ハイスクール・フリート 旭日のマーメイド   作:破壊神クルル

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54話 決戦海域へ

 

赤道祭も無事に終わり乗員達の良い休息にもなった。

祭りの後片付けが進んでいく中、もえかは水平線深刻そうに水平線の彼方をジッと見ている。

 

「艦長」

 

「先任」

 

「やっぱり‥不安?」

 

「う、うん」

 

「大丈夫だよ」

 

「えっ?」

 

「必ず明乃ちゃんは助ける‥‥この艦は何度も奇跡を起こして来たんだ‥‥今度も必ず勝ってみせる‥それでみんなで横須賀に帰ろう。明乃ちゃんや武蔵の皆を連れて」

 

「う、うん」

 

もえかと葉月は共に水平線の彼方を見つめた。

そして水平線を眺めていた時、もえかがポツリと呟いた。

 

「お姉ちゃん‥‥」

 

「ん?なにかな?」

 

「私…私ね。やっと天照のみんなと家族になれたと思ってきたのに‥‥」

 

「もえかちゃん‥‥」

 

もえかの脳裏にはこれまでの戦闘における天照が被弾した時の光景が浮かび上がってくる。

今までは何とか勝てたが、今度の相手はこれまで相手にしてきた艦とは全然違う。

補給・補修が終われば天照はいよいよ武蔵救出の為の作戦、パーシアス作戦に参加することになる。

位置は第二陣形後方という予備兵力の位置であるが、相手はあの46㎝砲を持つ武蔵であり、第一陣で完全に防ぎきれるか100%の保証はない。

もえかはまた被弾して誰が傷つく事を恐れていたのだ。

そんなもえかの姿を見て葉月は一計を案じた。

もえかと分かれた後、通信室に来た葉月は横須賀女子の校長室へと連絡を入れた。

 

「‥‥ええ、では‥そのように取り計らってください。はい‥では、正式文書を急ぎFAXで天照へ送ってください。はい‥感謝いたします。宗谷校長先生」

 

葉月が真雪と連絡を取ったすぐ後に天照のFAXは一通の文章が書かれた書類を受信した。

葉月はそのFAX用紙をもえかに渡した。

 

「先任‥これって‥‥」

 

「差し出がましいことをしたと思っておりますが、大事な戦の前です。思い残すことがないように身辺を整理しておいたほうがいいと思いまして‥‥」

 

「ううん、先任ありがとう」

 

「艦長」

 

「ん?なに?」

 

「艦長もその‥‥もし、怖いと言うのであればそれを使って‥‥」

 

「先任‥それは出来ないよ‥‥」

 

「艦長‥‥」

 

「この実習中私はこの天照の艦長なんだから」

 

もえかは葉月の目を逸らさずにジッと見る。

 

「‥‥はい。出過ぎたことをしました」

 

もえかの目を見て葉月はもえかに一礼し非礼を詫びた。

 

それから天照は間宮、明石からの補給・補修を概ね終えて、間宮と明石が撤収準備に入っている中、明石艦長の珊瑚が天照の修理状況をもえかと葉月に伝える。

 

「できる限りのことはしたがすまない、何せ急な補修作業だったので全ての破損個所を修理する時間も資材もなくて‥‥」

 

間宮と明石の乗員はよくやってくれたが、時間と資材の量の関係から天照を完全に修理することが出来なかった。

 

「第三砲塔と右舷側の高角砲群はほぼ使用不能か‥‥」

 

タブレットに表示されている天照の破損個所を見てもえかも葉月も深刻そうな顔をする。

シュペーとの平行戦と砲撃可能距離からの離脱で天照の右舷側にはかなりの損害を受けていた。

 

「もし、武蔵と戦う事になったら左舷平行戦で武蔵には後ろを取られないようにしなければなりませんね」

 

「そうだね」

 

ブルーマーメイドの第一陣が何とか武蔵を止めてくれることを祈るしかなかった。

補修・補給を終えて後は撤収するだけとなった明石と間宮に出航を少し待ってもらうように伝えたもえかは艦内放送を入れた。

 

「艦長の知名もえかです。天照全乗組員に達します。本艦は補修・補給が終わり次第、ブルーマーメイドとの共同作戦、パーシアス作戦に参加します。相手は十中八九、あの戦艦武蔵が相手となるでしょう。私達は予備戦力という位置付けですが、絶対に戦わないという保証はありません」

 

もえかの艦内放送にクラスメイト達は手を休めて静かに聞いている。

 

「また、艦長の私もクラス全員の安全を保障できません。故にこれより皆さんに選択の時間を設けます」

 

もえかの言う『選択の時間』という言葉にクラスメイト達はざわつく。

それにブルーマーメイドとの共闘とは言え武蔵を相手に『絶対に戦わない』 『絶対にけがをしない』という保証はないというもえかの言葉にも重みを感じる。

 

「先ほど、学校より退艦許可証が発行されました」

 

退艦許可証という言葉にクラスメイト達は困惑の色を深かめる。

 

「これはパーシアス作戦への参加は決して強制的なものではないという学校側の意志であり、此処で退艦しても実習の成績には影響しません。退艦を希望する者は速やかに間宮・明石へと移乗してください。‥‥以上です」

 

もえかの艦内放送を聞き、クラスメイト達は困惑する。

此処で降りても成績には影響しない。

このままパーシアス作戦に参加すれば武蔵と戦うことになるかもしれない。

武蔵と戦えばケガをするかもしれない。

最悪の場合は死ぬかもしれない。

そんな不安な空気が漂う。

 

「マロンはどうするの?」

 

機関制御室で黒木が麻侖に退艦するのか残るのかを尋ねる。

 

「てやんでぃ、此処で逃げちゃ女が廃るってモンよ!!此処まで来て今更逃げる訳にはいかねぇじゃねぇか!!」

 

麻侖は退艦せず残るつもりだ。

 

「だと言うと思った」

 

「クロちゃんはどうなんでぇい?」

 

「勿論私も残るわ。マロンが残るんですもの」

 

「クロちゃん‥‥」

 

「貴女を一人にしておくと残った人が大変そうだからね」

 

「ハハ、言うじゃねぇか‥‥んで?お前さん達はどうする?」

 

麻侖は黒木以外の機関科のメンバーに退艦するか残るかを尋ねる。

 

「正直に言って‥怖いです‥‥」

 

「うん」

 

「私も‥‥」

 

「わ、私もです」

 

「多分実習始めの私ならきっと降りていました‥でも、機関長の言う通り此処で逃げたらこの先絶対に後悔しそうですし、ブルーマーメイドなんてなれません!!だから‥お供させてください!!」

 

留奈が麻侖と黒木に自分も残ると言う。

 

「留奈‥‥」

 

「留奈に此処まで大見得をきられちゃ、私も残らない訳にはいかないなぁ」

 

若狭も艦に残ると言う。

 

「機関長、私も残ります!!」

 

「友達を置いて一人で降りるなんて出来ませんから」

 

「すまねぇなぁ‥‥みんな‥‥」

 

機関科のメンバーは全員残ると言う。

そんな皆の行為に麻侖は思わず涙腺が緩む。

 

「ほら、泣かないの」

 

「泣いてんじゃねぇ!!こ、これは緊張で目から汗が流れただけでぃ!!おっしゃ!!一暴れしてやるか!!」

 

「それよりもマロン‥艦長に報告して」

 

「あいよ!!」

 

もえかの艦内放送の後、艦橋も重い空気に包まれていた。

そんな中、

 

「か、艦長‥先任」

 

鈴が震えた声でもえかと葉月に声をかける。

 

「ん?」

 

「どうしたの?」

 

「わ、私は艦に残ります!!」

 

「「えっ?」」

 

「私はこれまで怖い事や辛い事に目を背けて逃げてきたけど、此処で逃げたら私‥本当のクズになっちゃうし‥武蔵に居る皆を助けたい‥‥こんな私でも人の役に立ちたい!!だから、私艦に残ります!!」

 

「知床さん‥‥」

 

「艦長、私も残るよ」

 

「うぃ」

 

「西崎さん‥立石さん」

 

「降りたら、もう砲が撃てないでしょう?」

 

ニッと笑みを浮かべながら言う西崎。

 

「うぃ」

 

理由はどうあれ西崎と立石残ると言う。

 

「私も記録係として残ります。此処で逃げ出しちゃ仁義に反するので」

 

幸子もタブレットをギュッと握りしめ残ると言う。

 

「艦長」

 

「私達も残ります」

 

「ぞな!!」

 

内田、山下、勝田も残りと言う。

艦橋メンバー全員が残ると決意した時、

 

「此方機関室、榊原麻侖以下、機関科五名‥お供しやす!!」

 

「こちら医務室‥共に参るぞ」

 

美波も残ると言いい、

 

「聴音、万里小路楓お供いたしますわ」

 

「応急員行かせてください!!」

 

「主計科行きます!!」

 

「砲雷科全員いきます!!」

 

皆は艦から降りられると言うのに降りず次々と艦に残ると申告してくる。

 

「‥‥」

 

もえかは次々と残ると申告して来るクラスメイトの声に耳を傾ける。

 

「艦長‥乗組員退艦者なし‥降りる者は居ません」

 

幸子が集計結果をもえかに報告する。

 

「みんな‥ありがとう‥‥天照出航準備!!」

 

退艦者なしということでもえかは明石と間宮に連絡を入れた。

 

「では、我々は先に横須賀で待っている」

 

「頑張ってね」

 

珊瑚と藤田は天照に激励をする。

 

「ありがとうございました」

 

「道中お気をつけて」

 

もえかと葉月も珊瑚と藤田の二人に返礼する。

天照の補修・補給を終えた明石と間宮は一足先に横須賀へと戻って行った。

そして天照も合流地点に向けて出航した。

 

5月4日の午前6時半富士山の山頂にある遠水平線レーダーが日本近海で武蔵と思わしき艦影を捉えた。

その報告は直ちにブルーマーメイド特別作戦本部、真霜の下にも伝わった。

 

「はい。特別作戦本部」

 

「福内です。武蔵が日本近海で捉えたとの情報がはいりましたが‥‥」

 

「えぇ、今さっき富士山頂の遠水平線レーダーが武蔵を補足したわ」

 

「武蔵はフィリピンに向かっていたはずでは?」

 

確かに武蔵の最後の目撃情報はフィリピン近海だった。

だからこそ、ブルーマーメイドはフィリピンに第一陣となる主力をフィリピンへと集結させ予備兵力である第二陣を日本近海に配備する様にしていた。

特別作戦本部のモニターには現在の部隊の配置図を確認すると主力の作戦部隊は全てフィリピン方面に展開していた。

そして予備兵力である第二陣もまだ集結が完了していない。

 

「主力は間に合わない。あなたの艦隊で武蔵を止められる?」

 

真霜は第二陣の一部隊である福内の部隊に武蔵の足止めを依頼した。

 

「最善を尽くします。それでは‥‥」

 

真霜は現在の福内が率いる部隊の位置と天照の位置を確認する。福内の部隊は紀伊半島の沖合をインディペンデンス級沿海域戦闘艦四隻で航行している。

そして天照は小笠原諸島を全速で航行中。

水流一斉噴射も可能な限り行い距離と縮めている。

福内のインディペンデンス級沿海域戦闘艦四隻で果たして武蔵を止める事が出来るだろうか?

真霜も特別作戦本部のメンバーも不安は隠せなかった。

それは恐らく現場に向かっている福内達も同じだろう。

しかし、艦隊が居ないのだからどうしようもない。

このまま何もせずに武蔵を横須賀に案内するわけにはいかない。

真霜も福内も‥ブルーマーメイド達全員は現在の状況に焦りを感じつつ最善を尽くそうとしていた。

 

小笠原諸島を全速で航行している天照の艦内では航行に必要な最低限の人数を除いてクラスメイト達が教室に集まり幸子の説明によってパーシアス作戦の概要と武蔵の現在の状況を聞いていた。

 

「現在武蔵は伊豆半島の南西10マイルを進路40度、速力10ノットで航行中と推測されます」

 

「本艦は現在全速で武蔵を追尾中で、学校からの指示はブルーマーメイドが到着するまで本艦の安全を優先しつつ武蔵を補足し続けよ、とのことだ」

 

「今度こそ遅刻しないように、って早めに出発してきたのに」

 

「おかげで武蔵の一番近くになっちゃうなんて‥‥」

 

「武蔵の生徒もウィルスに感染しているとみるべきだ」

 

尚その際、武蔵の乗員の状況を美波が追加説明を行い、武蔵の乗員は十中八九シュペーや比叡と同じ状況になっていると伝える。

 

(やはり、明乃ちゃんや真白ちゃんもあのウィルスに感染してしまっているのだろうか?)

 

(ミケちゃん‥‥)

 

美波の説明を聞き、武蔵に乗っている明乃と真白の安否が気になる葉月ともえか。

 

「私達も何かできないかな!」

 

比叡、シュペーと乗組員達を救ってきた天照の乗員としては武蔵の乗員らも救いたいと言う気持ちは強かった。

だが、

 

「私達は学校からの指示通りブルーマーメイドの支援を行います」

 

もえかはまだ何も始まってはいないが、武蔵には福内の部隊が向かっている。

彼女自身直接武蔵に接舷して明乃を助けたいが、もし福内の部隊で対処できるのであれば本職のブルーマーメイドに任せようと意向を固めていた。

皆が艦に残ってくれたことは嬉しい事だが、怪我だけはしてほしくないと言う気持ちがやはり強かった。

 

(万が一、福内さんの部隊が武蔵の足止めに失敗したらやはり天照を戦線投入しなければならないが、まだ手はあるな‥‥ようは武蔵の足と止めて時間を稼ぐことができればいいのだから‥‥)

 

葉月は海図とにらめっこをしながら万が一のことを想定した。

 

その頃、真冬率いるブルーマーメイド主力艦隊も武蔵を全速で追尾していた。

 

「我々の部隊は石垣島南方を40ノットで航行中。とにかく急行します!」

 

「主力のほとんどがフィリピン東方。戦力を集中する作戦が裏目に出たわね」

 

武蔵とブルーマーメイドが入れ違いになった事が今回のパーシアス作戦の前提を崩した。

特別作戦本部のモニターには真冬の艦の弁天と横須賀女子に設けられた対策室との映像回線が開かれている。

 

「間に合うのは最低限の備えとして九州沖に残しておいた福内隊だけで正直武蔵の足止めが出来るのか不安ね」

 

「他に動かせる船は?」

 

「ドッグでメンテ中の船が一隻…出せるかどうか…」

 

「約三時間半で武蔵は浦賀水道に入ります」

 

「天照は?」

 

「およそ二時間後に武蔵に追い付きます」

 

「‥‥葉月さん」

 

真雪はモニターに映っている天照の光点を祈るように見つめていた。

その頃、武蔵との会合点に向かっている天照では‥‥

 

「‥‥航海長」

 

「は、はい」

 

「少しの間、艦橋を任せても良いかな?」

 

「は、はい」

 

「艦長、少しいいですか?」

 

「えっ?う、うん」

 

葉月はもえかを連れて一時艦橋を降りた。

そして、葉月の部屋に行くと、葉月はクローゼットの中から一振りの刀とそれを吊るすベルトを取り出した。

 

「お、お姉ちゃん‥それは‥‥?」

 

「守り刀‥‥どうも嫌な予感がする‥‥これをつけていればきっとこの刀がもえかちゃんを守ってくれるだろうと思ってね」

 

そう言って葉月はもえかの刀が吊られているベルトを装着する。

 

「お姉ちゃんの分は?それに皆のも‥‥」

 

「自分は大丈夫だよ。それに皆は戦闘海域が近づく前に夜間艦橋とCICに分散させる」

 

「‥‥」

 

もえかは不安そうに自分の腰にベルトをつけている葉月を見ていた。

 

「か、艦長‥‥」

 

「ソレってまさか本物の刀?」

 

艦橋に戻って来たもえかは腰に刀をぶら下げていた事に皆はちょっとびっくりしていた。

 

「う、うん‥先任からの守り刀」

 

「良いですね、なかなか様になっていますよ艦長」

 

「あ、ありがとう」

 

そして武蔵との会合まで一時間を切った時、

 

「あと一時間以内で武蔵と会合する‥此処は艦長と自分が残る。他の乗員は夜間艦橋及びCICへ分散せよ」

 

葉月が艦橋メンバーに艦橋からの退避を呼びかけた。

 

『えっ?』

 

葉月の言葉にもえかを除く一同は一瞬唖然とする。

 

「で、でも‥‥」

 

「ど、どうして‥‥」

 

「もし、武蔵と戦闘になった時、この艦橋が狙われる可能性があるからね」

 

「でもそれだと艦長と先任が‥‥」

 

鈴が心配そうに言う。

 

「‥たとえ私達二人が倒れても今の皆ならきっと大丈夫だよ。それに私達もそう簡単にやられるつもりはないよ。だから此処は私達を信用して」

 

もえかと葉月が艦橋員メンバーを見て

 

「わ、わかりました」

 

「気を付けてください」

 

もえかと葉月を除く艦橋員メンバーは渋々といった感じで艦橋を降りて、鈴と内田、山下は夜間艦橋でそのまま操艦作業を続け、その他のメンバーはCICに移った。

ただマチコだけは展望デッキに残り引き続き見張り業務を続けた。

彼女の運動神経ならば問題ないともえかと葉月はそう判断したのだ。

 

この後戦闘が行われるかもしれないと言うのにこの一時間は穏やかな航海が続き、二人っきりの艦橋は静かでこの先戦闘が待っているとは思えなかった。

やがて、天照は武蔵の艦影を捉えた。

 

「目標こちらに向って発砲した模様!」

 

展望デッキに居るマチコが伝声管で報告する。

 

「回避! 面舵一杯!!」

 

マチコからの報告を聞きもえかが夜間艦橋に繋がる伝声管に向かって叫ぶ。

 

「お、面舵一杯!!」

 

もえかの指示で鈴が舵輪を思いっきり右に回し、回避するが武蔵の主砲弾は天照の近くで着弾し高い水柱を上げる。

そしてその衝撃で艦が揺れる。

 

「くっ‥‥」

 

「うっ‥‥」

 

「艦長! 撃った方がいいよ!」

 

「撃った方がまだ回避しやすいかと!」

 

「うぃ」

 

CICから砲雷科が此方も反撃した方が良いと言う意見具申が届く。

 

「‥‥くっ‥弾種、通常模擬弾!!第一、第二主砲に装填!!」

 

もえかが主砲に模擬弾を装填する様に伝える。

 

「通常模擬弾!!第一第二主砲に装填!!」

 

CICからもえかの命令を復唱する武田の声が聞こえる。

 

「装填完了!!」

 

「撃ち方始め!!」

 

「撃て!!」

 

天照の第一第二主砲が火を吹いた。

そして航行している武蔵の周りに天照から放たれた20インチの模擬弾が海上に着弾し高い水柱を上げる。

 

「武蔵に何か変わった動きは!?」

 

葉月が展望デッキに居るマチコに武蔵の事を尋ねる。

 

「武蔵、針路変わりません!!ただし速力は少し上げています!!」

 

マチコからの報告で武蔵はシュペー同様、針路を変えずに横須賀へと向かって行く。

そこへ、

 

「艦長、ブルーマーメイドです!ブルーマーメイドが到着しました!!」

 

CICに移った幸子からブルーマーメイドの到着を知らせる報告が届いた。

武蔵の後方からは福内が率いる四隻のインディペンデンス級沿海域戦闘艦が姿を現した。


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