IS - イチカの法則 -   作:阿後回

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今回で襲撃編終了です。


第19話 理由

Madoka side

 

時刻は夕方、私達はハイジさんとメモリーさんの部屋に集まっていた。

私達は先程の襲撃の会議の終了後、会議中に兄さんの説明にあった『学年別トーナメント』のメモリーを含めたハピネスに関連する者の休みについて、兄さんからの説明を受けていた。

 

「なあ、イチカ。本当にハピネスの新しい『IS』を俺達が着ることになるのか?それにメモリーの休みなんて訳も分からない命令聞いてないぞ⁉︎」

 

「そうよ!なんでハピネス社員じゃない私が、なんでハピネス社の要求の中に入っているの⁉︎」

 

ハイジさんの言葉は正論だった。兄さんはプラスさんからの報告を逐一しているが、ISを持っている私以外聞いたことがなかった。特に、今回のハピネスの命令は異常だ。ハピネスに関係しているが、社員ではないメモリーさんにこの要求の範囲内にいることは普通の事態ではなかった筈だ。今回の件については、この件を除いても兄さん対して、私も疑問がたくさんある。

 

「今回の命令には二つの理由がある。」

 

兄さんは疲れたように話す。私は心配になったが、ハピネスの今回の行動は異常だったのでその思いを押し殺し、説明を聞いた。

 

「まず一つ目は俺以外のISのデータ取得が目的だ。」

 

「データ取得ぅ?そんなもん次のイベントの『学年別トーナメント』に参加すればいいじゃないか?この前見たいにIS同士で戦わせてさぁ?」

 

「いいや、ハピネスのISはハピネスとハピネスに関係する会社以外の人間に見せることを許していない。前回は『ファーストシフト』が目的だった。しかし、今回は新たなISを作る準備をする為のデータ取得だ。その場合、他の会社や学園内で行えばハピネスの技術について隠蔽がしにくくなる。だから学園などでは行なわず、ハピネスで行った方が良いとプラスが判断したからだ。」

 

兄さんは真剣にそう言った。その姿に少し違和感を覚えた。だが、メモリーさんについての理由があると言葉を飲み込んだ。

 

「そして二つ目は、護衛だ。」

 

「「護衛?」」

 

メモリーさんとハイジさんが疑問を浮かべた。

 

「ああ、護衛だ。メモリーは一応うちの会社が契約している会社(ところ)の部下だ。その会社の部下にもし俺達の留守に危険が及んだ場合不利益を生じる可能性がある。ハピネス社としてもそれを望んでいない為理由を作り、休みを取ったんだよ。」

 

「ちょっと待って⁉︎それって、会社同士で決められたことなの⁉︎」

 

メモリーさんにとっては重要なことだった。

 

「そのことだけど、さっきメールで連絡したら『ハピネス社のIS支部でISについて調べるのであれば大丈夫』と君の会社の社長(マリリン)の御達しがきた。後でメモリーの方にも連絡されるらしいから大丈夫だと思う。」

 

「わかったわよ。」

 

メモリーさんは溜め息をつく。それでも兄さんの説明を理解した様だった。

 

「じゃあ、お前は休む理由がねぇじゃねえか⁉︎」

 

ハイジさんの言葉に兄さんが顔を顰める(・・・・・)

 

「俺はその日から一週間、天界で仕事があるんだよ。その一週間は俺が帰って来れないから、メモリーの護衛の依頼を来たんじゃあないか。」

 

その後、他愛の無い会話を続けた。兄さんの説明に納得した二人。だが、私には違和感が拭えない。兄さんが顔を顰める理由がなかったからだ。

 

(兄さんは、なにか隠している?)

 

それに気付いたのか、兄さんは哀しそうな笑顔を私に向けた。

 

 

 

結局、私は何も聞かなかった。

 

 

 

 

Madoka side end

 

 

 

??? side

 

 

 

その場所には一人の繁華界人がいた。モニターが置かれ、天界人と地獄人が一人ずつ映されていた。

 

 

『天界の件ですが、こちらの方はよろしいですよ。元々、先代が約束していたことがありましたから』

 

モニターに映る帽子を被っている天界人が言った。

 

『でも、よろしいですか?彼は『ソレ』でかなり傷ついたと聞きましたが?』

 

もう一つのモニターに映る短髪の地獄人が言う。

 

「ええ、それでも彼は取り戻すことを決意しました。たとえ、どんなに苦しんだとしてもいいと............」

 

仮面の繁華界人が言う。

 

『そうですか..................それは良かった。僕達は結果的に彼に対して、酷いことを行いましたから』

 

『そうか............その頃は儂の親の世代じゃったから手は出せなかったが、もう少し親父が考えたらこんなことにはならなかったがの』

 

『それでもです!僕達は彼の人生を棒に振ったと同じようなことを彼に強いたのだから、彼には申し訳がたちません』

 

「そうだろう。特に、私が行ったことの尻拭い(・・・・・・・・・・・)を例え条件でも彼に押し付けてしまったのだから。」

 

『暗い話はやめだ。それで例の計画はどうなっている』

 

地獄人の少年はその場にあった暗い話を、新しい話に無理矢理切り替えた。

 

『例の計画は順調に進んでいます。《亡国企業》は夏に動き出すことがわかりました。それを利用することができれば、計画は進むでしょう。ですが、問題は彼等(・・)です。まだ、計画のことを伝えていないのですが、彼等が敵となって動き出すと『友人』としても厄介です』

 

天界人の青年が困った様に言った。

 

「彼等については心配しなくていい。私の部下が彼等に詳細を伝えに行っている。彼等には私達の計画に手を出さないよう伝えて、繁華界で保護しようと思う。」

 

『それは良いな!!!彼等の活躍は地獄界でも轟いておる。敵になった場合、計画を邪魔されるのは厄介だ』

 

『ええ、僕もその案に賛成です。無闇に計画を引っ掻き回されると厄介ですから』

 

モニターの二人が繁華人に合意した。

 

そこからあったのは、『計画』の詳細の話だった。殆どの人間に知られず、この『計画』は進むのだった。

 

 

 

 

??? side end

 

 

 

 

 

 


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