次はできるだけ早く投稿できるように努力します!!!
第二十話 暗躍
Chifuyu side
(私はどこで間違えたのか?)
春が近づいた冬の夜、私が仕事から帰宅した時、秋一が玄関まで走ってきた。秋一は焦っており、いつもと様子がおかしかった。
『一夏がいない!!!』
その時、秋一が焦っている意味を理解した。その後、秋一とともに街中を探しに行き、警察やIS関連で日本政府を経由して知り合った暗部『更識』にも頼ったが、何ヶ月経とうとも結局見つからなかった。捜索が中断された日から一週間、秋一はなにかに取り憑かれた様に一夏を探し続けた。
(あの時、なぜ一夏の異変に気づかなかったのか!)
今思えば、一夏は人一倍努力をしていた。だが私は、一夏に対しなに一つ大切にせず秋一と一夏を比べ、秋一ばかり褒めていた気がする。むしろ、一夏を褒めた記憶すらなかった。ずっと一夏に向けていた言葉は、
『もっと努力しろ!』
『なぜこんなことができない!秋一を見習え!!!』
『私の弟ならば、当然だ!!!』
私は不器用だから、こんなことしか言えなかった。
『なぜ
『なぜもっと優しくしなかったのか』
『なぜ褒めてあげなかったのか』
なんどもなんども頭の中でああすれば良かったこうすれば良かった考えてしまい、自己嫌悪につながった。後悔だけが残った。
電話が鳴った。
「もしもし束か?」
『もしもしちーちゃん?久しぶりだね!元気にしてた?』
明るい声にイラついたが、私の頼んでいたことを聞く。
「束............『イチカ・ハイドン』が『織斑一夏』である可能性はあるか?」
この数年で、なに一つ情報が出てこなかった二人目のに、私達を捨てた父親にそっくりな少年に私は一縷の望みをかけた。
『.............いっくんである可能性は高いと思う。でもね、ちーちゃん。ちーちゃんはいっくんに会ってどうしたいの?』
「どう言う意味だ。」
束の言葉に私は動揺した。
『たぶんいっくんはちーちゃん達の事恨んでいるよ。それでもいっくんに会ってやりたい事があるの?』
「それでも.........それでも私はもう一度会って、謝りたい!そしてもう一度『家族』に戻って欲しいと一夏に言いたい!!!」
それは紛れもなく私自身の中にある本心だった。
『.....................わかったよ、ちーちゃん。でも可能性でしかないから別人かもしれない。だからね、ちーちゃん。私が確認して、本物のいっくんであったならどんな事をしてでも連れて来る。それまで待っててくれないかな?』
「どうせお前の事だ。私がダメだと言ってもやるんだろう。」
『ありがとう、ちーちゃん。またね』
束がなにかをこらえる様にそう言うと、電話の通話が切れる音がした。
「すまない、束。」
私は束に嘘を吐いた。
(それでも私は)
一夏である可能性があるなら、自分自身の力で確かめたかった。
Chifuyu side end
Madoka side
襲撃から数週間経ち、学園内の雰囲気も落ち着きを取り戻し始めた頃、学園に再び転校生が来た。
「転校生のシャルル・デュノアです。フランスから転校してきました。この国では不慣れなことが多いと思いますが、よろしくお願いします。」
三人目が現れた事でクラス内の落ち着いて来た雰囲気が崩れた。
だが.........
(どう見ても、女性の体つきなんですよね)
「嘘っ⁉︎三人目の男性IS操縦者⁉︎」
「はい。僕と同じ境遇の人がいると聞いてこの国にーーーー」
「「「キャーーーーーーー」」」
「四人目の男子生徒!!!」
「しかも金髪の美少年!!!」
騒ぎが大きくなる。
『バンッ』
織斑千冬が出席簿で教卓を叩き、その音で騒ぎを止める。転校生がそれに驚くが、私にはどうでもよかった。兄さんの方を向くが、兄さんは考えごとをする様に溜息をつきながら教卓に向いていた。
(兄さん.........)
あれから私達は、兄さんと上手く話せていない。兄さんは会議中のあの行動の意味を問おうとも、兄さんは決してそのことを言わず、はぐらかすだけだった。その後、ハルは兄さんについて行く様になった。
(兄さんにはハルがついているなら問題は無さそうだけど............もう少し私達を頼ってくれるとありがたいのになぁ.........)
二人目の自己紹介に移った。
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」
二人目の少女は簡潔にそう述べると一歩後ろに下がった。クラス内は静まり返り、山田先生が困った様子で二人目を見ていた。その後、織斑千冬によって席に着くよう言われたが、織斑秋一を殴り倒し一言大きな声で宣戦布告していた。
(そういえば、この後どうしようかな?)
ハピネスの社員はデータをIS学園に渡すことを基本的に禁じられているので、ISの実技の授業中は自習になっている。だが、IS学園は人員は不足しており、実質的には休みの時間とほぼ変わらない時間になっている。
(最近やってなかった修行の続きでもしようかな)
時間をどう潰すか考えてた時、
「マドカ。ちょっといいか?」
兄さんが声をかけてきた。
Madoka side end
Ichika side
(とは言ったものの.........)
俺もマドカを連れて、中庭まで来ていた。
結局、あの会議中の暴走の件を根掘り葉掘り聞かれそうになった俺は、その事を適当に誤魔化し続けた。
(さて、どう切り出そうかな)
もうそろそろ、マドカ達も限界に近いだろう。実力行使して来ないとも限らない。だけど、どう切り出せばいいかわからなかった。
「それで、兄さんは私になんの用があるんですか?」
その事を察したのかマドカが切り出してくれた。その事に心の中で感謝をして、話を切り出した。
「この前の件を俺が話すまで聞かないで欲しい。」
「この前の件とは?」
マドカは確認するように俺に聞いた。
「会議中の行動についてだ。」
「なんでですか?」
マドカは納得出来ないと言うように顔を顰めた。まあ、俺だって逆の立場ならば、あんな行動を起こした理由を聞けないのは納得出来ない。身近でしかも自分がよく知っていると思う人間ならば、なおさらだ。だが、それでも俺は秘密にしたい。
「頼む。俺から話すまで聞かないで欲しい!!!」
頭を下げて誠心誠意お願いをする。
「私は理由を聞いているんです!ちゃんと理由を話してください!!!」
マドカは激昂し、その秘密を聞こうとした。その姿に心を痛めるが、それでも俺は聞かないでくれと言うしか出来ない。
「やっている事は、間違いだとわかっている。だが、お願いだ!その事について俺が話すまで、聞かないでくれ!!!」
「兄さんはいつもそうです!いつも私達に何も言わないで行動を起こす!!!いつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつもいつも!!!」
マドカは泣きながらそう言い始めた。
「もっと私に話してください!もっと私に聞いて下さい!もっと私に頼って下さい!私は何の為に兄さんについているんですか⁉︎」
マドカは泣きながらそう言うが、俺にはどうしても言えなかった。
「答えて下さい!」
言えない。
「答えて下さい!」
言えない。
「答えて下さいよ!!!」
言えない。
「なんで答えてくれないんですか⁉︎なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで!!!」
それでも俺は言えなかった。
その後、授業のチャイムがなるまでマドカは泣きながら問い続けた。
「マドカ、ごめん。話す時が来たら必ず話す。」
俺は泣き止んだマドカの頭を撫でるとそう言った。
「兄さんはいつもそうです。だから私は兄さんが話すまで待ちます。ずっと待ちますから、必ず答えて下さい。」
マドカは涙を拭きながら呆れたようにそう言った。
Ichika side end
??? side
二人で歩く少年と少女がいた。
「急がないと!!!」
「そう急ぐ必要はない。あと一ヶ月もある。この日本で最後だ。」
少女は焦ったようにしているが、少年は落ちいて歩いている。
「あと一ヶ月しかないのよ⁉︎それにあんたら、ハピネスが私の弟や他の子にやった事を覚えているの⁉︎」
少女は少年のその態度に怒り出すが、少年は少し顔を顰めた後無表情に戻った。
「だから我々ハピネスが行動を起こし、君の護衛と君の
今度は少女が顔を顰めた。
「そんな事わかっているのよ!それよりも植木耕助の家はこの近くで合っているんでしょうね⁉︎」
少女は無理矢理話を切り替え、仕事の話に変えた。
「ああ、合ってるよ。その代わり粗相しないように。私達の仕事は下準備と交渉なのだから。」
「わかってるわよ!そのくらい............待ってなさい。後もう少しでお姉ちゃんが助けてあげるから............」
そう言って、少女達はマンションの中に入っていった。
??? side end
『威風堂々』
全長5メートル程の大きな盾。だが、実際は盾ではなく数枚の大きなシールドビットが重なって盾のような形をしている。分離することもできるが、分離していなくても盾として使う事ができる。