IS - イチカの法則 -   作:阿後回

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今回はイチカside だけです。


第18話 会議

Ichika side

 

「すまないが、先に行っててくれ。」

 

襲撃を受けてその場にいた者は会議室に集まることになった。だが俺は先程の言葉をハイジ達に言い、一人でプラスに連絡をとっていた。

俺はプラスに先程の襲撃の件をメールで送った。そして、その件を元に俺はある交渉を行う為プラスに電話をかけた。

 

「もしもし、プラス?先程の件はわかっているか?その件に関して、実は頼みたいことがあるんだ。」

 

『ーーーーーーーーーーーー』

 

「わかっているさ。ハピネスに入る条件は理解している。それを満たす為に必要なことなんだ。」

 

『ーーーーーーーーーーーーーーー』

 

「手回しはそっちでやってくれ。こっちはもう少し時間がかかるが、条件は俺の願いが達成できれば可能になる確率は上がる。」

 

『ーーーーーーーーーーーーーーーー』

 

「俺の願いをを手伝ってくれてありがとう。例の件は俺が必ず叶えてみせる。どんな手段を使ってでも...............」

 

『ーーーーーーーーーーーーーーーー』

 

「ああ、来月に休みをくれないか?一週間ほどでいい。それと、天界へと行く手段と、『神』に会うことができるか?」

 

『ーーーーーーーーーーーーーーーーーー』

 

「その日程で頼む。学園の方には先程メールで送った件で、交渉してみる。」

 

『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』

 

「わかった。こちらはなんとかしてみる。休みをとれ次第連絡する。」

 

“ブチ”

 

連絡が終わり、俺は学園長室へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会議室では、俺やハイジ、マドカ、メモリーのハピネス社やそれに関わるメンバーと、織斑や篠ノ之、織斑千冬、その他教員などのIS学園の人間、そして学園長の轡木十蔵と生徒会長の更識さんがいた。

 

 

「さて、これで全員揃いましたね。会議を始めましょう。今回の議題は、先程の襲撃ですが更識生徒会長、お願いします。」

 

「はい、先程のクラス対抗戦に襲撃してきた謎の機体ですが、無人機であることがわかりました。コアは登録されていないものでありました。」

 

「わかりました。では、他になにか意見はありますか?」

 

学園長は今回の議題に対し、この場にいる全員に意見があるかどうか聞いた。俺は、ハピネス側の意見を通す為に手を挙げた。

 

「まず始めに、俺はこの件をハピネス社に報告しました。」

 

周囲の雰囲気が変わる。

 

「あなたなんてことをしたの!!!」

 

更識さんが叫ぶ。だが、俺には関係ない。

 

「仕事中に異常な事態が起きた場合、部下()上司(プラス)に報告するのは当然でしょう。」

 

「ハア.........だとしても、俺達になにも言わずに報告することはないだろうが!」

 

ハイジは呆れたようにそう言った。

 

「時間がなかったから.........この会議が終わったら話すつもりだった。ごめん。」

 

ハピネス社への報告は、ハイジ達には言えないことがあった。その為少し罪悪感があったのだ。

 

「ハピネス社はこの件は、一部を除き関係しないと言っています。」

 

この場の雰囲気から緊張が少し緩んだ。

 

「一部と言うのは?」

 

学園長が問う。

 

「そこのゴミ(篠ノ之箒)の行ったことについてですよ。」

 

俺は篠ノ之を見ながら言った。そのことに周囲も気づいたのだろう。

 

「貴様ァ⁉︎私がなにをしたと言うんだ!!!」

 

「なぜ中継室にいた...............周囲の行動を見ていなかったのか?ほとんどの人間が避難をしていたというのに、お前はなぜ中継室にいた?」

 

「私は苦戦していた秋一に喝を入れようとしたまでだ!それのなにが悪い!!!」

 

『人間は弱いケド強くなれるんだ!!!』

 

心が冷めていくのを感じる。植木君が言っていた言葉が嘘のように聞こえた。

 

(結局、植木君のような人間は本当に少ないんだ)

 

「やはり、ゴミはゴミだな。」

 

「箒を莫迦にするな!!!」

 

織斑が声をあげた。

 

「お前等がどう死のうが知ったことではないが、お前は周囲を見たことがあるのか?お前を止めようとした生徒がいたが、その生徒は目に入らなかったのか?」

 

「そんなつもりはない!第一他の奴らの命も生きていたんだ!それで良いではないか!!!」

 

こいつらを見ていると、朝の夢を思い出す。

夢で見た子供の泣き声が聞こえる。子供が抱いている思い出せないなにかが頭をよぎる。それを思い出す度、人間への憎悪が目の前にいる全ての『人間(ゴミ)』を殺せ(処理)しろという声が頭の中で何度も何度も響く。

 

不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。不愉快だ。

 

(殺せ)

 

(ころせ)

 

(コロセ)

 

(コンナセカイ(ニンゲン)ガアルカラアイツガシンダンダ!)

 

「グッ」

 

「おい、やめろ⁉︎イチカ!!!」

 

ハイジの声でハッとし、ゴミの首から手を離す。いつの間にかゴミの首を締めていた。周囲の人間は俺の殺気で動けないようだった。

 

「すまない、ハイジ.........少しカッとなってしまった。」

 

周囲の人間は、ハピネス社のメンバーと、更識さん、学園長を残し、全員が気絶していた。

 

「すみません、皆さん。ですが、ここからが本題です......学園長。」

 

「本題とは?」

 

学園長も少し怯えた声で聞いてきた。だが、俺の目的の為にやらなければならない。

 

「実は、先程の機体には俺も襲撃に遭いましたね............俺に襲撃してきたISのコアを渡しますので、ハピネス社の要求を聞いてくれませんか?」

 

俺の《理想の才》から取り出されたコアの数は五つ。倒した十三体のISの中で破損しておらず、まともに起動出来そうな五つを取り出した。

 

「ねえ?襲撃されたと言ったけど、レーダーには反応がなかったはずよ。もし襲われたのならば、何体の機体に襲われたのかしら?」

 

「確か、十五体のISを相手にして二体逃げ出して残りの八体はコアごと破砕したので、これが全部です。」

 

「兄さん⁉︎十五体のIS相手にしたのですか⁉︎どうして、私達に連絡をくれなかったのですか?」

 

「ジャミング受けてて、連絡手段がなかったんだよ。」

 

「それでも、兄さんになにかあったらどうするんですか!」

 

マドカの心配する姿に心が痛んだ。

 

「どうしようもない場合は会場に向かって逃げて、マドカ達に助けを求めたから安心しろ。」

 

俺の答えが不服だったのかマドカが不機嫌そうになるが、俺は交渉へと戻った。

 

「他になにか質問はありませんか?」

 

更識さんが手を挙げた。

 

「十五体のISに襲われたと言ったけど、あなたは本当に戦ったのかしら?」

 

 

「中庭に戦闘を行った跡があります。そこを調べれば良いんじゃないでしょうか?」

 

「わかりました。更識さん、中庭も調べましょう。」

 

更識さんは納得していない様子だったが、学園長の一言で了解したようだった。

 

「それで、要求とは?」

 

「ハピネス社の要求は、次のイベント............『学年別トーナメント』の初日から最終日の前日まで一週間にハピネス社員と、メモリーの休みを頂けませんか?」

 

学園長の雰囲気が軽くなった。要求が予想していたものよりも、

 

「なぜ、でしょうか?」

 

「ハピネス社のISが急遽データを取らないといけなくなりまして、メモリーの方はこの学園は先程の襲撃が起きた場合、契約している会社に迷惑がかかりますから。」

 

プラスから教えられた理由を述べる。

 

「わかりました。要求を飲みましょう。学年別トーナメントの初日から一週間休み学園から休みを取って下さい。」

 

 

そうして俺の願いに一歩近付いた。

 

 

 

Ichika side end

 




誤字脱字等あればよろしくお願いします。

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