Ichika side
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『ーーーーーーーー』
子供が泣いている。
『ーーーーーーーーーーーー』
言葉は聞き取れない。
『ーーーーーーーーーーーーーーーーー』
子供は『ナニカ』を抱いていた。
『ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー』
『僕』はその『ナニカ』を知っている感じがした。
そしてそれはなにかわからなったが、とても悲しくて、とても辛い気持ちになった..................
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(また、この夢を見たのか)
現在、朝の5時。
この夢を見ると、自然にアラームが鳴る前に起きてしまう。この夢の始まりは、とても幸せな夢だった。だが、日が経つごとに辛く、悲しい夢へと変わるっていく。
(この夢を見始めたのは、人間界に戻って来たくらいから始まったんだよな)
最初はただの夢かと思った。だが、日が経つごとに夢の回数は増えていき、辛くて悲しい夢以外見ることがなくなった。それと同調する様に怒りと憎しみが大きくなり、暴走することが頻繁に起こる様になった。
「『理不尽だ』」
この夢を見るとこの言葉を無意識のうちに言ってしまう。とても辛くて、悲しくて、もっと言いようがある筈なのに、ただただ『理不尽だ』という言葉以外思い浮かばなかった。
Ichika side end
Haiji side
「イチカはまだ来ねぇのか⁉︎」
今日は『クラス対抗戦』当日、イチカ・ハイドンはホームルーム前になっても来ていなかった。
「ハイジさん!兄さんから電話です!」
イチカから連絡が来た様だ。
「おい、イチカ!今どこにいる!」
『もしもし、ハイジ?どうしたんだい?そんなに焦ったりして?』
「おまえが、ホームルーム前になっても来ないからだろうが!!!」
イチカの声は落ち着いており、少し雰囲気が違っていた。
『ああ、ハイジ。今日休む連絡をしようと思って電話したんだ。』
「は⁉︎なにを言って⁉︎」
『今の俺、かなり機嫌が悪いんだよ。だからそっち行くとなにをするかわからないから休みたいんだよ』
イチカの一言から、いつもと様子が違うことが理解できた。だが、今までとは違う様子に疑問が生じた。
「わからないな、イチカ。これはハピネス社のイメージダウンに繋がる。お前は、ハピネス社のことを私情よりも優先していたのに、なぜそんな理由で休む必要がある。」
その瞬間イチカの声色が変わった。
『俺さあ言わなかったっけ?俺はもしも今、
イチカの様子が口調が変わるほどイラついているので、たぶん言っていることは正しいのだろう。
「わかった。」
“ブチ”
「兄さんからはなんと?」
「イチカは今日、体調が悪いから休むと言われた。」
イチカの有無を言わさない雰囲気から、俺はマドカ達に絶対にイチカを見せられないと思い、嘘をついた。
「兄さんは大丈夫なんでですか⁉︎」
案の定、マドカはイチカの心配をする。俺は嘘をついたことに後悔した。
「大丈夫だ。
『少し体調が悪いだけだから、明日には治るだろう』と言っていた。」
「よかった。」
その言葉で更に罪悪感が募った。
(早く機嫌直してくれ、頼むから)
俺はイチカの機嫌が早く直るよう心から思った。
Haiji side end
Ichika side
ハイジとの連絡が終わり、イチカは一人で落ち着いていた。だが、2時間ほど経つと嫌なものが目に入った。
「不愉快な来客だな。」
空から計十六体のISが学園内に進入し、一体がアリーナへと行ったが、残り十五体がイチカに向かって攻撃を仕掛けてきた。
「まあ、機嫌の悪い俺に攻撃してきたんだ。ストレス解消に付き合ってもらうか。」
ISを展開し戦闘態勢に入ると同時に五体のISが切りかかってきた。俺は攻撃を躱し、攻撃を開始する。
『
『神器』の“
「一体目」
五体の内一体が先行して切りかかってきたが、一体目に一撃を入れて絶対防御を破砕し、コアごと粉々に砕く。
「二体目」
“超身体能力”でスピードを上げ、後衛の一体の四肢を捥ぐ。
「三体目、四体目、五体目。」
同時に攻撃してきた前衛の一体を蹴り飛ばし、横にいた二体ごと吹っ飛ばす。
「七、八、九、十ッ⁉︎」
今度は銃による攻撃が始まったが、全て避け四体同時に薙ぎ払うが、その隙に四体の後ろにいた一体の攻撃が通ってしまう。
「キエロッ!鬱陶しい!!!」
髪を数本切られたが、イチカに対してはイラつかせる行為にしかならず、頭部を破壊される。
「十一、十二、十三。」
二体のISが銃を牽制に使い、一体が切りかかってきた為、その場を数メートル後退し攻撃してきた一体を殴り壊す。残り二体の前まで移動して、頭部を掴み地面へとめり込ませる。
「後、二体.........逃げたか。」
残り二体が学園外に出た為、破壊することができなかった。
「まあ、いいか。ストレス発散することはできたから。」
俺は、アリーナに向かったもう一体を壊しに行った。
Ichika side end
Memory side
現在、アリーナ内は大混乱に陥っていた。
先程まで、アリーナでは
ISを持たない私達は
「ハイジ!まだ、イチカとは連絡がつかないの⁉︎」
「今やろうとしているが、電波妨害されているみたいで連絡がつかない!!!」
イチカとは連絡がつかない為、私達は混乱していない生徒と行動する以外なかった。
「何なのよ!あれは!!!」
「なんで、開かないのよ!!!」
「開いてよ!!!」
出口の前に『我先に』と生徒達が他生徒を押し退けて出ようとするが、シャッターが降りてあり出ることができない。
「おいテメェら!どいてろ!!!」
ハイジの掛け声で、生徒達が振り向く。その瞬間にハイジは出口前の最前列、つまり人が最もいる場所へと飛ぶ。
『スコティッシュ
ハイジの拳はシャッターを破壊し、出口をコジ開けた。その光景を見て呆然としていた。
「おい!出られるようにしてやったぞっ!!!」
ハイジの声でハッとした生徒達は開いた出口へと走って行く。
「ハイジ、あんたもう少し他の所もやって来なさいよ。ここに人が集まってくるわよ!!!」
「メモリーは、どうするんだ。」
「マドカがいないから探してくる!アリーナ以外の場所で見つかったら連絡して!!!」
マドカは試合中に席を外してから見つからない為、私はさがすことにした。
アリーナ内の人込みが減ってきたが、マドカは見つからなかった。私はマドカがこの場はいないことを確認し、アリーナを出る筈だった。だが、中継室付近で揉め事が起きているのを見て、そこへ向かった。
「あんた達、早くこの場から逃げなさい!!!」
「でも、中に篠ノ之さんが!!!」
『秋一ィィィイイイイ!!!』
篠ノ之箒が中継室を占拠し、マイクを握っていた。
『男なら.........その程度の敵を勝てなくてなんとする!!!』
その放送は、敵の目を引くには充分だった。だが、敵の目はこちらに向き、敵の攻撃が中継室に向かって放たれた。
(もうダメだ!!!)
その時、私の目の前に五メートル程の大きな盾が現れた。
『
「間一髪で間に合ったか。」
声が聞こえてきた。
その方向を見ると...............そこには、私達が探していた『イチカ・ハイドン』が立っていた。
Memory side end
Ichika side
「間一髪で間に合ったか。」
到着すると、織斑達によってもう少しで最後の一体が停止しそうになっていたから安心していたが、あの
「メモリー、大丈夫か?」
「ええ、大丈夫よ............って、あんた全然体調悪そうじゃないじゃない!!!」
(ああ、そうだったな。ハイジになんでもいいから休みとれって言ってたんだっけ)
イチカは、
「そのことは後で話すよ。それよりもそこに気絶している莫迦を連れて逃げるぞ。」
「わかったわよ。だけど、話は後でちゃんと聞くからね!!!」
篠ノ之や中継室にいた生徒は気絶おり、そいつらを背負って俺達はアリーナを出た。
Ichika side end
誤字脱字等あればよろしくお願いします。