいた。

 

 ミーナ

「たしかに、こちらに気がづいた様子はないぞ」

 

 双眼鏡でシュペーの様子を見ていたミーナさんも私と同じ見解を示していた。

 晴風は今まさに絶好の位置にいると言っても良いだろう。そこで明乃は口を開いた。

 

 岬

「それでは、戦闘用意!」

 

 岬さんの号令と共に、伝声管から少し音程のずれたラッパの音が聞こえてきた。水測室の楓さんからのものだ。それから主砲と魚雷発射管には弾頭が装填され、機関音が少しずつ上昇、戦闘態勢に入ったことを告げていた。

 

 ヤマト

≪さあ、晴風。みんなのために頑張りましょう≫

 

 私は自然と晴風という艦そのものに語りかけていた。約3週間という短い間ではあるが、私はいつの間にか晴風のことを霧の仲間や晴風クラスの子たちと同じ大切な存在だと思うようになっていた。自分にとって晴風は切っても切れない存在なっていた。

 戦闘態勢に入った晴風はいよいよシュペーに対して行動を開始する。

 

 岬

「第四戦速、取り舵30」

 

 知床

「第四せんそーく、とーりかーじ」

 

 鈴さんの操舵によって左方向へと艦の進路が変わっていく。無理なく滑らかに曲がる様は鈴さんと機関室のの腕の良さを物語っていた。しかしここでミーナさんからの指示が飛ぶ。

 

 ミーナ

「ド阿呆、もう少し右じゃ。シュペー艦橋から死角になるように回り込むんじゃ」

 

 知床

「り、了解」

 

 ミーナさんの指示に従い、鈴さんは舵を少し右に戻す。幸いにもシュペーはまだ動きはない。

 

 宗谷

「戦闘、右魚雷戦、30度シュペー!」

 

 西崎

「了解! 敵進180度、敵速二十ノット、雷速五十二ノット、射進角零度」

 

 今度はましろさんから魚雷発射の指示が水雷長の芽衣さんに飛ぶ。即座に芽衣さんは計算した魚雷発射諸元を伝達する。

 

 宗谷

「目標距離二〇〇〇〇、遠距離雷撃戦、よーい!」

 

 西崎

「一番管、発射雷数四! りっちゃん、ありったけぶっ放すよ!」

 

 松永

[はいー]

 

 芽衣さんは第一魚雷発射管を担当する理都子さんへ全魚雷発射を指示する。理都子さんの操作によって魚雷発射管はシュペーを照準に定めるべく旋回を開始した。

 その時だった。野間さんから報告が入ってきた。

 

 野間

「シュペー、主砲旋回中!」

 

 岬

「っ!?」

 

 ヤマト

≪気づかれた? 想定より早い!≫

 

 魚雷発射を前にしてシュペーがこちらに気が付き、主砲を晴風に指向し始めた。艦橋内に緊張が走る。しかしこちらはすでに魚雷発射シークエンスの最終段階に入っていた。

 

 西崎

「魚雷、発射準備ヨシ!」

 

 そして芽衣さんから準備完了の報告が入った。後は明乃さんから命令が下るのを待つのみであった。

 

 しかし、その明乃さんからの指示がなかなか出ない。

 心配になった私は明乃さんの方を見る。明乃さんはどこか怯えたような表情をしていた。先ほど私が報告した時に感じた違和感が、今でははっきりとわかるほど明乃さんは震えていた。

 

 ヤマト

≪まさか、明乃さんは……≫

 

 すると、そんな明乃さんを見かねたましろさんが明乃さんに迫った。

 

 宗谷

「艦長! しっかりしてください! 魚雷発射準備完了しています!」

 

 ましろさんの一喝に明乃さんはようやく我に返り、慌てた様子で指示を出す。

 

 岬

「! こ、攻撃はじめ!」

 

 西崎

「てー!」

 

 魚雷発射管から4本の魚雷が発射された。魚雷は投下されるとすぐにスクリューを回転させ、シュペーの艦首に向かっていく。

 しかしシュペーも黙ってはいない。主砲の旋回をまもなく終えようとしていた。

 

 岬

「り、リンちゃん回避! おもーかーじ」

 

 知床

「おもーかーじ」

 

 シュペーからの砲撃を回避するため、一度右に舵を切る。その間にも発射された魚雷はシュペーに接近していた。私はその様子を確認してから明乃さんに代わって指示を出す。

 

 ヤマト

「まゆみさん、秀子さん、シュペーが魚雷を回避して速度が落ちたタイミングで弱点を狙います。見張り、お願いしますね」

 

 内田、山下

「わかりました!」

 

 それからしばらくしてシュペーから発砲音が鳴り響く。

 

 野間

「シュペー発砲!」

 

 岬

「もどーせー!」

 

 知床

「もどーせー」

 

 発砲を確認したと同時に舵を戻す。その直後、晴風の周囲に3本の大きな水柱が立った。無事に主砲の第一波をやり過ごすことができたようだ。

 その間にも魚雷はさらにシュペーに迫っていた。

 

 西崎

「魚雷、シュペーに向かってるよ!」

 

 宗谷

「艦長!」

 

 ついにタイミングを計っていたメイさんとましろさんから要請が入った。明乃さんは少し戸惑いながらもシュペーをしっかり見つめていた。そして――

 

 岬

「おもーかーじ! 魚雷に合わせて突入して!」

 

 シュペーが魚雷回避のタイミングを先読みして突入指示が出た。鈴さんもそれに応じて舵を切った。上手くいけば、これでシュペーの弱点を突くことができる。

 

 はずだった。

 

 山下

「艦長、シュペー回避しません! なおも直進!」

 

 宗谷

「な、なに!?」

 

 右舷で見張りをしていた秀子さんからの報告に動揺を隠せない艦橋の皆さん。そして私も少なからず驚いていた。

 そして最も驚いていた、というより動揺していたのは、明乃さんだった。

 

 岬

「そ、そんな……、どうして……」

 

 先ほどからいつもの調子が出ていない明乃さん。私は今の様子から明乃さんの今の状態についてある確信を得ていた。しかし今、それをここで伝えることは晴風の士気に関わってしまう。私は口を閉ざすしかなかった。

 そしてもう一人、そんな明乃さんの様子に気が付いた人物がいた。

 

 宗谷

「艦長……。立石さん、主砲の照準をシュペー艦首前方へ。西崎さんは魚雷第二波の発射準備を」

 

 立石

「う、うぃ」

 

 西崎

「うん、わかったよ」

 

 ましろさんが咄嗟の判断で指示を出した。どうやら岬さんに代わって指揮を執ることを決意したようだ。そして一通りの指示を出し終えると私に目配せをしてきた。彼女の意図を読み取った私は明乃さんに近づく。

 

 ヤマト

「明乃さん、大丈夫ですか?」

 

 明乃

「ヤマトさん……」

 

 明乃さんは憔悴しきった様子で、顔や腕は汗で濡れていた。息遣いも少し荒い。私の想像以上に動揺していた。

 

 ヤマト

「後はましろさんに任せて、あなたは一度休んだ方がいいわ」

 

 岬

「ま、待ってください! わたしはまだ――」

 

 ヤマト

「落ち着いてください。今のあなたでは正しい指揮を執ることは難しい。それは明乃さん自身が一番よくわかっているでしょう?」

 

 岬

「……はい」

 

 明乃さんは弱々しく返事をした。いつもの明乃さんならこんな声は絶対出さないだろう。私はこんな明乃さんをこのままにしておくことはできなかった。

 

 ヤマト

「ましろさん、明乃さんの体調が優れないようなので一度みなみちゃんに診てもらうことにします。その間の艦の指揮、お願いできますか?」

 

 宗谷

「わかりました。戦闘の指揮は私が預かります。ヤマトさんは艦長の付き添いを――」

 

 岬

「ま、待って……」

 

 私が明乃さんを保健室へ連れて行こうとした時、明乃さんが少し待ってほしいと私の服を引っ張った。すると明乃さんは頭に被っていた艦長帽を手に取り、ましろさんに差し出した。

 

 岬

「宗谷副長、以後の晴風の指揮をあなたに預けます。シロちゃん、ごめんね……。晴風を……お願い」

 

 声は変わらず弱々しいが、その瞳には強い意志が宿っていることが私に伝わってきた。ましろさんはその想いを受け止め、明乃さんから艦長帽を受け取った。

 

 宗谷

「了解です。副長宗谷ましろ、現時刻をもって晴風の指揮を預かります。まずはしっかり体調を整えてください、艦長」

 

 岬

「うん……」

 

 やるべきことをやり切った明乃さんは私に少し身体を預けてきた。私は彼女の身体をしっかり支えて、保健室へと向かったのだった。

 

 

 

 -ましろside.-

 

 ヤマトさんが艦長を保健室へ連れていく様子を確認した私は、一呼吸置いて言葉を発した。

 

 宗谷

「みんな、艦長がいなくなって動揺しているかもしれないが戦闘はまだ続行している。私は艦長からこの帽子を預かった者として使命を全うする。だから、私についてきてほしい」

 

 私なりにみんなを落ち着かせるとともに、自身の決意を伝えた。艦長のことも心配だが今は晴風を、艦長がお母さんだと言った大切な場所を守り、そしてミーナさんの大切な場所であるシュペーを奪還しなければならない。今ここで立ち止まることは許されない。

 私は艦橋に残ったみんなの眼を見た。みんなからは力強い意志が伝わってきた。

 

 納沙

「そうですね! ここで引くわけにはいきませんものね」

 

 知床

「わ、私、岬さんの分も頑張るよ!」

 

 西崎

「ま、私はやることやるだけだよ。タマもそうでしょ?」

 

 立石

「うぃ!」

 

 みんなの言葉がこんなにも頼もしいと思ったのは初めてだ。私は再び右前方を変わらず直進するシュペーに視線をやった。それと同時に見張りの野間さんから報告が入った。

 

 野間

「魚雷第一波、全弾シュペーの艦底を通過しました」

 

 報告を聞いて、魚雷がシュペーに直撃しなかったことにはとりあえず安心した。しかし喜んでばかりもいられない。

 

 ミーナ

「これではシュペーの弱点を狙うことはもうできん。向こうがワシらの意図を読んだのか、それとも偶然なのか。いずれにせよ、接舷乗り込みなど不可能じゃ」

 

 ミーナさんの言う通り、シュペーが速度を落とすことを狙って撃った魚雷が不発に終わった今、作戦の第一プランは失敗、もう通じないと見て間違いないだろう。

 

 納沙

「そ、そんな! ミーちゃん諦めちゃダメだよ!」

 

 ミーナ

「ワシだって諦めたくない。じゃが、第一プランは失敗、もう一つの第二プランも肝心のムサシから連絡が未だに来ない。このままでは晴風を危険に晒すことなる。そうなることをワシは望んでおらん……」

 

 宗谷

「ミーナさん……」

 

 ミーナさんの辛そうな表情が、彼女の心の葛藤を表していた。口では私たちのことを心配しているが、彼女にとってシュペーはかけがえのない大切な家であり、家族がいる場所だ。今すぐにでも助けに行きたいという思いがあるに違いない。それを押し殺してでも私たちのことを気にかけてくれている。

 私はなんとか出来ないものかと頭を巡らせる。

 

 宗谷

≪せめて、例の第二プランとやら使えればいいんだが……≫

 

 昨夜、ムサシさんが考案したというシュペー奪還の第二プラン。時間がなかったため私たちには作戦の詳細は語られておらず、すべて把握しているのはこの艦ではヤマトさんだけとなっている。ヤマトさんが艦長の付き添いで出ていった以上、この場にそれを知る術はない。それでも私は、それに縋りたいと思ってしまった。

 

 宗谷

≪やっぱり私は艦長と違って、ついていないな……。それでも今出来ることを――≫

 

 八木

「艦橋、ムサシさんからの量子通信です。映像出します」

 

 その時、通信室の八木さんから突如報告が上がった。それは私たちの希望となるものだった。

 しばらくすると、艦橋内に浮かぶ空中ディスプレイの一番大きな画面にムサシさんの姿が映った。

 

 宗谷

「ムサシさん!」

 

 ムサシ

[みんな、遅くなってごめんなさい。今の状況は大体把握しているけど、改めて報告をお願いできるかしら?]

 

 宗谷

「わかりました。こちらの状況ですが――」

 

 私はこれまでのシュペーの戦闘状況、そして艦長が体調を崩して艦橋を離れていること、ヤマトさんが付き添いになっていることを伝えた。

 ムサシさんは艦長のことを聞いて少し驚いた表情をしたが、すぐに何かを考えるような顔をしていた。

 

 ムサシ

[そう、やっぱりアケノはあの時に……]

 

 西崎

「ムサシちゃん?」

 

 ムサシさんの様子が気になったのか、西崎さんが尋ねた。しかしムサシさんは今の状況を把握したのか、それに答えることはなかった。

 

 ムサシ

[とにかく、今はシュペー奪還しましょう。アケノのためにもね]

 

 宗谷

「はい。ところで、話に聞いた第二プランの方なのですが、準備はできたのですか?」

 

 ムサシ

[ええ。なにぶん不慣れなことだから調整に手間取ってしまったわ。でも何とかしてやったわよ。遅れた分のツケはちゃんと返してみせるんだから]

 

 自慢げに胸を張って語るムサシさんの様子は、可愛らしくもどこか頼りがいのあるものだった。彼女が十分な時間をかけてまで用意したものとは一体なんだろうか。

 すると、見張りの山下さん、内田さん、そして野間さんから一斉に報告が舞い込んで生きた。

 

 山下

「副長、右舷の海中に正体不明の黒い影が浮上しています」

 

 内田

「こっちもだよ。潜水艦、にしては小さいような?」

 

 野間

「見張り台より報告。晴風の周囲の海中から浮上する影を確認。数6!」

 

 私は急いで左舷側の方へ確認に向かった。内田さんが指差す先にはハッキリと黒い影が水中を晴風とほぼ同じ速度で進んでいる姿があった。現在の晴風の速度は第四戦速、つまり27ノットは出していることになる。

 私は艦橋に戻ると、水測室の万里小路さんに繋いだ。正体不明艦を確認するためだ。

 

 宗谷

「万里小路さん、状況は把握していると思うが、今まで推進音を捕捉できなかったのか?」

 

 万里小路

「申し訳ございません。あまりにも小さな音でしたので、音を捉えきれませんでしたわ。改めて確認いたしましたところ、水中を進む推進音は全部で7つ。うち一つはムサシさんのもので、残る6つはすべて同じパターンですが該当するデータはありません」

 

 あの万里小路さんの耳をもってしても捉えらなかった存在。これは間違いなく彼女の仕業だろう。

 私は改めてディスプレイに映る犯人の顔を見た。そこにはしてやったりという表情の彼女がいた。

 

 宗谷

「随分と、憎い演出をやってくれましたね、ムサシさん。今は戦闘中なんですから、こういうのは控えてほしいのですが」

 

 ムサシ

[あら、つれないわね。もうちょっと驚いてほしかったのだけど、まぁいいわ。とにかくこちらはもう準備できているわ。いつでもいいわよ]

 

 ムサシさんの一言で艦長がいなくなって少し落ち込み気味だった艦橋内に少し活気が戻ってきた。今を逃す手はない。私は高らかに宣言した。

 

 

 

 

 宗谷

「これより晴風およびムサシは。シュペー奪還作戦第2プランを決行する!」




第二十三話、いかがでしたでしょうか?

ようやくシュペー戦に突入しました。
しかしまさかの戦闘中にミケちゃん離脱という事態になってしまいました。
ミケちゃんの身に何が起こったのか?
それは後々明かされます。

そしていよいよムサシの考えた作戦が動き出します。
今回は全然わかりませんでしたが、次回ようやく明らかになります。

次回、第二十四話は
ムサシの用意した「あるもの」でシュペー奪還するべく動き出す晴風クラス。
彼女たちはシュペーの人たちを助け出すことができるのか?

次回も読んでいただけるとありがたいです。

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