ハイスクール・フリート ―霧の行く先―   作:銀河野郎のBOB

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劇場版Cadenzaでヤマトとムサシの姉妹がせっかく仲直りしたのに、その後消失なんてもったいない!、と思ってなんか話を作れないかと妄想し続けて実に半年、そこに舞い込んできた「ハイスクール・フリート」というアニメを見て、これだ!と思って、人生初の小説に挑戦してみました。

つたないところがあると思いますが、できる限り頑張って書いていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。


プロローグ

 西暦2048年 北極海

 

 

 この場所で行われていた戦闘が今、終結の時を迎えようとしていた。

 

 霧の超戦艦ムサシが発動したミラーリングシステムの時空の穴に、超戦艦ヤマトの船体を取り込んだ潜水艦イ401が突如飛び込んだ。

 ムサシはミラーリングシステムを停止、穴は閉じられムサシの勝利かと思われた。

 しかしその刹那、ムサシの直上に時空の穴が開き、401がムサシに超重力砲を放ちつつ突撃してきたのだ。

 ムサシは咄嗟にクラインフィールドで防御するも、強力な超重力砲を受けきれずにフィールドは崩壊、そのまま401の突撃を受けて船体が真っ二つに割れる。

 霧の艦隊の中で最高クラスの性能を誇るムサシでもこの攻撃は致命傷となり、船体とメンタルモデルを維持できず崩壊していく。

 

 

 -ムサシside-

 

 体が崩壊していく中、私は概念伝達空間の中で誰かに抱きかかえられていることに気づいた。

 

 ???

「ムサシ」

 

 呼びかけに応じて目を開くと、そこにいたのは7年前に自らが沈めた霧の総旗艦ヤマトのメンタルモデルであった。

 口では感情を否定しながらも怒りの感情にとらわれていた自分を、ヤマトは全てを許し自分を愛していると言ってくれた。

 そして今、目の前のヤマトがかつての姿で自分を介抱してくれている。

 

 ムサシ

「おねえちゃん……」

 

 私はかつて父と慕った千早翔像から教えてもらった言葉をつぶやいていた。

 ヤマトは私に対して、「ごめんね」と謝意を述べてきた。

 私は胸の奥が熱くなるのを感じた。

 本当は私が謝らなければならなかった。

 自分の暴走で沈められたのにもかかわらず、こんな自分を気にかけてくれる姉の姿に、申し訳ない気持ちでいっぱいになっていた。

 目線を変えるとそこにはヤマトと似たドレスを身に纏った401の姿があった。

 ヤマトは401に対し、「ありがとう」と感謝の意を述べる。

 そしてヤマトは私の手を引っ張り、空間の中心にある螺旋階段へと導いていく。

 私は手を握り返し、一緒に登っていく。

 いよいよ自分のユニオンコアの機能が停止しようとしている。

 しかしそこに恐怖感はなく、むしろ安心感に包まれていた。

 下を見ると、401が私たちを見送ってくれている。

 私にはもう401に対して怒りの感情はなく、むしろ感謝したい気持ちになっていた。

 そして消えゆく意識の中、隣にいるヤマトにも聞こえない小さな声で言った。

 

 ムサシ

「ありがとう、401」

 

 こうして私、超戦艦ムサシと霧の艦隊総旗艦ヤマトはこの世界から消失した。

 




まずはプロローグということで、ムサシ視点でのCadenzaのラストシーンです。

次からいよいよ、はいふりの世界に入っていきます。

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