大和とクリスのぶつかり合いの理由、これでいいかな?
クリ。
犬。
さて、みなさんはこれを聞いてどう思うでしょうか?
犬はまあそのまま動物の犬を連想するでしょう。ではクリは? 真っ先に思いつくのはやはり植物の栗でしょうか。
だが違います。違うんですよみなさん。
この2つの言葉はワン子とクリスが互いにつけたあだ名なんです。
クリスという呼び名ですら本名のクリスティアーネの愛称だというのに、ワン子のアホはさらに短くして『クリ』などと呼びだしたんです。
それに対抗してか、クリスも一子がワン子と呼ばれているという理由から『犬』と呼びだしました。
馬鹿だと思いませんか? 子供っぽいと思いませんか?
正直に申しても結構ですよ、みんな馬鹿だ子供だと思っていますから。
ほら見て下さい。
「ねぇクリ」
「何だ犬」
両腕を無茶して使い筋肉が痙攣していて、保健室で今日1日治療していたと思っていたワン子が帰ってきたら、すぐにクリスに食ってかかってます。それに簡単に乗るクリスもクリスですよ。
「なに微笑ましそうな顔で2人を見てんのさ大和」
「大和の視線を独占するなんて……ワン子たち許せない」
「実際に微笑ましいだろモロ」
後ろで何か言っている京は無視してモロにのみ言葉を返す。そんな俺のいつもの揺らぐ事ない態度にモロは苦笑いを浮かべた。
朝のHRの大半の時間を、いきなり始まった決闘に取られたものの、何とか時間内に終わり教室に戻った俺たちはいつも通りの授業を受けた。
今は帰りのHRでウメ先生を待っている状況。そして間をおかず姿を現したウメ先生は教壇につくとさっさとHRを開始した。
「待たせたな。HRを続ける。が、その前に」
と、いきなり言葉を切ったウメ先生は、俺たち風間ファミリーが集合する席に視線を向けると、代表してキャップに声を掛けて来た。
「クリスの事だが、彼女の面倒は風間たちに任せる」
「え、俺たちに? いースけど」
「なんで?」
いきなりの言葉にその意味を深く考えずに答えるキャップと、眉をひそめ訝しげに言葉を発する京。そんな2人のウメ先生は分かりやすい理由を答えた。
「クリスは島津寮に入るからだ」
「なるほど、了解」
あっさりと了解するキャップに、俺と京とモロは呆れた表情を浮かべるしかなかった。
ガクトはどうやら聞いてなかったらしく驚きの声を上げていたが、クリスの入寮の理由が温泉を楽しみだという、何とも“日本を誤解している外国人が好きそうな場所”だったためガクトも呆れながら納得していた。
「椎名。隣の部屋なんだからお前が面倒見ろよ」
弓道部としての繋がりもあるためか、ウメ先生は当面のクリスの相手を京に任せたようだ。
まあ、男の俺やキャップ、ゲンさんよりはいいだろうが、京は果してウメ先生の要望通りクリスの面倒を
見るか心配だ。
「よろしく」
「……よろしく」
律義に頭を下げるクリスに、京は一応言葉を返した。
そんな態度の京を見てウメ先生は何やら難しい顔をしていたが、小さく息を吐くと気を取り直してHRを続ける。
「さて、先日も言ったが来週の月曜日に今度は編入生が来る。先に言っておくが性別は男だ。阿呆な賭けはするなよ」
騒ぎだす人間を先に牽制するウメ先生。
勢いよく質問しようとしていたガクトと小笠原さんが出鼻を挫かれ何やら悔しそうだ。あの2人って性格とは全然違うけど異性に対する行動理念って似てるよな。
その後特に問題なく帰りのHRは終了し、放課後となった。
帰る準備をしていると所在なさげにクリスが周りを見渡していたが、俺とキャップを見るとどこか安堵したような表情を見せた。
「ちょっといいだろうか?」
「おう。どーした」
キャップが答えると、クリスは困ったように眉を寄せた。
「部屋が隣という椎名殿に寮へ案内してもらおうと思っていたのだが、部活がある、という事で行ってしまったのだ」
やっぱり逃げたか京の奴。
他人への排他的態度は確かに“多少”は改善されたが、それでも本当に“多少”なだけでまだ他人との距離を自分から詰めるような行動は取らない。
「そりゃごめんな。あいつ取っ付きにくいけどいい奴だから。でも案内してやりたいけど俺これからバイトだしな……」
「俺がやるよ。ついでに学校も軽く案内するよ、クリス」
キャップの言いたい事を悟り言われる前に申し出る。分からない事が多いだろうから、先にいんろな事を教えておいた方がいいだろう。
「ありがとう」
柔らかく微笑む顔を見て、素直に可愛いと思った。金髪とはある意味で得をしている部分があるのかもしれない。
とりあえず円滑な人間関係を築くための大切な出だしとして、当たり障りない自己紹介をしておこう。
「直江大和。同じ島津寮の1階。よろしくな」
俺の名前を聞いて日本の異称と同じだと気付き、何故か嬉しそうに俺を『大和』と呼ぶようにしたクリス。そんな俺たちをクラスの男子が複雑そうな顔で見ている。
恐らく言い寄りたいけどその後についてくる父親が怖い、のジレンマだろう。案内するという大義名分があってよかった。
時代劇が好きで、そのテーマとなっている『義』を重んじる事に誇りを持っている、などのクリスの趣味や気質を聞きながらも、廊下にある学校掲示板を指さす。
「掲示板に張り紙が多いでしょ? バイトが許されてるからいろんな店からの求人募集があるんだ」
「他にも茶飲み友達募集や将棋対戦者受付中などの張り紙もあるが……」
「勝負好きが多い学校だからね」
「様々な技能を競えるというわけだな。素晴らしい」
何やら都合のいい風に解釈したようだ。
別に技能を競うとかじゃなくて殆どの生徒が基本報酬目当てで、まれにその勝負を本当に楽しみたい人間が受ける。
基本的な場所を案内しつつ廊下を進むが、すれ違う生徒たちがクリスの美貌に振り返ってくる。中には俺の知り合いもいて話しかけてくる奴が多い。
その度にクリスの紹介をするため、ずいぶんと呼び止められてしまった。
「大和は友達が多いな。何度も呼び止められてしまった」
「悪いな、次から次に来て」
「おかげで転入初日でずいぶんと知人が増えた。逆にありがたいぐらいだ」
一応俺の謝罪を受け取りながらも、それをいい方へと捉えてくれた。
たぶん気を使ったというよりはクリスの生まれ持っての気質なのだろう。騎士道精神とか言っていたからな。
そんな会話の中でクリスが学園の女子生徒というか、日本人女性の特色と言われる『大和撫子』について言っていたし、それについて土地柄の事も話したのでついでに街も案内する事にした。
通学路にもなる川沿いを歩きながら多馬川を最初に案内し、道すがらいろいろ説明をしながら連れて来たのが――
「ここが川神院」
案内された川神院の山門を見上げ、クリスは感嘆の声を上げた。
「おお。これが伝説の拳法寺! 日本の最終兵器!」
海外ではそんな風な話になっているんだ……全てを否定できないのが何故か悲しい。だって姉さんとか鉄心さんとかルー先生、それにここは兄弟の家でもある。
あの人たちを考えると本当に最終兵器と言っても過言じゃないからな。
「奥から溢れてくる闘気と品格! 素晴らしい――ん?」
山門の前で周りの目など全く気にせず大きな声で称賛を上げていたクリスだったが、門の奥から体操着姿のワン子が姿を現したのを見て言葉を飲み込んだ。
「あークリだ。何してんのウチの前で」
「街を案内してるんだ。京が部活だから」
ワン子の疑問に俺が答える。
それに納得したように頷いたワン子は、クリスを見て口端を上げると何故か偉そうに胸を反らした。
「どうよクリ。川神院は壮大でしょ!」
「ああ、素晴らしい。やはり日本に来てよかった」
ワン子の自慢もなんのその、クリスは大変素直に答えた。
その反応がちょっと物足りなかったのだろうか、ワン子は少し意地の悪い笑みを浮かべる。
「だったらお賽銭を払いなさいよ。ホレ出しなさい」
「おいワン子」
ワン子の言葉に急に顔をしかめたクリスを見て、俺は窘めるように名前を呼ぶ。もちろん俺は本気ではないとは分かっているし、ワン子も軽いジョークのつもりで言ったのだろうが、クリスはそんなワン子の態度と言葉にあからさまに嫌悪の表情を見せた。
「姉も学長もこの寺院も凄い風格だというのに、犬だけが妙に浮いているな」
そのクリスの言葉に俺は僅かながら反応してしまう。
クリスは知らないのだから仕方ないが、でもだからと言って本人がいるところで真正面に言っていい言葉じゃない。
「ふーんだ! アタシはこれから走り込みだから馬鹿にかまってる時間なんてないわ」
だが当人であるはずのワン子は意外とあっけらかんとしていたので、俺も余りなにも言わずにこれから走り込み行くワン子を励ます意味も込めて頭を撫でた。
「おおぅ、何やらやる気が出てくるわ。頑張るわよアタシ!」
握り拳を作り気合を入れたワン子は、その場で駆け足をするようにバタつかせると、凄い勢いで駆け出して行った。
クリスは俺と一緒にそれを見送った後、感心したような声を上げた。
「犬は素晴らしい向上心だな」
「認めてるならあんまり喧嘩しないでね」
「あちらから売られている気がするのだか」
「……まぁね」
今はあまり突っ込んだ話はしない方がいいようだ。
どうもこの子、あの父親の親馬鹿な態度から分かるが、溺愛され甘やかされて育った感じが所々の仕草や態度で見て取れる。何より空気を読めないところがある。
いずれぶつかる事がありそうだな……
そんな事を考えつつ、クリスを川神院の門から続く仲見世通りを案内する。
下校中に買い食いするのは咎められるかと思ったが、そこまで頭は固くなかったらしく、素直に紹介した久寿餅の美味しさを喜んでいた。
久寿餅を食べながらいろいろとクリスの事を聞く。
甘いものが好きでぬいぐるみ集めが趣味。綺麗な外見とは違った凄い女の子らしい中身が意外だった。
だって姉さんの事を考えてみてよ。ああいう凛とした外見で実は趣味がぬいぐるみ集めだったら可愛いところがあるが、実際は――
『特技は敵を殲滅させる事。好きな漫画は『北○の拳』』
性格まんまの人だし。
「大和は何が趣味なんだ?」
「読書に映画鑑賞。後ヤドカリとか飼ってる」
同じように質問してきたクリスに俺も答える。
当たり障りの話題だが、クリスのひと昔前の日本の映画や時代劇の話を、持っている広く浅い知識でなんとか拾っていく。
だがまあ話が全く合わないとい事もない。こっちがクリスの話題について行けるような知識があれば十分上手くやっていける。
そう思って連絡先に携帯番号も聞いておこうと思ったが、案の定、父親からの事前防衛策がしっかりと掛けられていた。
本当にお嬢様だね、この子。
このまま何もなく案内が終わると思っていたが、問題は思いもよらぬところから発生した。
「来日記念の奢るよ。ささやか過ぎるけど」
「嬉しいがそういうわけにはいかない。1人500円だな」
事の起こりは食べた久寿餅を奢る奢らないから始まった。
実はクリスとワン子の決闘が引き分けだったため、勝者を賭けていたトトカルチョでキャップが胴元の1人勝ちをした。それを報酬1割で手伝っていた俺と京は、振って湧いた臨時収入があったのだ。
それを使っての奢りだったため俺としては全然問題なかったのだが、その事を話した途端クリスの表情が変わった。
「それは詐欺ではないか。賭けとは払い戻しがあってこそ成立するものだ。私たちの勝負の結果を賭け事にしていた事も好ましく思わないが、お前たちのやった事は一種の詐欺だ」
「詐欺なんかじゃない。みんな納得しているからやっているんだ」
「だがお前たちは引き分けの際の払い戻しについて何も説明してないかったではないか!」
クリスの言葉には確かに一理ある。だがだからと言ってそう素直で全てが上手くいくわけがない。賭けもそうだが情報とは裏を呼んでこそ真の意味を発揮するのだ。
「それは説明から読み取れなかった方が悪い。冷静になって考えれば引き分けの際の事も事前に分かったはずだ」
「それは言い訳だ。情報とは全て公開してこそ公平性を持つ。お前たちのやった事は間違いなく詐欺だ!」
意見は平行線をたどったと同時に俺はその時に理解した。
俺とクリスは相容れない。
クリスは義を重んじ正々堂々、公平である事を最も大事だと思っているようだが、俺はあらゆる手を尽くしてでも勝つ事を信条にしている。
確かにクリスの言う通り正々堂々と公正である事も大事だと思っている。だがそれに拘って大事なものを取り零したら何の意味もなくなってしまう。
結局、俺たちは相容れない意見を前に互いを認める事は出来なかった。
「――って事がさっきあったわけなんだ」
金曜集会で俺は姉さん、京、ガクト、ヒロの前で放課後、クリスとの間にあった言い争いを話した。
「失礼な女だね。案内してくれた大和に対して」
うん京、怒ってくれるのは嬉しいけど、お前がウメ先生に頼まれてた案内をブッチしたのがそもそもの原因なんだけどな。まあちゃんと部活に顔出していたから溜飲は下げてやるけどな。
そんな俺たちを苦笑いを浮かべて見ていたヒロが声を掛けて来た。
「でも、相性はいいかもしれないけど根本的な考え方は合いそうにないね」
「大和とクリスが相性がいい? どう聞いたらそんな感想が出るんだよタカ」
信じられないと言った感じで眉をひそめるガクトに、タカはそれこそ心外といった顔で答えた。
「そうかな? なんかそのクリスさんって一子ちゃんと似た気質だと思うんだ。そう考えれば大和君とは相性いいと思うんだけど」
恐らくそう思っているのヒロだけだろう。
言われてみればそうとも思えない事もないかもしれないと思うのだか、俺もガクトも京も首を捻るしかなかった。
「お? 噂をすればこの気はワン子とモロロだな」
姉さんの言葉通り、すぐにワン子とモロが部屋に入ってきた。
後はキャップがバイトの残り物を持ってくるのを待つばかりだ。今か今かと待ち構えているワン子が微笑ましい。
キャップが来るまで他愛のない無駄話で時間を潰していた俺たちの耳に、外で原付を停車する音が聞こえキャップの到着を知る。
そうなると落ち着きがなくなるのがワン子。本当に尻尾が生えていたらまさに犬のように物凄い勢いで振っているに違いない。
「ウィース!」
「待ってたわよ晩ご飯!!」
部屋に入ってきたキャップに物凄い勢いで駆け寄ったワン子の声で、今日の金曜集会の晩餐会が始まったのだった。
「さぁて、今日の議題なんだか」
「明日どこで遊ぶか?」
食事が終わり、月末金曜集会の定番である姉さんの借金返済も終り、まったりとなった雰囲気の中で切り出したキャップに京が言葉を返す。
だがキャップはその京の言葉に首を振った。
「それも重要だが……転校生のクリスの事だよ」
「クリがどうかしたの?」
「俺たちのグループに入れようかって議題出てたろ?」
「今聞いたよ!?」
突飛ないキャップの言葉に全員の思いを代表してモロが突っ込んだ。
というか何でその考えに到達するかが分からない。相も変わらず自由な男なのはいいが少しは俺たちの身にもなって欲しい。
「だってウメ先生にも頼まれたろ? 俺はいいと思ったんだけど」
「確かに面倒見ろと言われたけど……クラスメートとして仲良くはするけど、
キャップの言葉に納得しつつも反対の意思を強く示すモロ。
今回の議題でモロと京が反対するのはまず間違いないだろう。だがそんなモロの言葉もどこ吹く風でキャップは自分の我を通す。
「そんな事は分かってるって。でもクリスは逸材だし、ここの女子連中にも負けず気が強いし面白い! 俺、気に入ったし一緒に遊びてえって思った。久し振りの新メンバー加入になるけど、みんなどう思う?」
「1人ずつ聞いてみな、キャップ」
もう何を言っても自分の意見を変える気がないのを、その言葉と態度で悟った俺は呆れながら提案する。そんな俺の思いを知ってか知らずか、恐らく気付いていないだろうキャップは、真っ先に姉さんに聞く。
「まずは牢名主のモモ先輩からどーぞ」
「賛成だ。クリスは欲しい。色んな意味で。いじくれる。いろいろな意味で」
姉さんは即答。答えは分かり切っていた。
「俺様賛成。理由は簡単、可愛いし骨もあるから」
ガクトも賛成。こいつは聞くだけ無駄だ。
「クリはいらん子だと思うけど……いつでも勝負を挑める相手が増えるのはいいわね。ただあいつ自身はこーいうの好きかしらね?」
ワン子は珍しく保留、様子見を取った。
「私は反対。他人は増やさなくていい」
京は予想通り反対。仲間を神聖化させている京は他人が入ってくるのが我慢ならないのだろう。
「僕も京と同じで反対かな。今更新しいメンバーを入れてもね」
モロも意見を変えず反対。
「僕はどっちでもいいと思うけど……キャップの意見に任せるよ」
1番クリスと接点のないヒロは様子見を取る。まあ当たり前だろうけどな。
今のところ賛成3に反対2、様子見が2という結果になっている。ある意味で残りの俺の意見が重要になってくるのだろう。
そう考えていると思った通り、キャップが俺に期待を込めた眼差しを送ってきた。
さてどう答えるかな。
俺としては放課後の出来事があったせいで、今は余りクリスにいい感情を持っていない。だが主観で物事を判断するのはしたくない。クリスの事情も考えなければならい。
となると意見は決まっていたようなものだ。
「俺は様子見。クリスも異国で1人は寂しいだろうと思うけど……ワン子の言うようにあいつ自身がここに馴染むかねぇ」
「そうだね。私はそれが何よりの不安」
俺が態度を軟化したせいなのか、京も反対と言っていた時のような雰囲気はなかったが、その言葉の奥に隠れた感情は察する事は出来る。
京はクリスが何かしたら全力で排除するつもりだ。
「とりあえず声を掛けることに問題はないわけだな」
確認するように見渡すキャップに俺たちは一応みんな頷いた。
しかしキャップはクリスを気に入ってるようだな。まあ自分の意見だけで全てを決めようとしてないだけ、ちゃんと俺たちの事を思ってくれているんだろう。
「まとめると、クリスには声を掛けるけど……空気悪くなりそうだったら遠慮なく切るって事で」
たぶん京のためを思ってワザと『切る』とか厳しい言葉を言っているんだろう。それが分かっているから京もキャップの意見に頷いた。
「でもな、俺もっと楽しくなる確信はあるんだよ。この数年、新規メンバーなんて俺が言い出したの初めてだろう? それぐらい面白い奴だぜクリスは。俺を信じろ」
どこから沸いてくるのか分からないキャップの自信に、俺たちはいつものように呆れながらも頼もしいその姿に、一応は期待しておくのだった。
あとがき~!
「第49話終了。あとがき座談会、司会の春夏秋冬 廻です。今回のお相手は――」
「よう! 久し振りだな! キャップこと風間翔一参上!」
「おお!? 恐ろしいまでに久し振りだな。えっと……前回あとがき登場が……」
「そこまで考え込まないと思い出せないのかよ!?」
「だってお前、実に41話振りの登場だぞ? 2つの閑話も合わせると43話振り! もはや記憶の片隅に追いやられて当然だろ?」
「そりゃあそうかもしれねーけどさ……まあいいか」
「そうだね。さて今回のお話ですがちょっとだけ原作と内容が違います」
「性別の賭けをやってないし決闘の賭けも引き分けだったからな。でもよ、実際胴元の俺の1人勝ちってありなのか?」
「どうなんだろうね。今回はクリスを怒らせるためにああいう風にしたけど、実際のところはよく分からないのでツッコミはしないでください」
「詐欺はひでー言い方だけどな」
「たぶん、本当なら引き分けの場合は払い戻しなんだろうね。でもまあ学生がやるものだから大目に見てください。物語進行のためです」
「で? 次回はどうなるんだ?」
「お楽しみにしてください。今回はそれしか言えません」
「ん? まあいいか。ってことは今回の座談会これで終わり?」
「そういう事、では次投稿もよろしくお願いします」
「な~んか不完全燃焼だぜ」