海洋実習初日、合流地点の西ノ島新島沖を目指していた天照。
その日の夜、夜間の薄暗い艦橋でその雰囲気に呑まれて天照では怪談話が流行った。
そんな中、葉月は奇妙な夢を見た後、眠れず、艦内の巡回へと出ると、通路にて同じく寝付けなかったもえかと出会い、二人で艦内の巡回を行うと、厨房にて明かりが点いていた。
そこでは、炊事委員の杵崎姉妹が口論しており、みかんが二人を宥めていた。
艦の幹部として、艦内の揉め事は放置しておくわけにはいかず、葉月はもえかと共に厨房へと入り、杵崎姉妹に口論の理由を尋ねる。
すると、杵崎姉妹の話では、新作メニューの研究中に用意していた食材が突如消えてしまったのだと言う。
そこから、杵崎姉妹とみかんの中学校にも似たような怪談が有るとの事で、その話を聞くことにした葉月ともえか。
話を聞く限り、今天照の厨房で起きた事と似ていた。
話は進んで行き、やがて、話のオチとなる。
「キッチン台の下に人の隠れるスペースが無いって言っても全くなかったの?」
葉月は本当にそのキッチン台の下には人が入るスペースが無いのかを尋ねる。
すると、あかねは首をゆっくりと横に振った。
「確かに無理すれば入れたかもしれないね。でも、皆が余りにも気持ち悪いって言うから、そのキッチン台を新しいモノに替える事になったの」
(ちゃんとオチがあったんだ‥‥)
「そうしたら、床下から出てきたんですよ‥‥」
「何が?」
「‥人の死体が‥‥」
「何でそんな所に人の死体が?殺されて遺棄されたの?」
葉月はキッチン台の下になんで人の死体があったのかが気になってその真相を杵崎姉妹に尋ねる。
「それがその後、司法解剖をした結果、その人の死因は餓死だったらしいです」
「餓死?」
「どういう訳か床下に潜り込んでそのまま抜け出せなくなってしまったようなの‥‥きっと、お腹がすいて死んだ後もキッチン台の上の食材に手を伸ばしてしまったんでしょうね?」
「‥‥」
あかねの話を聞き呆気にとられる葉月ともえか。
だいたいなんでその人は中学校の家庭科室の床下に隠れていたんだ?
まずそこから疑問に思う。
「あっちゃん、盛りすぎだよー。そこまで判明しちゃっていたら七不思議じゃなくなっちゃうよ」
「あっ、そうだった。失敗、失敗」
ほんのさっきまで口論していた筈の杵﨑姉妹はいつの間にか仲良くなっている。
「おいおい、盛ったって事はさっきの話は所謂都市伝説ってやつなのか?それに今は食材がなくなった件を話していたんじゃないか?」
「えーでも、私達の三人の誰かじゃなければ絶対に無理ですよ」
「そうですよ、人が来れば絶対に気づきましたし‥‥」
ほまれとみかんは犯人が自分達厨房スタッフでなければ、食材を盗むことは不可能だと言い、勿論自分達厨房スタッフは食材を盗んでもいなければ、つまみ食いもしていないと言う。
そんな時、あかねが、
「あっ、でもこんなパターンあるよね?ほら、実は私達の三人の内、誰が偽物だったとか?」
「なるほど、例えば私があっちゃんだと思って食材を渡したあっちゃんが実はこの世のならざる者だったとか?」
「あーそのパターンね」
あかねの仮説を聞き、ほまれもみかんもすっかりその気だ。
「とりあえず、無くなった食材はどれくらいの量?今後の航海に影響しそう?」
葉月はもう犯人なんてどうでもよくなりつつあり、とりあえず食糧の被害と備蓄量を聞く。
「一人分のさらに半分の量です。元々試作だったので、そこまでの量は作っていなかったので、この先の航海には影響はありません」
みかんが食糧の被害を報告し、この先の航海には支障はないと言う。
「では、この件はそこまで大事にしなくてもいい。下手に話が広まって艦内で疑心暗鬼の様な事が生まれれば、そっちの方がこの先の航海に支障が出る」
「わかりました」
「それから、新作料理の研究もいいけど、休める時にはしっかり休まないと身体を壊しちゃうよ」
「「「はーい」」」
三人にあまり無理をしない様に忠告した後、葉月ともえかは厨房を出た。
「でも、意外でしたよ」
厨房を出た後、葉月がもえかに話しかける。
「えっ?何が?」
「艦長の対応が」
「私の?」
「些細な事とは言え、一応艦内での窃盗ですからね、『犯人を絶対にみつけるぞ』と思っていたのですが‥‥」
葉月は厨房でのもえかの対応に意外性を感じた。
三人の話の中、もえかは一切喋らず、話を聞いていただけだったので‥‥。
「うん、それも考えたんだけど、家族を犯人扱いしちゃうみたいで、あんまり気分良くなくて‥‥」
「家族?」
「そうだよ、船の仲間は皆家族なんだよ」
「まぁ、自分としても真相が知りたいだけで、犯人探しをして下手に波風を立てたくないですからね」
その後も葉月ともえかは巡回を続けた。
そんな中、
タンッ
と、妙な音が聴こえてきて、葉月は立ち止まる。
「先任?」
「艦長‥今の音、聞きましたか?」
「音?どういう?」
「足音‥‥と言うか、何かが跳ねるような音が‥‥」
「その音はどこから聴こえて来たの?」
葉月はその妙な音が聴こえて来た方を見ながらもえかに音が聴こえて来た方向を示す。
「この上‥‥上甲板からです。まぁ、どこか他の部屋から聴こえて来た足音がたまたまそう聴こえただけかもしれませんし、風の音が足音の様にきこえただけかもしれませんし‥‥」
「んーでも、こんな時間に上甲板に上がっている子が居たら注意しないといけないし、念の為、あがってみよう」
「そうですね」
上甲板にもしかしたら、クラスメイトが居るかもしれない。
そこで、確認の為、葉月ともえかは上甲板に上がって確認する事になり、上甲板を目指す。
二人が上甲板を目指している中、もえかが、
「そう言えば、さっき納沙さんが舟魂(ふなだま)の話をしていたでしょう」
「ええ」
「私も怪談とかあまり得意じゃないんだけど‥‥あっ、でもそう言う話じゃなくて‥‥」
「ん?」
「舟魂(ふなだま)って船の守護霊って言うか、一説には船の魂そのモノみたいでその魂が抜けちゃうと船は沈んじゃうんだって」
「なるほど、心身二元論みたいな考えですね」
(魂が抜けたら沈むって言うなら、あの時天照の舟魂(ふなだま)は抜けて今は別の舟魂(ふなだま)が天照に宿っているのかな?)
「艦長はその舟魂(ふなだま)の話を信じているんですか?」
「まぁ、それなりには‥‥舟魂(ふなだま)は私達船乗りの命を預ける大切な仲間だし‥‥ほら、艦内には艦内神社があるじゃない。だから、『舟魂(ふなだま)はあるんじゃないかな?』って私はそう思っているよ」
「艦長、もし、一度沈んだ船がサルベージされた後、また使用された時、その船には舟魂(ふなだま)が宿っているのでしょうか?」
天照はサルベージではないが、一度沈んでいるが今はこうして海の上に浮かんでいる。
今の天照には舟魂(ふなだま)は宿っているのだろうか?
宿っているとして照和の時の舟魂(ふなだま)なのだろうか?
それとも別の舟魂(ふなだま)が宿っているのだろうか?
葉月がそう思っていると、
「予期せぬ事態で船が沈むと、舟魂(ふなだま)も船と共に沈むと思いますよ。きっとその舟魂(ふなだま)は再び海の上を走れると分かっているのかもしれないから、敢えて船と共に沈んでいるのかもしれません」
「‥‥そう言うモノなのですか?」
「そう言うモノなのです‥‥経験者ですから」
「えっ?」
もえかは最後に何かをボソッと言ったが声が小さくて聞き取れなかった。
「あっ、なんでもないです」
もえかは慌てる様子で手をバタバタとさせる。
「でも、やっぱり意外かな?」
「何がです?」
「横須賀女子主席合格のもえかちゃんが舟魂(ふなだま)なんて信じるなんて」
「主席合格って、なんで葉月さんがそんな事を知っているんですか?」
「今回の天照の人員に関しては、自分も関係しているので、その時に‥‥」
葉月はもえかに彼女が今期の横須賀女子の主席合格を知っている訳を話す。ただ、この時、葉月は何か違和感を覚えたが、それが何なのか明確に答えを出すことが出来なかった。
「そうなんだ‥‥あっ、私が舟魂(ふなだま)を信じるには訳が有るの」
「訳?」
「その‥‥見間違えかもしれないけど‥‥実は‥‥その‥‥見ちゃったの‥‥今日の昼休みに‥‥」
「見た?何を?」
「その‥‥前甲板で白い服を着た女の子を‥‥」
「クラスメイトの誰かじゃないの?」
「私も最初はそう思ったんだけど、その子が来ていた服が制服じゃなくて、白いワンピースだったの‥‥だから、多分私が見たのはクラスメイトじゃないと思うの‥‥」
「そうですか‥‥」
「はづ‥‥先任はあまり怖がらないんだね」
「まぁ、自分はそう言ったオカルトは‥‥信じてはいますが、それに対して怖がる要素はないので‥‥」
葉月は淡々とした様子でもえかの質問に答える。
やがて二人は上甲板へと辿り着く。
今夜は雲一つなく月と星の明かりが辺りを照らす明るい夜だった。
只時折、生温い風が吹く。
「見て、見て、綺麗なお月さまだよ」
「確かにこんなに良い月夜ならば、上甲板に出て月見をしたくもなるでしょうけど、こんな夜更けに甲板から落ちていたなんて事になっても誰も気づかないので、危険ですね」
「そうだね」
上甲板に出た二人は他に誰か上甲板に出ていないかを確認する為、上甲板を見回る事にした。
「誰も居ないみたいね‥‥」
「そうですね‥‥」
とは言え、姿が見えないのはあくまで今葉月ともえかが居る地点なので、上甲板全てを見回った訳ではなかったので、葉月ともえかは上甲板を回ったが、やはり上甲板には、誰もいなかった。
そんな中、
「あれ?艦長?」
葉月のすぐそばを歩いていたもえかの姿が突如消えた。
ぐるりと辺りを見渡すが、それでももえかの姿は見当たらない。
『こんな夜更けに甲板から落ちていたなんて事になっても誰も気づかないので、危険ですね』
葉月の脳裏に先程もえかに入った自分の言葉が蘇る。
(い、いやいくらなんでもそんな事はありえない‥‥)
葉月は首を振り、もえかが海に落ちたかもしれない可能性を必死に否定する。
ついさっきまで葉月の隣を歩いていたのに、海に落ちるなんてあり得ない。
それも声を上げずに‥‥
「先に艦内に戻ったのかな?」
海に落ちたのではないのだとしたら、そう考えられるが、もえかの性格からして黙って艦内に戻るなんてことも考えにくい。
そんな中、
『実は私達の三人の内、誰が偽物だったとか?』
『実はこの世のならざる者だったとか?』
今度は杵﨑姉妹の言葉が葉月の脳裏に蘇る。
(バカバカしいそんなオカルトめいたことがホイホイと起こる筈が‥‥あっ、でもこの天照自体が半幽霊船だからな‥‥それに自分も‥‥)
「ま、まさか、今までいた艦長が偽物だったとか‥‥?」
あり得ない。
そんな話、あり得ない。
だが、思い返してみれば、さっきのもえかの言動には妙な所があった。
なぜ、もえかは突然舟魂(ふなだま)の話なんてしたのだろうか?
あれは、自分が上甲板で足音が聴こえたと言ったからで‥‥きっとそれを舟魂(ふなだま)と連想して話しかけた訳であって‥‥
『前甲板で白い服を着た女の子を‥‥』
『その子が来ていた服が制服じゃなくて、白いワンピースだったの‥‥だから、多分私が見たのはクラスメイトじゃないと思うの‥‥』
もえかが見たと言う舟魂(ふなだま)らしき女の子の特徴が葉月の脳裏に蘇る。
その時辺り一面に生暖かい風が吹く。
不気味な環境であるが、もえかを見つけなければならず、一人で艦内に戻るわけにも行かない。
もう一度上甲板を回って、それでも見つからなければ、艦内に戻ろうと思い、上甲板を回る葉月。
「っ!?」
その最中、葉月の視界はあり得ないモノを捉えた。
「おいおい、うそ‥‥だろう‥‥」
葉月の視線の際には丁寧に揃えられている靴があったのだ。
「ま、まさか‥‥」
考えたくはないがこれはまさか、もえかのモノか?
それとも自分が聴いた足音の正体ってクラスメイトの誰かが海へ身投げしたクラスメイトのものだったのか?
葉月は慌ててこの靴が誰のモノなのか確かめるために靴を手に取るが、靴は学校側が支給した靴で、しかも名前は書かれていないので、この靴の持ち主がもえかの靴なのかそれとも別のクラスメイトの靴なのか判別できない。
とりあえず、当直者にこの事を知らせなければならず、上甲板にある有線電話の元に駈け寄る。
そして、受話器を取った時、
「捕まえた!!‥‥クシュンっ」
「っ!?」
突如、葉月の後ろから声がして慌てて振り返ると、そこにはあのドラ猫を抱えたもえかの姿があった。
「ごめんなさい」
「ニャー」
もえかはドラ猫を抱えながら葉月に頭を下げて謝る。
「つまり突然消えたのは上甲板でその猫を見つけて、海に落ちない様に捕まえようとして、靴を脱いだ‥‥と‥‥?」
「う、うん‥‥クシュンっ!!」
もえかは頷きながらくしゃみをする。
「こっそりと近づいて捕まえようと思って‥‥クシュンっ!!ほら、この靴だと上甲板を歩くと音が鳴って気づかれちゃうでしょう?‥‥クシュンっ!!」
「自分は見回した時、姿が見当たりませんでしたが?」
「砲塔の影に行っちゃって、それを追いかけて行ったの」
「はぁ~」
何事もなかった事に安堵しつつ、先程まで慌てていた自分が馬鹿らしく思えて来た。
「そんなに驚くとは思っていなくて‥‥ホントにごめんなさい」
「ニャー」
再び猫を抱きながら葉月に頭を下げて謝るもえか。
「‥‥もういいです。上甲板には異常なさそうですし、もう戻りましょう」
多分、葉月が聴いた足音の正体はこの猫なのだと思った。
大方、高射砲の上から飛び降りて着地した時の音が足音にでも聞こえたんだろう。
「あっ、あと‥‥」
「なんです?」
「厨房で消えた食材の件‥犯人はこの子だよ。ホラ」
「えっ?」
もえかから差し出された手には頭のついた魚の骨があった。
「魚?でも、厨房じゃパイを作っていたって‥‥」
「多分作っていたのはニシンのパイだったんじゃないかな?」
「魚のパイ‥‥あっ、そう言えば、あったなそんなパイ‥‥」
パイと聞くと真っ先に果物を使用したお菓子のパイを想像するが、外国の方では魚や野菜を使ったパイがある事を思いだした葉月。
「なるほど、この子ならば、厨房に居た三人に気づかれずに食材(魚)を掠めとることもできるわけだ‥‥クシュンっ!!」
猫の頭をなでるとくしゃみが出る葉月。
「ならば、明日炊事委員の三人には、今回の事を説明しましょう‥‥クシュンっ!!」
「そうだね。‥‥クシュンっ!!でも、先任が上甲板で音がするって言ってくれたから、この子を見つけられたから、ありがとう‥‥クシュンっ!!」
「‥‥艦長、先程からくしゃみを繰り返していますが、風邪ですか?」
「い、いやそういう訳じゃあ‥‥クシュンっ!!」
「そろそろ戻りましょう。これ以上起きていては明日の演習に支障をきたしそうですし」
「そうだね‥‥クシュンっ!!」
上甲板から艦内へ戻り、
「それじゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
それぞれの部屋へと戻った。
翌朝、葉月はもえかに声をかけた。
「艦長」
「おねえちゃ‥い、いえ、何でしょう?先任」
もえかは猫に餌を与えていた。
「昨夜はあれから大丈夫でしたか?」
「あれから?」
「艦長、昨夜上甲板でくしゃみを出していたので、風邪を引いたかもしれないと思いまして‥‥」
「えっ?何の事?昨日の夜は当直が終わった後、私部屋で直ぐに寝ましたけど‥‥」
「えっ?」
もえかからは意外な返答が返ってきた。
「そんな‥‥昨日の夜は一緒に上甲板に上がって艦長が猫を見つけたじゃないですか‥‥それに厨房でも一緒に‥‥」
「で、でも私は本当に‥‥」
「そ、それじゃあ‥‥」
葉月はもえかを連れて厨房へと向かう。
昨夜はもえかと一緒に厨房へ向かったし、あの食材消失の件もあるので丁度良かった。
「失礼する」
「あっ、先任」
「それに艦長も」
「どうしたんですか?」
「へ、変な事を聞くかもしれないが、昨夜自分は艦長と一緒に厨房へ来たよね?」
葉月は此処でみかんと杵崎姉妹が肯定してくれることを願ったが‥‥
「いえ、昨日の夜、厨房に来たのは先任一人でしたよ」
「「うんうん」」
みかんは昨日の夜、厨房に来たのは葉月一人だと言い、杵崎姉妹も首を縦に振ってみかんの言う通りだと言う。
「そ、そんな‥‥」
それじゃあ、あの時一緒に居たもえかは一体‥誰だったんだ‥‥。
「それより、昨日の犯人分かったんですか?」
あかねが昨日の厨房で起きた食材消失の犯人を尋ねて来た。
「えっ?それ何の話?」
話について行けないもえかが、炊事委員に事情を聞いている。
「そんな事が‥‥それで、先任、犯人は分かったんですか?‥先任?先任?」
もえかが首を傾げながら葉月に声をかけるが、葉月は顔色を悪くして固まっていた。
(そう言えば、もえかは自分ことをプライベートでは『おねえちゃん』と呼ぶが、昨日のもえかは自分の事を『葉月』と呼ぼうとしている場面があった‥‥それにくしゃみをしていたのは猫を抱いている時だけ‥‥でも、もえかは猫アレルギーじゃない‥‥じゃあ夕べ自分と一緒に居たもえかは一体誰だったんだ‥‥?)
(いや、そもそも自分が聴いた音‥‥あのドラ猫が幾ら太っていても高射砲の高さから飛び降りたぐらいで音が鳴下の階まで聞こえるのか?)
葉月は昨日のもえかと聴いた音に抱いた違和感の正体に此処で気づいた。
その頃、天照の展望指揮所の更に上の方位盤の屋根の上には白いワンピースを纏ったもえかそっくりの女の子が立っていたが、やがてその姿は溶ける様にスゥーッと消えてしまった。
葉月が出会った昨夜のもえかは一体何者だったのだろうか?
そして聴いた音も‥‥
それは誰にもわからない‥‥