アルカナTHEリベリオン   作:イオ・りん

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ようやく再開!第2部の始まりです!!
前回はフォーチュンの死で終わりました。新たな始まり……ハルト達に待ち受ける物とは?
そしてちょこっとだけ登場した、新たなリベリオン、戦いは次のステージへと進む!

前回までのあらすじ
7人のリベリオン、そしておびき寄せられたクリーチャー達の乱戦、チャリオットリベリオンのクリーヴ・オブ・ロードにより、戦況は大きく変わった。フォーチュンリベリオンはフールリベリオンにより、攻撃を直撃、及びクリーチャー達の的となってしまう。
残った力で、反撃を仕掛けるも、フールリベリオンのファングラッシャーバイオレンスを喰らい、倒される―――そしてアポロナインフォックスの襲撃、それに1人立ち向かうフールリベリオン。

残るリベリオンは20人、ここから新たな戦いが幕を開ける。


第2章
第13話「愛、故に」


7人のリベリオンの大乱戦から2週間が経過していた。

6月16日、午後16時丁度。学校を終えたハルトは、寄り道に、噴水のある公園でボ~っとしていた。

 

「あれから何も進展なし・・・って、ない方がいいんだが」

 

この2週間、クリーチャーが現れるくらいで、リベリオン同士の戦いは起こっていなかった。ハルトとしては、それがありがたいと思っている。望みを叶える為に、殺し合う、普通なら、そんな事耐えられるワケがない。そんな事を考えるハルトの前に、カレンが通りか掛かり、声を掛ける。

 

「どうも~奇遇ですね」

 

「んっ?あぁ、たまにはこうなりたい時があるのよ」

 

カレンがハルトの隣に座る。そして彼に、声を掛ける。

 

「そう言えば、あの秀才な三日月伊織さんとよく一緒にいますけど、どういう関係なんですか?」

 

それは伊織の事であった、言われてみれば、リベリオン同士と言う事もあり、彼とはよく一緒に行動する事が多くなった。もしや何か誤解されているのでは……思わず鳥肌が立つ程であった。

 

「いやぁ~まぁ、なんと言うか・・・たまたま会う度に、先生に仕事頼まれる程度だよ!」

 

何とか誤魔化す。あながち間違いではない、一度は生徒会室にダンボールを運ぶのを頼まれたのだから。その理由に、カレンは首を頷き納得した。

 

「なぁ~んだ、そんな事ですか~てっきり・・・」

 

カレンは顔を、下の方に向き、怪しそうに笑う。その表情にハルトは、ゾッとする。

 

「ヨイしょっと!ありがとうございます、では私はこれにて!」

 

カレンは、立ち上がり、そのまま前進し、その場を去る。

公園から帰る中、場面に遭遇する。それは恋人同士と思われる16歳ほどの、男女がいた。男は、長身で、明るい茶髪、紳士的な、純白な服を着た―――深井愛人(ふかいあいと)と、少女は、愛人と身長20㎝差で、長くて綺麗な黒髪、黒いノースリーブのワンピースを着た―――永遠野双葉(とわのふたば)が、ベンチでお互いを抱きしめ合う姿だった。

それを見たカレンは、ため息をつきながら、そのまま歩き、小声で一言呟く。

 

「ふぇ~、あういうのはヒッソりといてほしいよね・・・・」

 

男と少女は、周りを気にせず、まるで自分だけしかいない様に、抱きしめている。その目は、お互いしか見ていない様に・・・・

 

「愛してるよ・・・」

 

「えぇ、私もよ」

 

愛をささやく2人、そのベンチの後ろには、凜が座っていた。どうやら気付いてないみたいだ。

 

「・・・・恋人・・・か」

 

凜が手にしてたのは、LOVERS(恋人たち)のタロットカードであった。カードをしまい、立ち上がり、ハルトのいる噴水の方へ向かう。

 

「あっ、凜!来てたのか」

 

その姿を、ハルトが発見し、声を掛けながら、手を振る。

 

「ハルト!あれから何か変わりはないか?」

 

凜は、ハルトの隣に座り、あの時以来、何か変わりがないかを聞く。

 

「いや、何もないぜ、そっちもないっぽいな」

 

お互い進展はない様だ。2人は沈む夕日を見つめていた。

 

「だが・・・次に現れる奴・・・恐らくコレだ」

 

凜は、ハルトに1枚のタロットカードを渡す。さっき手にしていた、LOVERSのカードだ。しかし・・・

 

「えっと・・・コレ何て読むんだ?」

 

英語事態が読めていなかった、そのポカンとした表情をしたハルトに溜息をしながら、LOVERSの意味を教える。

 

「そこからか・・・伊織の言うとりのバカ・・・か、LOVERS(ラヴァーズ)、すなわち恋人って意味だ」

 

意味を理解したのか、両手をポンっ、と叩く。

 

「恋人っていうと・・・アレみたいな?」

 

ハルトの方からも、抱き合う男と少女の姿は見えていた。ずっと目に入っていたと思うと・・・気の毒だ。

 

「あっ、あぁ・・・そんな感じだな」

 

あんま気にしてなかったが・・・随分長い間抱き合ってるよな、暑苦しくないのか?分かんねぇな~まさか・・・なあの2人が次に現れるリベリオンでした~なんて。そんなバカな。今はそんな冗談が言える余裕があった・・・

 

「ともあれ、被害が増える前に、この戦いを止めないと・・・だな!」

 

「あぁ、こんな事は終わらせないといけない」

 

そう言い、2人は立ち上がり、公園を去る、抱き合う2人を気遣う様に反対側の方へ・・・

 

「行った・・・?」

 

「あぁ・・・ようやく」

 

人もいなくなり、静かな夜・・・二人はそっと顔を近づけ、そして―――

がその瞬間、2人は同時に、頭を押さえ始める。

 

「はぁ・・・何時もいい時に」

 

「ホント、空気読めないよね」

 

二人はベンチから立ち上がり、公園内にある、管理事務局へ向かう。そこの入り口にある、カードキーに愛人がある物を手に取る・・・・アルカナ・デバイスだ。

 

「それじゃ、後でね」

 

「うん、気を付けてね♪」

 

双葉の手にも・・・・アルカナ・デバイスを手にしていた。2人もまた、リベリオン使用者として選ばれた人間だった。しかし勝者は1人のみ、それなのに2人は愛し合う。それは一体なぜなのか・・・・・?愛人がカードキーに、アルカナ・デバイスを翳し、彼の左二の腕に、アタッチメントが取り付けられる。

 

「セットオン―――」

 

その叫びと共に、デバイスをアタッチメントに取り付け、シアンカラーを中心とし、体のラインはマゼンタ色、、脚にパワージャッキが展開され、身軽な細い体型に螺旋状に渦巻く肩のアーマー、右目は青、左目はピンクの両目ツインアイを持ち膝にはハートマークが刻まれている、戦士の姿に変わる。その姿から恋人を意味するリベリオン(ラヴァーズリベリオン)と思われる。

 

「それじゃ」

 

ラヴァーズリベリオンは、カードキーの中に吸い込まれる様に、入り込み、でゲートブースターを取り付け「GO」のサインと共に発射され、サイバープログラムへと突入する。

 

「いってらっしゃい」

 

双葉は変身せず、管理事務局から離れる。一体何故なのか・・・・?

 

サイバープログラムに到着したラヴァーズリベリオンの目の前には、角と頭が金属で覆われているのが特徴のヤギ型のクリーチャー(アヘッドカプリコーン)が待ち伏せたの様に、威嚇する構えをしていた。

 

「またコイツか・・・2度も邪魔するなっての!!」

 

右手を握り締め、アヘッドカプリコーンに突撃する。そのパンチをかわされ、その右手を掴まれ、背負い投げをお見舞いされる。

以前、ラヴァーズリベリオンは、アヘッドカプリコーンと交戦しており、その時は逃がしてしまった。どうやら2度もいい雰囲気を邪魔され、我慢の限界の様だった。

 

「っ―――!?全く・・・・無駄にウザいね!!」

 

ラヴァーズリベリオンは、管理事務局の壁の方向に飛び、その壁を、蹴り上げ、その際に、パワージャッキ(ラヴァージャッキ)がバネの様に縮み、飛び上がる様に戻る、腕をクロスさせ、アヘッドカプリコーンに向かって、勢いをつけた突進を喰らわせる。

 

ガキン―――!!

 

その突進は、直撃し、真っ直ぐに、10mの方向へ吹き飛ばされる。アヘッドカプリコーンは立ち上がり、その場から逃げ出す。

 

「あの距離だと・・・丁度いいね。双葉、街の方に逃げたよ!」

 

ラヴァーズリベリオンは、左太ももに付けてあったデバイスを取り外し、双葉にアヘッドカプリコーンが街の方に逃げた事を伝える。

 

「了解、あの時のね・・・・また邪魔してくれちゃって・・・・」

 

双葉は、街中の方に走り、路地裏の方に向かう。

一方、ラヴァーズリベリオンは、アヘッドカプリコーンを追いかけながら、双葉が向かっている路地裏に誘導しようと、LOVERSのタロットカードを手に取る、そこにはシアンとマゼンタ色をした、鋭い天使の様な翼を持ち、光線を吐きそうな長い口、タツノオトシゴを龍にした様なクリーチャー(ドラゴキューピット)が描かれたいた。

 

「頼んだよ、僕らのキューピット」

 

ラヴァーズリベリオンがフィンガースナップをしながら、アヘッドカプリコーンを指さすと、ドラゴキューピットが、口から緑色の光線を吐き出す。その光線から逃げる様に走り出すアヘッドカプリコーン、それはまるで何処かに誘導する様に・・・・・

 

 

◇◆◇

 

一方、路地裏についた双葉は、そこにあった、いかにもスパイが使いそうな、公衆電話の前で、待機する。

それと同じくして、クリーチャーの反応を察知したハルトと凜が変身できる場所を探しながら、走っていた。

 

「それにしても、人多いな」

 

「そりゃ、都会だもんね」

 

夜になっても人は大勢いる。うかつに変身すると、目立ってしまう。そんな中、路地裏を発見する。しかしそこは、双葉のいる場所であった。

 

「よしっ、あそこなら・・・」

 

何も知らずに路地裏へ向かおうとするハルト、しかしそれを凜が、彼の襟を掴んで止める。

 

「待てっ!!誰かいる」

 

凜が路地裏に少女―――双葉の姿を発見し、ビルの角に隠れる。

 

「アレって・・・さっきの・・・」

 

何故いるのか、それを疑問に思っている2人、しかしまだ彼女がリベリオン使用者である事をまだ知らない。

 

同じ頃、ラヴァーズリベリオンは、とうとうアヘッドカプリコーンを路地裏に追い詰める。

 

「それじゃぁ、バトンタッチだね」

 

そう言い、壁の方にジャンプし、姿を消す。それと同時に、双葉がデバイスを取り出し、公衆電話に翳し、右二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

 

「そろそろね・・・セットオン―――」

 

その叫びと共に双葉は、右二の腕にデバイスを取り付け、リベリオンへと変身する。その姿は、ラヴァーズリベリオンそのもの、しかし体とラインのカラーが逆転している。それだけの違いだった。

 

その姿に、ハルトと凜は驚いていた。

 

「やっぱり・・・・アイツもリベリオン使用者・・・」

 

「だな、俺達も行くぞ」

 

マゼンタのラヴァーズリベリオンが公衆電話に入り込むと、その後を追う様に、ハルトと凜も、リベリオンを装着し、公衆電話に入る。

サイバープログラムに着くと、既に、マゼンタのラヴァーズリベリオンがアヘッドカプリコーンと戦闘を開始していた。

 

「ハァっ―――!!」

 

マゼンタのラヴァーズリベリオンの回し蹴りが、アヘッドカプリコーンに直撃する。そして左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右太ももに取り付けてあるデバイスに、装填する「ショットイン」の電子音声と共に、ドラゴキューピットを、弓に変形させた様な武器―――ラビリンスボウが召喚され、それを右手に取る。

 

「とびっきりの・・・いくわよ―――!!」

 

マゼンタのラヴァーズリベリオンがラビリンスボウを引き、狙いを、アヘッドカプリコーンに定める。

 

グググ・・・・・

 

「ハァっ―――!!」

 

ビュン―――ッ!!

 

引いたラビリンスボウを、一気に離し、発射された矢が、アヘッドカプリコーンの体を貫く。貫かれた体を抑えながら、反撃しようと、飛び掛かる・・・・・がしかし、貫いた矢が、背後から、再び、貫く―――!!

 

グサッ―――!!

 

「チェックメイトね」

 

アヘッドカプリコーンの体は、光に包まれ・・・・空中で爆散した。その光景を見た、ソルリベリオンとスターリベリオンは出る間もなく、ただ唖然としていた。

それを見たマゼンタのラヴァーズリベリオンは・・・・突然と2人に襲い掛かる―――!!

 

「んなっ!?イキナリかよ!」

 

「やはりコイツも・・・簡単には納得しない様だな!」

 

分かってはいたが、少々同様していた。スターリベリオンは、右腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、スターシールドに装填する「ソードイン」の電子音声と共に、スターブレードが召喚され、それを左手に取り、マゼンタのラヴァーズリベリオンの攻撃を防ぐ。

 

ギンっ―――!!

 

「コイツっ・・・・中々やる様だねっ!!」

 

マゼンタのラヴァーズリベリオンは、後ろに一回転しながらジャンプし、ラビリンスボウを連射させ、それをスターリベリオンは、スターシールドで防ぐ。

その後ろから、ソルリベリオンが、レオンハートソードで斬り掛かる。

 

「っと・・・2体も・・・ゆっくり出来ないわね~」

 

連戦に頭を抱えるマゼンタのラヴァーズリベリオン。2人の足元に、ラビリンスボウを放ち、すぐ様、テレビの方に入り込む。

 

「逃げた・・・・?」

 

「戦略的撤退・・・なのか?」

 

その行動に警戒を怠らない2人、その背後から突然と、愛人の変身する、シアンのラヴァーズリベリオンがスターリベリオンの背中に蹴りをお見舞いする。

 

「グぁっ―――!?」

 

「凜!!アイツ・・・・」

 

シアンのラヴァーズリベリオンにレオンハートソードを突きつける。よくその姿を見ていると、さっき現れたマゼンタのラヴァーズリベリオンと色が違う事に気付く。

 

「コイツ・・・さっきと色が違うぞ、どういう事だ?」

 

「まさか・・・2人使用者がいるって事か?」

 

ラヴァーズリベリオンの能力、それは使用者が2人いる事、とは言っても、2人同時に変身出来る訳ではない。片方が変身していると、もう片方のデバイスには、変身機能がなくなる。しかし交互に後退する事により、制限時間とシステムメモリー使用回数の制約を気にする事なく、戦う事が出来る。また同じリベリオンとしても扱われるので、2人一緒に勝者となる事が出来る。まさに恋人の意味を持つリベリオンに相応しい能力だ。

 

「だが2人同時に来ないと言う事は・・・・使えるのは1人に限るって訳だ」

 

スターリベリオンはその事に気付いた。

 

「分かった所で、勝てるかな?」

 

シアンのラヴァーズリベリオンは、2人を挑発する様に誘う、そこにソルリベリオンが戦いを止めようと、説得に入る。

 

「ちょっと待てって!!こんな戦い辞めようぜ」

 

しかし、聞く耳など持たない。シアンのラヴァーズリベリオンは、右腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、左太ももに取り付けてあるデバイスに装填する「ショットイン」の電子音声と共に、ラビリンスボウが召喚されそれを手に取ると、すぐ様、弓の刃で、2人に斬り掛かる。

 

ザシュ―――!!

 

「何を行ってるのかな?僕達は永遠の幸せを求める、その為なら誰が相手だろうが―――!!」

 

斬撃の猛攻に、押し負けるソルリベリオン。それに対抗しようと、左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「シールドイン」の電子音声と共に、ライオディフェンダーが2つ召喚され、両手に装備し、斬撃を防御する。

 

ラヴァーズリベリオンの望み、それは愛人と双葉、2人の永遠の幸せ。誰にも邪魔されない愛の楽園を築く・・・・・

 

「クッ・・・・だったら・・・大人しく愛し合ってろ!!」

 

ギギギ・・・・カキン―――!!

 

斬撃を押し返し、無意識に、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオが召喚され、共に飛び上がり、口から出された火球を足にに纏い空からプロミネンスブレイカー(キックver.)を発動する。その蹴りは、真っ直ぐに、ラヴァーズリベリオンに降りかかる――――

 

ゴゴゴ・・・・・・・・ゴォ――――ン!!

 

「待てっ、ハルト―――!!」

 

「っ―――!?」

 

スターリベリオンの言葉に反応し我に帰ったソルリベリオンは、蹴りを45度の方に曲げ、プロミネンスブレイカーは地面の方を蹴った。

 

「フゥ・・・・驚かせないでよね!!」

 

シアンのラヴァーズリベリオンは、体制を立て直し、ソルリベリオンに蹴りをお見舞いし、10mまで吹き飛ばす。

 

「ぐぅ・・・・俺は・・・・」

 

ラビリンスボウを引き、エネルギーがチャージされ始める。

 

「オイ、しっかりしろ!このままじゃ―――」

 

自分がラヴァーズリベリオンを倒そうとした事に動揺し、身動きが取れない。そんなソルリベリオンの腕を、スターリベリオンが掴む。

 

「もう遅いよ・・・・じゃぁアディオス」

 

ラビリンスボウから、エネルギー状の矢が放たれる・・・・・・その瞬間―――突然と、シアンのラヴァーズリベリオンの周りが爆発を起こす!!その衝撃に30m程、吹き飛ばされる。

 

「一体何が・・・」

 

スターリベリオンが上の方向を見る。するとそこには、ビルの上で、キャプチャースナイプライフルを構えたチャリオットリベリオンの姿があった。

 

「アイツ・・・なんのつもりだ?」

 

チャリオットリベリオンは助けたのか・・・・・その真意は不明だ。その隙に、スターリベリオンは、ソルリベリオンを立ち上がらせる。

 

「ここは退くぞ、体制を立て直そう」

 

「あっ・・・・あぁ、そうだな」

 

巻き起こる爆風の中、2人は、ビルの屋上まで登り、そこにあった電線から、サイバープログラムを抜け出す。

 

「クッ・・・・一体なにが?」

 

爆風を振り払いながら立ち上がるシアンのラヴァーズリベリオン。爆風を消すが、そこには2人の姿はなかった。

 

「逃げられたか・・・まぁいいさ、何時でも倒せるからね」

 

その表情からは、余裕の笑みが浮かばれる。そのまま、双葉が変身した、公衆電話からサイバープログラムを抜ける。

 

「おかえり、大丈夫だった?」

 

心配そうに声を掛ける双葉、しかしどこか彼を信頼する様に安心する部分も見える。

 

「まぁ・・・何とかね、まだやられる訳にはいかないからね」

 

「よかった・・・」

 

そのままは双葉は、愛人を抱きしめ、そして唐突にキスをする、それもかなりディープな・・・・

 

「ん・・・積極的だなぁ、でももう少し雰囲気の出る所の方が、いいかもね」

 

優しく双葉の頭を撫でる。愛し合う2人、まさに誰もが求める理想の恋人関係・・・・・リベリオン使用者である事を除き・・・・・

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

一方、ハルト達は、とある工場にあるトラックから、現実世界に戻って来た。

 

「俺・・・・本気で・・・やろうと・・・・」

 

ハルトは、ラヴァーズリベリオンを本気で倒そうとした事に、戸惑い、今でも手が震えている。その手を凜が掴む。

 

「無理もないさ、戦いが続くんだ、無意識になる事はあるさ。にしても普通に説得するのが無理となると・・・・」

 

凜の出す戦いを止める新たな方法、それは・・・・

 

「何か情報が必要だな。この戦いの本当の意味に関わる情報を」

 

「って言っても・・・・そんな情報簡単に見つかるか?」

 

リベリオンがどう作られたかも謎のままで、情報が簡単に掴めるわけがない、一体どうすれば・・・・・

 

「このリベリオン事態、誰かが作ったのは確かだ。例えば大手企業とか」

 

こんな高性能なリベリオンを作れるのは有名な大手企業、もしくは軍だと、凜は推測する。

 

「そりゃぁ、こんなん、そんな所しか作れないかもしれないけど・・・・俺達を戦わせる理由になるか?それなら社員で試せばいいだろうに」

 

確かに、戦わせるなら、俺達じゃなく、社員にテストすればいい。だが、軍用使う様な物じゃない。それにサイバープログラム、あんな世界、誰が発見したのか・・・ファンタジーものでよく見る異世界とはまた違う、まるでこの現実世界を再現してる様だ・・・・

 

「ん?だとすると、何か研究・・・とか?」

 

「・・・・それも1つの可能性だな。ともかく、一度調べてみよう」

 

こうして、1日が過ぎた・・・・・

 

翌日、6月17日、午後12時丁度、ハルトが、屋上で、寝転がりながら、昼ご飯のコッペパンを口に加え、空を見つめていた。

 

「ハァ・・・情報・・・か、どこから探せばいいのか・・・」

 

戦いを止めるため、まずどこから探ればいいのか、そこに悩んでいた。そしてもう1つ、昨日自分が手を下しかけた事を・・・・・

 

「俺はただ・・・人を、クリーチャーからを守る為に・・・・」

 

最初はクリーチャーを倒す為にリベリオンになった。それが今じゃ、望みの為に、22人で戦い合え?頭もこんがらがるって―――!!それに・・・フールだっけ、アイツは俺達の目の前で、あのガキ(要人)を・・・・殺す事にも躊躇ねぇ奴だった・・・・もし次が自分だと思うと・・・・ここ2週間はそんな悪夢に魘されっぱなしだった・・・

 

ハルトが自分の心の中で、葛藤していると、屋上のドアが開く、そして伊織が、こちらに歩いてゆく。

 

「ハァ・・・何でまたお前が・・・」

 

伊織が嫌味の様な一言を言うと、ハルトも嫌味を言い返す。

 

「そりゃ、コッチのセリフだ・・・・そんな気分なんだよ」

 

伊織が隣に座る、ハルトとの距離を、少し空けて。袋に入っていた、おにぎりを食べる伊織に、ハルトが話しかける。

 

「昨日・・・新しいリベリオンにあった、ちょっと特殊な奴だったよ」

 

昨日、ラヴァーズリベリオンに遭遇した事だ。それをある程度、耳に入れる伊織。新たな敵の情報は知りたいのだから。

 

「そうか、で、お前はまた「戦いは辞めろー」なんて言ったか」

 

「ハイハイその通りだよ、だけど、無意識に倒そうとしていた」

 

浮かない表情をするハルトの顔をみて、伊織は少し距離を詰め寄る。

 

「珍しいな、でも倒せなかったと」

 

皮肉を言う伊織に、言い返すことが出来ない。

 

「あぁ、そうだよ!俺だってもう何が何だか分からねぇよ・・・・」

 

ハルトは頭をくしゃくしゃに掻き回す。その姿に、伊織が溜息をつく。

 

「嫌ならいいんだぞ、リベリオンになった時点で、逃げ場はないがな」

 

14日以内に、契約クリーチャーにエサを与えなければ、契約破棄と見做され、エサと認識され、食べられる・・・・もはやリベリオン使用者に逃げ道は存在しない。最後の1人になるまで戦い続ける事しか出来ない。そんな運命を背負ったハルトは、何だか疲れた表情を見せる。

 

「まぁ、どうするかはお前の好きにすればいいさ」

 

伊織は立ち上がり、屋上を出る。助ける訳でもない、ただ皮肉を残し・・・・ハルトは頭を押さえ、大声で叫ぶ。

 

「アアアアアア―――――――――!!」

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

そして放課後。1人寂しく下校するハルト。助けを求める事は出来ない。そんな孤独な状況を強いられている。

 

「俺は・・・・どうすりゃ・・・・」

 

そんな時、道路の向かい側に、蝶々を追いかける身長130㎝程の、赤い髪のツインテールの少女を見かける。そんな平和な光景に、少し顔が笑うハルト。しかし―――その時、頭の中に、クリーチャーの現れるヴィジョンが浮かぶ、その場所は・・・・少女の間近だった―――!!

 

「マズいっ―――!!」

 

だが時既に遅し―――少女の後ろの、テレビから、かつて現れた、ベノスティンガーの亜種、であるサソリ型のクリーチャー(シザ―スティンガー)のハサミが少女の目の前に現れ、突き刺そうとする――――少女は、突然の事に、体を小さくするが、それもお構いなしに、襲い掛かる―――

 

「キャ―――!」

 

だがその時、ライオンの様な足がシザ―スティンガーを引きずり込む様に、引っ張る―――プロミネンスレオだった。

 

プロミネンスレオが引っ張ってる間、少女を抱きかかえ、守ろうとする。そしてプロミネンスレオの姿を見て、呟く。

 

「お前・・・・」

 

単純に、14日が近づている、プロミネンスレオは腹を空かし、ハルトを襲おうとした矢先、目の前に現れた、シザ―スティンガーを攻撃しただけに過ぎない。だがハルトにはこう感じた。

 

「人を守れ・・・って言いたいのか?」

 

勘違いではあるが、プロミネンスレオに気付かされた。人を守る為に戦う事は忘れるなと・・・・

 

「君、早くここから離れて!」

 

「うっ・・・うん」

 

少女は、ハルトに言われた通り、この場から離れ、走る。そしてハルトは、アルカナ・デバイスを取り出し、シザ―スティンガーの現れたテレビに翳す。

 

「戦いを止める事も重要だ・・・でも・・・・セット・・・オン―――!!」

 

デバイスを、右二の腕に取り付け、ソルリベリオンを纏う。そのまま、テレビの中に入り込み、サイバーゲートでゲートブースターを取り付け「GO」のサインと共に、発射され、サイバープログラムへ突入する。

 

サイバープログラムに着くと、目の前にはシザ―スティンガーが待ち構えていた。その姿は、ベノスティンガーと同じ姿だが、体が金色に染まっており、ハサミには、毒々しい紫色をしている。

 

「戦いは止める・・・そして人を守る―――!!」

 

ソルリベリオンは左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「フレイムイン」の電子音声と共に、全身が炎に包まれる。

 

ゴゴゴゴゴ・・・・・・・・

 

「ウオオオォォォォォォ―――!!」

 

炎の纏ったソルリベリオンは、そのままシザ―スティンガーに突進する―――巨体な体故に、押される事はないが、纏った炎が、シザ―スティンガーに燃え移り、苦しみ出す。

 

後ろに下がり、左腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、右二の腕のデバイスに装填する「フィニッシュイン」の電子音声と共に、プロミネンスレオが召喚され、共に飛び上がり、口から出された火球を足にに纏い空からプロミネンスブレイカー(キックver.)を発動する。

 

ゴゴゴ―――スドォォォォォォ―――ン!!

 

その蹴りは、シザ―スティンガーに直撃し、爆散する。プロミネンスレオは、久々のエサに、喜ぶ様に、その残骸を捕食する。

 

「そうだ・・・俺は人を守るために、リベリオンになった・・・今もそれは変わらない!!」

 

そう再び胸に決意し、拳を握り締めるハルト・・・・戦いも止める、そして守り続ける―――この先なのが起きようとも・・・・

 

 

 

 

◇◆◇

 

その頃、凜はマンガ喫茶のパソコンで、リベリオン、そしてサイバープログラムの手がかりを探していた、そして、ある情報を掴んだ。

 

「コレは・・・・そういう事だったか・・・・」

 

凜が掴んだ情報・・・・一体何なのか・・・・?

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り20人

 

 

ToBe Continued……




【今回登場したリベリオン&クリーチャー】

ラヴァーズリベリオン

【全長】190㎝

【体重】88キロ

【総合ランク】C+

【使用メモリー】
   ↓
【ショットイン】
ラビリンスボウ ランクC
ドラゴキューピットを弓の形にした武器。
チャージモードと、連射モード、近接武器として扱える。

深井愛人及び、永遠野双葉が使用するリベリオン。タロットカードの「LOVERS」を意味する。愛人が使用する場合メインカラーはシアン、双葉が使用する場合メインカラーはマゼンタ。
脚にパワージャッキが展開され、身軽な細い体型に螺旋状に渦巻く肩のアーマー、右目は青、左目はピンクの両目ツインアイを持ち膝にはハートマークが刻まれている
デバイスが2つ存在し、2人の使用者として戦う。変身できるのは1人のみで、片方が使用すると、もう片方には変身機能が失われる。
ランクは、デッドリベリオンより上だが、単純なパワー戦では劣っている。そのため、2人で交互に使用し、制限時間やシステムメモリーの使用制限の制約を無視して戦い、相手を惑わせる戦闘スタイルを持つ。

【契約クリーチャー】ドラゴキューピット

【全長】6m

【体重】250キロ

タツノオトシゴを龍にした様なクリーチャー。ランクB-
天使の様な羽根持ち、鋭く長い口が特徴的。エネルギー弾を放つ。


【今回登場したシステムメモリー】

ソルリベリオン

【フレイムイン】
フレイムウェア ランク無し
炎を纏い、相手に突撃、または武器に炎攻撃を付与する。



【クリーチャー】

シザーススティンガー
ベノスティンガーの亜種の、金色のサソリ型クリーチャー。ランクA+
毒々しいハサミには、猛毒が仕込まれており、挟まれたら最後、体全身に毒が回り、死に至る。





久々の投稿、いかがだったでしょうか?
新たに登場したラヴァーズリベリオンはとんたリア充です。非リアな主には難しい難題です(笑)どこまで書けるか。
戦いの中で最初の目的を忘れていたハルト、勘違いとはいえ、プロミネンスレオに気付かされる。契約クリーチャーにも感情が芽生えた・・・・かもしれません。
そして凜の掴んだ情報が今後の展開を大きく左右する・・・・そんな次回はお祭り回?です!ご期待ください!

感想、指摘待ってます。

メインキャラの中で誰が1番好きか?

  • 獅子堂ハルト
  • 三日月伊織
  • 国枝半蔵
  • 黒崎我怨

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