アルカナTHEリベリオン   作:イオ・りん

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第37話「帰って来た愚者」

9月20日、時刻は17時丁度・・・・・・・・・・・・・・

 

「志向英雄、なるほど、そういう事か」

 

国枝半蔵(くにえだはんぞう)は、志向正儀(しこうまさき)である事を、ハルトに教えられ、独自に調べていた。

そして、正儀の父親である、志向英雄(しこうひでお)の事を知った雄は、自立型現場作業用マシンの開発を行っていた技術者。その技術を、アーキタイプの開発に利用したのであれば、辻褄が合う。

 

「ってワケだよ」

 

とある工場で、半蔵、ハルト、伊織、アリアが話しを行っていた。皇圭(すめらぎけい)、志向正儀、そしてアーキタイプの対策を考えていた。

 

「ほぉ、それはあのリベリオンもどきを作れるもんだな」

「なんだろ・・・・・こんな事に利用されてるって・・・・・怖いな」

 

アリアは、リベリオン同士の戦いが予想を遥かに超える状況に少しながら、恐怖を感じていた。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

ハルトは顔を俯きながら考えていた。以前、正儀にサイバープログラムを消滅させる為に行動していると知った。

それが可能なら、ハルトも本望、だが正儀は自分の正しいと思う事との為なら、平気で人の命を奪う。そんな奴と手を組んでいいのかと悩んでいた。

 

「どうした?何時もなら、そんな事許さないとかほざくだろうに」

「あっ・・・・・いや、アイツら、サイバープログラムを消滅させる為に行動しているんだってさ」

 

ハルトは、伊織達に正樹達が戦っている理由を話した。それを聞いた伊織は呆れる様にして息を吐いた。

 

「んで、お前はソイツらと協力するって事でいいのか?」

「誰がそんな事言ったよ!俺は・・・・・・・」

 

何が正解なのか?ハルトに取ってそれが正しい事なのか?未だに分からないでいた。

 

「それは残念だ・・・・・これで僕達の協力も・・・・・」

 

半蔵も残念そうな顔をしながら、ハルトを見ていた。

 

「だ~か~ら~」

 

ハルトはまだ答えを出していないと言い張った。するとそこへ・・・・・・・・・・・・・・・

 

「ほぉ~面白い事をやっているじゃぁ、ないか」

 

ハルトの後ろに、黒崎我怨(くろさきがおん)がいた。突然現れた事に、一同は驚いていた。

 

「へぇ~まだ生きていたんだ。姿見せなかったから脱落したかと思ったよ」

「お前・・・・・確か警察に!?」

 

ハルトは、我怨が警察に捉えられるのを目にしていた。それがいとも簡単に抜け出してきた事に驚いていた。

だが、彼は知らない。我怨は、ハイプリエステス=八久慈玲(はちくじあきら)に操られていた男達に捉えられていた事に。

 

「まぁ・・・・・・トリックだよ」

 

細かい説明はしなかった。空いていたダンボールに座り、半蔵達の話に、半ば強引に参加した。

 

「やれやれ・・・・・・まぁ、とにかく奴らがいる限り面倒な事に変わりはない」

「それで、お前が敵になるかどうかだ」

「っく・・・・だから俺は―――――」

 

ハルトが正儀達に付くか、それ次第で伊織達の行動は変わる。

 

「なら、コイツが奴らと組むと思う奴はいるか?」

 

ハルト以外の3人に敵になるのかどうかを、伊織は尋ねた。

 

「まぁ・・・・なくはないかな」

「だな」

 

伊織と半蔵は手を挙げた。一方で、アリアは手を挙げる事はなかった。

 

「アタシは・・・・・・・なんとも言えないかな」

 

その一方で我怨は・・・・・・・・・・

 

「ハァ・・・・・」

 

手を挙げていなかった。我怨の方を見て、ハルトは喜びそうな表情をしていた。

 

「黒崎・・・・・・・・・」

「バカバカしい、知るかそんなの」

「ハァ・・・・・じゃぁ、コイツは圧倒的バカか?」

 

その問いに対し、一同は・・・・・・・・・・・・・・・・

 

「文句なしだね」

「よくは分からないけど・・・・・それは間違いじゃないかも」

 

そして、黒崎も・・・・・・・・・・・

 

「・・・・・・・・」

 

手を挙げていた。ハルトはショックを受けたのか、膝から崩れ落ちた。

 

「とにかく、お前なら話に乗りそうって事だ」

「・・・・・・・・・・・」

 

ハルトは何も言い返せなかった。静かに1人、その場を去っていった。

 

「俺は、面白くなれば、それでいいがなぁ」

 

我怨も立ち上がり、その場を去っていった。

 

「さて・・・・・・どうなる事やら」

 

椅子に座りながら、半蔵は腕を組んで考えていた。この戦いの行く末を・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

それから、3日後――――――――――

 

「ほぅ、ではそこに行けば、彼らを一気に仕留める事が出来ると?」

「はい、情報が正しければ、そこを拠点にしているそうです」

 

とある工場にて、愛芭麻衣(あいばまい)が仕入れた情報を、英雄、正儀、黒葉三津也(くろばみつや)が話を聞いていた。

だが、彼らは知らない、麻衣がハイプリエステスリベリオンの使用者、八久慈玲に操られている事を。

 

「なるほど・・・・・一気に仕留めるのにはいい機会だ」

「僕達の正義で・・・・・アイツらを倒す。もしかしたら、もう1人仲間が増えるかも・・・・・・・」

 

正儀の言う仲間になりそうな1人、それはハルトの事だ。彼の性格からして、ハルトが仲間になりうる人材だと思っている。

 

「まぁ、私達に協力してくれるなら・・・・・だがな」

「まさか、他の使用者と手を組もうとしてるんじゃ、ないでしょうね?奴らはクズの集まりだ!そんな奴と協力するなんて」

 

三津也は、反対だった。リベリオン使用者は己の願いの為に戦う、自分勝手な存在だと思っている。そんな使用者達と手を組む事自体、好まないが・・・・・・・・

 

「三津也君、可能性を潰すのは良くない、もう少し慎重に考えねば」

 

わずかな可能性だが、英雄は、それに掛けてみるのも悪くないと思っていた。

 

「では、行くとしましょう」

 

英雄達は、麻衣が教えた場所へと向かった――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフッ・・・・・・来たわね。随分、簡単に来た者ね」

 

古びた廃校、教室の席に座りながら窓を見る玲。校庭を見て見ると、正義達が歩いてくる姿を発見し、立ち上がった。

 

「アレは・・・・・・どうやら、気付いた様ですね」

 

正義達は、それぞれのデバイスを手に取り、それぞれ取り付けられたアタッチメントに装着する。

 

「セットオン―――――」

 

正儀はジャスティスリベリオンに、麻衣はアーキタイプ=ハートに、三津也はアーキタイプ=クローバーに、そして英雄はアーキタイプ=ジョーカーへ変身した。

ジョーカーの違いは、全身が黒に近い、紺色で、胸にJの形が刻まれている。

 

「さて・・・・・行きますか」

 

既に変身していたハイプリエステス、ジャスティス、3機のアーキタイプは、それぞれ用意していたタブレットの中に入り込み、サイバープログラムへ移動した。

 

「初めまして、相手出来るなんて、嬉しいわ」

「御託はいい、我々の計画の為、君には、消えてもらおうか」

 

まず最初に動いたのは、ハイプリエステス。ブロスティングの中にあるデバイスにシステムメモリーを装填する。

 

<<ショットイン>>

 

ハニーダーンズが召喚され、手に取った。ジャスティス達の方へ向かい、短距離での射撃を行う。

 

「ッ・・・・・侮れねぇ」

 

隙を突いて攻撃を試みようとするアーキタイプ=クローバーだが、足元に射撃されている為、中々行動できない。

 

「心配なさらないでください。策は練ってあります」

 

アーキタイプ=ジョーカーが首を振ったと同時に、一同は散開し、ハイプリエステスから距離を取る。

 

「へぇ・・・・・数ならではの戦いって事ね。でも――――――」

 

ハイプリエステスは、ジャスティスの方に向かって、ハニーダーンズから、小型の蜂を発射した。

 

「随分厄介だね・・・・・・・・・」

「さ~て、まずはそっちから――――――っ!?」

 

ジャスティスの方へ走り出す、ハイプリエステス。その足元に何かが直撃した。

 

「相手はここにいる者だけとは、限りませんよ」

「へぇ・・・・上ね」

 

ハイプリエステスが後者の方を見ると、窓から、アーキタイプ=スペードがシザーライフルを構えて、待機していた。

別の場所で変身しており、様子を窺っていたのだ。

 

「このまま一気に攻め込みますよ―――――」

 

アーキタイプ=ジョーカーの合図と共に、全員が一気に、ハイプリエステスの方に接近し攻め込もうとする、が――――――――――!

 

「何っ!?」

「どっ・・・・・どういう事だ!」

「フフっ・・・・・・狙い通り」

 

全員が集まった所を、アーキタイプ=ハートが、スタッグツインセイバーで斬り付けた――――――

 

「麻衣君・・・・・一体、何のつもりですか?」

「命令よ、上にいる奴も、こっちに引きずり下ろしなさい」

「承知いたしました」

 

ハイプリエステスの指示に従い、アーキタイプ=ハートは、校内へ入り込み、アーキタイプ=スペードがいる教室へ侵入した。

 

「何――――――っ!?」

「フっ―――――」

 

一気に走り出し、アーキタイプ=スペードの腹部に、蹴りを喰らわせ、校庭の方へ、叩き落とした。

 

「さぁて、一気に叩き潰すとしますか」

「はい・・・・・・」

 

ハイプリエステスが手を挙げたと同時に、ビーワスプ、ビーアーミーと、蜂型クリーチャーが20体程現れた。

 

「アイツ・・・・・・裏切りやがったのか!」

「まさか・・・・奴に操られている、と言う所ですか」

 

アーキタイプ=ジョーカーは、アーキタイプ=ハートが操られているという事を察した。

 

「・・・・・・・・・・・・」

「あの野郎・・・・・・」

 

怒りに身を任せたアーキタイプ=クローバーは、アーキタイプ=ハートに近づき、スタッグツインセイバーを振り下ろす。

 

「・・・・・・・・」

「クッソ―――――」

 

しかし、アーキタイプ=ハートのスタッグツインセイバーで防がれてしまい、右足を引っかけられ、転んでしまう。

 

「一筋縄ではいかないようですね・・・・・・・」

「えぇ、やはり彼が手配した使用者候補ではありますね」

 

アーキタイプ=ハート事、愛芭麻衣は、皇圭が紹介した使用者候補であり、元々、SPとして勤めており、戦闘能力は他のアーキタイプと比べて高い。

そんな彼女が、ハイプリエステスに操られてしまい、非情に厄介な状況だ。

 

「・・・・・・・・・・・」

 

ビーワスプ達を薙ぎ払いながら、ハイプリエステスの方を見るジャスティス。何かを考えている様だが・・・・・・・・・・

 

「さぁて、止めを刺してちょうだい」

「かしこまりました・・・・・・・」

 

アーキタイプ=クローバーを、一方的に追い詰め、アーキタイプ=ハートが止めを刺そうとしたその時――――――――――

 

「がは・・・・・・・・・・っ!!」

「正儀・・・・・・・」

「あの人は、裏切り者なんだよね?なら、償ってもらわないと」

 

アーキタイプ=ハートの腹部を、ジャスティスのジャスティセイバーで貫いた。持ち上げる様にして上に上げ、上空へ放り投げた。

 

<<フィニッシュイン>>

 

放り投げられたアーキタイプ=ハートの方に、ジャスティンビートルが突進し、角を使って回転しながら上空へ突き上げる。同時にジャスティスも上空へ飛び上がり、ジャスティンビートルが、振り上げたと同時に、落下していく所を、ジャスティセイヴァーで押し込むようにして回転しながら地面にねじ込み、必殺技(ビクトリークライシス)が発動する――――――――――

 

「チっ・・・・・・・案外、容赦ないのね」

「なんて事を・・・・・・・」

 

地面に叩きつけられたアーキタイプ=ハート。大きいダメージを受けたのか、全身が蒸発し始め、そのまま、ノイズとなって消滅してしまった。

 

「・・・・・・まさか、ここまでするとは・・・・・」

 

ジャスティスの行動に、アーキタイプ=スペードは驚いていた。正義の為とは言え、洗脳された仲間を容赦なく倒す事に。

 

「まぁ、いいか。数はまだこっちの方が有利だし」

 

1人減った所で、ハイプリエステスにとって、大したダメージではない。気にせず、攻撃を再開する。

 

「この野郎、よくも―――――!!」

 

アーキタイプ=クローバーは、麻衣を洗脳したハイプリエステスを許せまいと、スタッグツインセイバーを握り締め、接近する。

 

「あ~らら、参ったわね。突っ走ってばかりじゃ、倒せないっての!」

 

ブロスティングで、セイバーを弾き、そのまま後ろへ周り、アーキタイプ=クローバーの背中を蹴った。彼の目の前には、数匹のビーワスプ達が待機していた。

 

「何・・・・・・・・・!?」

 

アーキタイプ=クローバーに向かって、ビーワスプ達が迫りだそうとした、その時――――――――――!

 

<<フィニッシュイン>>

 

「ウラァ――――――――――!」

 

突然現れたバイオヘルダイルが、ビーワスプの体を顎でかみ砕く様に挟み、そこに現れたフールリベリオンの方向に投げつけ、またフールリベリオンが両足で顎でかみ砕く様に挟み、地面に引きずり、最後に蹴飛ばし必殺技(ファングラッシャーバイオレンス)が発動した――――――――――

 

「新手ですか・・・・・・・・・」

「アイツっ・・・・・・・・何でいるのよ!!あのまま、クリーチャーに食われたハズじゃ・・・・・・・」

 

フールリベリオン=黒崎我怨は、玲によって、捕まっており、身動きの取れない状態にあった。ルール通りなら、14日が過ぎ、契約クリーチャーに食べられてと思っていた・・・・・・・・・・・しかし、彼はここにいる。一体何故なのか?

 

「ハハハハハハ、簡単な事だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

遡る事、玲が去ったしばらくした後、見張りに見られながら、機嫌が過ぎるのと待っている我怨。だがしかし、彼は高らかに笑っていた。

 

「あぁ・・・・・・・もう、行ったか」

 

我怨は、何かを口から取り出すかの様に、えずいていた。

 

 

「ぶぁ・・・・・・ハァ・・・・ハァ・・・・・」

 

口の中から、何かを吐き出した。その様子を見ていた見張りの男2人が、我怨の方を向いた。

 

「フフっ・・・・・・・」

 

我怨が吐き出した物、それは、マークインのシステムメモリーであった。それに反応したのか、1人の男のスマホの画面に、ノイズが発生した。

スマホを見ていると・・・・・・・・中から、バンデッドシーミアとディスティニーラチェルタが飛び出してきた。

 

「うっ・・・・・・うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 

飛び出してきた2体のクリーチャーは、そのまま男2人を捕食した。

ディスティニーラチェルタが檻を破壊し、我怨を繋いでいた鎖を破壊した。

 

「フゥ・・・・・・ようやく自由だぜ」

 

我怨は常に、マークインを、腹の中に隠していた。能力の発動は任意の為、常時腹に仕込んでいても、クリーチャーが呼び寄せられる訳ではない。

こういう時の為に、仕込んでおいていたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「って事だ・・・・・・・さぁて、この間の借りを返してやろうじゃねぇか」

「まぁいいわ、アンタなんか、また眠らせてやればいいんだから――――――――――!」

 

ブロスティングを突き出し、フールの元へ、ハイプリエステスは走り出した――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっハッハッハッハ―――――!!いいねぇ。この調子でどんどん潰してもらわないと」

 

屋上でその様子を見ている者がいた。エンペラーリベリオンだ。高らかに笑いながら、戦いぶりを覗いていた。

すると、背後から、銃弾が発射する音が聞こえたか、咄嗟に避け、後ろを振り向いた。

 

「高みの見物とは・・・・・・いい趣味しているね」

「何だ、君か・・・・・せっかくいい所で出てこようとしたのに」

 

後ろには、チャリオットリベリオンが立っていた。戦いを察知し、やって来たのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「また、戦いが始まったのか・・・・・・」

 

一方、現実世界で、校舎の近くでアルカナデバイスの裏側の画面から、ジャスティス達の戦いの様子を見ていたハルト。

自分が乱入してどうすればいいのか、答えがだせないでいた。

 

「俺は戦いを止めたい。正しければ何をやってもいいのか・・・・・・・・」

 

果たして、ハルトの出す答えとは―――――――――――――――――――――――――?

 

 

 

 

 

 

現在リベリオン使用者 22人中残り14人

 

 

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したメカニック紹介】


アーキタイプ=ジョーカー
全長、体重、総合ランク共に、各アーキタイプと同様。

志向英雄が変身する、アーキタイプ。
違いは、全身が黒に近い、紺色で、胸にJの形が刻まれている。
英雄の優れた計算能力によって、真価を発揮される。



相変わらずの正儀の容赦のなさ、次は一体、誰が犠牲になるのか?
そして、ハルトの答えとは?


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  • 三日月伊織
  • 国枝半蔵
  • 黒崎我怨

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