アルカナTHEリベリオン   作:イオ・りん

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前回のあらすじ

由那を助ける事で必死の伊織にクリーチャーが襲い掛かる。
そこにチャリオットリベリオンの襲撃に遭い痛手を負う、間一髪撤退した伊織、自分の力のなさに不甲斐無いと感じ焦る。


第7話「流れつく星」

ルナリベリオンとチャリオットリベリオンの戦闘が起こったその日の夜。

展望台でハーモニカで、キラキラ星を吹く白髪の少年がいた。その男の腰には、黄色いアルカナ・デバイスが取り付けられている。この彼もまたリベリオン使用者なのか・・・・・

 

 

翌日、伊織は落ち着かないのか、白のTシャツと黒のYシャツの服装で、外を出歩いていた。

行く当てもないまま、公園の噴水広場で座り込んでいると、近くからハーモニカでキラキラ星を吹く音が聴こえる。

音のする方を向くとそこには、ハーモニカを吹く白い髪少年と、その周りに、子供たちが聴きに来た様に側にいた。

伊織も自然と癒される様に、その音を目をつむり聞く。

 

キラキラ星を吹き終えた少年は、伊織の方へ向かい、隣に座り出す。そしてある一言を呟いた―――――

 

「月の正位置、不安、裏切り、未来が見えない」

 

「なっ―――!?」

 

それはタロットカードの月の暗示だった。

伊織は少年の方を振り向く。それに月を口にする事から、少年がリベリオン使用者だと確信した。

 

「だが悪い事ばかりじゃないさ、逆位置は好転の兆し、いい事だってあるさ」

 

今度は逆位置の方を呟く、好転の兆し・・・良い事のある、明るい未来が待ってると言う事。

少年は伊織をからかってる訳ではなさそうだが―――

 

「何が言いたい・・・俺を馬鹿にしてるのか!?」

 

伊織は少年の胸ぐらを掴もうとするが、周りの子供達を気にしたからか、掴もうとした瞬間にとどまった。

 

「いや、お前、何処か焦ってる様子が見えたからな」

 

「俺が・・・焦ってる?そう思うか・・・だったら―――!!」

 

伊織が少年に、アルカナデバイスを突きつけ、戦いを挑もうとするが・・・・・・・・

 

「待て、俺は何も戦うつもりはない。けど、せめて戦うなら場所を変えよう」

 

そう言い少年は、伊織をある場所へ案内した。

その場所は廃校となった大学だ、人目も付かなく戦うには丁度良い所だ。

 

「ここなら、気を楽にして出来るだろ?」

 

「随分な場所を知ってるのな・・・とりあえず、アンタの名前ぐらいは聞いてやるよ」

 

「・・・星流凜(せいりゅうりん)だ」

 

少年の名は星流凜。

伊織は返答を返す様に、自分の名前を名乗る。

 

「三日月伊織だ、さっさと始めようぜ」

 

伊織は急かす様にして、凜にデバイスを突きつける。

凜も落ち着いた表情でデバイスを見せる、星を三角に並べたエンブレムが見える、STAR()の暗示だろう。

 

伊織と凜は、放送室と思われる部屋のモニターにデバイスを翳し「セットオン!」の言葉と共に伊織は右二の腕に、凜は左二の腕にデバイスを、アタッチメントに取り付ける。

伊織はルナリベリオンに、凜は黄色のカラーがベースの、肩は星を半分こにした様なアーマーが特徴のリベリオン(スターリベリオン)に変身し、モニターの中へ入り込む。

 

2人がゲートブースターを使い、サイバープログラムに到着するとすぐ様ゲートブースターを外し、ルナリベリオンは真月を、スターリベリオンは十字架型の盾(スターシールド)を構える。

 

「ウォォォォォォ―――!!」

 

「ハァァァァァァっ―――!!」

 

2人は勢いよく声を上げ、前に突き進み、互いの武器をぶつけ合う。

 

「コイツっ・・・手練れ手るな!?」

 

「それはどうもっ―――!」

 

スターリベリオンは、ルナリベリオンの腹部を蹴り飛ばす。

そして右腰のホルダーから、システムメモリーを取り出し、スターシールドに取り付けてある、デバイスに装填する「ソードイン」の電子音声と共に、空から星を二重に重ねた様な大きい手裏剣と思われる(スターブレード)が降り、それを右手で斬りかかる。

 

ルナリベリオンはそれを間一髪かわし、ホルダーからシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填し「シャドーイン」の電子音声と共に、自身の分身を4体生み出す。

相手を囲むように近づき、全員が真月を突きつける。

 

「これは・・・・参ったね―――」

 

辺りを見回し頭を抱える、しかしその口調は少し余裕が見える。

 

ルナリベリオンは分身全員と共に、スターリベリオンに真月を振り下ろそうとしたその時―――!

分身をある物体が突き抜ける様に、空中浮遊する。その物体はよく見ればヒトデを機械化させた様なクリーチャー(スターウェイブ)だった。

 

ファン―――!!ファン―――!!ファン―――!!

 

「アレが・・・コイツのクリーチャーか!?」

 

「そろそろ・・・終わりにしよう―――!」

 

スターリベリオンはシステムメモリーを取り出し、デバイスに装填し「フィニッシュイン」の電子音声と共に、スターウェイブの上に飛び乗り、スターウェイブの裏側から小さな星が無数に手裏剣の如く、ルナリベリオンの方に落とし、スターブレイドを二刀流に構え上空から急降下する様に、落下し必殺技(スターメテオ)が直撃する。

ルナリベリオンはスターメテオをまともに受け、校庭の方へ吹き飛ばされる。

 

ファァァァァァァ―――ズドォォォォォォォォッン―――!!

 

「クッ・・・!俺は・・・俺はっ!」

 

立ち上がろうとするルナリベリオンに、スターリベリオンがゆっくり近づく。

そしてスターブレードを、ルナリベリオンに振りかざす―――――

 

が、スターリベリオンは寸止めで止めた。それを逆手に取る様に、ルナリベリオンは真月でスターリベリオンを斬り付け、倒れ込ませる。

ルナリベリオンが、スターリベリオンに馬乗りし、真月でスターリベリオンの腹部を貫こうとした・・・・しかしそれも、寸止めで止めてしまった。ルナリベリオンの腕は震え、そして息が荒くなり始めた。

 

「そうか・・・お前はまだ・・・」

 

スターリベリオンがルナリベリオンを見つめ、何かを感じた。

その時2人に、現実世界で教室内で子供が迷い込み、ヘビを人型にしたクリーチャー(ブラッドコブラ)に狙われてるビジョンが流れ出した。

 

「これは、マズいね・・・!!」

 

スターリベリオンはすぐ様、現実世界に戻り、アーマーを解除し急いで教室の方へ向かう。

ルナリベリオンも変身は解除しないが、凜の向かう方向へ連いていく。

 

ブラッドコブラは、壊れかけたテレビから飛び出し、子供に襲い掛かろうとする――――――

しかし、凜がその場に駆け付け、ブラッドコブラを蹴り飛ばし、テレビの方へ飛ばし引きずり込まれいった。

どうやら子供は、クリーチャーに狙われていた事に気付いていない様だ。

 

「君、ダメじゃないか。こんな危ない所に1人で来ちゃ、さぁここから出ようか」

 

凜は子供を心配するように手を取り、大学から出た。

校門近くには、母親らしき女性が、子供を探す様にキョロキョロしていた。

 

「ユウ!もうっ心配させないでよ!!」

 

「ゴメンなさい・・・」

 

母親は子供を強く抱きしめた、子供も母親に謝った。

 

「ありがとうございます・・・本当に感謝してます!」

 

「いえいえ、無事で何よりです。僕、もう危ない事しちゃダメだよ」

 

凜は子供の頭を優しく撫で、笑顔を見せる。

それを後ろから見ている伊織。

 

「お前は・・・一体なんの為に・・・」

 

「理由なんて特にないさ・・・ただ1つあるとすれば、世界平和ってやつかな」

 

「世界平和」少なくとも欲望まみれな願いではない。ぞれを聞いた伊織はハルトを思い出す。

 

「っく・・・そんな事言う奴、あのバカ以外にいやがるとはな・・・」

 

「へぇ~俺以外に同じ事を考えてる奴がいるなんて・・・」

 

凜は伊織の言った言葉に、興味を示す。

 

「あぁ・・・だがそいつはバカで考えもしないで、行動しやがって、人の事情に首突っ込んで来やがって・・・」

 

伊織はハルトの事を嫌味を言う様に話した。その言葉に凜は・・・・・・

 

「フフッ、お前、随分ソイツを気にしてんのな」

 

「ハァ?そんなワケあるかっ!何が悲しくてあんなバカを・・・・」

 

伊織は頑なに否定した。しかしどこか同様している様に見える。

 

「だが、どうでもいいならそこまで言わないだろう」

 

その言葉に伊織は返す事も出来なかった。

 

「あぁ・・・まぁここじゃなんだ、落ち着いたところで話そう」

 

伊織と凜は、話すには丁度良い静かな喫茶店(トゥンクティ)へ向かった。

小鳥が静かに鳴き風が心地よい。2人はコーヒーを飲みながら話を続ける。

 

「別に俺は好んで戦う訳じゃないさ、ただ、相手から戦いを挑まれたら・・・致し方ないと思ってる」

 

「フンっ・・・俺にはどうしても勝たなきゃならない理由がある。誰であっても戦わなきゃならない」

 

「だが、お前は俺を倒せたのに倒せなかった。それは心のどこかで戸惑いを感じているからだ」

 

心の戸惑い・・・・由那や葵の気持ち、リベリオンを倒し続ける事、頭いっぱい悩み頭を抑える伊織。

するとそこへ、1人の男が伊織と凜の席に近づいてきた―――国枝半蔵だ。

 

「やっぱり・・・君だったんだね、あの青いリベリオンは」

 

「成程・・・つまりお前があの時の甲冑野郎(チャリオットリベリオン)と言う訳だ」

 

半蔵と伊織は互いにリベリオン使用者だった事を知った。

半蔵は少し挑発的な態度を取る。

何故、半蔵が伊織の事を知ってたか・・・・それは半蔵の通う高校、「華ヶ岬学園」(はるがさきがくえん)に伊織は入学する予定だったが、由那の事もありそれを辞退していた。

成績としては伊織の方が上だった為、半蔵にとって印象に残っていた。

 

「つまりは、そこの隣の君も使用者って訳だ」

 

「そういう事になるね、でもご生憎様、俺は戦うつもりはない」

 

半蔵は凜もリベリオン使用者である事を尋ね、凜は正直に答える。

 

「成程・・・まぁ僕も今日は戦いに来たわけじゃないさ。偶然姿を見たから一応確認って訳さ、それじゃぁ僕は原稿の続きがあるので」

 

半蔵は喫茶店を後にし、そして凜は自分の意見を述べる。

 

「だが正直言えばこの戦い、本当に望みが叶うと言うのか?そもそも誰が何の為に仕組んだ、出来る事ならこの戦いを終わらせたい」

 

「お前の意見は分かった、それでも俺は・・・家族の為に戦う、数少ない家族だからな・・・」

 

どこか浮かない表情の伊織、由那や葵の事を考えてだろうかハルトを倒す事にさえ同様を感じてしまう。

するとそこへ葵がやって来た、買い物の帰りだろうか。

 

「珍しいね、義兄さんがこんな所に来るなんて、隣の人は?」

 

「始めまして、俺は星流凜、伊織とは・・・友達って所かな」

 

初対面であった葵に凜は、紳士的な挨拶をした。そして友達と言う発言に伊織と葵が驚く。

 

「ちょっとまて!?何時から俺とお前は友達になった!?」

 

伊織は凜の肩を掴みだす、葵は何故か感激する様に、嬉し気な表情を浮かべる。

 

「義兄さんに友達!口は悪い兄ですがなにとぞよろしくお願いします!」

 

葵は伊織に友達が出来た事に喜んでいた。その光景に伊織は呆れて溜息をついた。

 

「っく・・・そういう事にしとくか、仕方のないこった」

 

少し笑った表情をする伊織、その顔を見て凜は微笑んだ。

 

◇◆◇

 

そしてその夜・・・・ハルトはというと―――

 

「グァっ!?・・・コイツっ・・・・何なんだよ!?」

 

「それじゃつまらないよ~もっと楽しませてよねっ―――!!」

 

ソルリベリオンが赤茶色がベースのガタイの良い体型の姿でアルマジロトカゲを思わせる刺々しいデザインをしており両手には棘のついたナックル系の武器を持ったリベリオンに吹き飛ばされていた、果たしてハルトに一体何があったのか!?

 

 

現在リベリオン使用者21人中残り20人

 

ToBe Continued……

 




【今回のリベリオン&クリーチャー】

スターリベリオン

【全長】195㎝

【体重】99キロ

【総合ランク】B

【常設武器】星天盾スターシールド

【使用メモリー】

【ソードイン】
スターソード ランクC
星を2つ重ねた様な大型の手裏剣の様な形をした剣、剣先が長く攻撃範囲が広い。

【フィニッシュイン】
スターメテオ ランクB
スターウェイブの上に乗り上空から小型の星型の手裏剣を相手に落とし最後に突撃する。
攻撃後の反動があるが直撃直前にスターメテオから降り反動を軽減させる。

星流凜が使用するリベリオン。星を半分に割った様な姿をしている。メインカラーは黄色。忍者の様なトリッキーな攻撃を得意としている。凜が戦いを好まないためかリベリオン同士の戦いでは本領を発揮していない模様。

【契約クリーチャー】スターウェイブ

【全長】300㎝

【体重】70キロ

黄色のヒトデを二重にして機械化させた様なクリーチャー。ランクA
背部から星型の手裏剣を放出する、スターリベリオンがそれを手に持ち武器にする事も可能(スターダート ランクD)スターリベリオンを乗せUFOの様な動きを見せる。水中での行動も可能とされている。


ブラッドコブラ
ヘビ型のクリーチャー。ランクB
口の牙を武器に噛まれたら最後全身を毒に犯され死に至らせる。


新たなリベリオン、スターリベリオン彼もまたハルト同様に戦いを好まず止めようとする考えを持つ。

少しは冷静になった伊織、しかしその先には数々のクリーチャーやリベリオンが待ち受ける彼の戦いに見出すものとは―――

タロットカードの暗示を語るのは魔術師(マジシャン)と言うイメージ強い方もいるかもしれませんね、スターの方が味方であってほしいと思い選抜しました!

そしてハルトに立ち塞がる新たなリベリオン…果たしてどうなるのか?

続きにご期待ください!!

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メインキャラの中で誰が1番好きか?

  • 獅子堂ハルト
  • 三日月伊織
  • 国枝半蔵
  • 黒崎我怨

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