「ん・・・・・・・・朝か」
9月11日、時刻は朝8時。目覚ましの音に起こされた
目覚まし時計を押そうと手を伸ばした時、何か細いけど柔らかい棒の様なものに手が触れた。
「あん・・・・・・・何だこれ?」
触れたものをよく見ると・・・・・・・・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・」
なんと、アリア・クィンテットが隣で凄く気持ちよさそうに眠っていた。触れていたのは彼女の二の腕だった。
「ハッ?」
何故彼女が隣に寝ているのか?伊織は何が何やらと急に起き上がってしまった。
「確かコイツは向こうのベッドで寝てたハズじゃ・・・・・・・・・」
昨夜、伊織はアリアを空き部屋のベッドを使う様に言っていた。なのにそれが何故自分の隣にいるのか?
疑問ばかりで仕方なかった。
「うぅん・・・・・・・・あっ、おはよ」
伊織の声に、アリアはゆっくりと目を擦りながら起き上がる。彼の目線からはボタンが外れ、Bカップくらいと思われるバストが服の隙間から見えていた。
よく考えてみれば、昨日雨に濡れて下着も洗濯していた。つまりは今彼女は下着を着けていない状態。あられもない部分がギリギリのラインで見えかけている。
「おい・・・・お前、何でここに・・・・・」
「あ~ちょっとトイレに起こされてね、寝ぼけてたからつい、ね」
目覚ましの音が鳴り響く中、うるさいあまりに葵が伊織の部屋に訪れる。
「ちょっと、義理兄さん。何時まで目覚まし鳴らして・・・・・・・・」
葵が扉を開けた瞬間、伊織とアリアが同じベッドにいる所を目撃してしまった。
「葵、待て!コレは誤解だ。何もないからな」
何か勘違いされたと思い、伊織は葵に弁解する。だが彼女の顔は青ざめており・・・・・・・・・・
「ゴメンなさい」
そのまま葵は部屋の扉を閉めた。誤解されたままの伊織は額を手で押さえる。
そんな彼の顔を見ながら、アリアはからかう様に笑った。
「ウフフ、誤解されちゃったね♪」
「お前なぁ・・・・・・・・」
伊織は呆れる様にして目覚まし時計を押し、ベッドから降りた。
「・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・」
朝食中、小倉あんの塗ったパンを食べている中、伊織は葵の顔を見た。
「ハァ・・・・・・・」
未だ誤解が解けないまま、気まずい状況。そんな時、いてもいられなくなった伊織は葵に声を掛ける。
「あのな、さっきのは・・・・・・・・」
「分かってる、さっきはちょっと驚いただけ」
葵は誤解である事に気づいていた様だ。
最初に目にした時、あまりの光景に同様していたらしい。
「何だよ・・・・・驚かせやがって」
安心したのか、伊織はミルクティーをゆっくりと飲む。
「それでね義理兄さん、アリアさん、施設を抜けて来たらしいの。だから・・・・しばらく家に泊めてあげてほしいの」
どうやらアリアは、暮らしている施設を抜け出してきた、所謂家出をしたと言いう事になるだろう。
行く当てのない彼女を、葵はしばらく家に泊めたいと言って来た。
「おいおい・・・・・そんなイキなり・・・・・・」
急な事に、流石の伊織も「ハイ、分かりました」とは言えない。
だが、アリアが少し寂しそうな顔をしているのを見ていると・・・・・・・・・・
「っく・・・・・好きにしてくれ」
1人孤独の彼女を放っておけないのか、やむなく了承した。
それを聞いたアリアは、嬉しそうにちょっとだけ笑っていた。
「アリアさん、これからよろしくね!」
「ありがとう、こちらこそよろしく」
ヤレヤレと言わんばかりに、伊織は頬杖を突きながら2人を見ていた。
同じ頃―――――――――――――――――――――――――
「ファぁ~よく寝た」
目覚めた獅子堂ハルト。ポストの新聞を取りに行こうとした時、そこには既に
「やぁおはよう、ハルト君」
「あぁ・・・・おはよう」
ポストの目の前にいた半蔵を見て、ハルトは驚いていた。
「先生が新聞を取りに行くとは・・・・・・・」
「僕だって世間の情報を取り入れたいのさ、それに・・・・・・・」
半蔵が新聞と一緒に持っていたもの、それは1枚の手紙であった。
その手紙には「国枝半蔵様」と書かれていた。つまりこれは半蔵宛てに送られた手紙だ。
「どうやら僕宛てみたいだね」
「って、なんで俺の家に先生の手紙が!?」
ここはハルトの住むマンション、半蔵が一緒に住んでいる事はハルトしか知らない。他の人物が知っているとは・・・・・・・・・・・
「だね、この手紙・・・・・・・どうやら皇グループからの様だね」
送られて来た手紙は皇グループからのものであった。
昨日、半蔵が拾った皇グループのバッジ、偶然にしては出来過ぎている。中身は一体・・・・・・・・・・・
「皇グループ?何だそりゃ?」
ハルトは全く知らない様子だ。ため息を吐きながら半蔵が説明する。
「ハァ・・・・・皇グループっていうのは、様々な電子機器を作っている企業の事だよ。確か少し前に前社長が亡くなって、その息子が跡を継いだとか・・・・・・・・・・」
遡る事半年前、前社長である
詳しい事は公表されていない、半蔵は何かが引っかかっていた・・・・・・・・・・
「さて・・・・・・中身をっと」
半蔵は手紙を開け、中身を確認する。その内容とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ふむふむ、なるほどね。こっちからご招待って事か」
手紙を見た半蔵は、急いで着替え始めた。
「さぁて、もう1人協力者をっと・・・・・・・」
半蔵はスマホを手に取り、電話を始める。
「やぁ、もしもし、来てくれないかな?君にも協力してもらいたんだけど」
電話を終え、半蔵は玄関のドアを開け、外へ出た。その後をハルトも急いで着替えて追いかける。
「おい、ちょっと待ってくれ――――――!!」
それから数時間後、半蔵とハルトは噴水公園に来ていた。
そこへ1人の人物がこちらへ近づいてくる。その相手とは・・・・・・・・・・・・・・・・・
「お前ら、俺を呼んで何の用だ?」
伊織だった。半蔵の電話に呼ばれ、噴水公園へとやって来た。
合流して早速、要件を聞く。
「実はね・・・・・・・・」
伊織に今朝渡された手紙を、伊織に見せた。
「何だそれは?」
「コレは皇グループから僕宛てに送られて来た手紙さ。中には明日に行われる完成披露パーティーの招待状さ」
半蔵に送られて来た手紙、それは明日行われる予定の新型スマホの完成披露パーティーの招待状であった。
「で、何でそれで何で俺を呼ぶ理由があるんだ?」
「まぁまぁ、この招待状、実は2人まで付き添いを招待出来るんだよ。それで君達2人も参加してほしくてね」
「俺達を?一体何でまた?」
「僕達が昨日会ったリベリオン、エンペラーの正体が皇グループの人間かもしれないからさ」
半蔵は、昨日戦ったエンペラーリベリオンの正体が皇グループ内の人間である事を推測している。
戦った場所が皇グループ本社の近くであった事、落ちていたバッジ、これだけでは確証が付かない。
だから半蔵は皇グループを探ろうとしていた。そこにいい所に招待状が送られて来た。
「なるほど、それが何の意味がある?」
「まぁ、皇グループは電子機器の開発を行っている。もしかしたらこの戦いの黒幕と関わっているのかもしれなくてね」
リベリオン同士の戦いは、皇グループが関わっているのかもしれないと推測している。
そこを掴めば何か手掛かりが掴めるかもしれない、その為にパーティーに参加する様だ。
「なるほど・・・・・・そのエンペラーを倒す為に素性を探るのもアリかもな。いいだろう」
伊織は、半蔵の話に乗る事にした。ハルトもよくは分からないが、話に賛同した。
「決まりだね、じゃぁ明日、17時にここに」
その言葉を最後に半蔵はその場を去った。
「全く、色々あり過ぎて困ったもんだ・・・・・・」
昨日の事から色々な展開が起こり過ぎて、頭を押さえる伊織。
「なーんか面白い事になってるね!」
そこへ伊織の背中に飛び込んできたアリア。急な事で彼は押される様に一歩前に出た。
「おまっ、何でここに!?」
「だって急に出たからさ、気になって追っかけて来たんだ」
「おい・・・・ソイツ、彼女か?」
「バカを言え、そんなワケあるか」
突然やって来たアリアを見て、ハルトは伊織の彼女ではないかと思ったが、違うと反論した。
「あの人・・・・・・もしかして私達と同じ使用者?」
「あぁ、そうだ」
「初めまして、アリア・クィンテットでーす」
「しっ・・・・獅子堂ハルトです」
アリアは真っ先にハルトに、自己紹介をした。それを返す様にハルトもまた、彼女に自己紹介をする。
「しかし、珍しいな。お前が女の子と仲良くなるとは」
「お前には関係ないだろ・・・・・・・」
そう言いながら、伊織は歩いて去っていった。その後をアリアが追いかける。
「待ってよ~それじゃぁまたどこかで」
「あっ・・・・・あぁ」
見慣れない伊織の姿に、ハルトは少々困惑していた。
一方、その頃―――――――――――――――――――――――――
「さて・・・・・そろそろ先生に手紙が届いた頃かな?」
椅子に座り、パソコンを眺めている
そこへ一本の電話が入る。
「ハイ、こちら皇、えぇ、来て下さるとは光栄です。明日を楽しみにしております」
電話の相手は、海外のインターネット、デジタル家電製品を開発している企業の社長。明日行われる完成披露パーティーへの段取りの話をしている。
「はい、では明日もう一度お話を、それではまた」
受話器を置いた圭。窓から見える景色を見て、うすら笑いをした。
「これは明日が楽しみになりそうだね」
圭は一体、何を考えているのか・・・・・・・・・・・・・?
それから翌日、時刻は15時50分。
学校が終わり、ハルトは半蔵との待ち合わせ時間である17時まで時間を潰す為、ゲームセンターへと向かって行った。
「さぁ~て、時間まで少し遊ぶとしますか!」
同じ頃、伊織は、一旦家に帰り、荷物を軽くする様だ。
「じゃぁ、俺は遅くなるから、夕飯は冷蔵庫にある奴食べてくれ」
「分かった、いってらっしゃい、義理兄さん」
「それとアリア、ちゃんと留守番してるんだぞ」
「ちぇ、分かったよ」
伊織がパーティーに参加する事を知ったアリア。自分も行きたいと昨日一晩中ダダをこねていたが、結局伊織に「ダメだ」の一点張り。拗ねているのか、頬を膨らませている。
「じゃぁ、せめて食事ぐらいお土産に持って帰ってきてよ」
「バカ言うな、俺はそこまで意地は張ってねぇよ」
会場にタッパーを持ってきて、ケータリング内の食事を持ち帰る程、伊織は貧乏癖は付いていない。しかし、一瞬だけそうしようかと考えていた時もあったと言う。
「とにかく、大人しくしてるんだぞ」
「はぁ~い」
アリアに念押ししながら、伊織は玄関を出た。
ソファに座り、アリアは伊織がどんな人かを、葵に聞いてみる。
「ねぇねぇ、君のお兄さんってどんな人?」
「そうですね・・・・・・勉強とかスポーツが色々出来て、でも口が悪かったり、無愛想だからあんまり友達いないんですよね。それに何かと細かい所にうるさくて、ケチだし。でも・・・・・・凄く優しい所もあるんです」
「へぇ~そうなんだ。素直になれないって所だね・・・・・・・・」
楽しそうに笑うアリア。伊織に興味を持っている彼女に対し、葵は「不思議な人」と言う感じで見つめていた。
それから時間が流れ、17時――――――
「やぁ、待ってたよ」
「ほぉ、時間通りに来たんだな」
「いやぁ、自分でも不思議に思うぜ」
噴水公園では灰色のスーツ姿の半蔵が待っていた。
珍しく時間通りに来たハルトを、「よくやった」と言わんばかりに見ていた。
「それじゃ、早速準備に取り掛かろうか」
半蔵が案内した先、そこは――――――――――
「えっ、この服じゃダメなのか?」
スーツのレンタル店であった。パーティーに向かうので、しっかりと正装しなければならない。
「安心しな、お代は結構」
活きな計らいにより、代金は半蔵が持つ。流石天才作家だ。
ハルトと伊織は半蔵に渡されたスーツを着る為、試着室へと入った。
「うん、馬子にも衣装だね」
「ププっ、だってさ」
「いや、お前の事だろ」
ハルトと伊織は、白のカッターシャツに黒のスーツ、灰色のロングパンツに着替え、試着室のカーテンを開けた。
2人のスーツ姿を見た半蔵。顎に手を添えながら似合っていないハルトを面白そうに見ていた。
どうやらハルトは「馬子にも衣裳」は伊織に言っていると思っている。
「さて、そろそろ向かうとしますか」
スーツを借り終えた3人は、パーティー会場である高級ホテルへ足を運んだ。
「ほぇ~ここか」
「僕も初めて来たけど、随分デカい所で行われるんだね」
「・・・・・・・・・」
ホテルは100mにも及ぶ高さ、外には大きなプールもある。
近くにはリムジンなど、高級な車が50台近くも駐車されていた。
「では、入るとしますか」
ホテルの入り口に入り、半蔵は受付の女性に招待状を見せた。
「国枝先生ですね。そちらの2人は、付き添いでしょうか?」
「はい、僕の付き添いです」
「そうですか、では30階のロイヤルホールへどうぞ」
エレベーターに案内され、中に入り30階へ向かう。周りの人達も正装をしており、どこかで見た事ある様な偉い人達みたいだ。
「あんまりキョロキョロするな、目立つぞ」
「ワリィワリィ、あまりに凄すぎてよ・・・・・・」
一般人のハルトや伊織にとって、このようなパーティーは初めての経験。いかにも偉い雰囲気を出す人達をハルトはチラッと見ていた。
その行動を伊織が止めろと言う。
そして、30階へ辿り着いた。しばらく通路を歩き、大きな扉を開けた先は――――――――――
「うぉ・・・・・こりゃスゲェな!!」
「あぁ・・・・・とんでもねぇ」
「へぇ~随分立派な会場だ事。流石はあの皇グループが主催のパーティーだね」
ロイヤルホールは東京ドームのスタジアムぐらい広く、立食テーブルにはケータリング形式で高級料理が大量に並んでいる。
「ゴクリ・・・・・・・」
あくまで目的はエンペラーの正体を探る事、パーティーに参加するのはその一環。
だが、目の前の食事を見ていると、ハルトは唾を飲みながら見つめていた。
「ハァ・・・・・・まぁ、腹が減っては何とやらだからね」
「ウシっ、そうこなくっちゃ!!」
早速皿を取ったハルトは、すぐさま立食テーブルの方に向かった。それに釣られる様に伊織も立食テーブルへ足を運んだ。
「うお・・・・・・こんなの初めてだぜ」
「まぁ・・・・普通にこんなの食べられるワケないよな」
大トロ、食べやすいように小さく切られたサーロインステーキ、海鮮前菜のアンチョビ、モッツァレッラチーズとトマトのサラダ、地中海産最高級マグロカラスミのスパゲッティと数々の料理を更に盛った。
「おい、アレ・・・・・・」
「ほぅ、こんなのもあるんだな」
後ろの方を向くと、ラーメン、天ぷら、白米と和食も置いてあった。
ラーメンのある方を見て見ると・・・・・・・・・
「先生、アンタやっぱ・・・・・・・・」
「いやぁ、僕もコレを前にしてたら我慢できなくなってねぇ」
半蔵がラーメンを食していた。相変わらずのラーメンに目がない半蔵にハルトも苦笑いをしていた。
「んめぇ・・・・・・うめぇ!!」
サーロインステーキを口にすると、ほっぺが落ちたかの様に頬を押さえた。口の中で溶ける様に柔らかく、脂身がにじみ出る。
「うん・・・・・・コレはイケるな」
モッツァレラチーズのトマトサラダを口にした伊織。チーズのまろやかさ、トマトの果汁が口の中で旨味を引き立てていた。
「持ってきてもよかったかもな」
あまりの美味しさに、伊織はタッパーを持って来ればよかったと心の何処かで思っていた。
そこへ2人の人物がハルト達の方へ近づいて来た。
「アレ?ハルト君に伊織君じゃないか」
「ん・・・・・・生徒会!?それに副会長も・・・・・・」
白いスーツ姿の
「驚いたね、君達がここへ来ているなんて・・・・・」
「えぇっとそれは・・・・・・・・」
突然の事で何て言おうか考えているハルト。その後ろから半蔵が
「コレはコレは、どうも生徒会長さん」
「君は確か・・・・国枝先生じゃないですか」
「実は彼らは僕の友人でしてねぇ、せっかくだからご招待しようかなって思いまして」
半蔵が上手い事、事情を説明した。それ聞いた界斗は話を理解し、納得していた。
「そうなのかい、まさか2人が国枝先生の友人だったとは、驚きだね」
とは言うが、あまり驚いた様な表情はしていない。上手い事話を合わせようと、ハルトは顔を引きつって笑っていた。
「それはそうとハルト君、永子がお世話になった様だね。おかげで家の食事がより美味しくなったよ」
「その説はありがとうございました」
界斗がハルトの元に近づき、以前ハルトに料理を教えて欲しいと頼まれ、数日彼女に料理を教えていた。その事をハルトにお礼を述べた。
「いっ・・・・・いやぁ~為になったなら何よりですよ」
お礼を言われ、ハルトは照れ隠しをする様に頭を掻いた。
「やぁ、界斗。来てくれて嬉しいよ!」
「あぁ・・・・圭、久しぶりだね」
ハルト達の方へ皇グループの社長である
「会長、その人は・・・・・・・?」
「彼が皇グループの社長だよ、僕とは昔からの友人でねぇ」
界斗と圭は幼い頃からの親友であるらしい。圭は皇グループを、界斗は神ヶ崎コーポレーションの跡継ぎ同士、圭は一足先に社長になったのだが。
お互い世を驚かせるような企業にしようと約束した仲である。
「はぁ・・・・・そうなんすか」
「まぁ、おかしな話じゃないだろうな」
よくは分かっていないが、ハルトと伊織はなんだかんだで納得していた。
「それと・・・・・・アナタは国枝先生、ようこそ来てくださいました」
圭は半蔵の方へ行き、彼に挨拶がてら握手を申し出た。
「いえいえ、こちらこそ招待していただき感謝します」
半蔵は圭の挨拶を握手で返した。だが圭は知っている、半蔵がチャリオットリベリオンの使用者である事を・・・・・・・・・
「まだセレモニーまで時間がある、もしよろしければ、少しお話をしませんか?そちらのお2人も一緒に」
「っ―――――!?」
「コイツ・・・・・・・・」
圭はハルトと伊織の方を細い目で見つめた。その視線に2人は何か違和感を感じていた。
「えぇ、是非。貴方のお話は是非聞きたかったもので」
「それはどうも、ではあちらに・・・・・・・」
圭たちはロイヤルホールを出て、エレベーターに乗った。
「・・・・・・・・・・」
(この男・・・・・まさか・・・・・)
伊織は感じていた。この
エレベーターが開き、辿り着いたのは最上階。目の前の扉を開けると、そこは円形のテーブルが目立つ会議室の様な所。
圭が一番奥の席へ座り、テーブルに置いてあったノートパソコンを開いた。
「さて・・・・・・もう君たちは分かっているんじゃないのかな?」
さっきまで社交的だった態度とは裏腹に、ふんぞり返った様に足を組み、頬杖を突く。
「まさか・・・・・・!」
「やっぱな、お前が・・・・・・」
「あぁ、僕がエンペラーリベリオンさ!」
圭は3人にアルカナデバイスを見せつける様に取り出した。紺と白にペングリンレクスの顔のレリーフが刻まれていた。
「なるほど・・・・・つまりコレを送ったのも君なワケか」
半蔵は椅子に座りながら、招待状をポケットから取り出した。この招待状をハルトの家に送ったのは圭本人、もしくは彼の指示で動いた人間だと思われる。
「まぁ、正解ではあるかな?まぁ、探るのは一苦労したけど」
「そうかい、でっ、僕をここに呼んだという事は何を考えているんだい?」
「君達を一掃する、って言った方が分かりやすいかな?」
圭はそう語るが、実際の目的とは・・・・・・・・・・・
「ほぉ、3人がかりを1人で相手にしようって言うのか?」
「ちょっと待てよ、俺は戦いたいワケじゃ・・・・・・・・」
「全く、ここに来てそうも言ってられないでしょ?」
「確かに、普通に相手すれば僕が圧倒的に不利だ。だが、そんな考え無しに僕が君達に挑むと思うかい?」
この状況を見れば、3対1。真正面から戦えば圭にとって圧倒的に不利だ。しかし、圭は随分と余裕な態度を取っている。
「僕・・・・・・いや、俺は思うんだよねぇ、この戦いは選ばれた22人しか参加権がない、それってあまりにも不平等と思うんだよ」
突然一人称を俺に変え、リベリオン同士の戦いの参加者が22人である事に不満を抱いていた。
「フン、人数が増えたんじゃ時間が掛かっちまう。面倒なだけだろ」
「そうかい、さて・・・・・・そろそろ始めるとしますか」
圭がデバイスをノートパソコンに翳すと、左二の腕にアタッチメントが取り付けられる。
「セットオン!」
デバイスを上にあげ、横に振った後、アタッチメントに取り付け、圭はエンペラーリベリオンに変身する。
「それじゃ、待っているよ」
そう言い残し、エンペラーはノートパソコンからサイバープログラムへと移動した。
「ね、やるしかないでしょ?」
「わっ・・・・・分かったよ」
戦いに乗る気のないハルトも、流石に渋々了承せざるを得なかった。
3人は圭が使ったノートパソコンにデバイスを翳し、アタッチメントに取り付けられる。
「セットオン!」
3人は同時にアタッチメントにデバイスを取り付け、ソルリベリオン、ルナリベリオン、チャリオットリベリオンへと変身し、ノートパソコンからサイバープログラムへと移動した。
「さぁ、待っていたよ」
サイバープログラムへ辿り着いたホテルの屋上、真ん中の方にエンペラーが待ち構えていた。警戒態勢を取る3人。その背後から突如と足音が聞こえてくる――――――――――
「なっ、アイツは・・・・・・・!?」
「フンっ、お前もグルだったワケか」
「悪いね、コレも正義なんだ」
やってきたのは、ジャスティスリベリオン。ともう1人・・・・・・・・・・・・・・
「おや、見ない顔だね、また新たなリベリオンですか」
ジャスティスと共に現れたのは、バフォメットの様な頭部に、コウモリの羽を鎧にした様な胸部、ガーゴイルを彷彿とさせる右手のガントレット、背中には悪魔の様な羽が生えており、悪魔的な禍々しい脚部、腰には悪魔の様な尻尾が特徴的な
「よぅ、言われた通り来てやったぜ、約束は守ってもらうからな」
デビルは、エンペラーに呼ばれてここへ来た様だ。何やら交換条件で組んでいる様だが・・・・・・・・・・・・
「これで3対3、フェアだよね~」
「何でもいい・・・・・・来いよ!」
ソルリベリオン、ルナリベリオン、チャリオットリベリオン。エンペラーリベリオン、ジャスティスリベリオン、デビルリベリオン。今、更なる激闘が繰り広げられようとしている――――――――――!!
その頃・・・・・・・・・・・・・・・・
「さて・・・・・どうなる事やら」
ハルト達のいた会議室に、界斗と永子がいた。
界斗は椅子に座り、ノートパソコンを見つめる。その画面には・・・・・・・・・・・ソルリベリオン達の戦いが繰り広げられる映像が流れていた。
「そろそろ時間が迫っている、審判の時は・・・・・・・・近い」
画面を見つめ、戦いを鑑賞する界斗、果たして彼もまたリベリオン使用者なのか?
そして永子も何かを知っている様子だが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あ~あ、来ちゃった」
パーティー会場であるホテルに、アリアも訪れていた。
果たして戦いの行方は――――――――――――――――?
現在リベリオン使用者 22人中残り14人
ToBe Continued……
新たなリベリオン、デビルリベリオン登場。詳しい詳細は次回をお待ちください。
デビルはぶっちゃけて言うと、そろそろ出さないと忘れそうでした(笑)
次回、激闘の先に待ち受けるものとは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
エンプレスも乱入するかな?
エンペラーの計画はいかに・・・・・・・・・・?
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メインキャラの中で誰が1番好きか?
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獅子堂ハルト
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三日月伊織
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国枝半蔵
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黒崎我怨