IS - イチカの法則 -   作:阿後回

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今回は早めに投稿できました。



第14話 感情

Ichika side

 

(それにしても、なんであそこまでイラついたのだろう?)

 

織斑との試合終了後、俺は先の試合の中で怒りに呑まれた事を考えながら、ビットに戻った。

 

(やはり、記憶への思いが消えるのは脳だけで、体はその事を覚えているということか)

 

「よくも秋一を!!!」

 

機体から降りると、目の前に天災の残りカス(篠ノ之束の妹)が木刀で殴りかかってきた。俺は木刀を蹴りで破壊した。

 

「なぜ秋一をあそこまで痛めつけた!!!」

 

(ああ、その事を気にしているのか)

 

実にくだらなかった。

そう思っていると、織斑千冬がやってきた。

 

「やり過ぎた、ハイドン。あそこまで痛めつけて、貴重な男性IS操縦者が壊れてしまったらどうするんだ!」

 

千冬は自分の弟を心配しているようだった。

 

「くだらないんだよ。十分手加減した。腹に穴が1つも開いてないんだからそれでいいだろ。」

 

「貴様っ!」

 

「ウゼェんだよ、お前は!!!」

篠ノ之が殴りかかってきたが殴り返して昏倒させた。織斑千冬は目の前に起きた事に呆然としていた。

 

「それでは、俺はこれで。」

 

俺はその場を放置してハイジ達の元へ行った。

 

 

Ichika side end

 

 

 

Memory side

 

 

『キエロ』

 

 

 

『キモチワルインダヨ』

 

 

 

『キエテナクナレ』

 

 

 

試合中に聞いた様なその言葉。

その言葉はそこには存在する筈がない言葉だった。

私が二年前に聞いた言葉に似ているその言葉は、イチカの限定条件によりなくなる筈のものだった。

 

(少しずつ昔に戻ってきている?)

 

ISや昔の姉兄と関わり始めた事によって二年前に戻っているのだとすれば............

 

(イチカの限定条件は確かに消えた筈.........)

 

でなければイチカが、繁華界を旅した理由がない。私は考えを巡らせながら、自室へと戻った。

 

 

 

Memory side end

 

 

 

Ichika side

 

 

その後、クラス代表は織斑に決まった。最初は織斑千冬が俺を代表にしようとしたが、ハピネスの圧力によって引き下がった。

その後、俺は一人自室にいた。

 

「ああ、暇だ。」

 

《コンコン》

 

自室で写真の整理をしていると、ドアからノックをする音が聞こえた。

 

「はい?どちら様ですかって、お前かよ。」

 

ドアを開けるとセシリア・オルコットがいた。

 

 

「.........すみません、謝罪をしに来ましたの。」

 

セシリア・オルコットは本当に謝罪しに来た様だ。だが、俺には意味がない。

 

「ハイドンさん!家族のことを莫迦にしてすみませんでした!!!」

 

 

 

「なに言ってるんだ、お前は?」

 

 

「えっ?」

 

 

(本当に女尊男卑の連中(こいつら)はイライラさせるな)

 

「俺よりも先に謝る人間がいるでしょうが!!!」

 

「.........誰にでしょうか?」

 

(本当に女尊男卑の連中(こいつら)は理解力が無いな)

 

「お前は莫迦か?この数年間にお前が虐げてきた人間全てだよ!!!」

 

セシリア・オルコットは戸惑った。それもそうだ、この女が虐げてきた人間はこの女では数えることが出来ないだろう。

 

「えっでもそれではたくさんの人に⁉︎」

 

「『それでは』じゃない!お前は貴族なのだろう?それなりに重い責任がある筈だ。だがお前は女尊男卑に染まった。染まった事で高い地位でこの数年間たくさんの人間を虐げてきた筈だ。ならその中の人間には、お前のせいで人生が破滅した人間が少なくともいる筈だ!その人間達に謝罪し、許してもらうまでは少なくとも俺は許すつもりはない!!!」

 

女尊男卑の連中は男性だけでなく、男性を擁護する人間にも容赦をしない。その人間の中には許さない人間もいるだろう。それでも許されない事をしたセシリア・オルコットが悪いのだ。だから俺はただで許すつもりはない。

 

セシリア・オルコットはなにか言おうとしたが俺はドアを閉めた。

 

 

 

 

「お前にしては随分と生温い事をしたな、イチカ。」

 

 

部屋にハルがいた。

 

「はあ、どうしてお前がここに居る?」

 

「いや、随分と懐かしい雰囲気を試合中に出していたからな。マドカが悩んでるみたいだったからな、こっちに来た方が面白いと思ってな!」

 

ハルの言葉は俺を確信させた。

 

「少し、神を決める戦いの時の性格に似ていた気がする。『体』は憎しみを覚えていた様だ。」

 

「それはそうだ。『お前は(・・・)ロベルト・ハイドンに(・・・・・・・・・・)会う前の日(・・・・・)までの(・・・)記憶への感情を失ったが(・・・・・・・・・・・)』、

神を決める戦い時(・・・・・・・・)の感情(・・・)』は失っていない。その性で繁華界でも苦労したんだろうが。」

 

「そうだったな。」

 

繁華界にいた頃は、生きる目的を探して放浪していた様なものだったのだろう。人間を滅ぼす為に生きた数年間しか思いはなく、行き場の無い怒りが心に留まり続けた。ハイジ達に出会うことがなければきっと壊れていただろう。

 

 

「もう少し我慢しろイチカ。真実が証明されるまで。」

 

「わかってるよハル。後もう少しだからな。」

 

 

ハルを腕輪に戻し、一日を終えた。

 

 




入学編終了です!!!
次回はから、クラス代表編に入ります。

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