獅子堂ハルト/ソルリベリオン:(デバイスを持つ手は左)右手を突き出し、拳を握る。
三日月伊織/ルナリベリオン:(デバイスを持つ手は左)右手で刀を持つ様に構え、左手を後ろに下げ、前に出す。
切島一貴/デッドリベリオン:(デバイスを持つ手は左)右手を横に振り、手を鎌の様な形にする。
国枝半蔵/チャリオットリベリオン:右手でデバイスを横に見せる様に持ち、左手をパーにして、腕を曲げる。
星流凜/スターリベリオン:(デバイスを持つ手は右)手の甲を前にし、親指、人差し指、中指を出す。
和野要人/フォーチュンリベリオン:(デバイスを持つ手は左)右腕を前に出し、横に振る。
黒崎我怨/フールリベリオン:左手の親指を突き出し、横に向けた後、首を掻っ切る様なポーズを取る。
逆蔵真弥/ハングドリベリオン:(デバイスを持つ手は右)眼鏡を手で「クイッ」と上げる。
永遠野双葉/ラヴァーズリベリオンF:(デバイスを持つ手は右)両手で抱きしめる様なポーズを取り、一気に解き放つ様に腕を横に出す。
深井愛人/ラヴァーズリベリオンM:双葉と同様(ただし愛人の場合左手にデバイスを持つ異)
早乙女灯梨/ハーミットリベリオン:(デバイスを持つ手は左)デバイスを上に出し、反対の手で頬を押さえる。
田井中力/ストレングスリベリオン:(デバイスを持つ手は左)片腕でマッスルポーズを取る。
天条仁/テンパランスリベリオン:(デバイスを持つ手は右)手の甲を反対側の手で押さえ、デバイスを突き出す。
時刻は10時12分。
赤いポストの目の前で、赤色のブラウスに、水色の短パン姿の
「まだかな~何時も時間にルーズなのは知っているけど、こういう時くらいちゃんと守ってくれてもいいんじゃないか」
灰色の鞄の中から、スマホを取り出し、ハルトに電話をしようとする。とそこへ、彩を呼ぶ声が聞こえた。
「おーい、待ったか?」
「う~ん、ちょっと待ったかな。ハルトにしては時間を守れた方なんじゃない」
赤色に、黒の太い二本線の入ったシャツに、迷彩柄のズボン姿のハルトが、駅前に到着し、彩と合流した。
ちょっと待ったとは言うが、実際の所、30分以上は待っている。ハルトを誘う際には、既にもうこの場に到着していたのだから。
「じゃぁ行こうか」
「んで、隣町に何しに行くんだ?」
「もう、そんなの向かってから決めるに決まってるじゃん」
パスを翳し、改札口を通り、駅のホームへ向かった2人は、10分後に到着する電車を待っていた。
辺りをよく見回すと、男女のカップルが、かなり多かったのを見て、彩はハルトに少し近づいた。
「ひぇ~それにしても人多いな」
「そうだね」
しかし、ハルトは一向に気づきもしない。彩自身分かっていたものの、ちょっと残念そうな顔をしていた。
そうこうしている内に、あっという間に10分経ち、電車が到着し、中へ入っていく。
電車の中は、満員寸前の状態であった。扉の前の隅っこに立ち、電車のドアは閉り、出発した。
「ここから何分ぐらいだっけ?」
「え~っと、20分ぐらいだったっけな」
可夢偉から隣町の
電車の揺れに姿勢が保てず、彩はハルトの胸の方にもたれ掛かってしまう。
「あっ・・・・・ゴメン」
「ん?まぁ、こんな混んでちゃ、しょうがねぇだろ。大丈夫か?」
「えっ・・・・・・あっ、うん。大丈夫」
ハルトは動揺するわけでもなかった。だけど心配する優しさに、顔が赤くなってしまい、ハルトの服に顔を
(もぅ・・・・・どうしてこういう時に限って優しいのよ。バカ)
「そういや、電車乗るのも久しぶりな気がするな」
「あっ・・・・そうなの?私は買い物や友達と出掛けたりする際によく使うけど」
アレ?そう言えば、ここ最近、ハルトってあの
「俺、あんま遠出ってしないからってだけなんだけど」
それもそうだった。まぁ可夢偉には色々な施設もあるし、ワザワザ遠出する必要も特にないしね。おかしな事じゃないか。
はぁ・・・・・・・正直もうちょい電車に乗ってたいかも。もう少し、こうしていたいなぁ・・・・・・・
だけど、ハルトがこの想いに気づく事は余程の事がない限り、あり得ない。それは彩も柔順承知である。
顔を埋める彩を見て、ハルトは寝てるのかと思っていた。
「ん?まさか寝てるのか?まっ、こっからしばらく掛かるし、そっとしとくか」
彩が倒れない様、彼女の腕を掴んだ。つり革も掴んでいたので、両手が塞がってしまい、かゆい所に手が届かない状態だ。
「ヤっべ、腕攣りそう」
寝ているかと思われた彩は、ハルトに腕を掴まれて、胸の鼓動の高鳴りが、止まらなかった。
彼の大きな手に掴まれたあまり、思わず、二の腕に力が入ってしまう。
(ええええ―――――!?ヤバい、ドキドキしてきた)
少し顔を上げてみると、ハルトは窓の方を見ていた。何かを考えているかの様に・・・・・・・・・・・・・・
(戦いは、どんどん激しくなっていく。そして、その度に、また誰かが・・・・・・・・・・・・・)
昨日の戦いで、ハーミットリベリオンが倒され、脱落した。出てくるクリーチャーも強くなっていき、他のリベリオン使用者もどんどん力を増していく。心のどこかで、不安を感じていた。
(だけど、コイツの前でそんな顔は見せられないよな)
彩にだけは本当の事を知られる訳にはいかない。彼女がまた危険な目に遭わない為にも。
そうしている内に、隣町の速海駅まで到着した。電車から降り、改札口を出た。眩しい日差しが向かい入れ、セミの鳴き声が鳴り響く。
「はぁ~着いたぜ。これからどうするんだ?」
「んとね・・・・・あそこからバスに乗って、田舎方面に行くの。面白い所いっぱいあるんだよ」
ここからバスで約1時間半、
「ほぉ~じゃっ、行ってみっか」
時刻は11時4分、豊峰へ向かうバスが止まるバス停へ向かい、丁度良いタイミングで、バスが来た。代金を払い、後ろの方の2人乗りの席の方にハルトと彩は座った。
「こんな都会から、田舎町へ向かうなんて、正直考えられないよな~」
「そうだね、けどそういう所も行きやすくなって思うと、便利な世の中になったものだね」
バスの通る所が少ない田舎町でも、15分に1度のペースで、バスが通る様になり、電車も開通し、通勤がより快適になったこの時代。まさに進歩を遂げたという所だろう。
「おっと、だいぶ風景が変わって来たな」
「うん、なんかいい感じだよね」
バスが出て約1時間、ビルなどの大きな建物が溢れる都会の街から、小さな家が並び、その後ろには森が続いた、田舎町へと着いていた。
それから30分、豊峰へ辿り着いた。次のバス停へと出発するバスを見送りながら、空の方をハルトは見上げた。
「空が良く見えるな。空気も美味しいし」
「こっちこっち、しばらく歩くといい所があるよ」
彩の後をついていく様に、ハルトは歩く。都会方面へ向かうトラックとすれ違い、畑で作業するおじいさん達を見ていると、ある事が脳裏に過ぎる。
それは、かつて戦ったストレングスリベリオンの使用者、
彼もかつては畑を耕しており、可夢偉町まで野菜を売りに行っていた。そんな彼も、故郷の復興の為に努力していたが、そこを付け込む様に、リベリオンバトルの誘いに乗ってしまい、犠牲となってしまった。
「そういや、アイツもあぁやって頑張ってたんだな・・・・・・」
畑の方を見つめるハルトを、彩が近づいてきて、驚かした。
「わっ!どうしたの?」
「あっ・・・・いや、何でもない」
何事もなかったかの様に歩き続けた。そこから10分、彩が1軒の小さな建物を見て、指さした。
「ホラ、あれだよ、あの駄菓子屋さん。たまたまネットで見つけてさ、一度行ってみたかったんだよね~」
その建物は、駄菓子屋「ゆきかぜ」60年も前から経営しており、今もなお、地元の人や、海外から訪れる人もいると言う。
店内には、奥の方に、畳の上で座布団を布き、座っているおばあちゃんが1人、周りには、昔懐かしの駄菓子がざっと並んでいた。
「ほぇ~こんな所があるんだな」
「ねっ、面白い所でしょ?」
彩はまずはじめに、ヨーグルを、店に置いてある小さなカゴに3個とビンラムネをを2個、さくら大根4枚、さらに冷蔵庫に入ってあったガリガリ君コーラ味を1本を入れた。
ハルトもカゴを手に取り、駄菓子を探す。最初に目にしたのは、レモン味、コーラ味、メロン味、ピーチ味のこんにゃくゼリーをそれぞれ2本ずつ、早速カゴに入れ、次に注目したのは、フルーツの森、器も食べられる。さらに、ココアシガレットを3つ程手にし、最後にソーダ味のポッキンアイスをカゴに入れた。
「すんませーん、お会計いいですか?」
「あいよ、あら、珍しいお客さんだね」
「はい、たまたまここを知って、ずっと気になってなってて」
彩がおばあちゃんに声を掛けると、物珍しそうに、こちらを見ていた。するとおばあちゃんが彩の耳に顔を近づけ、ヒソヒソ話をしていた。
「彼氏さんと来るなんて、お熱いねぇ。アタシにもあったよ、そういう青春が」
「いっいいいいいいいいいい、いや、別にそういうのじゃないですよ~ただの友達、友達ですよ!!」
彩の顔は、何時にもまして真っ赤になって、激しく動揺していた。ついでにおばあちゃんは自分の過去の話もコッソリとしていた。
「あら、そうなのかい。まぁ、頑張りなさいよ。はい、500円ね」
「あっ・・・・・・・はい!コレで」
「ほい、丁度頂いたわ。ほれ、次はお兄さんね」
次はハルトがおばあちゃんの前に立った。ハルトの顔を見たおばあちゃんは何かを感じたかの様に問う。
「なんかお兄さん、疲れた顔してるね」
「あ・・・・・そう見えますか?」
「そらぁね、何で疲れ切ってるかは知らんが、あの娘に心配懸ける様な事するんじゃないよ」
「えっと・・・・・・ありがとうございます」
ハルトは頭を掻きながら礼を言った。戦いが続く中、自分はそんなに疲れた顔をしているのか?正直自分でも分かっていなかった。
彩に心配懸けるな。その言葉が何処かハルトの心に刺さっていた。
「んじゃ、320円頂くね」
「マジか!?そんな安いんか?んじゃっ!」
あまりの安さにハルトは驚いていた。駄菓子は多く買っても手頃な値段、そこが売りで、美味しい所だ。
「はい、こちらも丁度ね、毎度あり~」
会計を終え、店を出た2人は、近くの自販機で、ハルトはラムネを、彩はCCレモンを買った。
駄菓子を食べようと、向かった先は、小さな公園だった。ブランコ、ジャングルジム、すべり台と懐かしい遊具が並んでいた。
「おっ、あそこいいじゃん~」
ベンチを発見し、そこへ座った。2人は溶けない内に、先にガリガリ君とポッキンアイスを食べる事にした。
「ん――――――――――!!やっぱ暑い時はアイスだよな~」
「最高だね、買って正解だよ」
アイスを食べ、キーンっとなったのか、頭を押さえる2人。徐々に彩のガリガリ君が溶け、液が地面に垂れる。そこに群がる様に、アリが寄って来た。
「おっ、君達も腹ペコなのかな?」
アリをじっくり眺める彩。その様子を見て、ハルトはクスっと笑っていた。
「やっぱ、ハルトはそうじゃなくっちゃ」
「え?」
彩の言っている事に首を傾げていた。一体何の事やら、みたいに。
「何か、最近疲れた感じしてたからね。ちょっとでも元気になってくれてよかったよ」
「あぁ・・・やっぱり、そう見えるか?」
「見えるよ、どう見ても!らしくないぐらい、悩んでるみたいだし」
そんなに疲れてるのか・・・・・・俺は。確かに、ここ最近戦いが加速し、大変な状態だ。やっぱ、彩は勘が鋭いな~
けど、まだ正体がバレてるって感じじゃないから、流石に黙っておくしかないか。
「いやぁ、宿題が捗る様な、捗らない様なって感じで、頭を使ってるだけだよ」
「そう?何だ、心配して損したじゃん。まっ、ハルトらしいっちゃ、らしいけどね」
何とか誤魔化した。でもそれが何時まで続くか・・・・・・・・不安が完全に消えたとはいい難い。
でも、今しか出来ない事をしよう。アイツが笑顔でいられる時ぐらい。
「って・・・・・・昼コレとか言わないよな?」
「え?いいじゃん、今日くらい。1日昼がお菓子でもバチは当たらないって」
「お前なぁ・・・・・・・まっ、仕方ないか」
時刻は12時50分、これが昼飯となるのであった。
とは言え、隙あらばカップ麺を食べている半蔵先生よりはマシな方かな。
って、また食べてなきゃいいけど・・・・・・・・・・・
一方、同じ頃、
「うん、おやっさん、やっぱこのラーメンは最高だね」
「おぉ、そうかい。先生に気に入れられて、こっちもありがたいぜ」
可夢偉町商店街にある、ラーメン屋「
ここは半蔵がよく訪れるラーメン屋で、お気に入りの場所である。常連の縁もあり、店にはサインが置かれている。
「カップ麺ばかり食べるな、だもんね。だからこれはセーフ」
半蔵が食べているのは、濃厚とんこつ醤油ラーメン、くどい油がまた癖になる。
「さて、ハルト君は出掛けてしまったし、これからどうしたものか・・・・・・・・・」
小説も行き詰っており、中々進まない、気分転換に外へ出たが、何もすることがない。ゆっくりスープを啜りながら、何をするか考えていた。
その頃、ハルトと彩はというと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いやぁ~美味かった」
「うん、やっぱ駄菓子っていいよね♪」
駄菓子を食べ終え、満足そうに歩いていた。
「なぁ、他、何か行く所あるのか?」
「そうだね~どうするか」
特に次の予定は考えていなかった。ひたすら歩く2人、するとある場所を発見する。
「ここって・・・・・・・神社か?」
「そうだね、なんだか歴史を感じるな~」
左を向くと、そこには神社があった。まるで赤い鳥居が2人を引き寄せる様に・・・・・・・
「ふぅ、何だか落ち着くな、ここ」
「何だろうな~不思議な感じがするね」
「あぁ、それに・・・・・・・俺、何か初めて来た気がしないんだ?」
「何それ?今日私と初めて来たばっかじゃん」
突然のハルトの言葉に、彩はからかいながら指で突っついてくる。
「そうなんだけどさ、けど・・・・・・・・・うっ―――――!?」
その時、強烈な頭痛がハルトを襲った。まるでノイズが流れ、かき乱される様に。
そしてフィルムが流れる様に、脳内から映像がフラッシュバックされる様に投影される―――――
その映像は、今いる神社の場所で、彩とハルトが2人でいる。しかし異なる点がある。それは服装、この映像の2人は学生服だ。
それともう1つ、雪が降っている。かなり親密に2人は寄り添い合っていた。そして――――――――――ここで映像は消えた。
「ハッ―――――これは一体・・・・・・」
「大丈夫!?急に頭押さえてどうしたの?」
頭を押さえるハルトを心配する彩。彼の肩に手を当て、そっと近づく。
「あっ・・・・・何だろうな?俺にも分からねぇや」
頭から手を降ろし、膝に手を付く。心配させまいと、笑顔で誤魔化した。そんな笑った顔を見て、彩はため息を尽いた。
「ハァ・・・・・・・変に心配させないでよ。まさか勉強して頭でも痛めたの?」
「え~っと・・・・・そうなのかな?」
「じゃぁ、しばらくは思いっきり遊ばないとね。戻ろっか!」
「あぁ、そうしよう」
何だアレ・・・・・・・・俺にそんな記憶はない。いや、過去?どちらかと言えば未来?でも何であそこに・・・・・・
ハルトの見たビジョン、それは過去の出来事なのか?それとも未来予知なのか?だが最後に一瞬見たもの、それはワールドリベリオンだった。これは何を意味しているのか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
バスで
1時間後、目的地である、速海まで着き、
「もうそんな時間なのか」
「まだまだこれからだよ、まだ夏は長いんだから!!」
まだまだ元気に一回転する彩。今日はとことん付き合わされると思いながらも、楽しそうにハルトは笑い返す。
その間に、電車がやって来た。乗って20分、可夢偉町に戻って来た。
「さぁさぁ、次はあちらに向かいましょうか!」
彩が走った先、そこはカラオケハウスであった。それの目のまえにしたハルトは、空いたが口が塞がらない状態だった。
「え?まっ・・・・・・マジで言ってるの?」
ハルトは後ろに3歩下がり、逃げ出そうとする行動を取る。だが逃げようとした彼の手を、彩が強く掴んだ。
「うん、本当だよ!さぁ、行こうか!!」
「えええええええええええええええええええ!!」
嫌そうな顔で思わず叫んでしまった。そう、ハルトはかなりの歌音痴であるのだ。それを知ってて、彩はここを選んだ。
無理にも連れていく彩に、必死で抵抗するハルト。そしてとうとう店内に入ってしまった。
「いらっしゃいませー2名様ですね?」
「はい、えーっと、2時間で、ドリンクバーありで」
「2時間ですね、では、こちらの番号のお部屋にどうぞ」
119と書かれたプレートを渡され、まず初めに、ドリンクバーの方でハルトはコーラを、彩はメロンソーダを取り、119と書かれた部屋へ入っていった。
「はぁ・・・・・・・・入っちまった」
ハルトは深く頭を下げ、額に手を当てた。その一方で小刻みに踊りながら、マイクを持つ彩。画面を見ると、既に曲が入っていた。曲は「愛言葉 作詞・作曲・編曲:DECO*27」あきらかに、遠回しにハルトに愛を伝えたいようだ。
歌う最中、彩はハルトの方を見つめる。だが、そのハルトは「おぉ~」みたいな顔をしていた。
(むむ・・・・・やはりそう上手くはいかないか)
「なんか、彩めっちゃ上手くなった?」
「えっ・・・・・そっ、そう?まぁ、友達とかと言ったりしてるからねぇ!」
突然の誉め言葉に、顔を真っ赤にして、両手を振る彩。かなり動揺している。
「へぇ~結構行くんだな・・・・・・・・ん?」
右側の窓の方を向く、そこには見覚えのある男がフラついて歩いていた。
「どうしたの?」
「あっ・・・・いや、なんでもない」
その見覚えのある男とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ハァ・・・・この間よりは長く使えた、けどまだだ、まだ完全に使いこなせていない」
伊織だった。ユニゾンの力を使いこなす為、この日はひたすらクリーチャーと戦い続けていた様だ。
だがまだ、完全にマスターしきってはいない、多少の疲労感に見舞われなくなり、必殺技の使用後でも、30分は活動可能となぅていた。
「じゃなきゃ、俺は・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
壁にもたれ掛かり、手に持っていた水を飲み干す。一旦落ち着いたか、フラついて歩く事はなくなった。
「アイツ・・・・・・・・まさか今日も戦ってたのか」
窓を見ているハルトに、彩はマイクを突きつける。
「さぁ、ハルト君。今度は君の番だよ」
「えっ、俺?ってお前、何だよこれ!?こんなの歌えるか!!」
彩がハルトが歌う曲を勝手に決めていた。曲は現在有名な48人のアイドルが歌う曲。とても可愛らしい曲だ。
仕方なく歌うハルトであったが、恥ずかしさのあまり、歌い方がぎこちない、噛みまくりの、声のトーンが全く合っていない。
ハッキリ言って、音痴にも程があるレベル。その音痴っぷりに口を押えて彩は笑っていた。
「お前なぁ!勝手に歌わせといてそれはないだろ!!」
「いやぁ、ゴメン、ゴメン・・・・・・・それにしても相変わらずの音痴っぷり・・・・・ププっ」
へへ~ん、ちょっとはお返ししなくっちゃ、でも、ちょっと可哀想すぎるからやめておこっ。でもいい顔見せてもらったよ。
「はぁ~めっちゃ恥ずかしかった」
「大丈夫だって、聴いてるの私だけだから」
それが不幸中の幸い、他の奴らに聴かれてたらと思うと・・・・・・・・・・・・・・死にたくなっちまう程だ。
その後も、彩がひたすら歌った。凄く楽しそうに、ハツラツに歌っていた。なんの曲なのかは、俺には正直分からない。
ずっと、君の側にいたくて、寄り添いたくて、それが叶わないのが切なくて
これが最後でもいい、もう1度君に伝えたいんだ。
ダメでもいいから、何もしないよりはずっといい、でも実る事を祈っているんだ。
「・・・・・・・来年バンドとかいいかもな」
ハルトが突然な事を言い出す。それに乗った彩も話に食い付く。
「えっ、どうしたの、急に?」
「いやぁさ、こんなに歌上手いんだした、バンドとかいいかもなって、だからさ、来年の双園祭とかにどうかなって」
「いい・・・・・・・いいと思うよ、やろうよ!やりたい!!」
ハルトの手を握り、彩がハルトの話に賛成する。前々からハルトは、ギターやドラムには興味を持っており、バンドが気になり始めていた。
「そうと決まれば、来年に向けて、何か始めないとな」
これはすぐに白紙になるオチとみる。
「勝つのは俺だ・・・・・・・俺は勝って生活を取り戻す」
時を同じく、灰色のシャツに、ジーパンの
その時、スカジャンを着た男2人とぶつかってしまう。
「ってぇな!何処見てんだ兄ちゃん・・・・・・って思ったら借金まみれの天条じゃねぇか、こりゃ丁度いい」
その男2人は、仁と同じクラスの生徒であった。襟元を掴まれ、仁は路地裏へと連れていかれた。
「金がねぇお前はサンドバッグがお似合いさ!!」
無抵抗な仁を、男2人はサンドバッグの如く殴る、その衝撃で壁に吹き飛ばされた。
「おいおい、これ以上は死んじまうぜ、死なない程度にやれよ」
「おぉ、そうだな」
吹き飛ばされた仁に近づいていく男2人。そんな時、仁は小さな声で呟いた。
(死ぬのはお前らだ、バーカ)
「あぁん?何か言ったか?ゴラァ?」
「もう、やっちまおうぜ」
仁に近づいた時、辺りは黄色い煙で包まれた。戸惑う男2人、足元を見ると、徐々に足が消えていくのを目にする。
「おい・・・・・・何だよこれ!?」
「どうなってんだよ!?まだ死にたくねぇよ!!」
徐々に体が消えていく男の姿を見て、仁はニヤリと笑う。
(死にたくないとか、半殺しにしかけて何言ってんだか)
煙が晴れ、男2人の姿はなかった。路地裏から出ると大いに仁は笑う。
「俺は悪くないさ、悪いのはお前らみたいなクズだろう」
高らかに笑う最中、仁の頭の中に、サイバープログラム内に、クリーチャーが現れるビジョンが浮かぶ。
「せっかくだ、お前らも痛めつけてやるよ」
階段を登り、電子ロックのある扉にデバイスを翳すと、左二の腕にアタッチメントが取り付けられる。手の甲を反対側の手で押さえ、デバイスを突き出し「セットオン!」の叫びと共に、全身がノイズに包まれ、テンパランスリベリオンへと変身し、電子ロックのある扉に吸い込まれる様にサイバープログラムへと入る。
階段を降りると目の前には、ウサギの様に白く、手がボンボンの様な物で包まれている
「お前らか・・・・・・・・相手になってもらうよ!!」
テンパランスは、ホルンラビットに近づき、
ギぃ―――――!?
斬撃を直撃した1体は6m先へ吹き飛ばされ、残るに体が飛び上がり、テンパランスに襲いかかる。
「無駄だよ」
左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、アーチャースライサーに取り付けてあるデバイスに装填「スモッグイン」んの電子音声と共に、周囲から黄色い煙が発生すると同時に、2体のホルンラビットは煙のせいで動けなくなり、地面に落下する。
吹き飛ばされたもう1体もまた、煙を吸って、倒れ込む。
「何?もう終わり?」
呆れた様に頭に手を当てるテンパランス。軽くホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、ジーン・スモッグが現れ、再びホルンラビットの周りを濃い黄色い煙で覆い、アーチャースライサーで一気に切り裂く。一か所に集まった所を、煙から離れ、矢にエネルギーを貯め込み一気に放出し、
「ふぅ・・・・・・・・なんだ、呆気ない」
簡単に倒してしまい、つまらなそうに頭の後ろに手を当てる。すると、前の方から爆発が発生した。テンパランスはビルの屋上から移動し、様子を見る。
「あぁ・・・・・もっと俺を楽しませろよぉ。こんなんじゃ準備運動にもならねぇぞ!!」
そこでは、フールリベリオンが無数のクリーチャーを相手に、戦っていた。その様子を見て「コイツと関わったら面倒だと」言い残し、テンパランスは去っていった。
その様子を、カメにジェットエンジンを取り付けたカメ型のクリーチャーに乗りながら、1人の戦士が見ていた。180㎝程ある巨大な木づちの様な武器、白金の全身に、屈強な鎧、胸の下辺りから黒と金の垂れたローブ、丸く、先端の尖った肩、ひし形の膝アーマー、ハンマー形みたいな黒い足、頭部に雷の形をしたヘッドギア、獲物を狙うような丸みの帯びた黄色い
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
丸みの帯びたツインアイは、不気味なくらい、左右上下に動き、フールテンパランスを同時に見つめていた。
眼は背後に周り、監視カメラを介して、現実世界で帰る途中のハルトを、ベンチに座っている伊織を、ラーメン屋から出る半蔵を見ていた。
その様子を、感覚器官を共有する様に、モニタが黒い空間で、ジュースを飲みながら、巨大モニターで監視していた。
「さぁ~て、そろそろチミにも動いてもらおうか、暇でしょうがないでしょ♪」
モニター越しに、モニタが白銀の戦士に伝える様に呟いた。
「さぁて、コレを誰に渡そうか」
モニタが手にしていたのは、火山が噴火し、大地にマグマが垂れいく絵に、
「誰に渡すかは、ジャッジメント、君に任せるよ」
戦士の名はジャッジメントリベリオン。果たしてその力はいかに―――――――――――――――――――――
現在リベリオン使用者 22人中残り15人
ToBe Continued……
それぞれの思惑が交差する戦いに、新たなカードが投入される。ジャッジメントリベリオン
果たしてどんな戦いを見せるのか?
そして第2のユニゾンカード。それは誰の手に渡るのか?
次回、大乱戦再び――――――――――お楽しみに!!
メインキャラの中で誰が1番好きか?
-
獅子堂ハルト
-
三日月伊織
-
国枝半蔵
-
黒崎我怨