ハイスクール・フリート 旭日のマーメイド   作:破壊神クルル

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※武蔵同様、シュペーもどんな経緯があってあのウィルスに感染したか描かれていなかったので、シュペーの感染経緯もオリジナルと言う名の想像で描きました。



31話 遭遇

天照が叛乱を起こしたと言う知らせを聞いて、その日は真霜も真雪も対応やら対策室の設立やらで帰宅時間が夜遅くとなった。

真雪は急ぎ学校内に対策室を設け、今回の事件を協議した結果、支援教育工作艦明石と補給艦間宮の派遣が決まり、更に明石、間宮の護衛として航洋艦二隻の派遣も決まった。

明石、間宮には天照‥もえかと葉月と接触して貰い今回の件の事情聴取と天照への補給を命じ、物資の積み込みが終わり次第、出航してもらう予定だ。

反面、海上安全整備局は葉月が叛乱の首謀者と決めつけており、真霜の知らない所で何やら動いていた。

真霜は真雪同様、平賀達に葉月と接触し、今回の件の事情を聴くようにと密命を下していた。

事実がまだ判明しない為、不安なのか、宗谷親子の纏う空気が重い。

こんな時、真冬が居れば、少しは明るくなるのかもしれないが、あいにくと真冬は現在海に出ている。

一言もない親子の間で、真霜は海洋実習前夜の葉月の会話を思い出し、席を立つと、葉月の部屋へと行き、机の上に置いてあった『罪と罰』の本を持ち出し、リビングでソレを読みだした。

 

(真霜さんはドストエフスキーの『罪と罰』を読んだことはありますか?)

 

(高利貸しのお婆さんと殺害現場に偶然居合わせたその妹を殺してしまった青年、ラスコーリニコフの物語ですよ)

 

(ラスコーリニコフが‥‥自分が本当に殺したかったのは誰だと思います?)

 

真霜が『罪と罰』を読んでいる時も葉月の言葉が脳裏をよぎる。

そこで、真霜は母、真雪に意見を求める為に声をかけた。

 

「ねぇ、お母さん」

 

「何かしら?」

 

「コレ、読んだことある?」

 

真霜は真雪に『罪と罰』の表紙を見せる。

 

「『罪と罰』?ええ、昔に‥‥」

 

「この中で、主人公のラスコーリニコフが『自分が殺したのは老婆では無く、自分自身だ』と叫ぶシーンがあるんだけど、この意味分かる?」

 

「‥‥それはきっと神様殺しね」

 

「神様殺し?」

 

「ええ、隣人を殺すなかれと言うキリスト教の教えを破る事で自分の中に存在する神様を殺したって意味じゃないかしら?」

 

「自分の中の神を?」

 

「ええ、そうすることによって自分自身も殺すと言う意味になるの‥‥」

 

「そうなんだ‥‥」

 

(‥‥自殺‥‥まさか葉月‥‥‥)

 

真霜の脳裏には葉月と出会ったばかりの頃、葉月が自殺未遂を起こした事を思いだした。

 

(まさか、葉月本当に‥‥いや、そんな事は‥‥)

 

真霜は暫くの間、不安な日々を過ごす事となった。

 

 

それから日付は変わり‥‥

天照は学校やブルーマーメイドからの追撃を防ぐため、大きくジグザグ航行の偽装航路をとりながら、鳥島南方を目指していった。

 

その頃、近くの海域では‥‥

今回の横須賀女子の演習にはドイツのヴィルヘルムスハーフェン校からの留学生艦が途中参加する予定となっていた。

その演習参加予定のアドミラル・グラーフ・シュペーは洋上でエンジントラブルを起こして機関を停止し、現在その復旧作業にあたっていた。

シュペーのエンジンは、燃料消費の少ない高出力大型ディーゼル機関を採用しており、長時間の補給無しに長大な航続力を有していたが、機関の回転総数が耐久限界の7,200万回転に達する間に、クロスヘッド・ピストン棒の取り付け部の故障が多く、今回のエンジントラブルもクロスヘッド・ピストン棒の取り付け部分の故障であった。

 

「機関室、あとどれくらいかかる?」

 

シュペー艦長のテア・クロイツェルはシュペーの艦橋から伝声管で機関室に修理状況を尋ねる。

 

「あと三、四時間はかかります」

 

「できるだけ急いでくれ」

 

「わかりました」

 

機関室とやり取りした後、テアは海図に目を落す。

 

「これでは時間通りに着かんな‥‥」

 

深刻そうな顔をするテア。

 

「副長」

 

「ハッ」

 

「すまぬが、手空きの者と共に機関室へ応援に行ってはくれぬか?」

 

「承知しました」

 

シュペー副長のヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルクはテアから機関室へ応援しに行くよう言われて機関室へと向かった。

そんな中、停船しているシュペーの船体に黒いプラスチック製の箱が漂着しているのを甲板にいた乗員が見つけてそれを引き上げた‥いや、引き上げてしまった。

 

「何だろうコレ?」

 

「不審物‥じゃないよね?」

 

「兎も角、開けてみよう」

 

「そうだね」

 

箱を引き上げた箱の蓋を恐る恐る開けると、中には飼育箱が入って居り、それは海を漂流中、蓋が開いた様で、プラ箱の蓋も開けた事で、中に居た一匹のネズミの様な生物が突如、プラ箱から飛び出して来た。

 

「きゃっ!?」

 

「ね、ネズミ!?」

 

驚く乗員を尻目にプラ箱から飛び出たネズミはシュペーの甲板を走り、何処かへと消えた。

 

「ど、どうしよう~」

 

「どうしようって‥兎も角捕まえないと」

 

艦内にネズミを連れ込んだと分かれば、艦長と副長から叱られると思った乗員がネズミを捕まえに行こうとすると、

 

「お前ら何をサボっておる!?」

 

「ふ、副長」

 

「こ、これは‥その‥‥」

 

ネズミを追いかける前に副長のミーナに見つかってしまった。

 

「サボる暇があるなら、来い」

 

「あっ、いや‥‥」

 

「私達はその‥‥」

 

「あん?」

 

ミーナがギロッと睨むと、

 

「「な、なんでもありません‥‥」」

 

二人の乗員はミーナの眼光の前に屈し、ネズミの事を伝える暇も無く、ミーナと共に機関室へと連れて行かれ、エンジンの修理を手伝わされた。

手空きの者達の応援もあり、シュペーの機関は予定よりも早く復旧する事が出来、一路横須賀女子の学生艦との合流地点を目指した。

その最中、

 

「ん?あれ?」

 

「どうした?」

 

「レーダーがホワイトアウトしました」

 

「どれ?」

 

電探員の報告にもう一人の電探員がレーダー画面を覗くと確かに画面は雲に隠れたかのように機能不全を起こしている。

 

「エンジンの次は電探か?」

 

電探員はボヤく様に呟いた。

しかし、異常は電探だけではなく、

 

「此方、通信室。通信機から原因不明のノイズが出て通信機器が使用不能です」

 

レーダーだけでなく、通信機器にも異常が生じ始めた。

その他にもシュペーに搭載されている電子機器が次々と機能不全を起こす報告が艦橋へとあがる。

 

「どういう事だ?」

 

次々と上がる報告にテアを始めとし、艦橋メンバーは困惑する。

 

「副長、艦内を回って詳しい被害状況を見て来てくれ」

 

「わかりました」

 

ミーナは艦橋から、艦内巡回へとまわった。

しかし、これがミーナとテアとの暫しの別れとなる事を二人は知る由も無かった。

 

 

その頃、天照は針路を変え、鳥島沖を目指していた。

これまでの航海でブルーマーメイドも学校側の接触も無く、第二目標の鳥島では、学校側の艦艇もいるかもしれない。

事情を説明して、保護して貰おうと言う意見で一致した。

 

「学校側からの連絡は?」

 

「未だにありません」

 

もえかの質問に幸子が答える。

 

「私達見捨てられたんじゃないの?」

 

しかし、学校側から連絡が一切無く、皆は不安がっている。

 

「大丈夫だよ、きっと事実確認中なのかも」

 

もえかが不安がっている皆を励ます。

 

「こ、このまま鳥島沖10マイルまで退避で良いんだよね?」

 

鈴がもえかに行き先の確認をとる。

 

「うん。私達が猿島を攻撃して沈めたみたいに言われているけど、ちゃんと説明して誤解を解かないと」

 

「合流地点に着いた途端、捕まっちゃわないかな?」

 

もえかの説明を聞くが鈴は不安なのか涙目で不安を吐露する。

すると、

 

「『おまえらーなぜ猿島を攻撃した?』 『ちがうんです!さきに攻撃したのは猿島のほうで…』 『うそをいうな!』」

 

幸子が恒例の一人芝居を始めた。

彼女の『うそをいうな!』の大声に一番近くに居た立石がビクッと身体を震わせる。

 

「やっぱり、信じて貰えないって事?」

 

幸子の一人芝居を聞いて西崎が、いくら此方側が真実を話しても『うそをいうな!』の一言で蹴られると思う。

 

「でも、私達には叛乱の意志なんてないし、このまま永遠に海を漂流するのは不可能だから、此処は速やかに何処かの港に入って学校に保護を求めよう。港の中に入れば、攻撃される事はないだろうから‥‥知床さん、横須賀までどれくらいかかりそう?」

 

「巡航で約35時間‥‥かな?」

 

(長い、一日になりそうだ‥‥)

 

鈴の話を聞いて、無事に横須賀に入るまで油断できず、それが長く感じるだろうなと思う葉月だった。

現在は周囲に船舶、艦船の姿が見えない平穏な海。

こんな航海が横須賀まで続けは良いのにと思うもえかと葉月だった。

 

「鳥‥‥」

 

すると、艦橋の横を海鳥が飛び去るのを立石が見つける。

 

「こんな時あんな風に学校に戻れたらいいんですけど‥‥」

 

飛び去って行く海鳥を見て幸子が呟く。

そして彼女は更に続け、

 

「水素やヘリウムを使わない空飛ぶ船って作れないんですかね?」

 

水素やヘリウムを使わない空飛ぶ船、つまり航空機やオートジャイロは作れないかと幸子は皆に尋ねる。

 

「そりゃ無理でしょう」

 

「うぃ」

 

西崎と立石がそれは無理だと言う。

 

(いや、この世界の技術なら、設計図さえあれば十分可能だと思うけどな‥‥)

 

葉月は図面さえあれば、この世界の技術で十分に航空機やオートジャイロは作れるだろうと思った。

現に天照搭載機の海兎は技術調査の為、今は真霜が技術部に預けている。

しかし、今回はそれが仇となり、こんな事態が起こるなら、海兎を持ってくるべきだったと後悔した葉月だった。

やがて時刻は昼時となり‥‥

 

「みなさーん。食事の用意ができましたー!」

 

厨房から昼ごはんが出来た放送が流れる。

 

「本日のメニューはカレーです!」

 

今日の昼ごはんのメニューを聞き、

 

「カレー‥‥」

 

立石が真っ先に反応した。

彼女の目は普段の立石とは違い、輝いて見えた。

 

「そう言えば、今日は金曜でしたね」

 

「カレー!!」

 

旧海軍時代からの伝統、長い船乗り生活の中で曜日間隔を失わない為に、毎週金曜日にカレーを食べる習慣はこの世界の今でも続いていた。

 

「じゃあ、交代で食べに行こうか?」

 

「うぃ」

 

「ウチの艦のカレーどんなのかな?」

 

カレーは学生の中でも好物のメニューであり、皆嬉しそうだった。

そんな楽しみにしている昼食時に天照にとって、無粋な輩が姿を現した‥‥。

水平線の彼方から一隻の艦影が現れたのだった‥‥。

 

「右60度。距離30000。接近中の艦艇はアドミラル・シュペーです!」

 

方位盤の見張り台にいるマチコが艦橋へと報告する。

 

「アドミラル・シュペー!?」

 

「ドイツからの留学生艦です」

 

「総員配置につけ!!」

 

艦内に警報が鳴り響き、乗員は折角の昼ご飯(カレー)がお預けとなった。

 

「速度20ノットで接近中‥‥」

 

「見つかっちゃいました?」

 

「そりゃあ、これだけデカい図体をしているからね、見つからない方が変だよ」

 

幸子の質問に葉月が之だけの晴天と波の無い静かな海で、しかも30000の距離で天照が見つからないと言うのは流石に無理があると言う。

 

「シュペー、主砲を旋回しています!!」

 

「えっ?」

 

マチコからの報告で艦橋は一気に緊張した空気へと変わった。

 

一方、そのシュペーでは‥‥

 

「か、艦長!!機関室で暴動が!!」

 

「此方、通信室!!皆の様子が変です!!」

 

「此方、操舵室!!皆が突然暴徒と化して‥‥うわぁぁぁぁぁー!!」

 

「射撃指揮所です!!艦長!!皆が・‥‥皆が‥‥きぁぁぁぁぁぁー!!」

 

艦の各部からクラスメイト達が突如暴徒化したと言う報告が艦橋に上がる。

 

「一体どういう事だ!?」

 

相次ぐ報告にテアはシュペーの艦内で何が起きたのか把握できずに、困惑する。

 

「わ、わかりません」

 

「艦長、第一主砲が旋回しています!!」

 

「なに!?」

 

テアが艦橋の前面の窓から見下ろすと、確かにシュペーの第一砲塔が旋回し、何かを狙っていた。

 

一方、そのシュペーに狙われた天照では

 

「まさか、撃つ気か?」

 

「問答無用ですね」

 

そう言っている間にシュペーは主砲を斉射した。

 

「シュペー主砲発砲!」

 

「回避!!180度反転、面舵いっぱい!左舷バウ・スラスター全開!!反転後、前進いっぱい!!」

 

「面舵いっぱ~い」

 

鈴が舵を右側に切る。

シュペーから放たれた砲弾は天照の左側に着弾する。

転進した天照に対し、シュペーも転進し後を追って来る。

 

「納沙さん、シュペーのスペックは?」

 

もえかが幸子にシュペーの基本スペック、速力、防御力、攻撃力を尋ねる。

 

「シュペーは基準排水量12100t、最大速力 28.5ノット、28cm主砲6門、15cm砲8門、魚雷発射管8門、最大装甲160mmと小型直教艦と呼ばれるだけあって巡洋艦並のサイズに直教艦並の砲力を積んでいます」

 

幸子がシュペーのスペックを話している間にもシュペーからの砲弾がまたもや天照の周囲に着弾する。

 

「しゅ…主砲の最大射程も約36000m、重さ300kgの砲弾を毎分2.5発発射可能です!」

 

「速力では、0.5ノット向こうの方が上か‥‥此方が勝っているのは攻撃力と防御力‥‥」

 

天照の最大速力は 28ノット‥‥水流一斉噴射を使えば、30ノット以上出るが、通常の航行ではシュペーの速力が勝る。

 

「でも、スラスターと水流一斉噴射を使用すれば、俊敏さでは、僅かに此方が勝ります」

 

もえかと幸子がどうやってシュペーを巻くか、思案していると、

 

「‥‥距離‥‥速度差‥‥風向きは‥‥Z弾と水中弾を併用し主砲に装填すれば、ドイッチュラント級なんて‥‥」

 

葉月は電探を睨みながら、何やらブツブツと呟いていた。

 

「先任?‥先任!!」

 

西崎が葉月に声をかけると、葉月は我に返ったように西崎の顔を見る。

 

「っ!?‥‥水雷長‥‥」

 

「どうしたの?顔色が悪いけど?どこか具合が悪いの?それともシュペーの砲撃でブルっちゃった?」

 

西崎が心配そうに尋ねると、他の艦橋メンバーも心配そうに葉月を見る。

 

「い、いや‥大丈夫だ」

 

葉月はそう言うが、葉月としては攻撃してくる独逸の艦艇を見て、前世での経験が無意識に過ぎったのだ。

 

「先任、本当に大丈夫?」

 

「はい、ご心配なく。それよりも今は、この状況を切り抜けましょう」

 

「そうだね」

 

とは言え、相手も同じ学生艦。

前世の様に攻撃して沈める訳にはいかない。

逃げ切るにしても速力はシュペーの方が上なので、いずれは追いつかれてしまう。

そんな時、

 

「ぐるぐる」

 

「「えっ?」」

 

立石が何かを呟く。

 

「ぐるぐる」

 

「っ!?そうか!!煙突を立てて!!」

 

「先任?」

 

葉月が指示を出し、天照の倒立式の煙突が、左右両舷四基が起立する。

 

「偽装煙放出!!」

 

更に左右上甲板に設置されている偽装煙発生装置から煙が排出される。

 

「煙幕を張ってジグザグ航行して相手を巻く」

 

「そうか!!知床さん!!取舵いっぱい!煙の中に逃げ込んで!!」

 

「は、はい!!」

 

鈴は今度、左に舵を切る。

 

「戻せ!!面舵いっぱい!!」

 

「戻せ‥面舵30度」

 

再び鈴は右に舵を切って、針路を戻す。

 

「知床さん、不規則に進路を変えて。できたら速度も。ただしできるだけ速度を落とさないように‥‥機関室、逃げ回るんで機関には負担かけるけどよろしくね」

 

「よろしくって‥‥」

 

「やるしかねーんだい!」

 

黒木は機関に負荷がかかるのが少し不安な様子なのだが、逃げるには致し方ないと麻侖は割り切る。

 

「でも、逃げ切れますでしょうか?」

 

幸子が煙幕とジグザグ航行で逃げ切れるのか疑問に持つ。

 

「シュペーを止めるには実弾を使用するしかないよ」

 

西崎は実弾を使用し、シュペーを止めようと言う。

その間にもシュペーからの砲撃は続き、またすぐ近くに着弾する。

 

「‥‥砲撃戦用意」

 

もえかも猿島の時の様にこのままシュペーの砲撃を受け続けたら、天照に死傷者が出る事を危惧してシュペーとやりあう決意をかためる。

しかし、足を止めるにももう魚雷は無い。

そこで、砲弾をスクリューシャフトに当てるしか手は無い。

 

「それなら、水中弾を使いましょう」

 

シュペーを攻撃すると言う事で葉月が天照に搭載されている特殊弾頭の使用を提案する。

 

「水中弾?」

 

「天照に搭載されている特殊弾頭の一つで、水中突入時に被帽が吹き飛ぶ事で水面下を疾走し、喫水下を破壊する砲弾です。上手く、スクリューシャフトを撃ち抜けば、足止めになるかと‥‥ただし、主砲全てに装填するとシュペーを沈めてしまう可能性があるので、砲身一つに装填しましょう」

 

Z弾を使用すれば、確実なのだが、それではシュペーの乗員に多数の死傷者を出してしまう。

そうなれば、自分達は本当に反逆者になってしまう。

その為、葉月はZ弾ではなく、水中弾の使用を提案したのだ。

また、前世でのシャルンホルスト戦では、三発の水中弾を装填して撃ち、シャルンホルストの船体を真っ二つにした事から、三発撃つのは危ないと判断し、一発だけとした。

 

「わかりました。それでいきましょう」

 

葉月から水中弾の概要を聞いたもえかは早速水中弾の使用にとりかかる。

 

「で、でもこれ以上やったらほんとに叛乱になるんじゃ‥‥」

 

鈴が涙声で言うが、

 

「このままだと怪我人が出る。相手は猿島よりも強力な砲を持っている‥‥今は天照の乗員の安全を最優先にする!!」

 

もえかはそう宣言し、

 

「第三主砲に水中弾装填!!ただし、装填は一発のみとする!!」

 

もえかが命令を下し、第三主砲の砲身一つに水中弾が装填された。

 

「まる」

 

立石が、砲撃準備が出来た事をもえかに伝える。

あとはもえかの発射命令を待つだけとなった。

 


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