東方銀翼伝 ~超時空戦闘機が幻想入り~   作:命人

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 ムラサに、そして人里の妹紅に「バイド化した」と通告される轟アズマ。

 真実を確かめる為に霧の湖でその姿を確認しようとするが……。


第2話 ~琥珀色に染まる幻想郷~

 琥珀色の夕陽をいっぱい受けてキラキラと光る水面。俺はコクピットから身を乗り出し恐る恐る水に映った自らの姿を覗き込んでみた。

 

 その姿は……いや、それを確認する前に敵意を持った何かの接近に気が付いた。

 

 夕焼け色に染まる霧の湖から色が失せたのだ。モノクロの視界をよく見ると水のさざめきすら失われているのが見える。これはまさか……。

 

 接近していたのは空飛ぶ銀髪のメイドであった。恐らくこの湖のほとり「紅魔館」の十六夜咲夜で間違いないだろう。指の間に何本ものナイフを挟んでいることから最初から会話する気などない事は明白である。

 

 そのままこちらの姿を確認するとナイフを囲い込むように投げつけてくる。時間が止まっているので、ナイフの刃がこちらに向かって空中にピタリと止まって浮いているだけではあるが。

 

 恐らく何かしらの飛び道具で撃ち落とそうとしてもあのナイフのように弾丸が浮遊したままになるだろう。だが、今の俺はあの時とは全然違う。弾幕殺しの蒼き剣「レイディアントソード」がある。

 

 加えてこの超時空戦闘機には時間に干渉する能力は受け付けないという特性もある。さてはあのメイド、そのことを忘れているな? 俺は剣を振り回し、向けられたナイフを薙ぎ払った。

 

「無駄だ無駄だ。アールバイパーに時止めは通用しない。それを忘れたかっ!?」

 

 能力を真っ向から否定し押し潰したことから異様に高揚する俺。だが、屈辱と驚愕に歪んだその顔は、かつての敗北の雪辱を晴らすにはまだ足りない。止められた時間が戻っていく。バラバラとナイフははじけ飛び湖へと落ちていく。

 

「お嬢様の……お嬢様のっ!」

 

 いかんいかん、リベンジを果たすのではなくてなぜ咲夜が敵意むき出しなのかを突き止めなくては。お嬢様、つまりレミリアだが、俺は一体レミリアに何をしたというのだろうか? 当然ながら俺はしばらくあの500歳児と会った記憶はない。

 

「つまり、俺はレミリアに何かしたという事か。あいにく俺にはその時の記憶がない」

「ふざけないで! 貴方は散々館で暴れ回ったのよ。お嬢様の場所をあんなに踏みにじって……許せない!」

 

 記憶がないのは本当だ! それでも交戦は避けられない。俺とて咲夜さんとは初戦ではない。逃げようとすると自らの時間を加速させて追いかけるだろう。ここでキッチリ決着をつけなくてはいけない。つまり正面から迎え撃つという選択しか……ないということだ。

 

「どうしてもやるつもりか? 上等だ。俺は俺でお前には借りがあるからな。ここで雪辱を晴らす!」

 

 こんなことしている場合ではない。そんなことは分かり切っている。だが交戦は不可避。ならば、とことんやってやろうじゃないか。俺はロックオンサイトにメイド長を捉えた。

 

 あの時、俺は圧倒的有利な立場にいながら咲夜に敗北した。あれはとても屈辱的であった。

 

 どうせ逃げられないのだ。様々な窮地に陥りながらも生き延びた俺なら、様々な兵装を入手して成長したアールバイパーなら今度は行ける!

 

『You got a new weapon!』

 

 来たぞ、また一つ兵装を手に入れるようだ。この戦いに有利になるものが出てくればいいのだが……。

 

 ディスプレイを見ると今回入手するのはレーザー系兵装のようだ。巨大な太陽が弾幕もバイドも吸い寄せているアイコンが浮かび、直後に太陽は黒色に変色、ブラックホールの形になった。銀翼がブラックホールのようなものを撃ち出しているアイコンだ。

 

『GRAVITY BULLET』

 

 今度は「グラビティバレット(※1)」とか言っていたな。レーザー系兵装では珍しく実弾兵器だった筈である。敵や地形に着弾すると一定時間小型の疑似ブラックホールを展開するという何とも物々しい武器だ。

 

 何よりも作り物とはいえブラックホールという事は……。

 

 焦った咲夜は自らの時間を加速させナイフを投げつけてくる。そんな状態だというのにナイフ投げの腕前は目を見張るものがあった。全て正確にアールバイパーのコクピット、それも俺の急所に刺さるように投げていたのだ。

 

 だが今回に限って言えば、それが仇となった。俺はただ適当に小型ブラックホールを展開。投げられたナイフはすべて吸い込まれてしまったのだ。

 

「なっ……」

「十六夜咲夜、お前は決して俺に勝てない。時止めは通用しない、投げナイフはすべて吸い込まれる。ならばナイフを本来の用途で使ってみるか? 剣士には劣るが、近接戦闘には自信があってね」

 

 そうやってレイディアントソードを取り出して挑発する。ギリと奥歯を噛みしめたメイド長は霧の湖の上を縦横無尽に飛び回る。

 

 一瞬銀色の光を携えた咲夜が見えた気がした。突っ込んでくるかっ。

 

 ナイフを持った咲夜の体当たりを避けるべく、銀翼を宙返りさせる。水面が目の前に広がってきた。琥珀色の水面が再びその色を失う。性懲りもなく時間を止めたか。

 

 そしてその際に俺は初めて自分の姿を目にしたのだ。醜い肉塊と思っていた自分の姿は銀色の翼を携えた美しい姿のままであったのだ。

 

「こっ、これは……アールバイパーそのものだ」

 

 仮にバイドに取り込まれているのならばその姿は醜いものになっている筈。だが、そのような変異はまるで感じられない。あのバイドの森に閉じ込められていたというのに、いや、俺は直には触れていないんだ。

 

「そうかっ、提督! あの時ジェイド・ロス提督が身を挺してこの俺を……」

 

 ようやく理解できた。俺は目を覚ました時、何故か「コンバイラ」が異常に膨張した形態、つまり「コンバイラリリル」の中に格納されていた。俺がバイドに汚染されないように自らの中に格納して庇ってくれたんだ。その命を犠牲にして……。

 

「ううっ、提督……。てぇとく……!」

 

 俺はただただ涙した。俺は色々な人の手によって生かされてきたのだ。

 

「提督の為にも、生き延びるぞ。生き延びてやるっ!」

 

 だが、安心はまだできない。今はこの危機的状況を打破するべく咲夜を倒して……いやっ何かが動いているっ?

 

 今は咲夜が時間を止めている筈で、能力を使った咲夜本人と時間に干渉する能力を受け付けないアールバイパーだけがこの場で動ける筈。なのになぜ影が三つも動いている? 一つは間違いなくアールバイパーのもの、もう一つは咲夜さんのものだろう。じゃあ残ったもう一つは……?

 

 混乱するさなか、周囲に色が戻った。そして驚愕した。前から、後ろから、大量のナイフが一斉にこちらに向かって飛んできたのだ。

 

「この距離からだと? なんてナイフ投げの腕前だ」

 

 だが、今はメイド長を相手している場合ではない。俺が眼にした謎の機影。何もかもがおかしくなった幻想郷、その原因かもしれないと踏んだからだ。

 

「悪いな、お前と遊んでいる時間は無くなった。本気で行かせてもらう。来いっネメシス、コンパク!」

 

 飛んでくるナイフ目がけてこちらが撃ち込んだのはグラビティバレット。それも普通のものではない。四方八方からおびただしい数が飛んでくるのを全て対処しないといけない。オーバーウェポンを発動させていたのだ。

 

 着弾してすぐに疑似ブラックホールは周囲に広く広がっていく。オプションたちとこの弾丸を次々とブラックホールに撃ち込み、その大きさを増していく。

 

「重銀符『ブラックホールボンバー(※2)』だ。お前のナイフは全部吸い込んでやったぞ」

 

「そ、そんなまさか……!」

「ご丁寧に俺ばかりを狙うからな。みんなまとめてブラックホールの中さ。そのナイフ投げの腕前が逆に仇となったな」

 

 グラビティバレットが展開するブラックホールは短時間で消えてしまう。それはオーバーウェポンで強化しても変わらない。むしろ範囲が広まったぶん純粋な火力は落ちていると見ていいだろう。

 

 手持ちのナイフがなくなったか、彼女は夕陽を受けてキラリと光る刃物に目をやると、懐中時計を取り出し始めた。

 

 なるほど、無尽蔵に見えたナイフはわざわざ時間を止めて拾っていたってことか。だが、そうはさせねぇ! 俺は急接近するとリフレックスリングを発射、メイド長の腰を捉えると、確保した。

 

「おっと、時間止めてその間に落ちてるナイフを拾おうったってそうはいかねぇ。手持ちのナイフはなくなったんだろ? 十六夜咲夜、あんたの負けだ。このまま湖に沈めるも無抵抗の腹にミサイル撃ち込むも俺の思うがまま」

 

 ギリと歯を噛む音、屈辱に顔を歪めている咲夜であった。思えばこれが正しい構図だ。アールバイパーには咲夜さんの能力は通用しない、地力さえあればこうなるのは当然。

 

「では情報を吐いてもらおうか。思えばアンタのところの魔女に酷い尋問受けたことがあってな。お前に捕まっちまったせいでよ!」

 

 おもむろに咲夜を掴んだままリングを遠くに飛ばす。その先には湖の水面。そう、水中に沈めてやったのだ。急なことにもがき手足をばたつかせている。再びリングを引き上げる。ゼエゼエとずぶ濡れのメイド長が息を弾ませていた。

 

「忘れるな、お前の命はこの俺が握っている。今度反抗的な態度を取ってみろ、もっと長く沈めるぞ」

 

 今も冷たい目つきでこちらを睨みつけてきた咲夜さん。聞くことはただ一つ。

 

 今の俺は追われている身だし、少しでも時間が惜しい。少々乱暴だがこうやって情報を得ようと試みたが……こりゃ口割るのも一苦労だろうな。

 

「レミリアに……、いや紅魔館に何があった? 誰にやられた、俺はそいつをブチのめしてやりたい」

 

 そう答えるのがさも当然と言わんばかりに彼女は答えた。俺の一番聞きたくなかった名前を。

 

「何を寝ぼけたことを。アールバイパーにお嬢様の館は蹂躙された……」

「そんな筈あるか! 俺は今さっき霧の湖に来たところだぞ。さあ本当のことを話せ! それとも永遠に水の中がお望みか?」

 

 しかしそれを最後に彼女はまるで口を開こうとしなかった。どこか侮蔑や憐れみを持った眼差しでただ一点を、アールバイパーのコクピットの中にいる俺を睨んでいる。ええい気に喰わない!

 

 気に喰わない……が、これ以上情報が得られるとも思えない。余程拷問慣れしているか、本当に知らないかのどちらかだ。

 

 さっきの謎の機影のことも気になるしあまり時間をかけるわけにもいかない。尋問も上手くいかない中、更に状況が悪化した。先程撒いたムラサがこの湖に近づいてきたのだ。

 

「あいつ、今度は紅魔館を襲撃するつもりか!」

 

 俺は銃口を迫ってくる船長に向ける……が、ロックオンサイトには咲夜しか表示されない。そうだ、リフレックスリングで拘束したままだった。仕方あるまい、ここは……。

 

「陰陽『アンカーシュート』!」

 

 機体をぐるんぐるんとハンマー投げの要領でブン回し、ムラサ狙って投げつけた。よし、あの船長の移動方向だとあの辺りを狙えばちょうどぶち当たる。

 

「メイドを投げつけたのか? なんて奴だ。くっ、かわしきれない!」

 

 二人とも気絶させたらムラサにも詳しいことを話して貰おう。

 

 が、そうやって勝ち誇っていた俺はその直後驚愕することになる。咲夜さんはこの時を待っていたと言わんばかりに懐中時計を取り出すと周囲の時間を止めたのだ。最初は何かの悪あがきかと思ったが……。

 

「しまった、ムラサ船長の動きを止めるのが目的だったか!」

 

 俺はムラサの移動する方向を先読みしてアンカーシュートを放った。だが、そのムラサが動きを止める。そしてこの空間で動けるのは俺と咲夜のみ。またしても完全にしてやられた。

 

「戦闘機の姿ではその前方からしか射撃は出来ない。なので私を抱えたままでは攻撃もままならない筈。そして今の貴方は幻想郷そのものの敵、いずれ貴方を狙って近寄ってくるものが来たら投げ飛ばす他なかった筈」

 

 こいつ、ここまで計算して……。悔しさに拳を握っていると咲夜が時間の流れを元に戻した。まずいな、どちらも標的は俺。二人がかりではさすがにキツい!

 

 俺は再び全速力で逃げることにした。

 

 日が沈んでいく。琥珀色の光は弱まり夜のとばりが降りてきた。二人の追跡者からただただ逃げ惑う。

 

 でもどこへ? 人里へも向かえない、紅魔館にも居場所はない。俺の本来の居場所であった命蓮寺はもうない……。

 

 そう考えているうちに銀翼は暗い場所へ暗い場所へと追いやられていく。

 

 暗闇に身を潜める。二人の追手はキョロキョロと周囲を見渡して俺の姿を探しているようだが、ついに諦めると立ち去っていった。どうやら俺の隠れた場所にはいないと思ったのか一度も視線がこちらに向かなかった気もする。

 

 すっかり日は落ちてしまい自分もがむしゃらに逃げてきたのでここがどこなのかわからない。連戦で疲れ果てた俺は一度アールバイパーから降りる。夏の夜とはいえヒンヤリと、そしてどこかどんよりとした湿った空気。嫌な感じではあったがでもコクピットに籠りきりよりはマシである。

 

 本当に地上に戻ってから分からないことだらけだ。何故か追われる身になった自分、荒れ果てた命蓮寺、時間の止まったはずの空間で動くはずのない謎の影。そして姿を消した白蓮さん……。

 

 向かうところ敵ばかり、味方などどこにもいない。今はどこにも……。

 

 命を張って俺を守り抜いてくれたジェイド・ロス提督も、死の淵から目覚めさせてくれた命蓮も、辛いことも嬉しいことも共有できた白蓮も……今はいない。俺は一人ぼっちだ。俺は……!

 

「うううっ……。俺一人で何すればいいんだよ……」

 

 絶望感に苛まれ、俺はただただ涙した。俺は、本当にバイドに取り込まれていずれ醜い肉塊になってしまうのだろうか? 泣いた、それこそ号泣した。夜のこんな暗い場所で大声を上げるのは自殺行為だ。野良妖怪に襲ってくれと言っているようなものである。

 

 でも今の俺はそれでもいいとさえ思っていた。それだけ絶望していたのだ。手渡された白いハンカチを受け取るとそれで涙をぬぐい、泣き続けた。

 

 しかしこれだけ大きな声を出しているのに、飢えた獣も追手もまるで現れない。あまりに陰気くさい場所だ、妖怪すらも寄り付かない場所だったのかもしれない。

 

 ふと俺は饅頭を差し出されていた。確かにこういう時は甘いものでも食べたい気分だ。俺は涙に濡れたハンカチを手渡すと代わりに饅頭を受け取り、口に運んだ。

 

 すっかり涙を流し切り幾分気分はスッキリしたものの、この状況を打破したわけではない。そんな折、周囲の空気……というかモヤモヤががわずかに動いた気がした。

 

 俺は微かにした物音に向かってフラフラと歩みを進めた。アールバイパーから離れるのはあまりに不用心ではあったが、襲われたら襲われただと自暴自棄になったままであったのだ。それにしてもあっちに誰かいるのか……?

 

 真っ暗な視界の向こう側にわずかに赤色が見えた気がした。人の形をしている。誰かが人形を捨てていったのだろうか? 酷い事する人もいるもんだ。だが、近づいて明らかな異変に気が付いた。この人形、等身大なのかと言わんばかりの大きさをしていたのだ。

 

 何よりも動いている。よ、妖怪!?

 

 人形はこちらに気が付くとゆっくりと近づいてきた。俺は恐怖のあまり後ずさりした。そう、本当に自暴自棄になんてなってなかったのだ。いざ脅威が目の前に迫ると体が震えてしまう。

 

 バイパーのところまで戻って迎撃しないときっと彼女も俺に敵意を持っているだろうし、そうでないとしても食料として襲われる可能性も無きにしも非ず。

 

 だが、不幸にも俺はその途中で木の根っこだろうか、とにかく足を取られ、思い切りバランスを崩してしまう。さらにその先には不運にも石でもあったのか、後頭部に硬いものがゴツと当たり、目の前で星が瞬いた。

 

 だ、駄目だ。体が動かない。ああ、妖怪だか人形だかも近づいてきた。もうおしまいだ……。

 

 薄れゆく意識の中、俺は自らの最期を悟る。これも運命か、と。ああ、最後は結局妖怪に襲われて無縁塚行きか……。

 

 

 

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 再び意識が覚醒する。あの時は後頭部に硬いものがぶつかってきたが、今はとても柔らかいものに包まれている。それと同時に後頭部の痛みと頭に何かを巻きつけられている感覚を認識した。この感触は包帯。誰かが俺を手当てしたのか?

 

 俺の手当てをしたということは、少なくとも俺に敵意を持たない存在が傍にいるということになる。真っ先に思い付いたのはネメシスとコンパク。彼女たちは俺がどんなに追い詰められようと裏切ることなんてしなかった。が、心配そうに顔を覗き込むのは上海人形と半霊。そう、俺の視界に二人ともいるのだ。つまり、俺を介抱しているのはネメシス達ではない。

 

 では誰なんだ? 訝しんでいると緑色の髪を首元で束ねるという奇抜な髪形のした少女と目が合った。こいつ確か……。

 

「うわぁぁぁっ!!」

「ああっ、まだ動いちゃ駄目!」

 

 気を失う前に迫ってきた人形の妖怪じゃないか。俺は反射的に飛び起きたが、その瞬間に後頭部に激しい痛みが走りうずくまる。

 

 そんな俺の肩を抱くとまた横になるようにと言われた。その際に正座をして待っている。そうか、俺は彼女の膝を枕にしていたのか。

 

 ……味方だ。この子はこんな俺を受け入れてくれるんだ。

 

 俺はあの地底での戦いでジェイド・ロス提督を失い、白蓮ともはぐれ、バイド化したのではないかとビクビクし、帰る場所を失うという絶望に苛まれてきた。

 

 そして身に覚えのない悪行を指摘され散々追い回され、人も妖怪も近寄らないような陰気な場所に追いやられ孤独に打ちひしがれていた……。

 

 だけれど俺は一人ではなかった。そんな俺に……救いの手が差し伸べられたのだから。大げさかもしれないが、彼女は女神様に違いない。

 

「辛い……」

 

 久方ぶりだろうか、俺は自らの心情を口に出していた。悲しい、寂しい、怖い。だからとても心が辛い。再び俺は両目から大粒の涙をこぼすとその胸に抱きつき、ただただ声を上げながら大泣きした。

 

「よしよし。こんなに厄を溜めちゃって……(なでなで)」

 

 何もかもが敵となり孤独になった俺に女神様が手を差し伸べた。そして、これが絶望の暗闇の中、キラリと光射す一点の星となるのであった。




(※1)グラビティバレット
グラディウス外伝に登場したレーザー系兵装。着弾後に小型疑似ブラックホールをまるで爆風のように展開する。
弾丸は爆風にも着弾してしまうので考えなしに撃ち続けてると射程距離がどんどん縮んでしまうので注意!
レーザー系兵装でありながら実弾兵器という意味では、ダブル系兵装でありながら光学兵器であるリップルレーザーと対になる存在……かもしれない。
まあリップルは普通にレーザー系兵装にカテゴライズされることもあるけど。

(※2)ブラックホールボンバー
ダライアス外伝に登場した緊急回避用のボンバー。
ブラックホールの名の通りに周囲の敵や弾を吸い込んでしまう。
発動中は基本的に無敵だが、地形にぶつかるとやられてしまうので注意。
ダライアスバーストACシリーズにも同名の兵装が登場するが、大きな爆風を展開するという全く違う性能になっている。

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