――2009年 5月8日 金曜日 PM5:00――
「1年C組、黛由紀江――」
「は、はい?」
いつもの金曜集会。まだ来ていないメンバーがバイトのキャップ1人という状況で、ミヤのいきなりの言葉にまゆっちが戸惑いながら答えた。
思っていた以上に響いたその2人の声に、自然とみんな手が止まり視線が集まった。
「前から思ってたんだけど、なんでC組なの? まゆっちならS組でも問題なさそうだけど」
「それを言うならタカもだよね」
ついでと言った感じでタクが疑問を重ねた。
言われてみれば確かにそうだな。まゆっちは厳しく育てられていそうだし、見た感じも優等生っぽい。ヒロも昔から勉強できたし優等生だった。
「運動神経もよさそうだしな」
寝ているカズに膝枕をしてやっているモモが呟くように言う。運動神経はいいって言葉で片付けられないだろう。2人とも身体能力はかなり高いはずだ。
「S組は辞退しました。競争するのもいいんですが、私は友達が欲しいので」
「S組は辞退しんたんだ。競争ばっかりじゃ疲れるし、せっかくの学園生活は楽しまなきゃ」
ほぼ同時に同じような答えを返すヒロとまゆっち。お互い意外だったのか驚いたように顔を見合わせている。
なんと言うかこの2人、基本的な思考というか価値観が良く似ている。だからまゆっちはヒロに対しては気兼ねすることなく接する事が出来るんだろうけど……どこまで似ているんだろうか。少し気になるな。
「あんなクラスに入ったら勉強勉強また勉強だ。いい判断だぜ、タカ、まゆっち」
「ありがとうございますっ!」
「あはは、そうだね」
おいガク。それはお前が勉強したくないから出てくる言葉だろ。だいたいS組を選ぶ生徒は勉強をしたいから選んでんだ。いい判断だとは言わないぞ。
ヒロはそれが分かっているから苦笑いを浮かべているけど、まゆっちは褒められたと思ったんだろう、謝礼までしてる。本当に素直な娘だ。
「で、肝心の友達の方はどうなのかな?」
「ごほっ、んんっ、ごほんっ、ごほんっ」
タクの質問に答えたのは松風の咳払いだった。ヒロがそんなまゆっちを労わるような目で見ている。そんな2人を見てタクも悟ったのだろう、苦笑いを浮かべる。
「察したよ、同学年の友達はまだタカ1人なのね……」
ズバリと突っ込まれて肩を落とすまゆっち。慰めるように肩を叩いているが、そう言えばヒロはクラスに馴染んだんだろうか? 中学からの友達も何人か川神学園に進学したと聞いているけど、なんかいつもまゆっちと一緒にいるイメージが強いんだが。
「タカさんは順調にクラスに馴染んでいっているんですが、何故か私、刀の所持とか置いといても怖いと思われてるみたいで……笑ってるつもりなのに顔が引きつるというか……ほら、どうですか私の顔?」
そうか、まゆっちに掛かりきりと思いきや、ヒロはヒロでちゃんとやっているんだな。うん、それと悪いんだけど、その顔は本当に怖いねまゆっち。
「怖ぇな」
「怖いよ」
「大人しく財布出すレベルだね」
「あぅうぅぅ……」
ガクとヤマとタクの容赦ない意見にテーブルの上に『の』の字まで書きだした。さすがに掛ける言葉がないんだろう、ヒロもどういていいのか分からずただひたすら慰めるように背中を叩くだけだった。
そうするうちに多少は気持が浮上したのだろう、まゆっちは俯きがちだが話を続ける。
「笑おう笑おうと心がけてはいるんですけど……」
「そこまで意識しているせいじゃないのか? もっと自然体で笑ってみればいいと思うけど」
それこそヒロと話している時のような感じで接すればいいと思うんだが……駄目か。それこそ無意識だからどうな風にヒロと接しているのか分からないか。ままならない矛盾だな。無意識を心がけている時点で意識しているようなものだからな。
「でもさぁ、意識しないと思ってる時点で意識してるって事で難しいよねー」
まゆっちも同じ事を思ったんだろう、松風で代弁している。時折本当に本音が松風から漏れるまゆっちだった。それはそれで面白いが、やはり気にかかるな。たぶん対人経験が増えていけば自ずと変わっていくとは思うが……早急に注意する事でもないか。
「刀を使っている時のように集中するのはどうかな?」
代案的にヒロが言うもののまゆっちは小さく細かく首を振る。
「それが対人関係となると、どうしても刀を使う時のような冷静さを保てなくて……」
「……なるほど、それは重症だ」
お手上げと言った感じが漂う声音でモモが呟いた。見放してやるな。まゆっちには死活問題なんだ。きっと新しい生活で多くの友達を作ろうと意気込んで川神学園に入学したんだろうから。
「出来れば直したいです! みなさんも私の顔が怖かったら教えてください! 直してみせます!」
「その意気だまゆっち! 頑張れ!」
「あ、ありがとうございます!」
意気込んで宣言するまゆっちにクリスの応援の言葉が掛けられる。それに元気よく答えたのはいいんだけどねまゆっち。既にその顔が睨みを利かせているんだが……
『前途多難っぽいな……』
その場にいるまゆっち以外全員の思いが1つになった瞬間だった。
「でも不思議だよね。そんなに人と接する事に緊張でガチガチになるのに、何でタカとは自然体でいられるの?」
「おお、俺様もそれ気になってた」
「まゆっち、タカと一緒にいる時はいい笑顔するよね」
「そ、そうでしょうか?」
タクとガク、ミヤに言われて恥ずかしそうだが自覚がなかったのか、戸惑いながらも不思議そうに首を傾げるまゆっち。言われて気付くという事は当たり前になっているってことなんだろう。
3年前に1度会って打ち解けている前提があるからなのかもしれないが、たった1日にでヒロと打ち解ける事が出来るんだ。まゆっちの課題は落ち着いて話しをするまでの過程だな。それさえクリア出来ればきっと友達は増えていくだろう。
「なあ、ヒロにまゆっち。これからいくつか質問するけど答えてもらっていいか?」
「えっと……いいけど」
「はい、分かりました」
いきなりの俺の言葉に戸惑いながらも了承してくれた。みんなは不思議そうに面白そうに様子を伺っているが、そんなに面白いものじゃないぞ。
「それじゃあまず、今の身長は?」
「167だね」
「167センチです」
背の高さは今は同じか。確かに並ぶと目測でも同じぐらいの高さだったな。まあこの質問は特に意味はないんだが出だしで突っ込んだ質問はしない方がいいとの考えからだ。
「誕生日は?」
「10月26日だよ」
「10月26日です」
ヒロは知ってたけどまゆっちも誕生日が一緒? 同学年だから生まれ年も一緒だな。それにはさすがに2人とも驚いてお互い顔を合わせている。
「血液型は?」
「B型」
「AB型です」
ここで違いが出たか……だが確かB型とAB型は相性が良かったはず。
「好きな食べ物は?」
「うどんだね、やっぱり」
「蕎麦ですね」
これも違うが麺類というのは同じか。確認するつもりで聞いてるが、所々本当に似ているところがあるな、この2人。
「得意な事は?」
「家事かな?」
「幼い頃から習っていたので家事が得意です」
ここでも全く同じ答えが返ってきた。まゆっちは躾けの一環で教えられていたんだろうけど、ヒロは必要に迫られてだもんな。凛奈さんも出来ないわけじゃないらしいけど、基本そこら辺はルーズな人だし。
「闘うことに関してはどう思ってる?」
「必要がなければやらない。でも闘う時は全力で」
「争い事はあまり好きではありませんが、避けられないのならば全力を出します」
戦闘に関しての姿勢は言葉は違えど意味は全く一緒だな。無駄な争いはしたくないけど、やらなきゃいけない時は全力で立ち向かう。そんな感じだ。
「最後。尊敬する人は?」
「父さん」
「たくさんいますが、強いて言うのなら父上です」
これもまた同じ答え。やっぱりと言うかなんというか……そういう事なんだろう。思った通りの結果に何度か頷いていると、不機嫌そうなモモの声が掛けられた。
「1人で納得していないで教えろ。いったいお前は何が知りたかったんだ?」
その声に周りを見渡すとみんな同じような視線で俺を見ている。ヒロとまゆっちも不思議そうな表情。まあ1番わけが分からないのはこの2人だろう。
答えを反芻して確認していただけだから、別に1人で納得していたわけじゃないんだけどな。確証みたいなものも得たし、説明を始めるか。
「さっきタクたちが言ってただろ。まゆっちがヒロ相手だと自然体でいられるのはどうしてか、って」
頷く一同。
「俺もそれは不思議に思っていたんだ。その理由も何となく推測出来ていたから、確認のために2人にいろいろ質問をしてたってわけ」
「それで? その推測の確証は得たのか?」
代表してヤマが尋ねてきた。それに頷く。
「といっても俺の推測の確証に過ぎないからそれが本当だと思うなよ。あくまでも俺がそう思っているというだけだ。それでもいいなら話すけど?」
みんな……というよりはヒロとまゆっちに対して確認するように問い掛ける。さっきも言ったがあくまでも俺の推測。真実は違うかもしれないし、場合によってはヒロとまゆっちに失礼なことかもしれない。
言外にそういった意味を含ませての確認だったが、ヒロもまゆっちも特に考え込むことなく頷いた。本人たちがいいというのなら話すか。
「ヒロとまゆっちはたぶん、性格的というか……心の在り方というか……そういった本質的なところが良く似ているんだと思う。言い方は悪いかもしれないけど、まゆっちはそれを本能的に感じ取ったんじゃないかな?」
「私とタカさんが本質的に似ている?」
「そう、だから他の人と接する時の壁みたいなものがないんじゃないかな」
そう締めくくると、ヒロもまゆっちも思い当たる事があるのか妙に真剣な表情で頷いている。しつこいようだけどこれはあくまでも俺の推測でしかない。もしかしたら他にもっと別の理由があるかもしれない。
3年前に会ったという事は、まだヒロは中学1年生の頃。あの頃は今よりもより女の子に間違われていた時期だから、まゆっちは初見はヒロを女と思っていたはずだ。そういった理由もあるのかもしれないな。まあこれもあくまでも推測だけどな。
「でもよー、それだとタカっち以外の人とは親しくなるのは難しって事じゃねーのかい。その辺まゆっちにどうすればいいのか教えてやってくれよジン兄」
む、そう来たか。言ってしまっていいのか分からないが1番の問題は松風なんだろうな。正直あの腹話術の会話がまゆっちのイメージをマイナスにしている。
趣味程度なら意外の言葉で済むんだろうが、常時あの会話をしているからな。俺たちはある意味で突拍子のない事柄には免疫があるから慣れるのは早かったが、普通の人はたぶん引く。
でも今のまゆっちに松風の存在は絶対なんだろうな。離れる事は出来ない関係なんだろう。まゆっちの今までの孤独を考えればそれを指摘するのは憚れるな。
「まゆっちはさ、人と接する時に1番に考えてる事って『役に立ちたい』じゃないかな」
「えっと、はい、たぶんそう思ってます」
「それも悪い事じゃないんだけど、それは友達になった後、その友達が困っている時に考える事だ。初めからそんな考えだと善意の押し売りになる」
「で、ではどうすれば?」
「友達になりたいのなら、キャップが言っていたように『ただ友達になりから』っていう理由だけで十分だよ。そこに損得の感情なんてない。あとは1人が繋がれば輪は広がっていく。そうすれば友達なんてあっという間に増えるさ」
難しかったか? 言い終わった途端にまゆっちが考え込み始めた。俺としてはこれ以上ないぐらい正解に近い答えだと思ったんだがな。
「ジン兄、ちょっと抽象的過ぎ。もう少し具体的な方法を教えてあげなきゃ」
苦言を呈するヒロ。抽象的と言われてもな。友達を作る方法なんてそれこそ人によりけりだ。そう思ったのかみんなもそれぞれ意見を出し始めた。
「よく人をジャガイモと思えば緊張しないって言うから、全員をタカだと思えば大丈夫なんじゃねぇか?」
「ガクト、それは大勢の人間の前に立つ時の通説だから意味ないよ。誰かのやり方を参考にするのはどうかな?」
「まゆっち。大和を参考にするのがいいよ。私の大和は知り合いがいっぱいいるから」
「俺はお前のじゃない、お前が自慢げに言うな。でも俺のやり方が参考になるかな……」
「自然体というならキャップをお手本にすればいいではないか」
「あそこまで自由奔放に振る舞うのはまゆまゆには厳しいだろ」
ミヤとクリスの言うように、ヤマとキャップはいい手本なんだろう。だが人脈を広めるために知り合いを多く作っているヤマなんて、目的がそれだから深い付き合いをしないから友達とは違うだろう。
まゆっちは『知り合い』じゃなくて『友達』が欲しいと思っているから、ヤマ自身が言うように恐らくあまり参考にならないだろう。それ以前にまゆっちにヤマのやり方は向いていないな。
キャップはそれ以前に参考に出来ない。あいつは友達も面白い面白くないの基準で感性で選んでるからな。モモの言うようにあそこまで自由奔放な振る舞いはまゆっちには無理だ。
と、そういえば知り合いになるのも友達になるのも、どちらもきっかけは些細な事だな。教えてくれと言われて深く考えすぎたか。
「まゆっち」
「は、はい」
みんなの意見を聞いて若干混乱気味だったまゆっちに、少しだけ声を強くして呼び掛ける。小さく身体を震わせて返事をしたあと、こっちを向いたまゆっちに代替案的なものを教える。
「友達になりたければ、まずは自分から話しかける事だ。緊張するかもしれないけどそこは勇気を出してな。その後は相手の好きな事をに共感を持って、自分の好きな事も教える。友達ってのは対等だから相手の事を知ったら自分の事も知ってもらう。そうすれば自ずと自然に仲良くなれるよ」
「お、おおお……」
胸の前で腕を組んで身体が細かく震えている。雰囲気からして何やら感激しているけどいったいどうしたんだろうか。そんな事を考えているといきなり松風が吠えた。
「まゆっち! 天啓だ! 神託だ! 天の声だ! 神の導きだ! オラクルだ!」
「はい! 何やら目から鱗が落ちたような感じですよ松風!」
これはどう対応すべきなんだろうか……何やら物凄い尊敬の眼差しで見られているんだけど……っていうかお前ら、そんな微笑ましいものを見るような目でまゆっちを眺めているぐらいなら何か声を掛けていやれよ。
「僕も出来るだけ力になるから、頑張ろうねまゆ」
「はい! 頑張ります!」
ああ、まゆっちに友達が出来にくい理由の1つが分かった。ヒロといるせいで2人が付き合っているっていう噂の信憑性を高めているんだ。
ヒロはあの外見だもんな。狙ってた女子は多いだろう。そういう女子にしてみればまゆっちと友達になるのに抵抗があるだろうな。
そんな女子ばかりじゃないと祈るしかないけど、頑張れまゆっち。
「しっかし、本当に前途多難だなまゆまゆは。表情とか心構え以前にまだいろんな問題がありそうだけどな」
松風の事だろう。どうやらモモも俺と同じような危惧を感じているようだ。だがさっきも思ったけど、今すぐそれを注意する事は出来そうにない。言うならもっと交友関係を広めてから。
そして出来れば、その新しい友達に指摘してほしい。
まあ、それは追々として。実は俺も今日、モモに聞いておきたい事があるのだ。いやしかし、これを聞いた時にはビックリしたね。
「モモ」
「ん? なんだジン?」
隣に座ってカズを膝枕しているモモに声を掛けると、カズの頭を撫でて笑みを浮かべてながら聞き返して来る。その状態ならそうそう動けないだろう。なら問い詰めるか。
「いろんな生徒に借金しているって聞いたけど……ホントか?」
動きが止まった。どうやら図星らしい。まあ『女王蜂』が直接愚痴を零しに来たんだから間違いはないだろうと確信はあったけどな。
「だ、誰に聞いた?」
「情報元は秘密だ。さてモモ。バイトやっているんだろ? なんで借金をする必要があるんだ?」
「そ、それは……」
口籠るモモだが、だいたいの理由は分かっている。恐らく目的と結果が真逆になっているんだろう。そんな俺の考えを肯定するようにヤマが言う。
「姉さんのは借金返済のためのバイトだよ。だからすぐに金がなくなるんだ」
「大和!」
なるほど、やはりそういう事か。
学生のアルバイトは本来、社会に出る前に『お金を稼ぐための仕事を経験する事』が大切で、報酬の給料は二の次だ。だがモモは『借金返済のためにお金を稼がなければならい』からバイトをする。
目的と結果が逆転しているぞ。ここは少し強く言い聞かせる必要があるな。
そう思いモモの方に視線を向けると、何故が冷や汗を流して身体を小さく震わせている。
うん? 何やら怯えているけどどうした? 俺は笑顔を浮かべているだけだぞ? そんなに震えると膝枕してやっているカズが目を覚ますぞ?
うん? お前たちもどうした? なんでそんなに離れている? 部屋の隅になんか行かないで元の位置に座ったらどうだ? まあ、今はどうでもいいか。
さぁてモモ。ちょっっっっっとの間、俺の説教を聞いてもらおうか? ああ、拒否権はないぞ。これはお前の将来のためにとても重要な事だからな。
容赦しないから覚悟しろな? モモ?
その後、秘密基地で1時間の説教。家に帰ってからもさらに1時間の説教の後、月曜日に全員に全額返済する事を約束させた。
手持ちがないとの事だったので今回だけは俺が立て替えて返済もしなくていい事にした。
しかしそうしてしまう辺り、やっぱり俺はモモに甘いんだろうな。
ありがとう、と大げさにも抱きついてくるモモを抱き止めながら、俺はそんな事を思ったのだった。
あとがき~!
「第88話終了。あとがき座談会、司会の春夏秋冬 廻です。今回のお相手は――」
「えっと、師岡卓也です」
「よろしくな、モロ。さて今回のお話ですが、まゆっち頑張れ、友達は簡単に出来るぞ! という事です」
「確かにそうだけど、凄く端折った言い方だね」
「難しく言ってもしょうがないだろ。ただでさえ本文は小難しい言い回しを使って書いてるっていうのに」
「でもそれって、簡単な言い回しじゃ書けないって事?」
「さすがツッコミマスター・モロ。容赦ないね」
「だからそんな称号欲しくないって言ってるでしょ。ところで途中でタカとまゆっちのプロフィールが質問の形式で出てきたけど?」
「深い意味はないぞ。ただ似ている設定を出しただけだ」
「そうなるようにタカの設定を作ったんでしょ?」
「その通りだ!」
「開き直ってるよこの人……」
「お前、そこは開き直らなきゃ。ちゃんと由紀江の設定を意識して緋鷺刀の設定は考えたんだから」
「でも誕生日や身長を同じにする必要はなかったんじゃないの?」
「身長はそうかもしれないけど誕生日は狙ってやった。小っ恥ずかしいけど運命的なものを少しでも感じてほしかったからね」
「ホント恥ずかしいよね」
「うるさい!」
「で? 最後のあのオチは?」
「そのままオチとして見てやってください。それ以外の理由はありません。オチになっているかどうかは責任持ちませんけど」
「無責任だよそれ!」
「ではまた次もよろしくお願いします」
「また強引な終わり方だねホント……」