道化と往く珍道中   作:雪夏

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お泊まり回です。思ったより長くなりそうです。京都はもうちょっとお預けです。すみません。

一言: 昼にお寿司屋さんで鮭ハラス定食を食べました。寿司食えって? 先輩! 昼に寿司は高いっす! 千円はツライっす!


その3 いざ京都……もとい、お泊まり会!

 

 

 

 

 

 よこっちを出て、木乃香の案内で女子寮へと向かう横島たち。先導する木乃香は、お泊まりが楽しみなのか軽やかな足取りである。

 そんな木乃香の元に、一通のメールが届く。確認すると、それはよこっちに置いてきた夕映からであった。

 

「え~と。ああ、そういえばそうやなぁ」

 

 メールを確認するなり何やら納得する木乃香。木乃香が返信するのを待って、小竜姫が木乃香に問いかける。

 

「何がそうなのですか?」

 

「うちら夕映たちの着替えも持ってくるって書き置きしたやんか? でも、よう考えたら何処に服がしまってあるのかも知らんし、そもそも鍵が開いてないって。それに、明日の授業の準備とかもするから夕映たちも寮に戻るって」

 

「ああ、確かに言われてみればそうですね。少々浮かれていたようです」

 

 そういう事かと納得する小竜姫。あの空間から脱出したくて、そこまで頭が回っていなかったようである。

 

「そう言う訳やから、ウチはささっと寮に行って荷物まとめてくるな? 夕映たちの分がいらんのならすぐとってこれると思うし。二人は先に商店街の方へ行っとってええよ?」

 

「そうですか? それでは、私と横島さんは商店街の入口にあるかふぇでお茶して待っていますね。それとも、買い物済ましてしまった方がいいでしょうか?」

 

 小首を傾げ尋ねる小竜姫に、木乃香は首を横に振り答える。

 

「そっちの方が効率ええんやろうけど、出来ればウチも買い物に行きたいわ。ほら、折角のお泊まりやしお菓子買うて騒ぎたいやん? 寮じゃ出来ひんし」

 

「明日も普通に学校ですから、あまり夜ふかしはいけませんよ?」

 

 そう注意をする小竜姫だったが、その顔は笑みを隠しきれていない。彼女も、学校の友達とのお泊まりという初めての出来事を楽しんでいるようである。結局、カフェで待ち合わしてから買い物に行くことにすると、木乃香は寮へと足早に向かうのであった。

 

 その後、木乃香が合流するまでの間、カフェでは横島の隣りで彼の腕に手を添え寄り添う小竜姫の姿が目撃されるのであった。

 

 

 

 

 

 時間は少々戻って、小竜姫たちがよこっちを後にして数分ほど経った頃。高笑いを続けていたタマモが我に返ると、横島たちの姿がなく書置きがあることに気がついた直後に遡る。

 書置きを見た夕映が、自分たちも寮へ戻ると木乃香に連絡し、のどかと共によこっちを後にした。

 

「で、何故タマモさんも一緒に来ているのですか……?」

 

「そりゃ、暇だからに決まってるじゃない。事務所に居て電話番とか私の柄じゃないし」

 

「でも、横島さん困りませんか? もしも、依頼の電話がきたら」

 

 タマモの無責任ともとれる言葉にのどかが尋ねると、タマモは少し考えてから口を開く。

 

「多分、大丈夫でしょ。よく分かんないけど、事務所の電話を携帯に転送するようにしてるって言ってたし」

 

「ああ、それなら大丈夫ですね」

 

 タマモの言葉に安心した二人は、そのままタマモを連れ寮へと向かう。寮に到着するまで木乃香たちに会わなかったことから、彼女たちは既に買い物に向かったのだろうと判断した夕映とのどかはタマモを引き連れ急いで自室へと向かう。

 

 

 

「ふ~ん、寮ってこんな感じなんだ。私の部屋より広いけど、三人部屋だから比較は出来ないか」

 

「あまりジロジロ見ないでください。ああ、ハルナに書置きもしないと……それと、枕を」

 

 部屋に入るなり部屋の中を見て回るタマモ。そんな彼女に注意を促しながら、バッグに着替えや本、枕を詰めていく夕映とのどか。部屋を一通り眺めたあと、タマモは二人の背後に回るとバッグの中を覗き込む。

 

「何で枕?」

 

「私ものどかもマイ枕でないと、よく寝れないのですよ。初等部の修学旅行にも持参しました」

 

「ふ~ん。人間って面倒ねー。そんなことで寝れなくなるなんて。私は横島さえいれば、どこだろうがすぐ寝れるわよ?」

 

 何気なく呟かれたタマモの言葉に、固まる二人。彼女らの脳裏には、横島の腕枕で眠るタマモの姿が。タマモからすれば、枕なんてなくても狐の姿で横島の頭の上や膝の上で眠ればいいという意味で発した言葉であるが、タマモの正体を知らぬ二人には誤解を生んだようである。最も、タマモ本人もいつかは腕枕で眠ることを想定している為、強ち間違えても言えない。

 

 しばらく、固まっていた二人は、二人が固まっている内にカバンの中を確認していたタマモの言葉で、正気に戻る。

 

「へー、夕映は紐かー。意外と大胆ね。で、のどかはワンポイントにリボンがついたやつか。こっちは想像通りね」

 

「ちょ! 何を人の下着を観察しているですか!」

 

「いいじゃない、女同士なんだしさ。あ、どうせなら今日のマッサージ下着だけでしてもらったら?」

 

「ななななな!?」

 

 真っ赤になって口をパクパク動かす夕映。のどかも気絶寸前である。そんな二人の様子を確認したタマモは、ニヤけた口元を隠すことなく更に言葉を重ねる。

 

「もしかしたら、横島も我慢出来ずに……」

 

 その言葉にますます赤くなる夕映とのどか。それを見たタマモは笑いを耐えられなくなったのか、お腹を抱え笑いだす。ひとしきり笑うと、未だ笑いながらタマモは二人に告げる。

 

 

「冗談、冗談よ! そんなことさせるわけないじゃない。はぁー、笑った笑った。……それにしても、アンタたちさっきも思ったけど、結構エロいわよね。しかも、ムッツリ」

 

 

 その後しばらく、夕映たちの部屋からタマモの笑い声と、夕映の怒る声が聞こえてきたという。

 

 

 

 




 もう開きなおりました。お泊まり編です。そこそこ続くことが予想されます。すみません。しかも、短いです。

 商店街あれこれ。
 これらは拙作内設定です。

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