アルカナTHEリベリオン   作:イオ・りん

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前回のあらすじ

ここ最近動画サイトにて不良が怪物に襲われる動画が投稿されている。
その実態を調べようとしたハルト、その実態はフォーチュンリベリオンこと和野要人がクリーチャーをおびき寄せ不良達を襲っていた。
クリーチャーを撃破したフォーチュンがソルリベリオンに襲い掛かる、猛攻な攻撃の前にソルリベリオンは遂に倒れてしまう……
そして満月が光る夜、古びた協会で不良を50人近くを1人で叩きのめした男は一体何者か……?


第9話「開幕宣言」

満月が光る夜、古びた協会で不良を50人近くを1人で叩きのめした男は不満を爆発させるように瓦礫を素手で叩き割る。

 

「あぁ…求めてやがる…血が疼く…もっと派手に暴れられられねぇのか!!」

 

男の名は黒崎我怨(くろさきがおん)、身長は175㎝くらいあり赤い髪に黒いメッシュで赤と黒のジャケットを着ている。

 

12歳の頃に不良校を10校も廃校にし凶暴かつ凶悪な性格をしており常に喧嘩が絶えない、挑む不良からは「バケモノに見える程イカれた強さとヤバさを持つ」と言われている。死体蹴りする様に1人の不良を蹴り続ける我怨の前にマントを羽織りピエロの様な仮面で顔の見えない人物が拍手しながらやってくる。

 

「なんだぁ?そのフザけた格好は?死に急ぎたいようなだな…」

 

我怨はマントの人物に瓦礫を投げる、しかしマントの人物はすり抜ける様に瓦礫を避ける、そして我怨に顔を近づける。

 

「君の様な男は戦うべき存在に相応しい、是非とも加わってもらいたい」

 

マントの人物は大きく手を広げる、何を言ってるのか分からない我怨は頭を搔く。

 

「訳の分からねぇ勧誘なんざ聞く耳ないぜ、他をあたんな」

 

「そう言わずにコレを」

 

マントの人物が渡したのは何とアルカナ・デバイスだった、デバイスは既にクリーチャーが契約されている様でダークグレーの色をしておりワニにドクロの兜を付けたエンブレムが描かれていた、そしてタロットカードを渡す。

 

そこにはダークグレーの色をした凶暴なクロコダイル型のクリーチャー(バイオヘルダイル)が描かれておりFOOL(フール)の文字が刻まれていた、つまりはタロットカードにおける0番目のカードの名を持つリベリオン(フールリベリオン)だ。我怨がデバイスを手に取ると突如と3体の2足歩行のハイエナ型のクリーチャー(イエナイェーガー)が我怨に襲い掛かる―――

 

その姿は山賊を思わせる様な服装をしており1匹リーダーの証の様な赤いタスキを着けている、それぞれ山刀を手に持ったり、左手に武器腕型のハンドガンを取り付けている。

 

「使い方はもう分かるはずだよ、君の心が知っている」

 

その言葉を残しマントの人物は姿を消す、最初は意味が分からなかった我怨だがその脳裏にデバイスの使い方が浮かんだ。

 

「成程…コイツはおもしれぇ…セットオン!」

 

我怨はデバイスを協会にあったラジカセに翳すとデバイスを持つ手を反対側の左腕にアタッチメントが取り付けられ首を掻っ切る様なポーズを取りデバイスをアタッチメントに取り付ける。

 

我怨の体がスキャンされる様にフールリベリオンを纏う、メインカラーはダークグレーで赤い瞳をしており、全身がワニの皮膚を思わせる装甲を持ち、肩はワニの尻尾の様に尖っておりデバイスは左手に取り付けられている、バイオヘルダイルの顔の形をした手甲型の武器(ダイルデンジャー)の中に収納されている、目も他のリベリオンと異なり睨む様に両目(ツインアイ)が鋭い。

 

「ほぅ…少しは楽しめそうだな…」

 

フールリベリオンは右手の指をポキポキならしイエナイェーガー3体まとめて蹴飛ばす。

 

右腰に取り付けてあるホルダーからシステムメモリーを取り出しダイルデンジャーの口を開き中にあるデバイスにシステムメモリーをデバイスに装填し、その口を閉じ「ソードイン」の電子音声と共に空から降って来たワニの尻尾に鋸を付けた様な形の鋸型の剣(ダイルブレード)を右手に持ちイエナイェーガーに斬りかかる、その斬撃は腹部に壮大なダメージを与え3体とも腹を抑える。

 

「ハハハ…!!最高だなぁ、オラぁっ!!」

 

フールリベリオンはイエナイェーガーを何度も何度もダイルブレードで斬り裂く、15回目の斬撃でイエナイェーガーは吹き飛ばされダメージに耐え切れず爆発する。

 

「何だもう終わりか?あっけないな…」

 

我怨はフールのアーマーを解除した。そこへ再びマントの人物が現れた。

 

「これから君は同じ力を持つ者同士と戦いになる事になる、戦いからは逃れられない…君を除き21人倒すまでは、そうすれば望むモノは全て手に入れる」

 

フールを除き21人…本来リベリオンは21体しかいない…つまりは1体追加され合計22体のバトルロワイヤルと言う事になる。しかし既にデッドリベリオンが脱落している為実質21体となる。リベリオン同士の戦いと聞き一見普通に見えるが奥底に狂気が眠る様な笑顔を浮かべる。

 

「これは当分楽しめそうだ…ゾクゾクするぜぇ」

 

マントの人物はそんな我怨をみてニヤりと笑う……………そして透ける様に姿を消す。

 

果たしてこの人物の正体は―――

 

 

◇◆◇

 

「うぅ…ここは?」

 

翌日、ハルトが目を覚ますとサイバープログラムとは違った黒い空間で趣味の悪いピエロの顔を思わせる椅子に座っていた。

 

「サイバープログラム…じゃないよな?」

 

ハルトが辺りをキョロキョロと辺りを見回してると陽気な声が脳内から流れてだす。

 

「全員集合してるかなー?あっでももう1人死んじゃったのか~全く~チミタチは気が早すぎるよ~何で全員揃う前に戦い始めちゃうのかな~」

 

「何だこの声?それに「チミタチ」って…ここには俺一人しか…」

 

「今いるのは自分だけとか思ってるヤツいるでしょ~、じゃぁここらでオ―――プン!!」

 

その言葉と共に指パッチンする音が聴こえる、その音と共に空間が開く様に会議をするような机が現れその周りには自分を含め21人同じ様に座っていた、自分以外シルエットの為誰が誰だか分からない、ただハルトが疑問に思う事がある、それは1つだけ席が空いていた。

 

「なっ…何だよコレ!?そういやリベリオン使用者は21人…でも席は22人…」

 

ハルトが考えていると何時の間にかへんてこな着ぐるみが上から落ちる様に降り華麗に机の上に着地した。雪だるまみたいな姿をしており下半身は赤くへそが黒い、目と口がピエロの様にニヤけており顔半分が仮面で覆われてるみたいな感じをしている。

 

「ジャンジャン―ん!!どう?驚いた?驚いたよね~、そりゃそうだよこんなへんてこな着ぐるみが来たら誰でも驚くよ~って僕は着ぐるみじゃないよ!!」

 

へんてこな着ぐるみは自分でボケて自分でツッコミを入れる。

 

「一体なんなんだここは……」

 

シルエットの為姿が見えないが声からして伊織だとハルトは気づいた、そしてへんてこな着ぐるみは伊織の質問に答える。

 

「僕はモニタ、チミタチにアルカナ・デバイスを渡した張本人が送り込んだ監視役なのだ~そしてここは戦いの途中経過を報告するミーティングルームみたいな所なのです」

 

着ぐるみの名は「モニタ」、今の話に周囲が驚いていた、数人は冷静な対応をとっていた。

 

「何だと……渡した張本人!?」

 

ハルトは驚いて机ドンっ!!と叩きモニタの方に顔を近づける。しかしモニタは黒幕について一切喋る気はない。

 

「あ~そっか、拾ったヤツもいるんだっけ?全くせっかく渡してやったのに手放したり負けちゃうなんて~おかげで人生台無しになっちゃったね~」

 

「下らない話はいい、さっさと用件を言え」

 

伊織はモニタを急かす、それをからかう様に言い返す。

 

「まぁまぁ、そんな焦らなくてもすぐに話すよ、まったく君はせっかちだね~やっぱりチミは後から渡しておけば良かったね~まぁ誰も倒せなかったから1人で済んだけど~じゃぁ本題に入るね、何とリベリオン使用者が全員決まりました、これによりリベリオン同士の戦いは本格的にスタートします!!今までのは準備運動みたいなもんだからね、本当なら22人全員揃ってくれたらいいのに…ショボボン、君たちはとっくに始まってる風に始めちゃうから~まぁチミタチがそれほど本気って事は嬉しいんだけどね、でもある程度ルールがないと好き放題やるから決めさせてもらうね、ちょっとお待ちください~」

 

モニタはタブレットを手に取り何かを打ち込み始めた。使用者全員がお互いを睨み始める、そんな中ハルトは目を合わせない様にしていた。

 

「ここにいる奴ら全員がリベリオン使用者…って事はあのガキも!?」

 

ハルトはここに要人もいると確信した、ハルトが要人を探しに行こうとしたが見えない障壁にぶつかってしまう。この周りは見えない壁で囲まれており移動が出来なくなっている。

 

「準備完了~ではチミタチ持っているアルカナ・デバイスの裏側をご覧ください、そして真ん中のボタンを押してください」

 

全員がアルカナ・デバイスの裏側を見る、裏にはiPhoneを思わせる様な画面になっていた、と言うよりも誰もが今まで裏側なんて気にしていなかった。そしてモニタの言われるままに真ん中のボタンを押す、押したと同時に画面から「ARCANA(アルカナ)」と言う文字が現れ携帯のホーム画面の様な画面となった。

 

「今このアルカナ・デバイスは色々な機能を追加しました、これによりバトルがさらに盛り上がると思います!喜んでくれると嬉しいな~」

 

全員が画面をいじりはじめる、最初に発見されたのは戦いにおけるルールであった。1つ目の項目には「勝ち残れるのはただ1人、勝者には望みの叶うある物を提供する」これはみんな最初から分かっている事だ。

2つ目には「14日以内に契約しているクリーチャーにエネルギーを補給しなければ契約違反とみなしそのクリーチャーに喰われるので定期的に補給をただし食べすぎにはご注意を」これを見て大抵の使用者の顔はやや青くなった。食べすぎに注意…切島一貴はそれが要因で脱落してしまった…全員それに気を付けようと感じた。

 

3つ目は「戦いに敗北=死んだ場合は使用者の記憶及び存在が抹消される、また他の使用者には記憶が残る」

これも分かっていた事だ、現に切島一貴の存在は抹消されている。しかしデバイスを手にした人はその消された記憶が蘇る。

 

4つ目は「サイバープログラムの出口は1時間後に消える、その後は24時間後に出口専用のゲートが開かれるのでそれまでは出る事は出来ない」これも以前から知っている事だ

 

5つ目は「サイバープログラム及び、現実世界でのリベリオンの使用時間は1時間、再使用には1時間を空けなければならない、しかしサイバープログラムと現実世界で交互に行き来しリベリオンを解除する事で制限時間が時間はリセットされる」リベリオンの仕様には制限時間が限られていた、長期の戦いとなるとこれの繰り返しが激しくなるだろう。

 

6つ目は「自身のデバイスを故意に破壊する事はペナルティと見做す」7つ目は「リベリオン同士の戦い以外での殺す事(脱落させる事)もペナルティと見做す」ペナルティとは何なのだろうか?全員が少し気になっていた。

 

「ペナルティはチョ―――凄い罰です!痛いじゃスマないよ~もしかしたら死にたいとか思っちゃったり」

 

モニタはクスクス笑っていた、その笑いにハルトは机を「バンっ!!」と叩きだし怒り表す。

 

「フザけるなっ!!何でそんな楽しんでるんだよ!?人の命が掛かってるんだぞ!?」

 

その行動にほとんどの使用者が呆れていた、普通の対応をしているのは同じ考えを持つ凜くらいだろう。

 

「なに感情的に熱くなっちゃってんの?いいかい?チミらはそれぞれの願いや野望のために戦ってるんだ、勝ったら叶えてやるってんだ!だかや殺りたい放題しちゃえばいいのさ!!」

 

モニタはハルトの発言に逆切れした、そして引き続きルールを見る。

 

8つ目は「クリーチャーの契約カードは各自3枚渡されている契約するクリーチャーは好きに決めてよい」改めて確認するとタロットカードは契約したのを含めて3枚あった、しかしハルトは2枚しかなかった。

 

「何で俺だけ2枚何だ?」

 

「そいつはお前の前任者が既に使用しているからだ」

 

ハルトが疑問に思ってたところを伊織が答えた、なぜならハルトが持つデバイスは元々他の使用者が使っており伊織と一度戦ってたから知っている(0話参照)

 

「俺も残り2枚しかないがな」

 

伊織の場合はかつて契約していたクリーチャーが倒されブルームーンファルコンと再契約していたからだ。

 

以上でルールの項目が終わった、またルールに書かれてはいないがデバイスが破壊されず他の人に渡った場合その人が使用者となり戦いが続行される、つまり完全に脱落させるにはリベリオンを倒した後にそのデバイスを破壊する事となる。

次にルールのアイコンの隣にレーダーと思われるアイコンを押してみる、するとクリーチャーを探すようなレーダーが写りだす。

 

「これはクリーチャーを探知するためのものだよ、より近くにいると頭にビジョンが浮かぶけど凄い離れてもこれが探知してくれるんだ、エネルギーを補給してない奴には安心だね!黒幕もチミタチの戦いを待ってるんだ!残りは21人次は誰がやられるのかな~?じゃぁ皆さんどんどん戦ってね~」

 

そう言い残しモニタはUFOにさらわれる様に上空へゆっくり吸い込まるそれをハルトが追いかけようとした瞬間目に映ったのは部屋の天井だった。

 

「アレ?戻った…ってここは?」

 

ハルトのいる場所は街のより所の宿だった、何が何だかサッパリ分からないハルト、辺りを見回していると後ろから凜がポンっと肩を叩いた。

 

「やぁ、目覚めかい」

 

「あっ…アンタは?」

 

ハルトは凜の顔をよく覚えていない、無理もない始めてあった時は意識が朦朧としてたのだから

 

「じゃぁ改めて、星流凜だ」

 

「しっ…獅子堂ハルトだ」

 

昨日の事もあり少し不安気なハルト、そんな彼に凜は―――

 

「心配するな、俺もお前と同じだ、戦うつもりなんてない」

 

それを聞いたハルトは少し安心した様子をみせる。

 

「そっか~1人でも気持ちが同じ奴がいると助かるよ、ってかアンタが俺をここまで?」

 

「まぁな、宿だがな、俺は旅をしている身なんでな」

 

風来坊の様なマント、旅人が使う洗濯袋、確かに旅人って感じだ。

 

「って事はアンタもさっきあの場所に?」

 

「まぁな、しかし一体何者なんだ?黒幕って言うのは俺達を戦わせて何になるというのか?」

 

考えれば考える程謎が深まる、そんな中ハルトはある事に気付く、時計を見ていると時刻は8時40分、そしてカレンダーを見ると今日は5月24日月曜日、と言う事は……

 

「あ――――っ!!遅刻確定だ!!しかも家に戻らないといけないし…ハァ」

 

旅館からハルトの家までおおよそ1時間、学校まで約30分遅刻どころか大遅刻だ。どうしようもなく焦るハルトに凜はお腹を抱えて笑う。

 

「ハハっ、こんな時に学校の心配か」

 

「単位取れなきゃ留年なんだよ!!どうしよう…取りあえず彩に電話しとくか…」

 

ハルトは慌てて彩に電話を掛ける、しかし返って来たのは予想外の言葉であった。

 

「ハルト!?今学校が…大変な事になってるの!!」

 

「学校が…!?おいっ一体何があったんだよ!?」

 

「それがね、突然シャッターが閉まって全員閉じ込められ…っ」

 

言葉の途中で電話が切れた、何が起こったのか全く分からない、凜も心配そうな顔をする。

 

「とにかく早く向かおう!」

 

「あっ…あぁ!!分かった!!」

 

ハルトと凜はテレビにデバイスを翳しハルトは右二の腕に凜は左二の腕にアタッチメントに取り付けられ「セットオン!」と叫びデバイスをアタッチメントに取り付けハルトはソルリベリオンを凜はスターリベリオンを装着する、2人はサイバープログラムからショートカットで学校に向かうためスターウェイブに乗り移動する。走るよりも早くテクノアカデミー高へ辿り着いた、窓やドアはシャッターで絞められ生徒や教師の殆どが閉じ込められた状態だった、周囲には警察や事態を嗅ぎ付けてやってきた人やマスコミでいっぱいだ。

 

凜はデバイスのレーダー機能を使いクリーチャーがいないか確認をする、レーダーには反応がない。

 

「…クリーチャーはいない様だ」

 

「それじゃぁ、一体どうなって…」

 

するとハルトのスマートフォンが鳴り始める、見てみると非通知と書かれた人物からの電話だった、おそるおそる電話に出ると―――

 

「はぁ~い楽しんでもらえてるでようか~?」

 

要人からの電話だった、要人はテクノアカデミー高の全体が見えるビルの屋上にいる、ハルトはその声に強くスマホを握り締める。何故要人がハルトの携帯番号や学校先を知っているのか…それは昨日戦った後にハルトが気を失ってる時に彼のスマホを覗いていた、その為彼の電話番号や学校の事を知っていた。

 

「お前…何したんだ!?」

 

「いやねぇ~ちょっとした事を始めようと思ってね~これからアンタの学校に僕の契約クリーチャーがエサをばらまく、そしてクリーチャーが大量に発生してそれを生中継と言う訳さ、カメラは各地に設置してあるからどこからでも見れる様になってるよ~あぁでもアンタが1人で助けて何人守れるか?ってのも面白そうだね~どうだい素晴らしいショーだと思わない?」

 

要人のやろうとしている事は今まで不良を追い回す動画を大規模にテクノアカデミー高の中で繰り広げようとしていた、しかし要人は社会に貢献しない人達しか狙わなかったが…

ディスティニーラチェルタがデバイス反応しなかったのは要人が特殊な電波で妨害しているからだ。

 

「何でこんな事にしたかって?アンタが悪いんだよ~だって戦う気にならないから、だから理由を作ってちゃんとバトルに参加してもらいたんだよ~」

 

全てはハルトを戦わせる為にその理由を作るためだけに、要人にとってやる事全てエンターテインメントの様に思っている。その勝手ぶりにハルトも我慢の限界だった。

 

「そんな事の為に俺の学校を巻き込んだってのか!?んだったら俺を襲撃すりゃいいじゃねぇか!!」

 

「だ~か~ら~それじゃつまらないって言ってるの!言ったじゃん~やるなら面白いほうがいいってさ~まっよろしく頼むよ~んじゃバイバ~イ」

 

要人はご機嫌な口調で電話を切る、ハルトは怒りのあまりデバイスを強く握り締めるのであった。

 

「あぁそうかよ…だったら望み通り…」

 

ハルトは学校のみんなを助けるのに頭がいっぱいだった、間に合わない内に助けに行こうとポケットに仕舞っていたデバイスを手にする、しかし凜がハルトの肩を掴み止めようとする。

 

「おい待て!それじゃ相手の思うツボだ」

 

「じゃぁどうしろって言うんだよ!?これじゃぁみんなが…俺のせいで…」

 

ハルトは拳を強く握り膝から崩れ落ちた。凜も助けたいがうかつに近づけず悔しさを滲みだす。

 

◇◆◇

 

伊織も校内に閉じ込められていた、リベリオンになれば脱出できるが1人皆を置いて出る訳にはいかない、それに周囲にバレてはなるまいと不本意であるが校内に残っていた。そんな中図書室に隠れる彩を見つける。

 

「あっアンタ…」

 

「浮かない顔してるな」

 

彩は体育座りをしながら少し不安な表情を見せ、伊織はその隣に座る。

 

「よく起こるよね…こういう事」

 

「あぁ…おっかないもんだ」

 

伊織は彩が小さくハルトの名前を呼んでる事に気付いた、頭を抱え自分の不甲斐無さに悔しがる。

 

(っく…何で俺が悔しがるんだ!?でも放っておけないってのは分かって来たかもな…失うのが恐くてやりたくなかったんだ…)

 

伊織は図書室に遭ったパソコンにブルームーンファルコンのカードを翳した、ブルームーンファルコンはパソコンの中に入り込む。

 

「頼んだぞ」

 

伊織はブルームーンファルコンを使い代わりにサイバープログラムの中を調査してもらう事にした、以前クリーチャーを失った事からまた失うのではないかと不安だったが、彩の姿を見て気が変わった様だ。

 

「あくまで借りを返しただけだ…あぁそうだ」

 

ハルトに何度か助けられた借りを返しただけだと自分に暗示をかける伊織。

ブルームーンファルコンは辺りを見回していると学校の屋上の方にマークインのメモリーを持ち移動しているディスティニーラチェルタの姿を発見し、妨害する様に嘴で襲いにかかる

 

「キィィィィィィィィィィ!!」

 

ブルームーンファルコンは雄たけびを上げ自慢の嘴と爪を活かしディスティニーラチェルタを足止めしている、ハルトと凜はその光景のビジョンが脳内に浮かぶ。

 

「まさか…伊織の奴が!?」

 

「でも…ルナリベリオンが見当たらない…リベリオンになれない代わりにクリーチャーで足止めか…フンッ、アイツもお人好しだな」

 

ハルトと凜は周りを取り囲んでる警官をくぐり抜け校舎の近くに向かう、そこでリベリオンを装着出来る電子機器や電気の通る所を探すが、こんな時に限って見当たらない。

 

「え~っと、あるのはスピーカーだけ…でも高くて使うことが出来ない…っくそ!!こもままじゃあのガキの思うままだ…」

 

リベリオンを装着する際に電子機器などに近づける距離はおよそ3㎝程、そのため遠くからでは使用する事が出来ない、焦り始めるハルトに凜が提案する。

 

「仕方ない、こうなったら屋上に登るしかない」

 

「屋上に登るったってどうやって登るんだよ!?」

 

屋上なら近くに校内放送用のモニターがある、それを介せばリベリオンを装着する事は出来る、しかし屋上まで約15m、登る事はほぼ不可能に近いが…

 

「こうするのさっ!!」

 

凜は校舎に取り付けられている太いパイプを伝って屋上まで登り始めた、ハルトもそれを真似て反対側のパイプを伝って屋上へ向かう。

 

◇◆◇

 

その頃要人はディスティニーラチェルタがブルームーンファルコンに足止めされてる事に気付いていた。

 

「全く…しょうがないね…セットオン!」

 

要人は手に持っていたパソコンにデバイスを翳しデバイスを振り下ろす様に構えデバイスをアタッチメントが取り付けフォーチュンリベリオンを装着し、サイバープログラムへ向かい、すぐ様ディスティニーラチェルタのいる学校の屋上へと駆け付ける。

 

「全く手こずらせちゃって……まぁ1匹程度大したことないけどねっ!!」

 

フォーチュンリベリオンはブルームーンファルコンに右足の強烈なキックをお見舞いする、倒れてる所に左足で蹴り上げる。伊織にその光景がビジョンで流れ出す。

 

「お出ましか…悪いが少しここで待ってくれ、辺りの様子を見てくる」

 

「あっ…うん、気を付けてね」

 

伊織はブルームーンファルコンを助けるため図書室を出る、それを見ていた彩は不安げだが以前よりは辛抱している。

 

自分だけ逃げるのを拒んだ伊織だがまたクリーチャーを失う事に恐れており過去の戦いがフラッシュッバックする。

すぐ様パソコン室に駆け付けた、幸い人は誰もいない、伊織はデバイスをパソコンのモニターに翳し右腕で刀を構えるポーズをし「セットオン!」の叫びと共に左腕に持っていたデバイスを右二の腕に取り付けルナリベリオンを装着する、パソコンの中に入り込みゲートブースターを介してサイバープログラムへ向かう。

 

「あそこか…」

 

伊織は100mを6秒で走るスピードでフォーチュンリベリオンのいる方に駆ける。

 

「ん?ご主人様の到来かな?」

 

それに気づいたフォーチュンリベリオンは左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し左胸をスライドさせ現れたデバイスにシステムメモリーを装填する「ナックルイン」の電子音声と共にホイールパンチャーが召喚され両腕に装備する、そのままルナリベリオンの方向へ突撃し両腕でストレートに殴り飛ばす。

 

「んなっ!?やってくれるな…」

 

ルナリベリオンは倒れ込むもすぐ様立ち上がり左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し真月に取り付けてあるデバイスに装填し「ソードイン」の電子音声と共に牙王天羽々斬が召喚され両手で持ち、反撃を行う。

 

シャキィィン――――!!牙王天羽々斬の斬撃がフォーチュンリベリオンに直撃する、硬い装甲も斬撃の攻撃に斬り付けられ6㎝程のカーブ状の切り傷が付く。

 

「ウソ!?案外やるじゃん~でもそろそろタイムオーバーなわけっ」

 

フォーチュンリベリオンは屋上のドアを叩き怖し左腰のホルダーからシステムメモリーを4本取り出す。

 

「これだけあれば十分ゲストは寄って来るでしょう」

 

マークインを4本…それ放てば多くのクリーチャーが呼び寄せられ現実世界へ現れ学校は悲惨な光景と化す、それを阻止しようとルナリベリオンが真月で斬り掛かろうとするがディスティニーラチェルタの突進に阻まれてしまう。

 

「それじゃぁ…第二ラウンド…って何よ?」

 

フォーチュンリベリオンがマークインのメモリーを投げようとしたその時、突然持っていたスマートフォンが鳴り始める。画面を開くとそこにはハッキングされた様な魔女が笑う画面になっていた……一方現実世界では―――

 

「もうちょいか…あと一息だな!!」

 

「あぁ…間に合えばいいが…」

 

ハルトと凜はあれから約半分程登っていた、あと一息とペースを上げる2人、すると突然シャッターが開きだす、その場所は偶然にも彩のいる図書室だった!!

 

「どういう事だ…突然開いた…一体何が?」

 

突然シャッターが開いた事に驚く凜、そしてハルトが最初に発見したのは彩だった。

 

「彩っ!!俺だ!!ここあけてくれ!!」

 

ハルトは彩に気付いてもらう様に右足で窓をドンドン蹴り始める。

 

「ハルト!?何でこんな所に!?今開けるから待ってて!!」

 

ハルトに気付いた彩は急いで窓を開ける、2人が窓から図書室へ飛び移る、ハルトは慣れない事をしたからか着地に失敗する、凜は見事に着地に成功する。

 

「大丈夫か!?屋上から向かおうとしたんだけど一体何で突然シャッターが開いたんだ?」

 

やはり突然シャッターが開いた事に3人は疑問を抱いていた、そんな時ある生徒のつぶやきを聞いた

 

「なぁ?やっぱコレってワルプルギスのおかげじゃね!!」「だよなぁ、こんな事出来るのあのワルプルギスぐらいだよな」

 

生徒達の言う「ワルプルギス」それは一体何なのか……?

 

「もしかして…あのワルプルギス!?天才ゲーマーの!?」

 

彩はふとワルプルギスの事を思い出した。

ワルプルギス…それは多数の動画サイトで有名な天才プロゲーマー実況プレイヤー、しかし何故今回の件に関わるのか……?

 

「確か噂で聞いた事あるんだよ…」

 

その噂とは……本業はハッカーである事、それなら納得がいくだろう。そしてその正体は「このテクノアカデミー高の卒業生である事」……

 

果たしてそのワルプルギスの正体とは…一仕事終えた様に額を拭く姿……果たしてその人物は……

 

「愛しき母校を襲うなんて…私に喧嘩売ってるも当然だっての」

 

その正体は何とハルトの姉である獅子堂夏姫であった!!部屋から籠る理由…ゲーム動画を撮っていた…それなら納得がつくだろう、ハルト自身も知らないであろう…まさか自分の姉がプロゲーマーでハッカーであるなんて…

 

「とにかくお前は避難してろ!!」

 

「ちょっと待って!!まだ伊織が!!」

 

彩は様子を見に行った伊織の事を気にしていた、ハルトは心配させまいと彼女の肩を掴む。

 

「しょうがねぇ奴だな~!!分かった、後は俺達で何とかするから!」

 

ハルトが顔を頷くと凜も相づち打つ様に顔を頷き図書室を出る、彩も急いで図書室を出て校庭の方へ向かう。

 

一方計画を邪魔されたフォーチュンリベリオンは酷く苛立っていた。

 

「っく邪魔してくれちゃってさ!!これじゃぁせっかくのショーが台無しじゃんか!!」

 

その隙を突く様に後ろからルナリベリオンが牙王天羽々斬で斬り付け7m程吹き飛ばされる、フォーチュンリベリオンは立ちすくみ動けない、そこにルナリベリオンがゆっくりと近づく……

 

その頃ハルトと凜は図書室のパソコンからリベリオンを装着しルナリベリオンとフォーチュンリベリオンを探していた、屋上の方へ向かおうとするがそこへ前回逃したシャープスネイクの左腕の尻尾の攻撃が2人を阻む!!

 

「っく……こんな時に!!」

 

「だがここで邪魔してくれたのが幸いだったな」

 

もしもシャープスネイクが現実世界に侵入していたら校舎内は大惨事であっただろう、そうならなかった事にスターリベリオンは安心した。

 

「シャァァァァァァァ!!」

 

シャープスネイクは口から紫色の体液を吐き出す、2人はそれを避ける、避けた先の教室に体液が当たり壁が溶けだす。

 

「うっそだろ!?当たったら一溜まりもねぇぞ!!」

 

「だったら一気にカタを着けよう!!」

 

スターリベリオンとソルリベリオンはホルダーからシステムメモリーを取り出しデバイスに装填する、ソルリベリオンは「バスターイン」の電子音声と共にレオバスターが召喚され左腕に取り付けエネルギーをチャージし瞬時にエネルギーが溜る。

 

ブァァァァ―――ン!!

 

必殺技(ブレイズレオバスター)がシャープスネイクに目掛けて撃ち込まれる。

 

スターリベリオンは「フィニッシュイン」の電子音声と共にスターウェイブが召喚され飛び乗り

 

シャープスネイクの真上の方に飛び小型の星型手裏剣を飛ばし最後に相手に突撃する

 

ファァァァァァァ、ズドォォォォォォォォッン!!

 

スターメテオが直撃する。2大必殺をくらいシャープスネイクは突き破られた窓から10m程吹き飛び爆発する。

 

「何とか倒したな……」

 

「あぁ…それより先へ急ごう」

 

2人は急いでルナリベリオンのいる屋上へ向かう、屋上に着きその目に見た光景は牙王天羽々斬をフォーチュンリベリオンの喉元に突き付けるルナリベリオンの姿だった。

 

「勝負あり…だな」

 

「おい、やめろ!!その手を汚せば二度とあの頃には戻れなくなるぞ!!」

 

「俺は…この戦いに勝たなきゃならない!!」

 

スターリベリオンの説得を耳にせずルナリベリオンは牙王天羽々斬をフォーチュンリベリオンを真っ二つにする様に振り下ろす、ソルリベリオンはそれを止めようと走り出す

果たしてどうなるのか――――――?

 

1機追加により、現在リベリオン使用者22人中残り21人

 

ToBe Continued……




【今回のリベリオン&クリーチャー】

フールリベリオン

【全長】189㎝

【体重】83キロ

【総合ランク】A+

【常設武器】壊砕牙ダイルデンジャー

【使用メモリー】


【ソードイン】
ダイルブレード ランクB
バイオヘルダイルの尻尾を模した鋸型の剣、かなりの破壊力を誇っている。下部のヒモを引っ張るとチェーンソーの様に振動しあらゆる物を破壊する。

黒崎我怨が使用するリベリオン。タロットカードの「FOOL」を意味する。
メインカラーはダークグレー、全体がワニの皮膚を思わせる装甲をしており眼も他のリベリオンと異なり鋭いデザインをしている。
身軽な格闘戦や襲撃を得意としており我怨本人の凶暴性がそれに加わり強力な力を持っている。
21体のリベリオンとは異なり黒幕が急遽追加させたリベリオンである。

【契約クリーチャー】バイオヘルダイル

【全長】5m

【体重】400キロ

ダークグレーのクロコダイル型のクリーチャー。ランクA+
強力な顎を持ちあらゆる物を噛み砕く。体格とは裏腹に速い動きをする。

イエナイェーガー

ハイエナ型のクリーチャー。ランクC-
団体行動を基本としている。山賊の様な格好をしており、山刀や武器腕型のハンドガンを武器にしている。
とても大衆の臭い個体も存在する。リーダーは赤いタスキを着けている。

今回登場したフールリベリオンはとにかく脅威な存在となります…彼の登場により加速する戦いに嵐が巻き起こります!!

急遽リベリオンを追加させた黒幕…その目的とは!?モニタのいる部屋は使用者にどう影響させるのか?

次回第1部クライマックス直前…どの様な展開が起きるのか…

それではまた次回!!

感想お待ちしてます

メインキャラの中で誰が1番好きか?

  • 獅子堂ハルト
  • 三日月伊織
  • 国枝半蔵
  • 黒崎我怨

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