アルカナTHEリベリオン   作:イオ・りん

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最近、遊戯王のパックでスタヴェやクリスタルウィングが当たり気分上昇中の月宮伊織です!

いよいよ第1部最終回!果たしてどんな結末が待っているのか……

前回のあらすじ

要人に葵を人質に取られ戦う事を強いられた伊織。しかしそれは伊織を戦わせるためのハッタリであった。それに引き寄せられるように半蔵も、我怨も、凜も、そしてハルトも戦いに身を投じる。そして要人の予想しなかったハングドリベリオンの登場。7人のリベリオンが集結!!そしてフォーチュンリベリオンの持つマークインのメモリーによって200体にも並ぶクリーチャー達が現れ戦いは大乱戦に…その結末は!?


第12話「崩れる運命」

大量に出現したクリーチャー達を目の前に、それぞれの武器を構え、戦闘に備える。

 

「こんな大量に・・・・・こんな事までして楽しみたいのか・・・・・・・・・・アイツは!!」

 

ソルリベリオンは、フォーチュンリベリオンの方を、睨むように見つめる。余裕の態度を取り、両手を大きく上げるフォーチュンリベリオンの目の前に、5体のクリーチャーが襲い掛かる。カウンターを取る様に、攻撃を回避しつつ攻撃してきた一体のビーアーミーを吹き飛ばす。

 

「ふぅ~危ない、危ない、コイツはあくまで引き寄せる能力だからね!」

 

マークインのメモリーは、あくまでクリーチャーを「引き寄せる」あるいは「おびき寄せる」のみで「操る」能力ではない。その為、引き寄せられたクリーチャーもフォーチュンリベリオンに攻撃を仕掛ける。

 

「自分さえ攻撃すると言うのにこんな大量に…裏を返せばエネルギーを大量に与えるチャンスだが…」

 

ルナリベリオンは逆にこの状況を、クリーチャーを強化させるチャンスだと考える。しかしそこへハングドリベリオンがハングドナイフを投げつけルナリベリオンの行動を阻む。

 

「おっと・・・・敵はクリーチャーだけとは限りませんよ」

 

「そうだったな・・・・・ハァァァっ!!」

 

ドっ!!

 

ルナリベリオンはハングドリベリオンの方へ飛び上がり、牙王天羽々斬を左右に振る。しかしハングリベリオンは右腕を伸ばし、急速にルナリベリオンに近づき、腹部に蹴りをお見舞いする。

 

「ガァっ!?」

 

「お忘れでしたか?私の能力?まだまだ甘いですねぇ」

 

ハングドリベリオンは眼鏡を「クイッ」と上げる様な仕草をしながら、ルナリベリオンを下に見る様な言いぐさを放つ。

 

◇◆◇

 

その頃ソルリベリオンとスターリベリオンは、突如と現れたフールリベリオンの猛攻な襲撃を受けていた。

 

「ハハハ!!こんなにいるとはなぁ!!おかげで楽しめそうだぜ!!」

 

バギっ!!ドゴっ!!ガンっ!!

 

フールリベリオンはソルリベリオン目掛けてダイルブレードを叩き付けるように振り下ろす、その攻撃をスターリベリオンがスターシールドで庇う様に防御する。

 

「コイツ・・・・大分ヤバい奴かもな・・・・・」

 

「あぁ…しかしこんな奴を使用者に選ぶとは…何を考えてるんだ?」

 

その攻撃的な行動から2人(ソルリベリオンとススターリベリオン)はフールリベリオンがとてつもなく狂暴かつヤバい人物だと確信する。そしてフールリベリオンは30体のクリーチャーの標的となり囲まれるものの強引に切り抜ける様にダイルブレードを振り回し、クリーチャー達を蹴散らしてゆく。

 

「どうする?この数…このままだと時間切れになるかもな」

 

「そうだな、確かにこの数を相手にまともにやれるとは思えないな……」

 

200体にも及ぶクリーチャー、そして7人のリベリオン、この数を真正面で戦えば長期戦になるのが妥当、その場合だと「システムメモリーが尽きる」「時間切れになり24時間は現実世界に戻れない」「体力の激しい消耗」が考えられる。その考えを上でスターリベリオンは……

 

「よし、一気に必殺技でクリーチャーを蹴散らして爆風に紛れて一旦退こう」

 

その考えに提案したソルリベリオンはルナリベリオン(伊織)を呼ぶ。

 

「おい、伊織!俺達の必殺技で一気にこのクリーチャー共蹴散らして爆発に紛れて一旦引くぞ!!」

 

しかしルナリベリオンはその提案を否定する。

 

「フザけるな!!ここで一気にリベリオンを倒せば数が大幅に減らせる!それにこいつらを片付ければクリーチャー強化にもなる…」

 

クリーチャーの猛攻を受けつつも反撃を行うルナリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し真月に取り付けてあるデバイスに装填し「シャドーイン」の電子音声と共に自身の影から黒い分身を計6体呼び出す。6体の分身はそれぞれ大量のクリーチャーの中に入り込み攻撃を仕掛ける。

そして本体は大きな箱の上に立つハングドリベリオンを睨む。

 

「やれやれ…まだ懲りずに…」

 

溜息をついたハングドリベリオンは箱の上から飛び降りる様に降り、そのままルナリベリオンの方向へ前進する―――

 

一方ソルリベリオンとスターリベリオンは40体程度のクリーチャーとの乱戦の中、突然とフォーチュンリベリオンが突撃して来た。

 

「いいね~こんなに刺激のある戦い…こういうのを待ってたんだよね~」

 

フォーチュンリベリオンのホイールパンチャーの一撃をソルリベリオンは(アポロナックル)で受け止める。

 

「んだと!?ハッタリまでかましてまで、ここまでやりてぇのか!!」

 

ハルトの怒りは限界まで達していた、以前学校を巻き込んだこと、そしてハッタリだったとはいえ、葵を巻き込んだ事に―――

 

偶然その会話を耳にしていたルナリベリオンは葵にマークインのメモリーを仕込んだことがハッタリだと気付き分身を1体フォーチュンリベリオンの方に向かわせた。

 

「そういう事か…よくも騙してくれたもんだ!!」

 

ソルリベリオンの右拳のストレートががフォーチュンリベリオンの腹部に直撃する、と同時に追い打ちを浴びせる様にルナリベリオンの分身の真月の斬撃がフォーチュンリベリオンの左腕を斬り付ける。

 

カキン―――!!

 

「ぐっ…アララ怒らせちゃった?でもこうでもしないとアンタ達本気にならないよね~」

 

強烈な二撃を喰らっても強固な装甲(イージスアルモア)にとってはかすり傷程度にしか感じない、余裕の表情を誇り手首を振るフォーチュンリベリオン、その姿を見たスターリベリオンがある忠告を言う。

 

「フォーチュンの逆位置…同じことの繰り返し……成功せいてる様に見えるが失敗するかもな」

 

それはフォーチュンの逆位置「計画の中断」「なかなか方向転換がはかれない」「同じことの繰り返し」…簡単に言えば思い通りにならないと言えばよいだろう。忠告を聞いたフォーチュンリベリオン、しかしその言葉を聞いてもその余裕の態度は変わらない。

 

「ふぅ~ん、まぁ一番端っこにでも入れておくよっ!!」

 

ボガン―――!!

 

フォーチュンリベリオンはスターリベリオンの方向に向かって、ホイールパンチャーを投げつける、その一撃を受けたスターリベリオンは4mの方向に後退する。

 

「グゥっ!……聞く耳を持たない…か……」

 

もはやフォーチュンリベリオンに聞く耳はない、ただ戦いを楽しみ殺し合いをさせる……こんな事に意味があるのだろうか?

 

◇◆◇

 

同じ頃チャリオットリベリオンはビーアーミー3体と交戦していた、銃撃と剣撃を使い分けながら徐々にダメージを与えてゆく。その戦い方はある格闘術(ガン=カタ)を思わせる―――。激しい攻撃の中3体のビーアーミーは爆発する。

 

爆風の煙が消え、目の前に見えるのは自分以外のリベリオンが戦う姿であった……その光景を見たチャリオットリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出しギミックガンソードに取り付けてあるデバイスに装填し「フィニッシュイン」の電子音声と共にシルバアーマホースとチャリオットフォートレスが召喚され、フォートレスの玉座に向かって跳躍し、ギミックガンソードを玉座の前に差し込む、そしてそれをレバーの様に前に倒す、それと同時にシルバアーマホースは「ヒヒーン!!」と飛び上がり6体のリベリオンと無数のクリーチャーに向かって突撃する、と同時にフォートレスに取り付けてあった槍が放たれ大砲から何発も砲弾が発射され「クリーヴ・オブ・ロード」が発動される!!

それをいち早く知ったフールリベリオンは後ろの方に後退しようとする。

 

「これからは逃れられないよ!」

 

クリーヴ・オブ・ロードは攻撃範囲が広いため今いる駐車場の中、そして大量のクリーチャーがいる中で避けるのは困難と思われる、それを見たフォーチュンリベリオンは…

 

「ヤッバ!?」

 

慌てて左腰のホルダーからマークインのシステムメモリーを取り出そうとする、それを見たフールリベリオンはそっちの方向へ向かう。一方ハングドリベリオンは自らの左腕を伸ばし屋上の柱を掴み上の方向に回避しようとする。ソルリベリオンとルナリベリオンとスターリベリオンは急いでシステムメモリーを取り出しそれぞれのデバイスに装填し「シールドイン」の電子音声と共にソルリベリオンはライオディフェンダーを装備、ルナリベリオンはルナ―ズイージスを装備、スターリベリオンはスターシールドからウェーブバリアを発生させる。

 

パカラっパカラっ、キィィィィィィィィィィ!!―――ズドォォォォォォォォン!

 

そしてチャリオットフォートレスは大量のクリーチャー、6人のリベリオンに突撃する―――3人《ソルリベリオン、ルナリベリオン、スターリベリオン》は爆風の衝撃で壁に激突し、大量のクリーチャーは激突を直撃し爆発しそれと共に建物は崩壊、そのままチャリオットフォートレスは突き進み建物のを出る、チャリオットフォートレスを降りて崩壊する建物を見てチャリオットリベリオンは……

 

「こういう戦いはまとめて仕留めるのが一番だ」

 

と一言残しゆっくり歩き、60m先にあった電線を介してサイバープログラムを出る。

 

「オイっ…無事か?」

 

「あぁ何とかな…」

 

ヒュゥゥゥゥゥゥ―――

 

壁に激突した3人は瓦礫を振り払い立ち上る。間一髪直撃を免れるが多大なダメージを喰らう、唯一ハングドリベリオンは屋上に逃れていたため無傷であるが屋上も崩壊し崩壊した駐車場に着地する様に飛び降りる、そして爆風の煙が晴れる、そこにはフォーチュンリベリオンが微動だにせず立っていた、あの一撃でさえもフォーチュンリベリオンの装甲にはダメージを与えられないのか……

 

「アイツ…アレを喰らってもまだ無事だってのか!?」

 

その強固な装甲に3人は驚く……しかし!!

 

ゴトンっ!シュゥゥゥゥ……

 

突然とフォーチュンリベリオンの右腕が暴発する様に外れる、そして膝を着いて倒れる、その横からフールリベリオンが姿を現す。

 

「お前っ…折角…僕が場を…盛り上げてやったのに…」

 

さっきまでの余裕の態度はなくかなり弱った口調だ、そしてフールリベリオンもまた無傷であった。

 

「あぁ…壮大に盛り上がったぜぇ、だから最後は…ドデカイ花火で終わらせようじゃぁねぇかぁ」

 

一体何が起こったのか…時間は少し前に遡る。

 

「ヤッバ!?」

 

フォーチュンリベリオンが慌ててマークインのメモリーをホルダーから取り出そうとする、当初フォーチュンリベリオンはこれを別の方向に投げてシルバアーマホースの軌道をずらそうとした、だがしかしそれを見たフールリベリオンがこちらに近づきマークインのメモリーをフォーチュンリベリオンから取り上げ彼の左胸をスライドさせそこから現れたデバイスに装填させる「マークイン」の電子音声と共に大量のクリーチャーはフォーチュンリベリオンに引き寄せられるように近づき周りを囲む。

フールリベリオンはそのまま後ろの方に後退してゆく。そしてチャリオットリベリオン本人も気付かなかったかシルバアーマホースはフォーチュンリベリオンの方向に進んでいた。これによりクリーヴ・オブ・ロードはフォーチュンリベリオンに直撃しまた大量のクリーチャーの爆発もまともに喰らってしまった。

 

「クッ…アァっ!?」

 

受けた仕打ちを返そうとする様にフォーチュンリベリオンはフールリベリオンに左ストレートをする、しかしフールリベリオンはそれを軽く避ける。そしてまだマークインの効力が残っているからか生き残ったクリーチャーがフォーチュンリベリオンの方に近づいていく、それを残った力を振り絞り振り払おうとする。

 

「こんな…はずじゃ…これじゃ…計画が…グッ!!」

 

その光景を見たフールリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し右手のダイルデンジャーを顎を開きその中のデバイスに装填し顎を閉じる「フィニッシュイン」の電子音声と共にフォーチュンリベリオンの後方からバイオヘルダイルが召喚される、必殺技(「ファングラッシャー・バイオレンス」)が発動される。

そして大量のクリーチャーに囲まれたフォーチュンリベリオンを強力な顎で挟み飛び上がる、それと同時にフールリベリオンも跳躍し両足をワニの顎を開くような構えをする、その構えと同時にバイオヘルダイルはフールリベリオンの方向に投げつける様に振り放す、そのフォーチュンリベリオンを両足で空中で顎で上半身と下半身がかみ砕かれる様に強く挟み、様にして掴み地面の方に叩き付け引きずられ。

 

「オラアアアアアアアアアアアアアアアっ!!」

 

ギギギギギギギギギギギ―――

 

「グアアアアアアァァァァァァァァァァァっ!!

 

引きずられた摩擦で装甲が削れられる、そして挟んでいた両足を放し最後に右足でサッカーボールを蹴飛ばす様に壁の方に勢いよく蹴飛ばす、壁に叩きつけられたフォーチュンリベリオンは体から火花が飛び散り出す。

 

「そんな…!?僕は…僕はぁ!!」

 

バチっ…バチっ…バチチ…ジジジ……チュド――――――っン!!

 

情けない一言を残しフォーチュンリベリオンは大爆発を起こす!その爆風から身を守る様に3人は両腕で爆風を防ぐ、爆風の煙が晴れ最初に見えたのはフォーチュンリベリオンの下半身であった。

 

「アイツ…あれを喰らってまだ…」

 

「いや…」

 

スターリベリオンは目を背ける様に顔を後ろの方に向く、そこには驚くべき光景が―――フォーチュンリベリオンは…上半身が無くなっていた…残っていたのは下半身だけであった…つまりフォーチュンリベリオン(和野要人)は死んだ。その光景をフールリベリオンは笑いながら見上げる。

 

「ハハハハハ!!いい感じだぁ、まさに俺が求めてたモノだ!!ハハハハハ!!」

 

ソルリベリオンは拳を握り締めフールリベリオンの方を鋭く睨む。

 

「お前―――何であんな事を!?」

 

「あぁん…それがこの戦いのルールだろぅ…勝ち残る為に戦う…そして負けた者は死あるのみ、それだけだろ?」

 

確かにアイツ(要人)ムカつく野郎だ…だからってあそこまで……殺す事なんてないだろ!!1つだけ分かった事がある…コイツだけは…許せねぇ…コイツだけは!!

 

「フザけるな!!人の命を奪ってそんなに楽しいか!?お前イカれてやがるよ!!」

 

ソルリベリオンはフールリベリオンに拳を突きだす。その怒りを感じ取る様に後ろからプロミネンスレオが現れ雄たけびをあげる。

 

「イカれてる…そいつは結構な事だぁ」

 

ガオオオォォォォォォ!! シィィィィィィ!!

 

それに対抗する様にフールリベリオンに後ろにバイオヘルダイルが現れる、そして2匹は激しくにらみ合い火花を散らす。そしてフールリベリオンが先制攻撃としてソルリベリオンの方に前進し、ダイルデンジャーで叩きつけようとする―――その時!!

 

ビューン!ビューン!ビューン!

 

上空から尻尾を思わせるビッドの様な物体が上空から現れ2人(ソルリベリオンとフールリベリオン)目掛けてレーザーの様な光線が発射される。

 

「何だ……一体?」

 

「あっ…アレは……」

 

ルナリベリオンが瓦礫で出来た山を見つめる……そこには9本の尾を持つキツネ型のクリーチャー(アポロナインフォックス)が雄たけびをあげて立ちはだかっていた。

 

「新手のクリーチャー!?こんな時に…」

 

「成程…これは退いた方が得策でしょうね…」

 

時間差はあるもののほぼ同じ時間にリベリオンを装着した5人の体は粒子が零れだしていた、時間切れが近づいている、それを感じたハングドリベリオンはいち早くその場から離脱する。

 

アポロナインフォックスは尻尾をビッド状に分裂させ残った4人のリベリオンを襲う。

 

チュド――――ンっ!!ビューン!ビューン!ビューン!

 

「クッ…ここはいったん退くぞ!!俺が隙を作るその内に!!」

 

「あっ…あぁ!その方が良さそうだな!」

 

「チッ、仕方ない……」

 

スターリベリオンはスターェイブの描かれたSTAR()のカードを取り出しデバイスに翳す、それと同時にスターウェイブが召喚されアポロナインフォックスの上空に星の形をした手裏剣(スターダート)撒き散らし周囲を撹乱させる、その隙に3人は崩壊した建物を一気に走り抜け自販機に入り込みサイバープログラムから脱出する。

そして必然的に標的は、残ったフールリベリオンとなった。

 

「面白れぇ…いいぜ掛かって来いよぉ」

 

フールリベリオンはアポロナインフォックスを左腕で誘う様に挑発する。その誘いに乗る様にアポロナインフォックスはフールリベリオンの方向に突撃する―――!!

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇

 

その頃サイバープログラムを出たハルトと伊織と凜は戦いのダメージからか、疲れ果てた表情をしていた。

 

「ハァ…ハァ…これが…戦いなのか…」

 

「あぁ…俺も始めてかもな…あそこまでは」

 

あの悲惨な戦いは凜でさえも始めてであった様だ。それでもまだ冷静な態度を取る伊織。

 

「これで分かっただろ、この戦いが…お前らが言うほど甘くない事を!」

 

改めて突きつけられた、この戦いの過酷さを…

 

「あぁそうだな、でもだからこそ止めなきゃならないんじゃないのか?」

 

「確かに許せねぇよ…だからもう誰も死なせたくない!」

 

それでもなお、凜とハルトの答えは変わらない…その言葉に伊織はもう何もいう事はなかった。

 

「いずれはお前たちも倒す…だが葵の事は礼を言う…」

 

伊織は葵事に関して不本意であるが礼を述べその場を去る……

 

「全く…素直じゃないのか何なのか…とにかく…今日は体を休めた方がいい…」

 

「あっ、そうだな…じゃぁ」

 

これが…リベリオン同士の戦い…こんな事って…何でこんな事させるんだよ…一体何で…それにあんなヤバい奴(フールリベリオン)まで使用者に選びやがってそれを黒幕って奴は眺めてるだけなのか…だったら尚更止めねぇと…これ以上犠牲者を出させないためにも!!

 

それでも戦う事に躊躇いを抱く……そんな秘中を抱く中家に帰る―――

 

「ただいま……」

 

時刻は18時丁度、家に帰って来たハルト、それを迎え入れたのは何と彩であった。

 

「おかえり~」

 

「って彩!?何で家に?」

 

「帰りさ、ハルト何か慌ててた様子だったの見てさ、それが心配になって……」

 

要人とのやり取りの後急いでリベリオンを装着するために走り出した所を目撃してた彩、後を追ったがすぐに見失ってしまった、それで家に戻るまで待っていたらしい。

 

「えっと…まぁちょっと絡まれたと言うかなんというか…」

 

ハルトは何とか理由を誤魔化そうとする…彩は頬を膨らませていた。

 

「もぅ…何があったかは深くは聞かないけどさ…心配させないでよ…」

 

俺の事を心配してる…やっぱ話した方がいいのか……いやっ!彩は巻き込みたくない……話す訳にはいかない…

 

「悪ぃ…ホント、大した事ないからさ、大丈夫だって!」

 

何時も通りの笑顔で乗り切るハルト、その笑顔を見て呆れながらも信じている彩。

 

「うん、ハルトがそう言うなら大丈夫だよね、分かった」

 

取りあえず一安心かな、しかし空も暗くなったな……一人じゃ危ないだろうし…送っていくか、っと思ったら姉ちゃんが部屋から出てきて……

 

「今日は遅いし、泊まってけば?制服とか私の奴残ってるからそれ使っていいよ」

 

「ちょっ!?姉ちゃん何言ってんの!?いきなり泊まれと言われたって…なぁ?」

 

ちょっ!?姉ちゃん急に何言い出すんだ!?確かに着替えくらいなら何とかなると思うが……流石にコレはまずいだろ……

 

「いいんですか!じゃぁ…お言葉に甘えて…」

 

彩は少し恥ずかしがりそそうな表情で泊まる事を受け入れる、突然の事でハルトは驚きを隠せない。そしてこれがあの戦いの後である事……

 

「決まりね♪じゃぁ親御さんには電話してくるから~」

 

もしかして…お姉さん、私がハルトの事…それを知っててあんな事いったのかな?ハルトの家で泊まる…小学生以来で何かドキドキするな!まったく……どうしてハルトは気づいてくれないんだろ?こんなに…こんなにアプローチしてるのに―――ってハルトに言っても無理もないか…その手の事に鈍感だし。

 

「っく姉ちゃんったら…勝手な事を…まぁ今日くらいなら仕方ないか」

 

「えへへ…こんなの小学生以来だね♪」

 

しょうがないな~と思いながら俺はすぐ様夕飯の支度をする。と言っても昨日の残りのシチューだから温めて終わりだけどな、ご飯も朝予約して1時間前には炊けている。

シチュー温める間に彩に皿を用意する事を頼んだ。

温め終わり、用意したさらにシチューを盛る。いつもなら部屋を出る姉ちゃんだが、今日は何故か「部屋で食べると言う」一体どうしたのやら…

そんなこんなで俺と彩、2人で夕飯を食べる事になった。

 

「う~ん!ハルトの作るご飯は美味しいね~」

 

「そう言われると正直嬉しい」

 

少し前なら変わらない日常……でも今は変わってしまった、己の願いを叶える為の戦いに身を投じているんだからな。でも…こんな時が少しだが心が安らぐ。だから俺は人を守るために…戦いを止める為に…

 

途中食事に夢中になってしまったからか無言で食べ続け、そのまま食べ終わりハルトは皿を洗い始める。

 

「ねぇねぇ~お風呂先いいかな?」

 

彩は先にお風呂に入ろうとする、ハルトはあまりよく聞き取れなかったからか首を頷くだけだった。そして皿を洗い終わったハルトは……

 

「さ~て…洗濯物入れてくるか~」

 

洗濯物を入れようと洗面台へ向かう、そしてそのドアを開けると……

 

「あっ……」

 

「――――////っ!?」

 

彩が服を脱いでおり既に下着のホックを外す所であった。その姿を見てしまったハルトは急いでドアを絞め彩に謝る。

 

「ごっ…ゴメン!!入ってるなんて…」

 

やはりハルトは話を聞いていなかった様だ。

 

「さっき言ったのに…バカっ」

 

流石にほぼ裸の状態で見られた彩は顔を赤らめその場に蹲る。ハルトも見てしまったからか顔を赤くしている。

 

(にしても…ちょっとはキレイだったな…)

 

少しながら彩の事を褒めるハルト、彼も男である。

 

風呂に入り終えパジャマに着替えた彩が洗面台から出るとハルトの方も向く。

 

「見た……」

 

「えっ、なにを?」

 

ハルトは何事も無かったかの様な顔をしている、そして彩はハルトの両肩を掴む。

 

「だ~か~ら~!!」

 

「あっ…イヤっ!見てない何も見てません!!」

 

若干見てしまったハルトだが彩の為を思って何とか誤魔化そうとする。

 

「本当に…?」

 

彩の顔は少し泣きそうな顔をしている。

 

「あぁ本当さ!!」

 

ハルトは言い切る、それを信じた彩は安心する。

 

「じゃぁ…許す、でも今度は気を付けてよね///!!」

 

その状況を陰で見てニヤっと笑う、夏姫…この展開が狙いだったのか?

 

「フフフ…いいわねぇ、ファイトよ彩ちゃん!」

 

やはり影ながら彩の恋を応援しえいた……反省したハルトはそのまま風呂に入る。

 

「フゥ……傷にしみるなぁ」

 

天井を見ながら今回の戦いの事を思い出す、そして改めて自分が何も出来なかった事を悔む。

 

「俺も…強くならなきゃな!!」

 

そう決心したハルトは力強く体と頭を洗う。風呂から上がり体をしっかりと吹きそのままベットに入ろもうとするが…

 

「そういや彩の寝る所は……」

 

まだ彩の寝る場所が決まってない、自分の部屋のベッドは散らかっているためとても持て成す場ではない。

 

「よし…布団出すか」

 

ハルトは押し入れに仕舞ってあった白と紺色の布団を取り出しリビングの真ん中に敷く。

 

「ンフフフ~フカフカ~気持ちいな~」

 

敷き終えた布団に彩はジャンプして飛び込む、抱きしめる様に布団に蹲る。

 

「んじゃぁもう寝るから……お休み」

 

「うん!お休み~」

 

ハルトはリビングの電気を消し、自分の部屋に戻りそのまま眠りに付く……そしてふと目を覚ますと…以前見た黒い空間の不気味なピエロを思わせる椅子に座っていた。

 

「またか…」

 

そしてそのテーブルの真ん中には、巨大なダルマ落としで遊んでいるモニタの姿があった。

 

「ヨイショっ!ヨイショっ!…あっ!?ショボン……」

 

あと一歩の所でダルマが落ち、モニタは落ち込む。

 

「ふぅ…さてチミタチ!今回の戦いで1人脱落者が現れましたね~この調子でドンドン頑張っちゃって下さい!」

 

フォーチュンリベリオンが倒された事を喜び、そしてさらに戦いを盛り上げる様に駆り立てるモニタ、そのフザけた態度にハルトは机を強い勢いで叩く。

 

「いい加減にしろよ!!何の為に俺達を戦わせる!?人が死ぬんだぞ!!」

 

その言葉にモニタは逆切れを起こす。

 

「またチミか~!!言ったじゃないか~この戦いに勝利したら願いを叶えてやるって!!だから戦えって言ってるの!まだ分からないかな~金!精!富!力!何でも手に入るんだよ!張り切るのは当然じゃないか~まぁ中には下らない願いを抱く奴もいるけど」

 

モニタは演説するかの様に、またブロードウェイを歩くように語り始める。そして伊織であろうシルエットを見つめ鼻で笑う。

 

「っ……」

 

鼻で笑われた事に拳を握る伊織、それでもなお、モニタは笑いを止めない。 

 

「と言う訳なので…皆さんこれからも最後の1人になるまでじゃんじゃん戦って下さい!あっ、でもルールは守ってね~もし破ったら…分かってるよね?」

 

その顔はピエロの様な奇妙な笑顔だがその裏には狂気じみた視線にも見える。満足したような態度を取り、モニタは空間の奥の方向に消えて行った。

 

「フフフ…これから面白くなりそうだぜ」

 

我怨であろうシルエットはこれからの展開に刺激がほとばしり興奮が止まらない。

 

「…一体何なんだアイツは…アレが黒幕…じゃないよな、確か前に゛監視約゛って言ってたしな……」

 

モニタはあくまで「監視役」つまりその裏に黒幕がいると思われる。

 

「だったら暴くしかねぇじゃなねぇか…その黒幕って奴をよぉ!!」

 

ハルトは黒幕の正体を突き止める事を決意する。そしてその黒幕を倒す事で戦いを終わらせる、ハルトの新たな決意はその鋭い瞳からも伝わってくる。

 

そしてハルトが目を覚ます。時刻は午前7時、何時もより早く起きる事が出来たハルトは腕を伸ばし部屋から出る。

 

「アレ?何時も遅刻寸前なのに珍しいね~」

 

モチロン彩も起きていた、何時も遅刻寸前のハルトが余裕で起きる事に驚いている。

 

「おはよぅ、今朝飯作るから待ってな~」

 

ハルトは急いで朝食の食パンをトースターの中に入れる。その手さばきに彩は唖然としている。パンが焼き終わりすぐ様皿の上に乗せる。

 

「ほぃっ!トッピングはお好みで」

 

朝食はパン1枚とヨーグルト、そしてインスタントのコーンスープ。トッピングとしてイチゴジャム、マーガリン、生ハムが置いてある。

 

「うぉ~いっただきま~す♪」

 

朝食立食べ始めるハルトと彩、我ながら美味いと感じるハルト、彩もあまりの美味しさに右手で頬を抑える。

 

「う~んこれが味わえるなら毎日来てもいいかも~」

 

「おいおい、勘弁してくれよ~」

 

冗談混じりながらの会話、まるでそれは……朝食を食べ終え食器を片付けるハルト。制服に着替え終え、家を出て学校を迎える、新たな一日を迎える様に朝日が眩しい。

しかしその裏ではリベリオン使用者達の戦いが繰り広げられる……その戦いの先には何が待ち受けているのか……ハルトの運命は……新たな展開が待ち受ける!

 

◇◆◇

 

同時刻、サイバープログラム内で暴れている白いヤギ型のクリーチャーの目の前には、シアンカラーを中心とし、体のラインはマゼンタ色、身軽な細い体型に螺旋状に渦巻く肩のアーマー、右目は青、左目はピンクの両目(ツインアイ)を持ち足にパワージャッキが展開された戦士の姿がある。

 

シギャアアアアア!!

 

ヤギ型のクリーチャーはそのシアンの戦士に襲い掛かる、それを軽く避け背後から右足の蹴りをお見舞いする。

 

グゥゥゥゥゥゥ

 

ヤギ型のクリーチャーはその蹴りに怯むがすぐ様後ろを振り返り、シアン色の戦士に突進する。

 

「後は、任せたよ~」

 

その声は爽やかな美青年の様な口調であった。

シアン色の戦士はその突進を軽く避け、跳躍する。そして飛んだ先のテレビに入り込む。周囲を見渡すヤギ型のクリーチャー、その背後から何者かの蹴りがお見舞いされ後退する。

 

その姿はさっきのシアン色の戦士そのままであるがメインカラーのシアンとラインカラーのマゼンタが逆転している。

 

「オーケーさぁ…行くわよ」

 

そしてその口調はさっきの美青年の声ではなく可愛らしい少女の声であった、果たして一体何者なのか……

 

 

 

 

現在リベリオン使用者22人中残り20人

 

ToBe Continued……




【今回使用されたシステムメモリー】

【フールリベリオン】


【フィニッシュイン】

ファングラッシャー・バイオレンス ランクS-

バイオヘルダイルが相手の体を強力な顎でかみ砕く様に挟み、それをフールリベリオンの方向に投げつけ、またフールリベリオンが両足で顎でかみ砕く様に挟み、地面に引きずり、最後に蹴飛ばす。弱点もなく強力な技で非常に厄介である。


第1部もこれで終わり……そして戦いは新たなステージへ……

しばらくはバンデットTHEリベリオンの方を書くのでお休みいたします!!

最後に現れた戦士……一体何者なのか?そしていまだ判明されていないハングドリベリオンの正体とは?はたまたアポロナインフォックスと戦闘になった我怨はどうやってくぐり抜けたのか!?

気になるところは色々ありますがしばしの間お持ち下さい!!

では第2部の始まるその日まで!!

メインキャラの中で誰が1番好きか?

  • 獅子堂ハルト
  • 三日月伊織
  • 国枝半蔵
  • 黒崎我怨

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