第2部も中盤に入り新たな展開が待ち受けます。戦いの影響は使用者だけではなく・・・・・・・・・・
自動販売機から購入したサイダーを手に取り、港の海の方を見ながらサイダーを飲む伊織。ベンチに座り込み空を見上げ始める。
「残り16人・・・・・・・俺は勝たなきゃならない・・・・勝たなきゃ・・・・・・」
ラヴァーズとストレングスが倒され、残るリベリオン使用者は16人、その殆どはフールリベリオンが倒している。
1人も倒せていない焦りよりも、強さを増していくフールに対する焦りを感じ初めていた。飲み干した缶を握り潰し、ゴミ箱に放り投げた。
「奴をどうにかしなければ、まず勝ち目がないと言っても過言じゃない、だが今の俺では・・・・・・・」
そんな彼の後ろのベンチに、黒いドレスを身に纏い、赤い瞳に紫色の帽子を被った女性が座り込んだ。
「あら、随分浮かない顔をしているわね」
声を掛けた女性に対し、伊織はその女性の方を振り向き、警戒する様な姿勢を取る。
「そう警戒しなさらないで、貴方にいい話があるの」
「さてはお前・・・・・・リベリオン使用者か?」
「えぇ、ハーミット・・・・と言えば分かってもらえるかしら?」
女性の正体は、ハーミットリベリオンの使用者であった。その事実に多少驚いている伊織、そんな彼にある取引を始める。
「どう?私と協力して、あのフールを倒さない?奴は戦う度に力を増している、正直私の手にも負えないわ。だったら総力戦で奴を倒すって事。悪い話じゃないでしょ?」
「馬鹿を言うな、お前みたいな奴と手を組むなんてありえないな」
口では断っているが、内心彼女の言っている事は一理あると考えている。伊織自身、フールには敵わないと思っている。戦いを円滑に進める為にはまず、フールを倒さなければならない。その為の共闘は必要だと思ってはいる。
「あら、強がっちゃって。まぁいいわ、気が向いたらここに連絡をして頂戴、私は何時でも貴方を歓迎するわ」
女性は1枚の紙を伊織に渡した。紙には彼女の本名とである
「じゃぁ私はこれで、貴方が答えを出す日を待っているわ」
灯梨はベンチから立ち上がりその場を去った。その時木の間からこちらを見ていた少女と目が遭った、その少女は・・・・青葉カレンだった。
(ふふっ・・・・・これは面白そうな事になりそうね)
すれ違いざまにカレンの方を一瞬振り向き、灯梨はふと笑う。
「あっ・・・・・・」
灯梨が去った後、カレンは伊織の方へと向かった。
「お前・・・・・・」
「えっと・・・・・・今の人は一体・・・・・・・」
「たっ・・・・ただのおかしな勧誘さ、参ったもんだよな」
何とか誤魔化した。半分嘘ではないのだが。伊織の隣に座るカレン、いつもの様な好奇心にあふれた感じではなくどこか浮かない顔をしていた。
「そっか・・・・・そうなんだ」
「で、何しに来たんだ?また何か聞きに来たのか?」
「えっと・・・・・まぁ、そんな感じかな」
浮かなく、悲しそうな表情のカレンを見た伊織は立ち上がり、自販機の方へ向かった、そこでオレンジジュースを買い、彼女に手渡した。
「ありがとう」
「なぁ、何でそんなにあの事件について聞こうとしてるんだ?ただの新聞部としてってワケじゃなさそうだが」
カレンが何故、連続失踪事件について調べようとしていた事には以前から疑問にしていた。彼女もまたどこか焦っている様子がうかがわせていた。
「えっとね・・・・・実はね、私のお姉ちゃんね、2ケ月から・・・・・・・行方不明になったの」
それは遡る事2ヶ月前の出来事。何時もの様に私は家に帰って部屋に向かおうした。その時リビングの電話が鳴り受話器を手に取った。
「はい、もしもし」
「あぁカレン、お姉ちゃんよ」
電話の相手は青葉カノン、私のお姉ちゃん。お姉ちゃんはフリーのジャーナリストで、普段から取材などで忙しくて帰って来る事が少なかった。お父さんとお母さんは小学生の頃に事故で亡くなって1人でずっと私の面倒を見てくれた。寂しい時はあるけど何時だってお姉ちゃんは帰って来てくれた、私はそんなお姉ちゃんが大好き。
今日もまた仕事で帰れないんだろうなって思いながら電話をしていた。
「ゴメンね、今日もまた仕事で帰れそうにないの」
「そうなんだ、分かった。その変わり帰ってきたらとことん付き合ってよね」
「分かったわ、それじゃぁね」
その話を最後にお姉ちゃんは帰って来る事はなかった・・・・・・・最初は仕事かなと思ったけど電話にも出ないから心配でしょうがなかった。そんな時連続失踪事件の事を知ってもしかしたらって思って私は事件について調べ始めた。
「2ケ月前・・・・・・・・」
2ケ月前の出来事と言えば・・・・・・・・デッドリベリオンが起こした連続殺人怪事件始まった時期と同じぐらいだ。被害者は全員女性・・・・・・そういや確か・・・・・・・
「そうだったのか、悪いな変な事聞いて」
「うぅん、こっちも色々聞こうとしたから。これでお相子だね」
カレンの顔に笑みが戻って来た。けれど手は震えたままだった。姉が事件に巻き込まれたかもしれないと思うと怖くて仕方がない。少しでも気を紛らわせたいのか、伊織の胸に飛び込む。
「ゴメン、しばらくこうしても・・・・・いいかな?」
「・・・・・・・・・」
一旦は振りほどこうとしたが、彼女の震えを感じ振りほどく事はなかった。だからといって逆に抱きしめるわけでもない。どうしていいか伊織自身も戸惑っていた。そのまま時間は過ぎていった・・・・・・・・・・・・・・・・
帰る最中、途中まで歩道を歩く2人。商店街近くに着くとカレンはそっちの方に向かった。
「じゃぁ私買い物あるから、今日はありがとうね」
「買い物ぐらいなら付き合うぞ。1人じゃ危ないだろ」
日も落ちてきて夜が近づいていた。流石に1人じゃ危険だと思い買い物を終えてから家まで送ろうとした伊織だが、カレンは笑顔でこう言った。
「心配してくれるのは嬉しいけど、大丈夫だよ。家もそんなに遠くないし」
「そうか・・・・ならいいんだが」
「それじゃ、またね!」
その言葉を後にカレンは商店街の方に入っていった。
「流石に考えすぎか・・・・・・・」
伊織がその場を去った少し後、買い物を終えて家に帰ろうとするカレン。伊織と話をしたからか少し笑みを浮かべていた。
「あんなにちゃんと話聞いてくれるなんて・・・・・・やっぱり優しいなぁ」
また話がしたい、そう胸を膨らませ浮足立ちながら曲がり角へ進んでいると・・・・・・・・・・・
「んッ―――――!?」
何者かに口を塞がれ睡眠薬が付いていたのか気を失い、そのまま路地裏へと連れていかれた。
「いけない子猫ちゃん、おいたが必要かしら」
カレンを襲った人物は・・・・・・・・早乙女灯梨だった。彼女は一体何を企んでいるのか?
それから伊織は家に帰ると真っ先に自分の部屋に向かい机にある収納ボックスの中から何かを探し始めた。そこからある1枚の免許証思われるカードを手にした。そこには・・・・・・・
「あぁ・・・やっぱりな、間違いない」
カードにはカレンによく似た栗色のロングストレートヘア―の女性の写真が貼ってあり、血らしきもので隠れて見えずらいが名字の所に「青葉」と書いてあった。これを見た伊織はこのカードの持ち主はカレンの姉である青葉カノンだと確信した。
「そうか・・・・・・あの時」
カレンが言った2ケ月前と同じ頃、連続殺人怪事件の犯人がリベリオン使用者かもしれないと思った俺は被害を未然に防ぐために事件現場周辺を調べていた。その時の夜の出来事だった・・・・・・・・
突然1人の女性の悲鳴が聞こえた、その悲鳴の聞こえた先に俺は走ったが・・・・遅かった。その場所には血まみれのカメラ、免許証らしきカード、そして被害者と思われる喰い千切られた左足だけだった・・・・・その時の被害者がアイツの姉だ。
「もしかしたら、助けられたかもしれないかもな」
もし自分が早くその場に駆けつけていれば、そう思い胸を押さえる伊織。カレンの悲し気な表情を思い出すと真実を伝えるべきか考えていた。それは同時に彼女を戦いに巻き込んでしまうのではないか、それだけは避けたい一心だった。
「アイツも辛いはずだ・・・・・姉が行方不明になって1人なんだよな。心配なのは当然か」
伊織もまた同じ境遇である事から、カレンの辛さが痛いほど理解していた。彼女の力になりたい、そう考えていた。
「だけど・・・・・真実を伝えるのはアイツの為かもしれないな」
カレンの為に、このまま隠し続けていても苦しい思いをさせるだけだと感じ、伊織は話をしようと決意しスマホを手に取りカレンに電話をしようとするが・・・・・・・
「もしもしカレンです、申し訳ございませんが今電話に出れませんピーってなると思うからその後にメッセージを残してね♪」
「あぁ・・・・俺だ伊織だ、こんな遅くに悪いな。お前に話したい事があるんだ。すぐじゃなくてもいい、お前がの都合に合わせる、それじゃまた」
留守電だったか、まぁ・・・・焦らなくても大丈夫か。
この時俺はそう思っていた。だけど次の日、まさかあんな事になるなんて・・・・・・・・俺はしてもしきれない後悔をした。
翌日、伊織が学校へ向かう途中、通る途中の路地裏に人が大勢集まっていた。何がっあったのかと様子を見て近づくと噂話を耳にした。
「警察はまだかしら?」
「にしても酷い事をするものね、まだ高校生なのに・・・・・しかも女の子よ」
「最近物騒になってけど、どうにかしてほしいわね」
話を耳にした伊織は不安が頭を過ぎりすぐ様路地裏の方へ向かった。
「まさか・・・・・そんな事・・・・・そんな・・・・・」
自分の考えている事が外れてほしい、そう思いながら走り続けた。だけど・・・・・・・現実は残酷だった。
「ウソだ・・・・・・何で・・・・・何で・・・・なんでお前がこんな目に・・・・・・・」
奥の方で伊織が目にしたものは・・・・・・・変わり果てたカレンの姿であった。
服は開けており、身体の数か所に鋭く細いもので刺されれた様な跡があり、首や腕には何かで絞められたた跡が残っていた。光を失った瞳には涙が溜まっていた。
「まだ・・・・・何も言えてなんだよ、伝えなきゃならない事があるのに・・・・・・」
そっとカレンの頬に手を添えた。その頬は温もりを失い冷たくなっていた。その冷たさを感じた伊織の手は震えていた。
あの時話していれば、あの時抱きしめ返していれば、家まで一緒に送っていれば、こんな事にはならなかったかもしれないと。
後悔が積もりに積もって普段は冷静な伊織とは思えないくらい動揺が激しく、声も震えていた。
いくら後悔しても彼女はもう戻ってこない、話すことも出来ない。今はずっと辛かった彼女の頭を撫でる事しかできなかった。
「君、何をしているんだ、早くここから離れなさい!!」
そこへ2人の警察が駆けつけ伊織の腕を掴み、その場から離させようとする。今の彼に抵抗する気力はなかった、しかし、ある事を1つの確信を持った。
「あれはどう見ても普通の人間の手口じゃない・・・・」
カレンの無残な姿をみて、ただの殺人ではない、これはリベリオン使用者の仕業だ、そして犯人に目星はついている。
あの数か所の刺された跡、絞められた跡、それを同時に行えるのはハーミットリベリオン=早乙女灯梨だけだと。
それから1日が過ぎ、この事はテレビのニュースでも流れ、家でそれを見ていたハルトは突然の事に驚きを隠せないあまりに朝食のパンを手から落としてしまう。
「何でカレンちゃんが・・・・・酷い事しやがるぜ!!」
ニュースで流れているのはカレンが殺された事、死因は窒息死である事だけ、この情報だけではまだ犯人がハーミットリベリオンである事には気づいていない様子だ。
「あの子って・・・・・確か僕達の事を調べようとしていた子だよね」
その隣では何故か国枝半蔵が一緒に朝食を食べていた。何故一緒にいるのかはまた別の話。
半蔵もまたカレンがハルトや伊織に接触していた事を知っていた。
「だとしたら、犯人に目星はつくと思うんだよね」
「それって・・・・・リベリオン使用者がやったって事か!?」
「それしか考えられないね、大方何かを掴んだか、嗅ぎまわっているのを知って誰かが口封じに殺したとしか思えない」
それを聞いたハルトは居ても立っても居られないかの如く急いで家を飛び出した。
「やれやれ」
呆れたような、仕方がないみたいな表情を浮かべ、半蔵も彼の後をついていく。
ハルトと半蔵はカレンが殺された路地裏の奥へ向かうとそこには膝をついて座り込んでいる伊織の姿を発見した。
「伊織!!ひょっとしてお前もカレンちゃんの事件の事を・・・・・・」
ハルトが伊織の肩を叩くとすぐさま彼の方を振り向き立ち上がり、突然彼の頬を殴った。
「って!?お前いきなりなにすん―――っ!?」
そのままハルトに馬乗りをし何発も彼の頬を殴り始めた。その伊織の目は何時もの様な冷静な感じは一切なく、怒りに溢れていた。
「ちょっと、突然何するんだい!!」
その光景を見ていられなくなった半蔵は彼の腕と胸倉を掴み背負い投げをかます。普段ならすぐに立ち上がる伊織だが今はずっと倒れ込んだままだった。
「はぁ・・・・はぁ・・・サンキュ先生。伊織お前もしかして・・・・・・・」
「あぁもしかしてだ・・・・俺は犯人を知っている。ハーミットだ、けど俺は何も出来なかった」
それは昨日の昼の話だ。あの日俺は学校へは行かなかった、いや行けなかった。犯人がハーミットだと確信した俺は奴から貰ったメモの電話番号に連絡し呼びつけた。奴が話を持ち掛けた港に。
「連絡くれて嬉しいわぁ。さぁ、答えを聞かせてもらおうかしら」
「あぁ・・・答えならあそこで聞いてやるよ」
伊織は近くにあった電光掲示板の方を指さしその方へ歩き掲示板にデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共に伊織は右の二の腕にデバイスを、アタッチメントに取り付けルナリベリオンに変身した。
「なるほど、それが答えって訳ね」
灯梨もまた掲示板にデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共に左の二の腕にデバイスを、アタッチメントに取り付けハーミットリベリオンに変身した。お互いサイバープログラムへ入ると、真っ先にルナリベリオンは新月を構えて攻撃を仕掛けた。
「交渉決裂ね、残念だわ!!」
ルナリベリオンの新月を弾き返したハーミットリベリオン膝のランタンに収納されているデバイスにシステムメモリーを装填「スピアイン」の電子音声と共に召喚されたクラーケンニールを手に取りルナリベリオンの足元を狙って突く。
「何でだ?どうして彼女を襲った!?」
ルナリベリオンは何故カレンを殺したのかをハーミットリベリオンに尋ねた。その言葉は怒りに、憎しみに駆られた様ないい肩であった。
「あ~昨日のあの子ね、だって私達の事嗅ぎまわってたんでしょ?それじゃぁこのバトルの邪魔になるだけでしょ?理由なんてそんなぐらいよ。けど・・・・・・あの子最期まで貴方に助けを求めてたわよ。息絶える瞬間の絶望はたまらなかったわよ!!」
ハーミットの話によると、気が付いたカレンは、既にヴェノムクラーケンに拘束されており、抵抗しようとした所、彼女の首を触手で絞めた。その目の前で変身し、ハーミットリベリオンの姿を目の前で見せた。少しづつ痛めつけようとまずは足から触手で突き刺し痛みを与えた、カレンは恐怖のあまり伊織の名前を叫んだ。絞める力は更に強くなり彼女を苦しめた。やがてカレンは息絶えた。その後も何度も触手で、全身を突き刺したという。
カレンを殺した事について楽しそうに語るハーミットリベリオンに対し、怒りの限界を超えたルナリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、新月の鍔に取り付けられていたデバイスにメモリーを装填「シャドーイン」の電子音声と共に自分の影から5体の分身を生成し、ハーミットリベリオンを囲み一斉に新月で斬りかかる。
「はぁ・・・・もうちょっとお利巧だと思っていたのにガッカリね、これだから感情論で動くガキは嫌いなのよ!!」
ハーミットリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーと取り出し膝のランタンに収納されているデバイスに装填「スパイラルイン」の電子音声と共に槍を模した突起が立ち上がり、自在に動き始めルナリベリオンの分身を次々と突き刺し消滅させ本体も倒れ込んだ。
「この姿を見た時のあの子の恐怖した顔、今でも忘れられないわ~その時よ、貴方があの子に電話を掛けたじゃない、バカな事したわね、あの時私に連絡していればもしかしたら死なずにすんだかもしれないのにさっ!!」
話すと同時にルナリベリオンの腹部を蹴り上げるハーミットリベリオン。その行動は余裕な態度と裏腹に、思い通りにならないルナリベリオンに対する不満が露になっていた。
カレンを殺された怒りと同時に今の自分では勝つことが出来ない事に悔しさに見舞われ、そのまま起き上がれずにいた。
「はぁ・・・・・本当に期待外れだわ、こんな程度で落ち込むなんて」
そのままハーミットリベリオンはサイバープログラムを抜け出した。
「くそ・・・・・クソが!!」
俺はアイツを・・・・・・・・・何も出来なかった自分が許せなかった。そもそも俺は妹の病気を治すために戦っていた。苦しむのは自分だけで十分だと思っていた。けど実際は関係ない人まで苦しんでいた。この戦いは・・・・・俺達だけが苦しめばそれでいいはずなんだ。
「そんな事が・・・・・・・」
「らしくない・・・・といえばらしくない、けど仕方がないのかもね」
話を終えた伊織はゆっくり立ち上がりその場を去ろうとした。
「悪いが・・・・・・1人にしてくれ」
「何言ってやがるんだ!そんなわけ・・・・・・・」
「ハルト君、ここは1人にしてあげないと」
半蔵も伊織の様子を見て今は1人にするべきだと判断し、止めようとするハルトを押さえた。
そのまま伊織は気力を失ったかの如くゆっくりと歩ていった。
「伊織・・・・・・・・・」
アイツがあんなに落ち込んでるなんて・・・・・正直言っちまうと考えられねぇ、けど伊織にとってあの子は大切な存在になりつつあったのかな?何があったかは分からないけど、こんな事許されていいわけがない。
「さぁ僕達も行こうか、ここにいても何も埒があかない」
「そっ・・・・・・そうだな」
「よぅ・・・・元気そじゃねぇかぁ」
ハルトと半蔵が路地裏を出ようとした先に、黒崎我怨が立っていた。警戒した2人は、アルカナデバイスを手に取ろうとした時、我怨は両手を前に出し2人に近づいた。
「お前ら・・・・・・ハーミットを探してるんだろ?俺は知ってるぜ、アイツの居場所をなぁ・・・・・」
「そんな話、誰が信じるか!大体お前の言う事を真に受ける奴が・・・・・・」
「へぇ、じゃぁ案内してもらおうか」
ハルトは我怨の話を疑っているが、逆に半蔵は疑いながらも話に乗るようだ。
「ちょっ・・・・何でアイツの話に乗るんだよ!?」
「むやみに探すよりも話に乗る価値はあると思うよ、もしウソでも、ここで断ってもどうせ奴の相手をしなければならないんだ」
「それもそうか」
半蔵が我怨の話に乗る理由を聞き、ハルトはすぐさま納得した。
「ついてきな」
ハーミットの場所を知る我怨の後を、ハルトと半蔵はついていく。そこから約20分後、伊織と灯梨が出会った港へ辿り着くと、そこには我怨の言った通り、灯梨の姿が見えた。
「あら、今度はあなた達が相手なのかしら?」
「あれがハーミットか?てっきり俺は男だと・・・・・・・」
「どっちだっていいじゃない、それより早く始めましょう」
灯梨はアルカナデバイスを見せ、戦いを急かす。ハルトと半蔵と我怨もデバイスを出し、一同に掲示板にデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共にハルトはソルリベリオンを、半蔵はチャリオットリベリオンを、我怨はフールリベリオンを、灯梨はハーミットリベリオンに変身しサイバープログラムへ向かった。
「さぁ・・・宴を始めようじゃねぇか!!」
最初に攻撃を仕掛けたのはフールだった。チャリオットの方にダイルデンジャーを振り下ろし、それをギミックガンソードで防いだ。あくまで道案内をしただけで協力関係などではない。それは全員が分かっていた事だ。
「まっ、そうなるのは分かってたけどね!!」
チャリオットはフールの右腕を掴み、腹部に蹴りを喰らわせる。そこに加勢に入ろうとするソルリベリオンをハーミットが阻む。
「せっかく4人での戦いなんだから、楽しまなくっちゃ」
左腰のホルダーからシステムメモリーと取り出し膝のランタンに収納されているデバイスに装填「スピアイン」の電子音声と共にクラーケンニールを手に取り上の方に構えて軽く振り回す。
「よくもあんな真似を・・・・・・!!」
ソルリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填「バスターイン」の電子音声と共にレオファングを装備し、ハーミットに向かってエネルギー弾を発射するが、全てクラーケンニールで弾き返されてしまう。
「そっちも面白そうだなぁ!!」
チャリオットリベリオンを押し飛ばし、ソルリベリオンとハーミットの方へ向かったフールは2人に向かってダイルブレードで斬りかかる。
「貴方とは一度殺り合ってみたかったのよ!!」
その攻撃をハーミットはクラーケンニールで受け流し、肘で胸部を強く打とうとする。
「ハァ・・・・・こんな展開は予想してたけど、展開されたらされたで面倒だね」
チャリオットはシステムメモリーを取り出し、ギミックガンソードに取り付けてあるデバイスに装填「ショットイン」の電子音声と共に、キャプチャースナイプライフルを装備し
激闘が繰り広げられる中、伊織は公園のベンチに座り空を見上げていた。
「そういや・・・・・アイツの名前、呼んだ事なかったな」
カレンと会った日の事を思い出していた。伊織はカレンの名前を一度も呼んだ事がなかった。最初はただ連続失踪事件について聞きに来ただけだった。何時しか彼女の事が放って置けなくなっていた。心のどこかで巻き込まれるんじゃないこと不安も抱いた。しかしそれが現実になってしまった。彼女が死の間際に「助けて」と苦しみながら叫んだ事を想像すると胸が苦しくなっていく。
「俺はどうしたらいい?このままじゃ俺は勝ち残る事が出来ない、それどころか・・・・・」
額に手を当て考え続ける伊織。その時、ポケットの中に入っていた何かが落ち、それを手に取る。
「凜・・・・・」
それは凜から貰ったハーモニカであった。ハーモニカに映る自分の顔を見ると、とても悲しい表情で少し体も震えていた。
そんな自分を見て苛立った伊織はハーモニカを投げようとしたその時―――ハーモニカの中に何かが入っている様な音がした。
「何だ?何かが入っている・・・・・・・・」
ハーモニカを開き中を見ると、小さく折りたたまれたメモが1枚入っていた。そのメモを開くと何かを示す地図の様なものが掛かれていた。そこに記された場所は・・・・・・・偶然にもこの公園であった。
「これってここじゃ・・・・・・一体何が・・・・・」
地図の場所へ向かう伊織、辿り着いた場所は大樹が聳え立つ場所であった。
「この木に何かあるのか?」
大樹をよく見るとちょうど木の下に何かを埋めたかのように土が浮き上がっていた。
無我夢中にひたすら土を掘る伊織、深く掘り続けると小さな箱に手が触れる。
「コレは一体・・・・・・・・」
箱を取り出し中を開ける、入っていたものは・・・・・・・・・・・
「このカードは一体・・・・・・」
中には「STORM」嵐と「UNISON」ユニゾンの文字が、刻まれたカード1枚と手紙が入っていた。
手紙の中を開けるとそこには凜が伊織に向けて書いたメッセージが書いてあった。
「伊織、お前がこの手紙を読んでいる頃には俺はもう死んでいるのかもしれない、そこでお前にこのカードを託す事にした。お前ならそれを使いこなせるかもしれない、この力を使って生き残ってくれ、お前には・・・・・・・守るべき大切な人がいるんだから、欲を言えば・・・・・どうか戦いを止めて欲しい。黒幕の計画を・・・・・・・阻止してくれ」
手紙はここで終わっていた。読み終えた伊織は立ち上がった。その目は火が付いたかのように何の決意を物語っていた。
「俺は止まらない・・・・・何があっても、進み続けてやる」
そして舞台は激闘を繰り広げている所に戻る。フールとハーミットの猛攻に、ソルリベリオンとチャリオットは疲れを感じていた。
「まさか・・・・・ここまでヤバいとはね」
「けど・・・・・・こんな所で負けるワケには!!」
ソルリベリオンは
「なんだぁ・・・・・もう終わりなのか?」
「あら残念、なら次は貴方が相手かしら」
ハーミットの次の狙いをフールに定めた。お互いが攻撃をしようとしたその瞬間――――――――後ろの方から足音が聞こえた。後ろを振り向くとそこにはルナリベリオンがゆっくりと歩いていた。
「あらあら、負け犬さんがなんの用かしら?」
「伊織、お前・・・・・・・・・」
拳を握り締めハーミットの方を見つめ、左足を前に出し新月に取り付けてあるアルカナデバイスを外し、新月を投げ捨て、デバイスを突きつける様に前に出す。
「俺は戦う、そして最後まで勝ち残り勝利して見せる、この戦いが終わるまで・・・・・・・俺は止まらねぇ、先へ進み続けてやる」
ルナリベリオンはユニゾンカードを手にする。それと同時にそらは暗雲に包まれ、雷が鳴り渡り、風が吹き出した。
「コレは一体・・・・・・・」
ユニゾンカードをデバイスに翳す「ユニゾン」の電子音声と共にデバイスは剣を納刀した大型のシールドへと変化する。
ブルームーンファルコンが現れ、同時に雷に撃たれ、ルナリベリオンの方に向かって急降下していく。衝突と同時に強い光が包み込む――――――――
「何が起こってんだ!?」
「何だ、何だ・・・・・・面白そうな事が起こってるじゃぁねぇか!!」
光が晴れるとルナリベリオンの姿は西洋の騎士を思わせる姿に変わっており、三日月を模した兜が目立ち、黄金の三日月型の肩アーマーに銀の腰マント、背中にはブルームーンファルコンと似た機械的な青い翼を生やしており、ブレード状の武器にする事も可能。胸部の銀の装甲には三日月を象っている。全身に青白い電撃を伴っている。
「フフッ、少しは楽しませてくれそうじゃない・・・・・・」
「こいよ、2人まとめて相手になってやる」
「ほぅ・・・・・・言うじゃねえかぁ、あとで泣き事言うんじゃねぇぞ!!」
ハーミットとフールはルナリベリオンに向かって走り出す。それに対し大型のシールドを前に突き出す――――――――
その光景を見ている人物がいた。黄金の鎧に赤と青が交差する両肩、土星の輪っかをクロスしたような兜が特徴的だ。
「そうだ・・・・・戦え、私の為に」
その声は男性と女性の声が交じりあった様な声だ。果たしてこの人物の正体とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
現在リベリオン使用者22人中残り16人
ToBe Continued……
【今回使用したシステムメモリー&リベリオン紹介】
ハーミットリベリオン
「スパイラルイン」テェンタァクルコントロール ランク無し
ハーミットリベリオンの槍を模した突起を自在に操る。最大10mまで伸縮が可能。
ルナリベリオン
ユニゾン「STORM」ランクX
風と雷を宿したカード、ブルームーンファルコンと融合、1つになる事で驚異的な力を得る事が可能になる。
ルナリベリオンユニゾンモード
【全長】193㎝
【体重】99キロ
【総合ランク】X
【武器】聖魔剣アロンダイト
ルナリベリオンが「STORM」のユニゾンカードでブルームーンファルコンと融合した姿。
中世の騎士と侍を混ぜた姿から西洋の騎士を思わせる姿に変わっている。配色は青、金、銀の3色となっている。
三日月型の肩アーマーに腰マント、背中にはブルームーンファルコンと似た機械的な翼を生やしており、ブレード状の武器にする事も可能。胸部の装甲には三日月を象っている。
武器の聖魔剣アロンダイトは剣と盾に分かれており納刀、一体にする事で防御力を増し、電撃を帯びる事が可能である。
カレンと関わるたびに次第に心を開きつつあった伊織。しかし現実は残酷にも彼女の命
を奪った。怒りと悲しみが交わる中、新たに戦う事を決意した。彼女の死を無駄にしない為に大切な家族の為に。
そして最後に現れた謎の人物、果たしてその正体は・・・・・・・・・・
第2部も中盤に入り物語は更に加速する――――――!!
メインキャラの中で誰が1番好きか?
-
獅子堂ハルト
-
三日月伊織
-
国枝半蔵
-
黒崎我怨