ハイスクール・フリート 旭日のマーメイド   作:破壊神クルル

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64話 新たなる旅立ち

クラス解散を阻止するために署名活動を行った天照のクラスメイト達。

しかし、思ったよりも署名は集まらず、横須賀駅で署名活動をしていた鈴は現実を嘆いて駅前で涙を流し絶叫する。

 

「署名集まらないよぉ~!!」

 

「日に焼けちゃうよぉ~!!」

 

太陽の下で活動している為、日焼けをしてしまうと内田も嘆く。

美波曰く、署名してもらうにはまず、人を集めて趣旨を説明してから署名を貰わなければならないと言う。

だが、密封指示書の開封まであと残り二日。

二日までに解散阻止の署名を集めなければクラスは解散処分されるかもしれないと言う焦りもある。

そこへ、

 

「それなら、いい手があるよ」

 

報告書の作成を終えたもえかが合流し皆に策を授ける。

もえかは美海と共に公園の使用申請書など行政に届けるイベントに必要な書類を用意し、主計科の皆には食材と料理の下拵えをしてもらい、青木にはイベント告知のチラシを作成してもらう。

そしてチラシの他に天照がウィルスに感染した武蔵と戦った事が書かれている号外も作ってもらい、チラシと一緒に配り、天照の存在をアピールする狙いも含ませ、クラス解散阻止の材料とした。

 

もえかもクラス解散阻止に動き出したころ、西崎と立石はとある商店街のベンチの上で積み将棋をしていた。

 

「話しかけないでよ‥‥ぜぇ~ったいに話しかけないでよぉ~」

 

慎重に一つの駒を山積みになっている駒から引き抜いていく西崎。

しかし、駒が崩れてしまう。

 

「ああーっ!!しまった!!」

 

「うぃー」

 

次に立石のターンになると、何故か駒は接着剤でくっついているのかと疑ってしまう動きを見せた。

なんと、立石が掴んだ駒一つで山積みになっている駒全体が移動したのだ。

 

「嘘でしょう!?」

 

これには西崎も驚く。

 

「うぃ」

 

立石は西崎にドヤ顔をする。

これまで将棋で散々西崎に辛酸を舐めさせられて来た立石がついに将棋で西崎に勝つことが出来たのだ。

 

「ああー!!此方に居たんですね、実は‥‥」

 

そんな西崎と立石を幸子が見つけ、現状を説明した。

 

三笠公園では、和住や主計科、砲雷科の皆が屋台の製作を行っていた。

そして密封指示書の開封まであと一日前に迫った中、三笠公園では天照のクラスメイト達主催のカレーフェスが行われた。

以前、天照で提供していたカレーの販売の他にあかねが和菓子屋でバイトしていた時に作っていた甘納豆エクレアや砲雷科が中心となって企画したダーツ、射撃、輪投げ、ボーリングの屋台もある。

序にコスプレ衣装を来たマチコとの記念撮影ブースもあった。

しかし、肝心の人が辺りに居ない為、いまいち盛り上がりにかける。

このままでは時間切れで署名が集まらない。

そこへ、明乃と真白、角田達武蔵のクラスメイト達も合流し手伝ってくれることになった。

武蔵のクラスに関しては天照クラスと違い解散の噂などは一切無く、恐らくクラス全員が比叡辺りに移乗と言う事だと思い、こうして手伝いに来てくれたのだ。

公園内にある舞台で明乃ともえかがデュエットで歌を歌い、西崎と立石が漫才を行い、テア、ミーナ、真白と角田達が駅前まで行きチラシと号外を配る。

その成果があってか三笠公園には徐々に人が集まり始めた。

これならば署名活動も捗るかと思いきや、予想外の出来事が起きた。

予想よりも人の集まりが多く、飲食店の食材が切れかけた。

しかし、あかねと慧、聡子、若狭達機関科のメンバーが追加の食材を持って来た事でなんとかうまく回る事が出来た。

もえかと明乃が集まった人々に署名活動の趣旨を説明し、署名の協力を求める。

そして夕方になると黒木が用意した打ち上げ花火を打ち上げる。

 

「花火何て打ち上げていいんですか?」

 

打ち上げ花火は普通の花火と異なり様々な手続きや資格が必要だ。

それを心配して幸子は麻侖に尋ねる。

しかし、黒木が必要な手続きを行い、打ち上げ花火を出来る資格を持っている事から問題はないと言う。

花火玉に関しては砲雷科のお手製らしい。

出来るだけのことはやった、後は運を天に任せるしかない。

そして、今はクラスメイト達が集まったこのひと時を楽しみたいと思う皆だった。

カレーフェスは大盛況に終わり、打ち上げの際、皆はラムネで乾杯し、カレーフェスの成功を祝った。

署名もかなりの数が集まった。

 

「しかし、どこからクラス解散の噂がたったんだ?」

 

真白がそもそもの噂の出所を尋ねる。

 

「みかんちゃん達が間宮にスカウトされてたぞな」

 

「断ったけどね」

 

みかんが間宮からのスカウトを蹴った事を伝える。

 

「マロンちゃん達も明石にヘッドハントされて‥‥」

 

「それも断ったんでぇい」

 

「ええっ!?」

 

「万里小路さんと美波さんも誤解でしたし‥‥」

 

「あれ?ひょっとして‥‥」

 

「話広げたのって‥‥」

 

「えっ?私達?」

 

「‥‥」

 

砲雷科と機関科、鶫と慧が話しをここまで広げてしまった様で、真白は彼女らを睨む。

 

『ごめんなさい』

 

なにあともあれ、署名活動は成功したのでよしとしたもえかだった。

打ち上げが進んでいく中、砲雷科のメンバーはアドミラルシュペーの艦長であるテアの事をジッと見ていた。

テアと会うのはこれが初めてではないのだが、アドミラルシュペー救出後の祝賀会の時は自分達もどんちゃん騒ぎに夢中でテアの事をよく見る事を忘れたのだ。

なぜ、彼女達が今になってテアの事を見ているのか?

それは以前、こんな事があったのだ。

天照がオーシャンモール四国沖店に行き、立石が一時ウィルス感染し明石、間宮に発砲し平賀から事情聴取を受ける羽目になった時、当然天照のクラスメイト達も平賀に出会った。

それからある日のコト、食堂で砲雷科のメンバーが集まっている時、

 

「平賀さんすごかったね~」

 

姫路が突然平賀の事を褒めだす。

 

「平賀さん?」

 

武田は一瞬「えっ?平賀って誰?」って顔をする。

 

「ああ、ブルマーの」

 

そこを日置が補うかのように言う。

日置に言われて武田も平賀が誰なのかを思い出した。

しかし、何故姫路は突然平賀の事を褒めだしたのだろうか?

まぁ彼女は現役のブルーマーメイドなので学生である自分達からすれば憧れの対象ではあるが‥‥

 

「スキッパーの運転技術が凄いらしいよ。私習ってみたい」

 

平賀本人から聞いたのか小笠原は平賀がスキッパーの運転技術が高い事を知っていた。

 

「そう、それも凄いけどやっぱ凄いのが‥‥あのバスト!!」

 

姫路は平賀のブルーマーメイドとしての能力も凄いが胸の大きさも凄いと言う。

むしろ、ブルーマーメイドとしての能力よりも彼女の胸の方が印象が強かった。

 

『ああー』

 

姫路の言葉に納得する皆。

 

「あれはもうバキュンっというよりもドカーンって感じだよね~」

 

「流石ブルマー」

 

日置と小笠原はブルーマーメイドであるから平賀の胸は凄いと言うが、

 

「いやいや、胸は関係ないでしょう」

 

と武田は冷静にツッコム。

 

「うちのクラスのバスト事情を考えると砲雷科は肩身が狭いよね」

 

姫路が次は天照のクラスメイト全員のバストを比較した中で砲雷科のメンバーはやや胸の大きさに劣るのではないかと指摘すると、皆の顔が暗くなる。

 

「あれ?地雷踏んだ?」

 

「砲雷科だけにね‥‥」

 

取りあえず惨めになるので、自分達よりも他の科に目を向けて見た。

 

「機関科ではやっぱりサクラちゃんだよね」

 

松永が機関科一のバストの持ち主は断然伊勢であると言う。

 

「航海科は?」

 

次に武田が航海科のメンバーを尋ねると、

 

「うーん‥まゆちゃんかな?」

 

日置が航海科一のバストの持ち主は内田ではないかと予測する。

そこに、

 

「航海長も結構大きいよ」

 

姫路が鈴は隠れ巨乳だと言う。

 

「マジで!?意外だ‥‥」

 

姫路の告白に小笠原は驚く。

 

「主計科は‥‥」

 

機関、航海に続き主計科のバスト一は誰なのかという話題になった時、

 

「みなさーんちょっといいですか?」

 

幸子がやって来た。

食堂に入って来た幸子の姿を見た砲雷科のメンバーは一斉に幸子に視線と指を向けて、

 

『主計科だ!!』

 

と声を上げた。

 

「ええっ?な、なんですか!?」

 

突然、指を指され大声を上げられた幸子はビックリする。

そして砲雷科のメンバーは幸子に先程上がっていた話題を話す。

すると、幸子は、

 

「はぁ~胸の大きさですかぁ~まぁ、私もそこそこありますけどねぇ~」

 

と、あまり胸の話題には食いついてこない。

 

「うわっ、すごい興味なさげ」

 

姫路は幸子がこの話題に食いついてくれない事にちょっと意外に思った。

 

「別に大きくて得する事はないですしね~」

 

「ないんだ」

 

小笠原が期待していたような返答が幸子からはなく、ちょっと残念そうだった。

 

「まぁ、確かに得する様なものでもないわね」

 

武田が幸子の言う事もあながち間違いではないと指摘する。

 

「映画が安くなったり、おかずが一品増えたりとかならありがたみがあるんですけどねぇ~」

 

「完全に関係がない」

 

日置が幸子の言う特典と胸の大きさが全く関係ない事にツッコむ。

すると、

 

「参考までにちょっと触ってみてもいい?」

 

松永が幸子の胸を触らしてくれと言う。

しかも怪しげな手つきで‥‥

 

「ほら、しまいにはこんな事を言われるんですよ!!安い女だと思って!!」

 

松永の言動に幸子は声を上げる。

 

「苦労しているんだねぇ」

 

姫路が胸のある者にはあるものでそれなりの悩みがあるのだと思ったメンバーだった。

 

「ココーなんじゃ、此処におったのか」

 

其処にミーナがやって来た。

 

(ミーナさん、今何気にダジャレを言ったよね?)

 

姫路は先程のミーナの何気ない会話の中で彼女がダジャレを言った事に気づく。

彼女の服装はヴィルヘルムスハーフェン高校の制服ではなく、横須賀女子のジャージ姿と言うラフな服装だった。

 

「あっ、ミーちゃん」

 

「映画を見ると言うから部屋で待っとったのになかなか来ないから探したぞ」

 

「そうでした!!こうしちゃいられません!!ディスクをとって来るのでちょっと待っててください!」

 

突然現れたミーナに砲雷科のメンバーは新たな獲物を見つけたと言わんばかりミーナを凝視する。

詳しく言えば、ミーナのジャージからその存在感を表している二つの山にだ。

 

「ん?なんじゃ、ジッと見て‥‥わしの顔に何かついているか?」

 

当然、その視線にはミーナも気づいた。

 

「アメリカンサイズ」

 

そして姫路が思わずミーナの胸を見てその感想を声に出す。

 

「わしはドイツ人だ!!」

 

姫路の発言に思わずツッコム、ミーナだった。

そして、砲雷科のメンバーは幸子同様ミーナに先程自分達が話していた胸の話題について話した。

 

「何かと思えばそんな話をしておったのか?」

 

胸についての話題を聞き、ミーナは呆れながら言う。

 

「やっぱミーナさんの所の艦長も胸、大きいの?」

 

姫路がミーナにアドミラルシュペーの艦長について尋ねた。

他の皆もアドミラルシュペーの艦長について興味津々の様子。

副長のミーナがこれだけ大きいのだから艦長もきっと大きいに違いない。

それが、皆の予想だった。

 

「むっ?我が艦長‥‥テアか‥‥」

 

親友のテアの事を言われて彼女の容姿を思い出す。

 

(とんでもない!!)

 

(テアはあの控えめな身体もまた愛らしいのだ!!)

 

(しかし、ここでテアの胸が恐らく此処にいる誰よりも小さいと言ってしまうのはいかがなものか)

 

(副長として友として、テアに不名誉な回答をするわけには‥‥)

 

ミーナは親友の為に、此処にいる皆が納得する回答を考えた。

確かにテアは天照のクラスメイトと比べると本当に一七歳なのかと疑ってしまう程、身長も胸も小さい。

せいぜい、一二歳の美波といい勝負なのだが、身長においてはなんとテアは美波に3cm差で負けていた。

しかし、その事実は当人たちも知らない。

 

「わ‥‥わしよりは‥‥ない‥‥かな‥‥」

 

ミーナは何とか妥協案な回答をする事が出来た。

 

「まぁ、ミーナさんよりはねぇ~」

 

「うんうん」

 

「納得」

 

「少し安心した」

 

ミーナの回答を聞いて当時はまだ見ぬアドミラルシュペーの艦長について納得した砲雷科のメンバーだった。

そのメンバーの様子を見てミーナは、

 

(よしっ、わしは嘘はいっとらんぞ、テアの名誉は守られた)

 

と謎の達成感を優越していた。

たしかにミーナは、あの時のメンバーに嘘は言ってなかった。

嘘ではない。

でも、ミーナと比較してテアはあまりにも小さかった。

 

「なんか想像していたのとちょっと違うね」

 

「うん、確かにミーナさんよりは小さいけど‥‥」

 

「いや、あれはどう見ても美波さんレベルでしょう」

 

ミーナよりも小さいと言われ、砲雷科のメンバーが想像したのは精々自分達と同じぐらいかと思っていたからだ。

 

「あっ、もしかして美波さんと同じくあの子も飛び級なのかも」

 

「ああ、なるほどね」

 

美波と言う一二歳で飛び級をしたクラスメイトが居るので、飛び級が普通な外国ならば、美波と同世代の子が艦長をしていてもおかしくはないと思った砲雷科のメンバーは、テアは美波と同じく飛び級したスーパーキッズなのだと思い込んだ。

砲雷科のメンバーが、テアが本当は自分達よりも年上だと知ったらきっとビックリしていただろう。

ミーナと美波の存在のおかげでテアの名誉は何とか守られたのであった。

 

そして、もえかたち艦橋メンバーは集まった署名を持って横須賀女子の職員室へと要望書を持って行った。

密封指示書の開封まであと14時間前の出来事だった。

 

そして密封指示書の開封日時となり、天照のクラスメイトは横須賀女子の中庭に集まった。

学校は自分達の要望を聞いてくれたのか?

集まったクラスメイト達は皆不安そうな表情でざわついている。

 

「静かに」

 

教頭の一声でクラスメイト達は静まる。

 

「時間になりました‥‥密封指示書を開封せよ」

 

真雪から開封の許可がおり、クラスメイト達は次々と封筒を開けて中に入っている書類を取り出す。

皆ドキドキしながらその書類に書かれている事に目を通していく。

 

「えっ?」

 

幸子はそこに書かれている内容を見て思わず声を漏らす。

書類には以下の内容が書かれていた。

 

『 天照クラス編入に関しての通知

 

標記の要項について、横須賀女子海洋学校関係者の審議を踏まえ

6月13日をもって、貴殿に中型甲級航洋直接教育艦 Y-281への異動を通知します。

 

より、一層の能力を発揮して学業に励む事を言対します。

                                            以上』

 

と書かれていた。

 

「‥‥28‥1‥‥」

 

もえかはこの後に乗る事になる艦番号を口にする。

 

「知名艦長」

 

真雪に声をかけられ、もえかは書類から顔をあげる。

 

「貴女がたの行動力と団結力を見せてもらいました。職員の中にはクラスを分けるべきだと言う意見もあったけど、一緒にしておいてよかったみたいね」

 

真雪のこの言葉を聞いてまた皆一緒のクラスに慣れた事に喜ぶクラスメイト達。

ただ、もえかだけは他の皆と違って喜びの色が薄かった。

 

(みんな一緒だけど‥‥だけど‥‥)

 

クラスは守ることが出来、皆とこれからも一緒であるが、全てがあの時の実習と同じではない。

乗る艦も違う。

そして、姉と慕うあの人が居ない。

もえかは完全に現状を喜ぶことは出来なかった。

その後、クラスメイト達は乗艦予定の艦、Y-281が係留されているドックへと向かう。

まさに海洋実習で初めて天照に乗った時と同じ状況だった。

でも、艦の前にはあの人は当然待っていなかった。

 

「あれが‥‥」

 

「私達の艦‥‥」

 

ドックについて自分達が乗る艦を見たクラスメイト達は思わず目を奪われる。

其処には天照を重巡洋艦サイズにしたような艦が係留されていた。

 

「須佐之男級重巡洋艦、『須佐之男』‥‥天照の造艦コンセプトを受け継いで新たに作られた艦よ」

 

真雪がY-281、須佐之男についてクラスメイト達に説明する。

 

「あっ、もかちゃん!!」

 

すると、隣に係留されている巡洋艦から明乃の声がした。

 

「ミケちゃん」

 

隣に係留されている重巡洋艦は武蔵のクラスの生徒達が乗っていた。

明乃は甲板上からもえかに手を振り、もえかも明乃に手を振り返す。

 

「校長先生、あの艦は?」

 

西崎が武蔵のクラスメイト達が乗っている艦について質問をする。

 

「畝傍級重巡洋艦、二番艦の『宿祢(すくね)』よ。武蔵のクラスの生徒は皆あの艦の異動になったの」

 

武蔵のクラスも天照のクラス同様、全員が他艦への異動になったようだ。

二艦はこの後、試験航海に出る事になった。

 

「あっ、知名さん。貴女に一つ注意することがあるのだけれど」

 

「なんでしょう?」

 

出航の少し前、真雪がもえかに声をかける。

 

「機密解除されたとはいえ、勝手に天照の情報を開示されては困ります。以後気をつけるように」

 

「は、はい。すみません」

 

一般的に武蔵と天照が横須賀の沖合でドンパチした事はまだ一般には詳しく出回っていない。

しかも噴進弾と言う未知の兵器まで使用した戦いだったので、情報管制は慎重に行わなければならない。

クラスを守る為とは言え、それを一般に開放してしまった事に真雪はもえかに厳重注意をした。

 

「それと‥‥」

 

(まだ何かあるのかな?)

 

「あの人も一緒に連れて行ってあげて」

 

そう言って真雪は一つの軍帽をもえかに差し出す。

その軍帽は横須賀女子で配布されている艦長帽とはちょっと異なり、横須賀女子の校章ではなく桜と錨のマークが描かれていた。

 

「これって‥‥」

 

「そう、葉月さんが被っていた軍帽よ。あの人も天照の仲間でしょう?」

 

「はい!!」

 

もえかは真雪から軍帽を受け取り、ソレを頭に被る。

やがて、須佐之男と宿祢は試験航海へと出航して行った。

 

 

若き人魚たちの航海はきっとこの先も続くことだろう。

横須賀の海はそんな若き人魚たちの旅立ちを穏やかに見守っていた。

 




※ 須佐之男と宿祢の外見イメージや設定は『設定』に記載されています。

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