遅刻しながらも何とか合流地点の西之島新島沖へ到着した天照。
そんな天照に対し教官艦、猿島は突如、牙を剥いた。
猿島から放たれる砲弾に回避運動を続けながら、必死に謝罪文を送る天照。
しかし、それさえも無視して尚も砲撃を続ける猿島。
このままでは、撃沈はされなくとも被弾し乗員に死傷者が出る恐れがある。
そんな中、葉月は一つの決断を下し、艦長であるもえかに意見具申をした。
「艦長」
「先任?」
「魚雷攻撃を具申します」
「えっ?」
もえかは葉月の言葉の意味が一瞬理解できずに目を見開いて固まる。
今、葉月は何と言った?
魚雷攻撃?
それって猿島に魚雷を撃ち込むことになる。
もえかが固まっている中、葉月の一言に真っ先に反応したのは水雷長の西崎だった。
「お、撃っちゃう? 撃っちゃうのっ?」
魚雷をぶっぱなせると言う事で、西崎はウキウキしている。
「せ、先任、そんなことをしたら‥‥」
もえかが震える声で葉月にその先の結末を言おうとする。
しかし、葉月の方もそれは理解している。
でも、今は天照の乗員の安全を確保しなければならない。
「分かっています。自分も本来ならば、教官艦に魚雷なんて撃ちたくありません。でも、このままで乗員に死傷者が出る恐れがあります」
「死傷者‥‥」
葉月の言う死傷者と言う言葉を聞きもえかが固まる。
猿島を黙らせるには砲撃戦に持ち込んでも良いが、天照の主砲、51cm砲で猿島を撃てば、紙装甲である猿島の船体を完全に破壊し、猿島は轟沈する恐れがある。
そうなれば、乗員の殆どが死亡する恐れがある。
副砲も同じで、副砲の速射で猿島の船体を穴だらけにしたら、確実に猿島の乗員に死傷者を出す。
猿島乗員に負傷者を出さない為にも艦上部を狙うのは極力避けたい。
そこで艦底部に模擬弾頭の魚雷を撃ち込んで、一区画だけ浸水させ猿島の足を止める。
それが今、天照が出来る最上の策だと葉月は判断した。
「‥‥分かった‥‥魚雷を撃とう」
葉月の事を聞き、もえかは猿島へ魚雷攻撃を決心した。
「艦長、本当に撃つんですか?」
幸子がマジで猿島へ魚雷攻撃をするのかと尋ねる。
「私も先任と同じように教官艦に魚雷なんて撃ちたくない‥‥それでも、これ以上天照の皆を危険にさらしたくない‥‥このまま攻撃を受け続けていると、怪我人が出る。ううん、考えたくないけど最悪、誰かが死んじゃうかもしれない。それだけは絶対に嫌!!私がこの艦を‥皆を守らないと‥‥私はこの艦の、天照の艦長なんだから!」
もえかが正面を見据える。
「訓練弾だったら絶対沈まないから大丈夫!うまく動きを止めてその間に逃げよう」
もえかの言葉に艦橋メンバー全員が頷く。
「右舷、魚雷戦用意!!弾種、弾頭模擬弾!!」
葉月がCICへ魚雷戦の指示を送る。
CICからは水雷委員の松永理都子(まつながりつこ)と姫路果代子(ひめじ かよこ)から魚雷の発射角や天照と猿島との距離が報告され、その報告を頼りに天照を操艦し、猿島へと魚雷の軸線を合わせて行く。
そして‥‥
「魚雷、発射、用意よし」
「猿島、本艦の軸線に乗った!!」
魚雷の発射準備が整った。
「撃ち方始め!!」
「撃ち方始め!!」
もえかが発射命令を出し、葉月は復唱しCICに発射命令を下す。
すると、魚雷は発射管から勢いよく飛び出し、海中へと落ちるとすぐにスクリューを始動させ白い航跡を残しながら猿島へと向かって行く。
やがて、魚雷は猿島の左舷後部へと命中し、猿島の左舷からは大きな水柱が立つ。
「よっし!命中!」
魚雷が当たった事で西崎がガッツポーズを決める。
「猿島、急激に速度を落としていきます!!」
魚雷命中直後にマチコから猿島の異常を知らせる報告が入る。
「艦長、今のうちです!!」
「うん。針路変更!!鳥島南方10マイルの地点まで退避!!」
「りょ、了解」
もえかの指示に鈴は舵を切って、一刻も早くこの海域からの脱出を決行する。
天照が西之島新島沖の海域から退避した後、猿島の艦橋では‥‥
「‥‥総員退艦」
古庄は無表情のまま、乗員に退艦命令を下す。
猿島の乗員は古庄の指示に従って次々と退艦して行くが、乗員達は古庄の一連の行動が余りにも不可解だと思った。
いくら遅刻をしたからといって学生の乗る艦を砲撃するなんて‥‥しかも模擬弾ではなく、実弾を使用しての砲撃だ。
相手が大和級以上の超弩級相手だから大丈夫かと思ったのだろうか?
猿島の乗員は、古庄には何らかの考えがあるのだろうと思い、深く突っ込まなかった。
彼らが、救命ボートにて猿島を脱出した時、
「あれ?他の学生艦は?」
「そう言えば何処に行ったんだ?」
西之島新島沖に集結した他の学生艦の姿も何処かに消えていた。
この時も猿島の乗員は戦闘に巻き込まれると思い退避したのだろうと思っていた。
そして、乗員が退艦した猿島の艦橋にて、古庄はやはり無表情のまま、瞬きもせずにひたすらモールスキーを叩いていた。
その通信は羽田港港湾局へと受信された。
「横須賀都市海洋学校教官艦、猿島より受信!学生艦、天照より攻撃を受け大破!」
「学生艦が攻撃!?」
「至急海上安全整備局へ連絡を!!」
「此方、羽田港港湾局!!只今、横須賀都市海洋学校教官艦・猿島より受信!早急の応対を求む!!」
羽田港港湾局からの緊急伝は瞬く間に海上安全整備局へと知らされた。
そして、通信を打った後、古庄はそのままその場に倒れた。
猿島は艦尾から浸水し、航行不能のまま漂流した。
ただ、その際に猿島の破孔から黒いプラスチック製のプラボックスが海へと流出していった。
この黒いプラスチック製のプラボックスが新たな騒動の火種となる事をこの時、誰も予見はしていなかった。
「天照が叛乱!?」
羽田港港湾局からの報告を受けた海上安全整備局は蜂の巣をつついたような騒ぎとなり、当然のその報告は、ブルーマーメイドの責任者である宗谷真霜の元にも届けられた。
「どうするつもりかね?宗谷一等監察官」
「我々はこの様な事を危惧して、あの時君に提案したのだぞ」
「にも関わらず、君はあの艦の乗員を保護し、更に艦には最新鋭の改装まで施した」
「この件についての責任はもちろん君に有るが、君一人の責任で賄えると思っているのかね?」
「それはどういう事でしょうか?」
「なんでも、今回の天照の海洋実習参加は君のお母様である宗谷校長も関係していると聞くが?」
「‥‥」
「当然宗谷校長にも今回の件の責任の一端はあると思うのだが?」
海上安全整備局上層部連中はニヤついた笑みを浮かべ、真霜に天照と葉月を保護した責任を追求して来た。
更には真雪にも責任があると言い出す始末だ。
男性幹部である彼らから見たら、宗谷家の女性達は目の上のたん瘤の様な存在だったのだろう。
女の癖に目障りだ。
そう言う認識なのだろう。
「ですが、猿島からの‥古庄教官からの通信のみでは、現段階で天照が本当に叛乱を起こしたのか不明です。猿島の古庄教官や乗員から直接事情を聴く必要があると思いますが?」
「その古庄教官は意識不明でとても話が出来る状態では無いそうだ」
「なっ!?」
「兎に角、今はまだブルーマーメイドの責任者と言う立場なので、君の仕事はこの件を早急に解決する事だ」
「ついでに身辺も整えておくのだな。再就職が上手くいく事を祈っているよ」
「もし、次の就職先が見つからんようなら、儂の秘書(愛人)にでもしてあげよう。ハハハハ‥‥」
上層部連中とのやり取りを終えた真霜の顔はまるで般若の如く殺気に満ちていた。
真霜は自分の執務室に戻った後、頭を抱えながら今回の事件について考えを巡らせた。
(葉月が叛乱?いや、ありえない‥‥そんな事ありえないわ‥‥)
この一年、葉月と生活はおろか、肌まで交わした真霜としては葉月が叛乱を起こしたなどと信じたくは無かった。
(まさか、古庄先輩が金で奴等に買収された?いや、あの先輩に限ってそんな事は‥‥)
次に疑ったのが、今回の叛乱の一報を送って来た古庄であった。
古庄が上層部に金で雇われ、葉月を叛乱の首謀者に仕立て上げた。
しかし、教育者としての母にも負けないくらい誇り高いあの古庄が買収されたとも考えにくいし、何らかの弱みを握られて無理矢理やらされたとも考えにくい。
それ以前に‥‥
(猿島は沈没したって聞いたけど、なんで乗員が無事なの?)
(仮に天照が叛乱を起こして、猿島や学生艦へ攻撃したとして、猿島が学生艦を守る為に応戦したのなら、分かるけど、幾らなんでも猿島一隻で天照の相手が務まるとは思えない‥‥天照がその気になれば、猿島は木端微塵に破壊されていてもおかしくは無い‥‥にも関わらず、猿島は乗員が脱出できる余裕があった‥‥やっぱり変だわ‥‥今回のこの事件‥‥)
真霜の元には余りにも情報が少なすぎる。しかし、真霜には今回の一件、猿島の報告全てを鵜呑みにする事が出来ない違和感があった。
「‥‥私よ、平賀二等監察官を直ぐに呼んで」
真霜は内線をかけ、自身の部屋に平賀を急いで呼び出した。
しかし、平賀が真霜の部屋に到着する前に海上安全整備局は真霜に今回の件を任せるような事を言いながら別の手を打とうとしていた。
「天照が叛乱!?」
海上安全整備局から飛び込んできた凶報に横須賀女子海洋学校校長、宗谷真雪は驚愕した。
「はい、本日0903時、教官艦猿島が演習に遅れていた天照に接触しようとしたところ、天照は猿島に突如発砲、雷撃を行い、猿島を撃沈。逃走したとのことです」
「0903時?報告が来るまで随分と時間が掛かったわね。学園所属艦がトラブルにあったというのになぜ報告が遅れたの?」
「事実確認を行っていたためです。既に海上安全整備局が確認に入っています」
海上安全整備局の対応の遅さに真雪はイラつく。真雪に報告をいれた眼鏡にスーツ姿の男性秘書は眼鏡を気にしながら薄型のタブレットに視線を落としていた。
「それで、猿島の乗員は?」
「猿島の乗員は沈没前に離艦、全員の無事が確認されましたが、艦長の古庄教官が意識不明で、現在病院にて治療中です。艦の方は曳航され次第、ドック入りとの事です」
「天照は?」
「猿島との戦闘の後、鳥島南方方面に逃走した後、行方は分かりません。ビーコンも切っているようなので位置も特定できません‥‥」
「音声通信もないの?」
「なにもありません。痕跡はゼロです」
「天照の燃料と弾薬は?」
「出航時に満載状態なので、燃料、弾薬共に推定で9割強残っているはずです」
「なぜそんなに搭載を?」
「天照は大和級以上の大型艦でありますし、大和型同様、砲弾を洋上補給するのは困難ですので‥‥」
「他の学生艦は?」
「そちらの方も未だに連絡がとれません」
「‥‥わかりました。直ぐに校内に対策会議を設置、海上安全整備局とは独自に調査を行えるよう体制を整えます。準備出来次第、猿島沈没事件対策会議を開きます。演習監督官以外の全教員を集めてちょうだい。それと他の学生艦の位置特定にも全力をいれて頂戴」
「承知しました」
男性秘書は急ぎ対策室準備の為、校長室を出て行った。
「‥‥真白‥‥葉月さん」
真雪は席を立ち、窓から見慣れた横須賀女子から見える海をジッと見つめた。
西之島新島にて猿島との戦闘言う予想外の事態に巻き込まれた天照は急ぎ、西之島海域から脱し、追撃も無く、鳥島南方へと向かっていた。
尚その際、追撃を防ぐため、ビーコンも切り、乗員には携帯のGPS機能を切るか電源を切ってもらい、通話・メールの使用を禁止する旨を伝えた。
勿論、幸子の愛用しているタブレットも例外ではない。
乗員は皆、携帯を不用意に使えば、また戦闘になると思い、素直に携帯の電源を切った。
「それにしてもあの砲撃は何だったんでしょう?」
幸子が、何故猿島が砲撃をして来たのかを尋ねる。
しかし、真実を知り、答えられる者など居る筈も無く、
「ちゃんと逃げ切れるかどうかの抜き打ち特訓だったんじゃない?」
西崎はあくまでもアレは演習内容の一つなのではないかと言う。
「うーん‥その可能性も無くはないと思うけど‥‥」
西崎の意見を聞き、もえか自身もアレは演習と思いつつあった。
「それにしては本気すぎるよぉ~」
鈴が幾ら演習でもアレはあまりにもやり過ぎだと言う。
その意見については葉月も同じで、訓練弾ではなく実弾を使用していたアレは演習レベルのものではなく、もはや奇襲攻撃にしか見えなかった。
「あぅ~」
立石は疲れたのか、少しぐったりしている。
そんな中、幸子が突拍子もない事を言いだす。
「もしかしたら猿島がクーデターを起こしたとか?『海上安全整備局は遺族や被害者達に嘘八百を並び立て、賠償金さえ支払わない!組織の傲慢をこれ以上許すわけにはイカン!!我々の手で鉄槌を下す!!我々は独立国家、さぁるぅぅぅしぃぃぃまぁぁ~』」
「真面目に考えろって!!」
西崎が幸子にツッコム。
「でも、大きな怪我の子が出なくてよかった。皆かすり傷程度で済んだみたいだし。被害状況まとめたら学校に連絡しましょう」
もえかがこの後、学校と連絡を取ろうとした時、無線電話が鳴る。
「あっ、無線ですね。とります」
幸子がそれに応じる。
受話器を耳に当てて、無線内容を聞いている幸子の顔色が悪くなっていく。
「‥‥大変です」
「えっ?」
そして、幸子は皆に無線内容を伝えた。
「天照が‥‥我々の艦が叛乱したって!」
「叛‥乱‥‥」
幸子からの報告を聞いて艦橋はどこか御通夜のような雰囲気になっていた。
そこで、幸子が言っている事が本当なのか無線をスピーカーに繋ぐと、
「‥‥ザー‥‥学生艦が叛乱。猿島を攻撃。猿島は沈没、艦長以下乗員は全員無事‥‥ザー‥‥なお、この事件の首謀者は‥‥横須賀女子海洋高校所属、超大型直接教育艦、天照とし、海上安全整備局は同艦を叛乱者とみなし、行方を追っている‥‥」
確かに幸子の言う通り、天照は反逆者になっていた。
「なんで天照が叛乱したことになっているんだよ!先に撃ってきたのは猿島だろう!?」
西崎は無線を聴き、怒気を露わにする。
「うぇ!? 私に言われても‥‥」
鈴は西崎に詰め寄られすでに涙目。周りもそれを咎めたり、からかったりする余裕はなさそうだ。
「西崎さん、知床さんに言っても仕方ないだろう」
「あ。そっか、ごめんごめん」
西崎は葉月に引きずられながら謝る。それを素直に受け取った鈴が艦橋を見回す。
「でも、なんで沈んじゃったんでしょう?模擬弾だったのに‥‥」
「あの魚雷、間違えて実弾を撃っちゃったとか?」
「砲弾は兎も角、天照に積んでいた魚雷は全部模擬弾だ」
「なら、これもまだ演習なんじゃ‥‥」
「猿島の実弾を使った砲撃時点でとても演習とは思えない‥超大型直接教育艦(天照)相手とはいえ、実弾を使用していたし、現に猿島は沈んでいる」
「ならわざと沈没したとか? 私達、偶然にも猿島の黒い秘密を知ってしまったんですよ!」
幸子が何故か此処でヒートアップする。
「私たち遅刻しただけじゃん」
ヒートアップした幸子とは反対に他の艦橋メンバーは白けている。
その為、艦橋内には幸子の声のみが大きく響く。
「『お前らー見たなー』『わたしたち、なにもみてましぇーん』」
幸子は声色と共に顔芸で独り芝居をする。
「『ええーいこのまま生かしてはおけーん! 砲撃開始ー!』ずどーん!『あ、逃げられた。ええ~いこのまま秘密と共に沈んでやる~』‥‥みたいな感じで‥‥」
「それ、全部妄想でしょう?」
西崎が呆れたような表情を浮かべながら言う。
「いや、妄想の世界だったら、かなり楽だったよ」
「えっ?」
「それってどういう意味ですか?」
葉月の言葉に西崎と幸子が驚いた様な顔をする。
「状況的には此方側が不利と言う事だ。自己防衛行動のためとは言え、猿島を雷撃し、沈めたことは事実だし、此方が叛乱したと言う情報が流されていると言う事は、猿島が海上安全整備局に通報したのだろう‥つまり先手を打たれたと言う訳だ‥この後、猿島の方が先に発砲したと言ってもどれだけの人がそれを信じてくれるだろうか‥‥」
「‥‥」
葉月の言葉に一層重くなる艦橋の空気。
「あっでも、艦長。魚雷攻撃を具申したのは自分です。責任は自分に有るので、そこまで落ち込まないでください」
葉月はもえかにあくまで猿島が沈んだのは自分の責任だともえかを庇うが、
「ううん、最終的に命令を下したのは私だよ、先任。‥‥責任は艦長の私にある」
もえかはあくまで責任は艦の長たる自分に有ると言う。
「まぁまぁ、艦長に先任、責任を庇い合っても私らが追われているって事にはかわりないじゃん。今は、責任の所在よりもこれからの事を考えよう」
「そうだね」
「そうね‥‥」
西崎が葉月ともえかを仲裁する。
「そ、それって‥‥」
「「「ん?」」」
西崎の言った「追われている」と言う言葉に鈴が舵輪を握ったまま反応し、涙声を出し、言い続ける。
「それって、私達お尋ね者ってことですよね? 高校生になったばかりなのに犯罪者になっちゃったってことですよね!? こんなの嘘ですよね!? 嘘だと言って~!」
舵輪を握りながら号泣する鈴。
「あ‥‥う‥‥」
すると立石が何かを言いだそうとする。
「どうかしましたか?立石さん?」
立石が何かを求めているのかと思った幸子が立石に声をかける。
「あ‥‥う‥‥あれは嘘だ」
「あ、ありがとう言ってくれて! 志摩ちゃん、あっ、わたしのことは鈴って呼んでくれていいよ!」
立石の「嘘」と言う言葉を聞き、安心したのか泣き止む鈴。
しかし、例え立石が否定しても事態は何も変わらないのに、何故か嬉しそうな鈴だった。
天照は鳥島南方を目指す事となったが、馬鹿正直にまっすぐの航路では待ち伏せに遭う危険があるとの事で、大きくジグザグ航路で偽装針路をとりながら時間をかけて慎重に行く事になった。