アルカナTHEリベリオン   作:イオ・りん

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前回のあらすじ

伊織はスターリベリオンの使用者である星流凜と出会う、彼と戦うが引き分けに終わる。
凜は戦いを終わらせる為に行動するそして妹を救う為に戦う伊織…彼の心に迷いが生まれる
葵の笑顔に何を思わすのか……?
そしてハルトは謎のリベリオンに襲われる、果たしてその正体は!?


第8話「動き出す輪」

伊織と凜が出会った同時刻、ハルトと彩は2人で出掛けていた。

 

「これってさ・・・デートに見えないかな?」

「ハァ?何時もこんな感じだろガキん頃から」

 

彩はハルトと歩いてるところをデートに見えないか聞いたがハルトにそんなつもりは全くない、むしろ何時もの事だから特に違和感さえない

 

「だよね~」

 

笑って誤魔化す彩。しかし、心の中ではちょっと残念そうだった。

2人が歩いていると、路地裏から大きな声が聞こえた。

その方向を見ると、若竹緑色の短髪の中学生らしき灰色の学生服を着た少年が、不良3人に絡まれていた。

 

「あの・・・・・僕、お金なんて・・・・・・」

「随分持ってそうな服装じゃぁねえか~ホレ3枚で十分だからさ~」

「この服の落とし前としては、足りないけどなぁ~」

 

不良たちの服は少し汚れていた。よくある当たり屋と言う奴だ、彩はスマートフォンを手に取り、警察に通報しようとしたがハルトが突然不良達の懐へ入り込んで、少年を庇う。

 

「おいおい、中学生相手に大人げないんじゃないスか!?それにそれくらい洗えば落ちるって」

「あぁ!?いきなり割り込んで偉そうな口聞いてんじゃねぇぞ!!」

 

後先考えないハルトの言葉、それに不良たちは怒り拳を大きく振りかざし、ハルトに殴りかかろうとする。

しかしハルトは不思議と体が動き、その拳を軽々と避ける、リベリオンとして戦ってきたハルトにとって、これくらいの動きは遅く見えた様だ

 

「アレ?避けちゃった・・・・・・・・」

 

自分でも唖然とするハルト、しかし隙を取られたかもう1人の不良に頬を殴られ、壁の方に叩きつけられてしまう。

 

「何だ、マグレじゃねぇか!驚かせやがってよぉ!!」

 

不良たちは容赦なくハルトに殴りかかろうとしたその時、パトカーのサイレンが鳴り響いた。

それを聞いた不良達は、慌ててその場を逃げ出した。壁にもたれ掛かるハルトに、彩が駆け寄る。

 

「全く・・・アタシが警察呼ばなかったらどうなってた事か・・・」

 

「おかげて助かったんだ、サンキュな。ってところでお前は大丈夫か?」

 

ハルトは彩の手を借り、立ち上がった。そして少年の方に向かい、彼を心配する。

 

「あっ・・・えっと・・・・大丈夫ですじゃっじゃぁ僕はこれで」

 

少年は怖くなってしまったのか、その場を駆け足で去る。

 

「イテテテ・・・」

 

ハルトは殴られた頬を抑える。

 

「そういえばさ・・・不良である噂を聞いたんだけどさ・・・」

 

「噂?」

 

「最近不良達が、怪物に襲われてる動画をよく見るって」

 

「怪物に!?しかも動画に取られているって・・・・まさかな」

 

動画サイト(ビーキューブ)でここ最近不良を中心に、怪物に襲われ、追いかけられる動画が最近になって、頻繁に投稿されている。まるで捕まったら死ぬ鬼ごっこの様に・・・・・・・・・

ハルトはそれをリベリオン使用者の仕業なんじゃないかと思っていた。

 

「またあの時の様な事があると・・・・・・・・ちょっと怖いな」

 

今まで強がってた彩だが、最近は本音を漏らす様になった。

ハルトはそんな彩の肩を叩いた。

 

「お前が心配するような事は何もねぇよ!だから安心しろ」

 

ハルトの言葉に彩は顔を赤くする。

 

「ハルト・・・・分かった!ハルトを信じるよ!」

 

ハルトの事を強く信頼する彩。

 

その夜、ハルトは不良のいそうな廃工場へと向かった。3件程探し、ようやく不良グループを発見した。

しかも昼間に会った不良だった。中をコッソリと除くと、6人おり、警察から逃げた事を笑話しにしている。

辺りを見回すが、他に人はいなさそうだ。そんな時、何かが落ちてくる音がした、不良達はその方向へと向かい、拾った。

 

その瞬間――――――背後から1人の不良の襟首を舐める様なゾッとした感触が襲う。

後ろを振り向いてみるとそこには、前回、伊織と凜の遭遇したブラッドコブラに、その同族と思われるヘビのクリーチャー(シャープスネイク)が目の前にいた。

 

不良達は、恐怖に見舞われた顔をしながら、逃げ出す。

しかし、やや太り気味の不良は、逃げ遅れてしまい、シャープスネイクの尻尾を模した左腕に足を縛られ、スマートフォンのある方向へ投げられ吸い込まれていく。

 

「マジったのかよ・・・・これもあの時みたいに・・・・・・」

 

俺はかつて起こった連続殺人怪事件の事を思い出した。

切島先輩の様に快楽的にこの様な事をしているなら、尚更許せない・・・・・・!

 

ハルトが左手の拳を握り、不良たちを助けようとした時、隣で誰かの笑い声が聞こえた。

 

「アハハハハ!!逃げるね~いいよぉ、そうでなくちゃ楽しくないもんね~」

 

ハルトがその方向を見てみると、隣にいたのは昼間絡まれていた少年だった。

片手にはビデオカメラを持っていた。つまりは少年このが犯人だった―――

 

少年の名前は和野要人(わのかなめ)

 

「おい・・・・・まさかお前なのか?こんな事したのは?」

 

「ん、あぁいたんだ、どうコレ?スリルあるよねぇ~」

 

要人の表情は、昼にあったオドオドした態度とは違い、今この光景を楽しんでまるで視聴者目線で見ている顔だ。

ハルトはその変わり様に、驚きを隠せなかった。

 

「お前もきりっ・・・・デッドリベリオンの様に、楽しんでやってるのか?」

 

「デッド?あぁ~あの連続殺人怪事件の、僕をあんな変態と一緒にしないでよ、僕が楽しんでもらうのはギャラリー達だよ」

 

要人の言うギャラリー、つまりは動画を見る視聴者の事だ。

彼が投稿した動画は、どれも10万回近く視聴されている。

彼らが求めてるものは、そう「刺激」だ。

 

「人生ってさ~同じ事ばかりでつまらないじゃん?だから僕が刺激を与えてるんだよ~どうせやるなら面白い方が楽しいに決まってるじゃん!!」

 

つまらない人生に刺激を与える事・・・・・それだけの理由で関係ない人を巻き込む…要人はわざと絡まれたフリをして契約クリーチャーに不良を追跡させ油断している所を襲わせた

 

「ってかさ~アンタが必死こいて僕を助けたのには笑えたわ、あの時お腹痛すぎて仕方なかったよ~」

 

要人は今でも笑が止まらなく腹を抑えている、その勝手すぎる行動にハルトは限界だった。

 

「だからって無差別に人を巻き込む奴があるかよ!!」

 

「無差別?何言ってるの、僕が襲わせているのはあくまで、社会に貢献できない奴らだけだよ」

 

言われてみれば襲われていたのは全て不良だった。要人も誰かれ構わず人を襲わせていた訳じゃない。

 

「って・・・・どうやらアンタもリベリオン使用者っぽいね」

 

要人は今更ハルトがリベリオン使用者だと言う事に気が付いた、それほど眼中になかったのだろう。

するとそこへブラッドコブラとシャープスネイクが2人に飛び掛かって来た、どうやらあの2匹は要人の契約クリーチャーではない様だ。

 

「あ~やっぱこうなっちゃうよね、また証拠隠滅しなきゃじゃん」

 

要人はポケットからアルカナ・デバイスを取り出した。

デバイスには輪っかに囲まれた尖ったトカゲの様なデザインをしていた。

 

デバイスを不良のバイクにあったタブレットに近づけ、左二の腕にアタッチメントが取り付けられる。

デバイスを振り下ろす様に構え「セットオン!」の叫びと共に、アタッチメントにデバイスを取り付ける。

 

そして赤茶色がベースのガタイの良い体型の姿でアルマジロトカゲを思わせる刺々しいデザインをした姿のリベリオン(フォーチュンリベリオン)に変身した。

今回はサイバープログラム内ではなく、現実世界での戦いのためそのままブラッドコブラに突撃する。

 

「っく・・・・・・セットオン―――!」

 

ハルトも遅れながらもソルリベリオンに変身し、シャープスネイクにパンチを浴びせる。

ブラッドコブラの尻尾を模した左腕の一撃が、フォーチュンリベリオンに直撃するもビクともしない。

どうやら防御力に特化したリベリオンなのだろう。

逆に、ブラッドコブラの左腕を掴み、右ストレートが炸裂する。

 

「これなら今日も楽チンだね、でもちょっと物足りないな~お手並み拝見としますか」

 

フォーチュンリベリオンは、余裕の表情を浮かべ、退屈そうに腕組みをする。

 

一方ソルリベリオンはレオンハートソードで、シャープスネイクを斬り付ける。

着々とダメージを与え有利に状況にある。その光景を見たフォーチュンリベリオンは、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出しソルリベリオンの方に投げる。

落ちたメモリーは突然ピンク色に光り出し、その光に反応する様に、ブラッドコブラはソルリベリオンの方向へ向かう。

 

「えっどうなってんだ?まさかコレか・・・・・・」

 

ソルリベリオンはクリーチャー2体に囲まれながらも、それを振り払い、フォーチュンリベリオンが投げたメモリーを手に取る、そこには「MARK IN(マークイン)」と書かれていた。

能力はクリーチャーを引き寄せる事、これを不良たちの近くに投げ、クリーチャーをおびき寄せたと言う事だ。

 

「あ~あ、ネタバレ早いよ、まっいいけどね」

 

フォーチュンリベリオンは、左腰のホルダーからシステムメモリーを取り出し、左胸をスライドさせ収納されていたデバイスに装填「ナックルイン」の電子音声と共に、太い棘が付いたタイヤの様な、ナックル系の格闘武器(ホイールパンチャー)を両手に装備させ2体のクリーチャーに殴りかかる。

 

「うわぁ・・・痛そうだな・・・」

 

ソルリベリオンは体をゾッとする様に、小刻みに震えた、フォーチュンリベリオンの容赦のない攻撃が、ブラッドコブラを吹き飛ばす――――――!

シャープスネイクは弱りながらも近くにあった車のドアを破壊し、カーナビの中に入り込み逃げ出す。

 

「1匹逃しちゃったよ・・・・・まぁ後でどうにでもなるけどね」

 

フォーチュンリベリオンは八つ当たりするかの様に、ブラッドコブラの腹部を蹴り、ホルダーからシステムメモリーを取り出しデバイスに装填「フィニッシュイン」の電子音声と共に、屋根の上から赤茶色のアルマジロトカゲ型のクリーチャー(ディスティニーラチェルタ)が丸くなった状態で転がながら現れる。

 

隣同士に立ったフォーチュンリベリオンとディスティニーラチェルタは、互いを回す様に臀部を持ち上げ、一斉に丸くなり高速でタイヤの様に回転しはじめ、ブラッドコブラ目掛けて突撃し連続で弾く。

最後に挟み撃ちにして、ブラッドコブラに激突し必殺技(ホイール・オブ・ディスティニー)が決まり、ブラッドコブラは爆発する。

ソルリベリオンはその光景を見ているしかなかった、その時フォーチュンリベリオンがこちらに近づく

 

「待てよ!リベリオン同士戦うつもりなんて・・・」

 

「ふぅ~ん、まっどうでもいいけどね――――ッ!」

 

ソルリベリオンの言葉を耳にせず、フォーチュンリベリオンはホイールパンチャーの左ジャブの一撃を喰らわせる。

その強烈な一撃に、ソルリベリオンは吹き飛ばされてしまった。

 

「グァっ・・・!?コイツっ・・・・・何なんだよ!」

 

「それじゃつまらないよ~もっと楽しませてよねっ!」

 

フォーチュンリベリオンは止める事なく、ソルリベリオンを殴り続ける。

一度抵抗はしたものの、それをいとも簡単に跳ね除けられる。そしてとうとう立つのが、やっとな状態に追い込まれてしまう。

 

「クッ・・・くそう・・・」

 

「ハァ・・・・アンタ予想以上につまらなすぎ、もういいよ」

 

攻撃をしないソルリベリオンに呆れてしまい、フォーチュンリベリオンは止めの一撃に鳩尾に右ストレートをお見舞いする。

ソルリベリオンの変身は解除され、ハルトはその場に倒れ込んでしまう。

 

「何かもう、つまらなくなっちゃったから、もう帰るわ」

 

フォーチュンリベリオンの変身を解除した要人は、その場を去る。

ハルトは視界がぼやけ、意識が少しづつ薄れてゆく。そこへクリーチャーの気配を追って来たのか、伊織と凜が駆け付けた。

そこで凜は倒れているハルトを発見する。

 

「おいお前、大丈夫か!?」

 

凜はハルトの肩を組む様に抱え、伊織に反対側の手伝いを頼む。

 

「ん・・・・伊織?とアンタは・・・?」

 

「星流凜だ、一体何があった?」

 

意識の戻ったハルトは伊織と凜に今回起こった事を話した。ハルトは悔しそうな表情を浮かべる、不甲斐無い自分に・・・・

 

「それでこのザマか、情けないな」

 

伊織はハルトを煽る様な態度をとる。

 

「取りあえず休ませた方がいい、今日は俺の泊まってる宿で休ませる事にするよ」

 

凜はハルトを、自分の泊まっている宿へ連れて行くことにした。

リベリオン同士の戦いを拒むハルトに呆れを感じつつも、伊織自身も複雑な心境を抱えたままであった。

 

◇◆◇

 

一方要人は、パソコンの画面が並んでいる部屋に籠っていた。

そしてその手にはディスティニーラチェルタの描かれた「WHEEL OF FORTUNE」(運命の輪)のタロットカードを手にしていた。そしてその画面には、テクノアカデミー高の校内の図面が写っていた。一体要人は何を企ているのか・・・・・・・?

 

「フフフ・・・これは今まで以上に面白そうな事になりそうだね・・・」

 

そして時を同じく・・・・・・・

 

「噂通りだよ・・・・イカれた奴だよ・・・・敵うワケねぇよ――――――!」

 

古びた協会で50人近くの不良が、1人の赤髪に黒色のメッシュに、血に染まった様な赤い瞳を持つ男に、全滅させられていた・・・その男は右手に掛かっていた返り血を舐める。

 

「弱ぇ・・・・もっと・・・・強い奴はいねぇのかぁ!!」

 

苛立つ様に左手に持っていた鉄パイプで、鐘に目がけて投げつける。

鉄パイプは命中し鐘の音が鳴り響く。まるで倒れた不良達へのささやかな音色の様に・・・この男は一体何者なのか―――

 

 

現在リベリオン使用者21人中残り20人

 

ToBe Continued……




【今回のリベリオン&クリーチャー】


フォーチュンリベリオン

【全長】189㎝

【体重】120キロ

【総合ランク】B+

【常設武器】無し

【使用メモリー】


【ナックルイン】
ホイールパンチャー ランクC+
太い棘の付いたタイヤの様なナックル型の格闘武器、耐久性もあるため小型盾としても使用できる。

【マークイン】
ブリングサイン ランク無し
クリーチャーを引き寄せる、このメモリーは基本デバイスに装填せずクリーチャーをおびき寄せたい所に投げつける。デバイスに装填した場合自身にクリーチャーが寄って来る。またリベリオンを使用せずとも使う事が出来る。

【フィニッシュイン】
ホイール・オブ・ディスティニー ランクB
ディスティニーラチェルタと共に転がりながら回転し相手を連続で弾き止めに挟み撃ちにして相手に激突する。

和野要人が使用するリベリオン、タロットカードの「WHEEL OF FORTUNE」を意味する。
メインカラーは赤茶色、常設武器が無いものの強固な装甲「機重甲イージスアルモア」と耐久力を誇りそれを活かした肉弾戦を得意とする。デバイスは左胸に収納されている。

【契約クリーチャー】ディスティニーラチェルタ

【全長】210㎝

【体重】140キロ

赤茶色のアルマジロトカゲ型のクリーチャー。ランクB、ラチェルタはラテン語で「トカゲ」を意味末る。丸くなる事で高速で回転し相手に激突する、フォーチュン同様防御力と耐久力に優れている為ちょっとやそっとじゃダメージを与えられない。


シャープスネイク
ブラッドコブラと同族のヘビ型のクリーチャー。ランクC+
ヘビの尻尾を模した左腕が武器でムチやロープの様な攻撃を行う。


今回現れたフォーチュンリベリオン…彼はつまらない日常に刺激を与えるために行った行為…デッドリベリオン同様自己満足なのかもしれないが規模が違う…視聴者さえも刺激させてしまう…果たしてこの行いがどう出るのか?
そして次回は要人の計画が襲い掛かる!!そして最後に現れた男は一体どう関わるのか?

それではまた次回!!

メインキャラの中で誰が1番好きか?

  • 獅子堂ハルト
  • 三日月伊織
  • 国枝半蔵
  • 黒崎我怨

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